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OpenTP1 Version 7 分散トランザクション処理機能 OpenTP1 解説


付録E 用語解説

(英字)

CUP(Client User Program)

OpenTP1クライアント機能(TP1/Client)で使用する,クライアント専用のUAPのことです。エラーログ機能とUAPトレース機能を使用できます。

DAMファイル(Direct Access Method)

OpenTP1専用の直接編成ファイルをDAMファイルといいます。相対ブロック番号をキーとした直接アクセス法で参照,または更新できます。参照だけの場合は順アクセスもできます。

DTPモデル(Distributed Transaction Processing)

オープンシステムの標準化を目的とした団体であるX/Openが規定する,分散処理システムモデルのことです。DTPモデルは,トランザクション処理を管理,実行するトランザクションマネジャ,各種資源を管理するリソースマネジャ(RM),および業務処理をするUAP(AP)から構成されます。

ISTテーブル

ISTサービスで使う,データを格納するテーブルのことです。ISTサービスを使うときには,ISTテーブルの名称を関数に設定してアクセスします。ISTテーブルは各システムのTP1/Shared Table Accessが管理しているので,テーブルの実体がどのノードにあるかをUAPで意識しなくても,ISTテーブルへアクセスできます。

MCFメイン関数

OpenTP1のリソースマネジャであるTP1/Message Controlを使用する場合は,ユーザがメイン関数を作成します。TP1/Message Controlのメイン関数をMCFメイン関数といいます。MCFメイン関数では,main()とdc_mcf_svstart関数を呼び出します。システムでUOCを使用する場合は,MCFメイン関数にUOCの関数アドレスを設定しておきます。

MCFメイン関数は,通信プロトコル対応向けとアプリケーション起動サービス向けで,別に作成します。

MHP(Message Handling Program)

OpenTP1のUAPのうち,TP1/Message Controlを使用したメッセージ送受信の業務で使用するUAPのことです。MHPは,ほかのシステムから送信されたメッセージを受信するサービス関数と,サービス関数をまとめるメイン関数から構成されます。

MQAキューファイル

メッセージキューイング機能を使った通信をする場合に使う,メッセージキューを格納するファイルのことです。OpenTP1の場合,キューファイルはOpenTP1ファイルシステム上に作成します。

MQAサービス,MQTサービス

メッセージキューイング機能を使った通信をする場合に必要な,OpenTP1のシステムサービスです。MQAサービスとは,メッセージキューやUAPプロセスを管理するシステムサービスです。MQTサービスとは,システム間の通信(TCP/IPプロトコル)とのインタフェースを管理するシステムサービスです。

MQI(Message Queue Interface)

メッセージキューイング機能を使った通信をする場合に,UAPで使う命令文(API)のことです。MQIは,WebSphere MQで標準化しています。

MQシステム

メッセージキューイング機能のキューマネジャがあるシステム(ノード)のことです。

OpenTP1インストールディレクトリ

OpenTP1をインストールするディレクトリのことです。OpenTP1インストールディレクトリのパスは,使用するOSによって異なります。OSごとのOpenTP1インストールディレクトリのパスは次のとおりです。

  • AIX,HP-UXまたはSolarisの場合:/BeTRAN

  • Linuxの場合:/opt/OpenTP1

  • Windowsの場合:C:\OpenTP1

    C:\は使用している環境によって異なります。

OpenTP1管理者

OpenTP1を管理する,UNIX OSの利用者のことです。OpenTP1管理者をどの利用者名称とするかは,スーパユーザが決めます。OpenTP1管理者は,OpenTP1を使う上で重要な権限を持つユーザです。システムの機密保護上,利用者名称にはパスワードを必ず設定して,限られた人だけがOpenTP1管理者の利用者名称を使えるようにしてください。

OpenTP1ノード

マルチノードエリア,またはマルチノードサブエリアを構成する個々のOpenTP1システムをOpenTP1ノードといいます。それぞれのOpenTP1ノードは,OpenTP1のシステム共通定義で指定したノード識別子で区別されます。系切り替え構成は,一つのOpenTP1ノードと見なします。

OpenTP1ファイルシステム/OpenTP1ファイル

OpenTP1専用のファイルシステムをOpenTP1ファイルシステム,OpenTP1ファイルシステムの個々のファイルをOpenTP1ファイルといいます。OpenTP1ファイルシステムとして使用する領域をキャラクタ型スペシャルファイル上に作成して,OpenTP1のコマンドで初期化します。その後,使用する目的別のコマンドでOpenTP1ファイルを初期化してから使用します。

OpenTP1ホームディレクトリ

OpenTP1で使う各種ファイル,またはディレクトリを格納しているディレクトリのことです。

OpenTP1では,OpenTP1ホームディレクトリをDCDIRという環境変数で管理しています。OpenTP1が組み込んであるマシンでは,任意のディレクトリから環境変数$DCDIRと指定して移動すると,OpenTP1ホームディレクトリに移れます。

OpenTP1の各マニュアルでは,OpenTP1ホームディレクトリを$DCDIR/と表記しています。

OSI TP(Open Systems Interconnection transaction processing)

OSI参照モデルに準拠した,分散トランザクション処理に必要な通信手順を規定したプロトコルのことです。OpenTP1がOSI TPを使う通信には,次に示す2とおりがあります。

  • クライアント/サーバ形態の通信で通信プロトコルに使う場合

    サービス要求と応答で通信する形態です。通信には,XATMIインタフェースのAPIを使います。この形態の通信をする場合には,TP1/Server Baseに加えて,TP1/NET/LibraryとTP1/NET/OSI-TP-Extendedが必要です。

  • メッセージ送受信形態の通信で通信プロトコルに使う場合

    メッセージの送信と受信で通信する形態です。通信には,MCFのAPI(例 dc_mcf_send関数)を使います。この形態の通信をする場合には,TP1/Server Baseに加えて,TP1/Message Control,TP1/NET/Library,およびTP1/NET/OSI-TPが必要です。

RPC(Remote Procedure Call)

→リモートプロシジャコール欄を参照してください。

RPC抑止リスト

OpenTP1システムが,未起動のOpenTP1ノードの情報を保持しているリストのことです。

SPP(Service Providing Program)

OpenTP1のUAPのうち,ファイルへのアクセスなどサーバの役割をするプログラムのことです。SPPは,クライアントUAPから要求されたサービスを実行するサービス関数と,サービス関数をまとめるメイン関数から構成されます。

SUP(Service Using Program)

OpenTP1のUAPのうち,SPPに処理要求をするだけの,クライアント専用のプログラムのことです。ほかのUAPにサービスを提供するための関数は持ちません。

TAMファイル(Table Access Method)

OpenTP1専用の単純構造テーブルを使用してアクセスできるファイルをTAMファイルといいます。単純構造テーブルへは,テーブル名とキー値によってアクセスできます。アクセスすることで,レコードの検索,更新,追加,削除,および検索の取消ができます。さらに,テーブル情報を取得できます。

TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)

米国国防総省高等研究計画局(DARPA)のプロジェクトであるARPANETが開発したプロトコルのことです。TCP/IPプロトコルは,主にLANで使われます。OpenTP1がTCP/IPを使う通信には,次に示す2とおりがあります。

  • クライアント/サーバ形態の通信で通信プロトコルに使う場合

    サービス要求と応答で通信する形態です。通信には,OpenTP1独自のRPC(例 dc_rpc_call関数),XATMIインタフェースのAPI,およびTxRPCインタフェースの通信を使います。この形態の通信をする場合には,TP1/Server Baseが必要です。

  • メッセージ送受信形態の通信で通信プロトコルに使う場合

    メッセージの送信と受信で通信する形態です。通信には,MCFのAPI(例 dc_mcf_send関数)を使います。この形態の通信をする場合には,TP1/Server Baseに加えて,TP1/Message Control,TP1/NET/Library,およびTP1/NET/TCP/IPが必要です。

TPモニタ(Transaction Processing)

トランザクション処理の監視,および制御をするソフトウェアのことです。オンラインシステムを構築するための基盤となる機能を提供しています。主な機能として,端末やほかのコンピュータとデータをやり取りするための通信機能,トランザクションを効率的に処理するためのスケジュール機能,トラブルが起こってもデータとトランザクションの消失や不整合を防ぐ回復機能があります。

UAP(User Application Program)

ユーザの業務をプログラムとして作成したものです。アプリケーションプログラムともいいます。

UOC(User Own Coding)

メッセージ送受信のUAPをより多様な業務に対応させるためにユーザがコーディングするプログラムです。起動するアプリケーション名を決定したり,UAPが送信したメッセージを他システムに送信する前に編集できます。

WebSphere MQ

米国IBM社が開発した,メッセージ蓄積型の通信を実現する製品群のことです。OpenTP1では,TP1/Message Queueを使うとメッセージ蓄積型の通信ができるようになります。

(ア行)

アーカイブジャーナルファイル

クラスタ/並列システム形態でOpenTP1を使用する場合に,グローバルアーカイブジャーナル機能で使用する,各OpenTP1ノードから集められたジャーナルを格納するファイルです。

アソシエーション

通信プロトコルにOSI TPを使ったクライアント/サーバ形態の通信をする場合に,システム間で確立する論理的な通信路のことです。このマニュアルでは,通信プロトコルにOSI TPを使ったクライアント/サーバ形態の通信をする場合に限り,論理的な通信路の呼称をアソシエーションと表記します。

アプリケーション

OpenTP1の業務処理の総称です。アプリケーションとして作成するプログラムをアプリケーションプログラム(またはユーザアプリケーションプログラム UAP)といいます。UAPをOpenTP1に登録して,サーバとして業務を実行するプロセスをユーザサーバといいます。

一方送信メッセージ

TP1/Message Controlを使ったメッセージ送受信の業務で,応答を返さないメッセージを一方送信メッセージといいます。一方送信メッセージには,送信優先度を付けることができます。

エージェントノード

ノード自動追加機能を使用したOpenTP1システムを構築するノードのうち,マネジャノードによって,ノードの停止および開始を監視されるノードのことをいいます。

応答メッセージ

→問い合わせ応答メッセージ欄を参照してください。

(カ行)

稼働統計情報

ユーザサーバ,およびOpenTP1のシステムサービスの稼働情報を稼働統計情報といいます。稼働統計情報を編集して出力することで,OpenTP1の稼働状況を知ることができます。

監査ログ

システム構築者,運用者,および使用者がOpenTP1のプログラムに対して実行した操作,およびその操作に伴うプログラムの動作の履歴が出力されるファイルです。監査ログには「いつ」,「だれが」,「何をしたか」などが記録されます。そのため,システムの使用状況,不正アクセスなどを監査する資料として使用できます。

キューグループID

TP1/Message Controlを使ったメッセージ送受信で使用する,メッセージキューファイルの識別子のことです。OpenTP1のコマンドでキューグループの状態を表示する場合に使用します。

キューマネジャ

メッセージキューイング機能を管理するソフトウェア製品のことです。メッセージキューイング機能を使って通信するシステムには,キューマネジャが必要になります。OpenTP1の場合は,TP1/Message Queueがキューマネジャの役割をします。

クライアント/サーバ

プログラムとプログラムで通信する場合の関係を示す用語です。業務処理を依頼する方をクライアント,要求を受けて業務を実行する方をサーバといいます。クライアント/サーバとは,プログラム間の相対的な関係を示します。

クライアントUAP/サーバUAP

複数のUAPプロセス間でクライアント/サーバ型の通信をするときに,業務処理を依頼するためにサービスを要求するUAPをクライアントUAP,要求を受けて業務を実行するUAPをサーバUAPといいます。クライアントUAPとなるのは,SUP,SPP,およびMHPです。サーバUAPとなるのはSPPです。

クラスタ/並列システム

複数のサーバをLANで接続して,一つのサーバの処理能力ではできないような業務を,サーバ同士で連携して実現するシステム形態のことです。クラスタ/並列システムでOpenTP1を使用する場合は,運用支援のため,TP1/Multiを使用します。

グローバルアーカイブジャーナルサービス

クラスタ/並列システム形態でOpenTP1を使用する場合に,各OpenTP1ノードからジャーナルを集める機能のことです。グローバルアーカイブジャーナルサービスを使用することで,OpenTP1ノードごとにジャーナルをアンロードする手間が省けます。

グローバルキャッシュ

ネームサービスが他ノードで起動しているサーバのサービス情報を管理する領域を示します。

グローバルトランザクション

トランザクション処理を行うUAPプロセスをトランザクションブランチといいます。RPCを使用した場合,複数のUAPプロセスで構成されたトランザクション処理ができます。このように複数のUAPプロセスで構成されたトランザクションブランチの集合をグローバルトランザクションといいます。

トランザクションを開始したトランザクションブランチをルートトランザクションブランチといいます。

コネクション

TP1/Message Controlを使ったメッセージ送受信の業務で,ほかのシステムとOpenTP1システムとの間に確立する論理的な通信路をコネクション(通信プロトコルによってはアソシエーション)といいます。このマニュアルではメッセージ送受信の説明に限り,呼称をコネクションで統一しています。

コミット

トランザクションの同期点を取得できたことをコミットといいます。コミットできた場合,該当するトランザクション処理が有効となります。

(サ行)

サービス

クライアント/サーバシステムでは,クライアントから要求された手続きを総称してサービスといいます。UAPのコーディング時には,C言語の場合は関数として,COBOL言語の場合はサブルーチンとして,サービスを作成します。作成したサービスのことを,C言語の場合はサービス関数,COBOL言語の場合はサービスプログラムといいます。

サービス関数動的ローディング機能

UAP共用ライブラリ化したサービス関数を,動的にローディングする(読み込む)機能です。UAP共用ライブラリ化とは,UAPのソースファイルを翻訳(コンパイル)して作成したUAPオブジェクトファイルを結合(リンケージ)して,共用ライブラリとしてまとめることです。

サービス関数動的ローディング機能を使うと,サービス関数を追加または削除する場合に,スタブの変更,およびUAPの実行形式ファイルの再生成をしなくても,ユーザサービス定義のserviceオペランドの変更だけでサービス関数を追加または削除できます。UAP起動時にサービス関数をローディングするため,UAPの実行形式ファイル作成時には,スタブおよびサービス関数は不要です。

サービスグループ

OpenTP1のサーバUAPは,クライアントからの手続き要求を処理するサービスの集合です。このことから,サーバUAPのことをサービスグループといいます。OpenTP1のリモートプロシジャコールの関数dc_rpc_call()では,サービスを要求するときにサービスグループ名とサービス名を引数に設定します。

サービス情報優先度指定機能

ネームサービスがサービス要求元のクライアントUAPにサービス情報を返すときに,特定のノードのサービス情報を優先的に返す機能です。サービス情報を優先的に返すノードを,優先選択ノードといいます。

この機能を使用すると,通常は優先選択ノードのサーバUAPを使用し,障害が発生した場合だけ優先選択ノード以外のノードのサーバUAPを使用できるため,サーバUAPを実行系と待機系に分けて扱うことができます。

システムサービス

OpenTP1のUAPをユーザサーバということに対して,OpenTP1の個々の機能を指してシステムサービスといいます。

シナリオ

シナリオテンプレートを業務に関連づけて運用手順として実行できるようにしたものです。JP1/AJS2 - Scenario Operationが,シナリオテンプレートをシナリオとしてJP1/AJSに登録し,JP1/AJSが実行します。

シナリオジョブ

シナリオジョブテンプレートを業務に関連づけて運用手順として実行できるようにしたものです。JP1/AJS2 - Scenario Operationが使用します。シナリオ中に定義されているコマンド,シェルスクリプト,Windows実行ファイルなどを実行させるためのオブジェクトです。

シナリオジョブテンプレート

JP1/AJS2 - Scenario Operationが使用するシナリオテンプレートの部品です。シナリオテンプレート中に定義されているコマンド,シェルスクリプト,Windows実行ファイルなどを定義しています。OpenTP1では,シナリオテンプレートを利用する運用で使用します。

シナリオテンプレート

運用手順を,テンプレート(ひな形)として部品化したものです。JP1/AJS2 - Scenario Operationが使用します。OpenTP1では,シナリオテンプレートを利用する運用で使用します。

シナリオ変数

JP1/AJS2 - Scenario Operationで,運用環境によって変化する情報を,シナリオに応じてあらかじめ設定しておく変数です。OpenTP1のディレクトリ情報などを設定します。

シナリオライブラリ

JP1/AJS2 - Scenario Operationで,シナリオテンプレートを管理するフォルダです。

ジャーナル

システムを回復したり各種の稼働状況を検知したりするために,OpenTP1が取得する履歴情報をジャーナルといいます。OpenTP1では,次に示すジャーナルを取得します。

  • システムの全面回復,部分回復に使用するジャーナル情報

  • システムのトレース情報

  • ユーザが任意に取得するジャーナル情報

出力キュー

TP1/Message Controlを使ったメッセージ送受信の業務で,ほかのシステムへ送信するメッセージの待ち行列を格納するキューを出力キューといいます。

スーパユーザ(superuser)

UNIX OSの最高権限を持つユーザのことです。UNIXファイルシステムのすべてのファイルに対してアクセス権を持ちます。スーパユーザの利用者名称はrootで固定されています。

スケジュール機能

ユーザサーバを負荷の量に応じて起動させたり停止させたりする,OpenTP1の機能です。スケジュールとプロセスを管理することで,負荷を分散したり,使用するプロセス数を抑えたりでき,プロセスが増え過ぎて性能が下がることを避けられます。

スタブ

クライアント/サーバ形態の通信で,サービス要求とサーバUAPのサービスとを結び付けるライブラリの役割をするプログラムをスタブといいます。ユーザが作成したRPCインタフェース定義ファイルから,スタブを生成するコマンドでスタブを作成します。作成したスタブはC言語のプログラムの形式です。このスタブをコンパイルしてUAPの実行形式ファイルにリンケージします。スタブが必要なUAPは,RPCを使用する場合はSPP,XATMIインタフェースの通信を使用する場合はSUPとSPPです。また,MHPにもスタブが必要です。ただし,すべてのサービス関数をUAP共用ライブラリ化してサービス関数動的ローディング機能を使う場合,スタブは不要です。UAP共用ライブラリ化とは,UAPのソースファイルを翻訳(コンパイル)して作成したUAPオブジェクトファイルを結合(リンケージ)して,共用ライブラリとしてまとめることです。

スタブについては,マニュアル「OpenTP1 プログラム作成の手引」を参照してください。

ステータスサービス

OpenTP1の機能の一つで,UAPの実行状態などシステム内の各種情報を管理する機能です。

全面回復

OpenTP1に障害が発生した場合に,すべての資源を障害発生前の状態に戻すことを全面回復といいます。

(タ行)

チェックポイントダンプ

OpenTP1に障害が発生した場合に,全面回復に掛かる時間を短縮するために使用するファイルをチェックポイントダンプといいます。ジャーナルの情報を一定間隔で取得して,全面回復時には最新のチェックポイントダンプの情報とそれ以降のジャーナルの情報を参照して回復します。このことで,取得したジャーナルを最初から読み込まなくて済むので,回復時間を短縮できます。

デッドロック

複数のUAPが複数の資源を確保しようとして,互いのUAPが資源を解放するのを待ち続けて処理が止まってしまう状態のことをデッドロックといいます。

問い合わせ応答メッセージ

メッセージ送受信の業務で,メッセージを送信して応答を返す形態で使用するメッセージのことです。

同期点

トランザクション処理の区切りを同期点といいます。トランザクション処理が正常終了したことを示す同期点処理をコミット,トランザクション処理がうまくいかなかったため無効にする同期点処理をロールバックといいます。

ドメイン

ネットワークを論理的に区切った単位のことです。ドメインを管理する場合は,DNSやNISを使います。大規模なネットワークでクライアント/サーバ形態の通信をする場合には,OpenTP1のリモートプロシジャコールにドメイン修飾をして,スケジュールの効率を上げることができます。

トランザクショナルRPC

トランザクションとして実行しているUAPプロセスの処理からRPCを使うと,サービス要求先のUAPプロセスの処理もトランザクションの処理にできます。このようなRPCをトランザクショナルRPCといいます。サービス要求先のプロセスの処理がトランザクションとなるには,サービス要求先のプロセスがトランザクション属性(ユーザサービス定義でatomic_update = Yを指定)であることが前提です。

トランザクション

ファイルからデータを読み出して,変更したデータを書き込む処理(更新処理)では,データの一貫性を保持するため,途中で分けられません。このような処理の単位をトランザクションといいます。トランザクションの処理結果は,有効にするか無効にするかのどちらかに必ず決められます。

トランザクションブランチ

RPCを使用した複数のUAPプロセスにわたる処理をトランザクションとする処理(グローバルトランザクション)を構成するそれぞれのUAPプロセスをトランザクションブランチといいます。トランザクションを開始したトランザクションブランチを,ルートトランザクションブランチといいます。

トランザクションマネジャ(Transaction Manager)

トランザクション処理を管理,および実行する機能のことです。

トリガ

メッセージキューイング機能を使った通信をする場合に,メッセージキューにメッセージが到着したことを自システムのUAPへ知らせる機能のことです。トリガイベントを受信するUAPをトリガモニタアプリケーションといいます。

(ナ行)

入力キュー

メッセージ送受信の業務で,ほかのシステムから受信したメッセージの待ち行列を格納するキューを入力キューといいます。

ノード

ホスト,またはOpenTP1ノードを意味します。

ノード間負荷バランス機能

同じサービスグループ名のユーザサーバを複数のノードに置いて,そのサービスグループ名でサービスを要求されたときにどちらのノードのユーザサーバでも処理できるようにする負荷分散の形態です。ノードのスケジュール状態に応じて,より効率的に処理できるノードへ負荷を分散できます。

ノードリスト

マネジャノードが管理するノード情報のリストのことです。共用メモリ上で管理します。ノード自動追加機能を使用するすべてのノードで共有し,システム共通定義のall_nodeオペランドに定義していた情報を,管理します。

ノードリストの整合性

マネジャノードは,エージェントノードから定期的にノード情報を取得し,エージェントノードにノードリストを配布します。これによって,ノード自動追加機能を使用するすべてのノードでノード情報を共有できます。このことをノードリストの整合性といいます。

ノードリストファイル

ノード自動追加機能でノードリストの引き継ぎをするときに作成するファイルです。OpenTP1ファイルシステム上に作成し,OpenTP1のオンライン中に,共用メモリ上にあるノードリストの情報を格納します。

ノーマルノード

ノード自動追加機能を使用したOpenTP1システムを構築するノードのうち,次のノードのことをいいます。

  • バージョン07-05以前のOpenTP1を使用しているノード

  • ノード自動追加機能を使用していないノード(システム共通定義のname_service_modeオペランドにnormalを指定または省略)

(ハ行)

部分回復

OpenTP1システム全体の回復を全面回復ということに対して,UAPの回復を部分回復といいます。UAPに障害が発生した場合,UAPのトランザクション処理を無効にして,資源を障害発生前の状態に戻します。

プロセス

ユーザサーバ,またはOpenTP1が,OSの作業領域を使用することで生成される作業領域の処理をプロセスといいます。OpenTP1では,ユーザサーバのプロセスが必要以上に増えたり減ったりしないように,使用するプロセスの総数を管理しています。

ホスト

ネットワークにつながれた,OpenTP1が稼働する一つの計算機(マシン)のことです。マルチOpenTP1の場合は,複数のOpenTP1から構成される一つのホストとなります。

(マ行)

マネジャノード

ノード自動追加機能を使用するOpenTP1システムを構築するノードのうち,OpenTP1システムを構成するすべてのノードの情報を管理するノードのことをいいます。OpenTP1システム内で一つだけ必要です。

マルチOpenTP1

一つのホストに複数のOpenTP1がある形態です。それぞれのOpenTP1は個別に運用します。

マルチサーバ

OpenTP1のユーザサーバプロセスを複数起動させて,複数のサービス要求を処理する機能です。マルチサーバによって,UAPの処理効率が上がります。

メッセージキュー(メッセージキューイング機能の用語)

メッセージキューイング機能を使った通信をする場合に使う,メッセージを格納するキューのことです。メッセージキューに登録したメッセージは,キューマネジャが通信相手に送信します。MQAサービス定義,およびMQIの引数の設定で,必要なメッセージを受信した順序に関係なく取り出すこともできます。

メッセージキュー(メッセージ送受信の用語)

メッセージ送受信の業務で,メッセージを格納するファイルをメッセージキューといいます。メッセージキューには,TP1/Message Controlで受信したメッセージを格納する入力キューと,ほかのシステムへ送信するメッセージを格納する出力キューがあります。

メッセージキューイング機能

米国IBM社が開発した,メッセージ蓄積型の通信手順のことです。メッセージキューイング機能を使った通信では,UAPが登録したメッセージをキューマネジャが送受信するため,システム間の通信手順や通信障害時の処理をUAPで意識しなくて済みます。また,UAPは任意のタイミングでメッセージを扱えるので,電子メールのような運用ができます。UAPからキューへアクセスするときには,WebSphere MQ標準のAPI(MQI Message Queue Interface)を使います。

メッセージ出力通番

メッセージ送受信の業務で,複数のメッセージを送信する場合に,ユーザが送信抜けや二重の送信を認識できるようにするためにOpenTP1が付ける通し番号のことです。

メッセージログ

OpenTP1が出力するシステム管理情報をメッセージログといいます。メッセージログは,操作画面に出力されて,同じ情報が専用のファイルに格納されます。格納したメッセージログを編集出力する場合は,OpenTP1のコマンド(logcatコマンド)を実行します。

OpenTP1のメッセージログを,システム内に専用に作成するアプリケーションプログラムへ通知できます。通知を受信したアプリケーションプログラムは,他社のネットワーク管理システムへOpenTP1の状態を知らせることができます。メッセージログを通知する場合は,OpenTP1のログサービス定義のlog_notify_outオペランドにYを指定しておいてください。

(ヤ行)

ユーザサーバ

OpenTP1のUAP,およびOpenTP1のUAPを実行するプロセスの総称です。UAPの実行形式ファイルが,OpenTP1のサーバの業務をすることからユーザサーバといいます。

ユーザジャーナル(User Journal)

システムジャーナルファイルに取得するユーザ任意の情報をユーザジャーナルといいます。ユーザジャーナルは,UAPの処理から取得できます。

(ラ行)

リアルタイム統計情報

システム全体,サーバおよびサービス単位で,リアルタイムに出力できる統計情報を,リアルタイム統計情報といいます。リアルタイム統計情報を出力することで,OpenTP1システムの稼働状況をリアルタイムに把握でき,システムの運用管理や障害復旧を迅速に行えます。

リアルタイム統計情報サービス

OpenTP1の機能の一つで,OpenTP1システムの稼働状況をリアルタイムに把握するためのリアルタイム統計情報を管理する機能です。

リソースマネジャ(Resource Manager)

分散処理システムでの,資源を管理する機能の総称です。DBMSはリソースマネジャです。

リモートプロシジャコール(Remote Procedure Call)

UAPを実行するプロセス間で通信する機能を,リモートプロシジャコール(RPC)といいます。OpenTP1のUAPは,ほかのシステムのUAPとRPCで通信します。RPCを使用するときは,通信相手がクライアント/サーバシステムのどのノードのUAPかを意識する必要はありません。

ルートトランザクションブランチ

グローバルトランザクションに属するトランザクションブランチのうち,トランザクションを開始したUAPプロセスをルートトランザクションブランチといいます。

ローカルキャッシュ

ネームサービスが自OpenTP1で起動しているサーバのサービス情報を管理する領域を示します。

ロールバック

トランザクション処理を無効にする同期点処理をロールバックといいます。UAPから関数を発行する場合と,OpenTP1からUAPの処理を無効にする場合があります。

論理端末

メッセージ送受信の業務で,ほかのシステムにある通信相手の論理的な名称です。UAPからメッセージ送受信する場合には,論理端末名称を使用します。

論理メッセージ

メッセージ送受信の業務で,システム間でやり取りする業務単位でのメッセージを論理メッセージといいます。論理メッセージは,一つのセグメントから構成される場合と,複数のセグメントから構成される場合があります。