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OpenTP1 Version 7 分散トランザクション処理機能 OpenTP1 解説


5.2 OpenTP1システムの運用

OpenTP1には,日常的にしなければならない運用と,システム変更のための運用,そのほかの運用があります。システム運用の詳細については,マニュアル「OpenTP1 運用と操作」を参照してください。OpenTP1の日常的な運用を表5-1に,システム変更のための運用を表5-2に,そのほかの運用を表5-3に示します。

表5‒1 OpenTP1の日常的な運用

運用項目

運用の目的

運用方法

OpenTP1の開始

業務を開始するため。

前回の終了状態を引き継ぐ再開始と,引き継がない正常開始があります。

dcstartコマンドで開始するか,OS起動時に自動的に開始するかのどちらかを,システム環境定義で指定します。

OpenTP1の正常終了

業務を正常に終了するため。

dcstopコマンドで終了させます。

OpenTP1の強制正常終了

オンラインシステムを正常に終了するため。

UAPがオンライン中に異常終了していた場合でも,オンラインシステムを正常終了します。

dcstop -nコマンドで終了させます。

OpenTP1の計画停止A

MCFの管理する端末に障害が発生した場合などオンラインシステムを一時的に中断させるため。

出力キューにメッセージを残したまま終了します。

dcstop -aコマンドで終了させます。

OpenTP1の計画停止B

オンラインシステムを直ちに停止させるため。

実行中のサービスの完了後,直ちにOpenTP1を終了します。

dcstop -bコマンドで終了させます。

OpenTP1のMCF構成変更準備停止

システムの構成を変更した上で,前回の終了状態を引き継ぐMCF構成変更再開始をするため。

実行中のサービスの完了後,直ちにOpenTP1を終了します。

dcstop -b -qコマンドで終了させます。

OpenTP1の強制停止

オンラインシステムを緊急に停止させるため。

実行中のサービスの完了を待たないで,直ちにOpenTP1を終了します。

dcstop -fコマンドで終了させます。

UAPの開始

UAP単位で業務を開始するため。

OpenTP1開始時に自動的に開始するUAPはユーザサービス構成定義で指定します。

UAPの終了

UAP単位で業務を終了するため。

正常終了と強制停止があります。

dcsvstopコマンドで終了させるか,OpenTP1終了時に自動的に終了させます。

ジャーナルのアンロード

ジャーナル維持機能を利用するため。

DAMファイル,TAMファイルの障害発生に備えるため。

システムジャーナルファイルをファイルにコピーします。

DAM,TAMのバックアップ

DAMファイル,TAMファイルの障害発生に備えるため。

DAMファイル,TAMファイルをファイルにコピーします。

メッセージログのファイルへの出力

OpenTP1やUAPから出力されたメッセージログを利用するため。

メッセージログファイルに蓄積されたメッセージログを標準出力に出力します。

表5‒2 OpenTP1のシステム変更のための運用

運用項目

運用の目的

運用方法

OpenTP1

停止中

稼働中

定義の変更

OpenTP1システムの構成や実行環境を変更するため。

定義ファイルの内容を変更します。

  • スーパユーザが定義を変更する場合

    定義内容を変更して,OpenTP1を正常終了したあとで,dcsetup -dコマンドでOpenTP1をOSから削除します。その後dcsetupコマンドを実行して,OpenTP1をOSに再登録します。

  • OpenTP1管理者が定義を変更する場合

    定義内容を変更して,OpenTP1を正常終了したあとで,dcresetコマンドを実行します。dcresetコマンドはOpenTP1稼働中には実行できないので注意してください。

×

OpenTP1稼働中のUAPの変更

UAPをOpenTP1稼働中に変更するため。(OpenTP1の終了後,再開したときにも変更したまま)

UAPを終了させたあと,UAPを入れ替えます。必要ならUAPを正常終了させたあとでユーザサービス定義も入れ替えます。入れ替え後にUAPを開始します。

正常終了させないで定義を入れ替えた場合,そのUAPの動作は保証できません。

OpenTP1稼働中のUAPの変更(異なるディレクトリ下のUAPに変更)

UAPをOpenTP1稼働中に一時的に変更するため。(OpenTP1の終了後再開始したときには,定義されたディレクトリ下のUAPが有効です)

UAPを終了させたあと,運用コマンドでサーチパスを変更します。サーチパスの変更後,UAPを開始します。

ファイルの変更

ファイルの容量を変更するため。(ファイルの容量はOpenTP1停止中に変更します。ただし,ステータスファイルは,OpenTP1稼働中に容量を変更できます)

物理ファイルを確保してファイルの定義を変更し容量を変えるか,新たなファイルを作成して定義します。

ステータスファイルは,運用コマンドで容量を変えられます。

オンライン中にネットワークの構成を変更

OpenTP1システムを構成するネットワークのノードを,オンライン中に追加したり削除したりするため。

次の二つの方法があります。

●システム共通定義の内容で変更

  1. システム共通定義のall_nodeオペランドの内容を変更します。

  2. namndchgコマンドを実行します。

現在のall_nodeオペランドの内容を標準出力に出力するときは,namndchgコマンドに-lオプションを付けて実行します。

●ドメイン定義ファイルの内容で変更

  1. all_nodeおよびall_node_exのドメイン定義ファイルを作成します。

  2. namchgflコマンドを実行します。

×

OpenTP1稼働中のMCF通信サービスのメイン関数,UOC,ライブラリの変更

OpenTP1を停止しないでMCF通信サービスの運用を変更するため。

運用コマンドで,MCF通信サービスを部分停止させ,該当するメイン関数,UOC,およびライブラリを入れ替えます。

×

(凡例)

○:可能な作業

×:不可能な作業

△:一部可能な作業

−:該当しません

表5‒3 そのほかのOpenTP1の運用

運用項目

運用の目的

運用方法

状態監視

OpenTP1の状態を監視するため。

各種の状態監視の運用コマンドでOpenTP1の状態に関する情報を標準出力に出力します。

マルチOpenTP1

OpenTP1とUAPをテストするため。

同じノードに二つのOpenTP1を起動して本番用とテスト用に分けて使用します。

二つのOpenTP1を区別するため,それぞれのOpenTP1に名称(OpenTP1識別子)を設定します。