uCosminexus DocumentBroker Version 3 システム導入・運用ガイド
ここでは,DocumentBrokerで使用するユーザ用RDエリアの容量の見積もりについて説明します。なお,アクセス制御機能で使用する容量も加算して,RDエリアの容量を見積もる必要があります。アクセス制御機能を使用する場合の容量の算出方法については,「2.8.4 アクセス制御機能を使用する場合のデータベース容量の見積もり」を参照してください。
- <この項の構成>
- (1) DocumentBrokerで使用するユーザ用RDエリア
- (2) ユーザ用RDエリアが使用するデータベースリソースの所要量
- (3) ユーザ用RDエリアの容量の見積もり方法
- (4) 見積もりの例
(1) DocumentBrokerで使用するユーザ用RDエリア
DocumentBrokerで管理する文書やコンテナは,DocumentBrokerオブジェクトとして,HiRDBに格納されて管理されます。DocumentBrokerオブジェクトは,複数のDMAオブジェクトを包含した形で表現されています。したがって,ユーザ用RDエリアの容量を見積もる場合,DocumentBrokerオブジェクトに包含されるDMAオブジェクトの構成を考慮して,容量を算出しておく必要があります。
DocumentBrokerで使用するユーザ用RDエリアを次の表に示します。
表2-10 DocumentBrokerで使用するユーザ用RDエリア
ユーザ用RDエリアの種類 説明 ユーザ表用RDエリア 次の情報を格納します。
- DMAクラスに対応する表
- DocumentBrokerのメタ情報
ユーザインデクス用RDエリア 次の情報を格納します。
- DMAクラスに対応する表のインデクス
- DocumentBrokerのメタ情報のインデクス
ユーザ用RDエリアには,表とそのインデクス,およびDocumentBrokerのメタ情報とそのインデクスを格納します。これらの容量は,文書やコンテナなどの数,定義されているプロパティなどから算出します。また,バージョン付き文書の場合は管理するバージョンの数,マルチレンディション文書の場合はレンディションの数など,文書の構成を考慮する必要があります。
(2) ユーザ用RDエリアが使用するデータベースリソースの所要量
ここでは,ユーザ用RDエリアの容量を見積もるための目安として,DocumentBrokerのクラス(表)ごとに,各レコードのデータサイズ,および各表に格納するレコード数の見積もり方法を説明した一覧を示します。この一覧を参照して,どのようにRDエリアの容量を見積もるかについては,「(3) ユーザ用RDエリアの容量の見積もり方法」で説明します。
ユーザ用RDエリア分のデータベースリソースの所要量を次の表に示します。なお,DocumentBrokerオブジェクトとDMAオブジェクト,DMAクラスの対応については,「2.2 文書管理に使用するオブジェクト」を参照してください。
表2-11 ユーザ用RDエリア分のデータベースリソースの所要量
種別 クラス(表名) 列数 データサイズ(バイト) レコード数見積もり方法 備考 文書 DocVersion※1 11 573 バージョン付き文書ごとの平均バージョン数×バージョン付き文書数+バージョンなし文書数※2 − Rendition 6 380 (バージョンごとのRendition数−1)×(バージョン付き文書ごとの平均バージョン数×バージョン付き文書数+バージョンなし文書数※2) Renditionが一つの場合は,DocVersionの表に含まれます。 ContentReference 8 4949 バージョンごとのRendition数×(バージョン付き文書ごとの平均バージョン数×バージョン付き文書数+バージョンなし文書数※2) リファレンスファイル管理機能を使用する場合にだけ必要なクラス。 ContentTransfer 6 605 バージョンごとのRendition数×(バージョン付き文書ごとの平均バージョン数×バージョン付き文書数+バージョンなし文書数※2) − ContentTransfers 12 629 + 543 × n バージョン付き文書ごとの平均バージョン数×バージョン付き文書数+バージョンなし文書数※2 マルチファイル管理機能を使用する場合にだけ必要なクラス。
nは一つの文書に格納するファイルの最大数であり,EDMInitMetaコマンドの-cオプションで指定します。ContentFileLink 6 774 バージョンごとのRendition数×(バージョン付き文書ごとの平均バージョン数×バージョン付き文書数+バージョンなし文書数※2) File Link連携機能を使用する場合にだけ必要なクラス。 VersionTracedDocVersion※1 11 573 バージョン付き文書ごとの平均バージョン数×バージョン付き文書数+バージョンなし文書数※2 − コンテナ Container※1 5 176 バージョンなしコンテナ数 − ContainerVersion※1 6 180 バージョン付き構成管理コンテナごとの平均バージョン数×バージョン付き構成管理コンテナ数+バージョンなし構成管理コンテナ数 − VersionTraceableContainer※1 5 176 バージョンなし構成管理コンテナ数 − バージョン ConfigurationHistory※1 6 228 バージョン付き文書数+バージョン付き構成管理コンテナ数 − VersionSeries 11 656 バージョン付き文書ごとのVersionSeries数×(バージョン付き文書数+バージョン付き構成管理コンテナ数) バージョン付き文書ごとのVersionSeries数は一つです。 VersionDescription 6 180 バージョン付き文書ごとの平均バージョン数×バージョン付き文書数+バージョン付き構成管理コンテナごとの平均バージョン数×バージョン付き構成管理コンテナ数 − コンテインメント DirectContainmentRelationship 4 172 DirectContainmentRelationshipオブジェクトを利用した関連するオブジェクトの個数 − ReferentialContainmentRelationship 4 172 ReferentialContainmentRelationshipオブジェクトを利用した関連するオブジェクトの個数 − VersionTraceableContainmentRelationship 7 280 VersionTraceableContainmentRelationshipオブジェクトを利用した関連するオブジェクトの個数 − 文書間リレーション Relationship 5 176 文書間リレーションに使用しているRelationshipオブジェクトの個数 − VTRelationship 13 496 文書間リレーションに使用しているVTRelationshipオブジェクトの個数 構成管理の対象となる文書間リレーションを使用する場合のクラス。 独立データ IndependentPersistence※1 3 72 独立データオブジェクト数 − 全文検索 全文検索機能付き文書クラス 14 606 バージョン付き文書ごとの平均バージョン数×バージョン付き文書数+バージョンなし文書数※2 全文検索用,および構造指定検索用のデータを格納する列を追加した文書クラス。 OIID OIID 3 20 実行環境の数 最新のOIIDです。 VariableArray Struct 3 84 VariableArray型プロパティの配列に格納する平均要素数×VariableArray型プロパティを定義するオブジェクト数 基本単位がVariableArray型のプロパティの配列の要素を定義する場合のクラス。 メタ情報 EDMS_METAMETA 3 33 1 − EDMS_METAINI 3 158 2,200+a×7+b×5+c a:定義するユーザクラスの数
b:定義するユーザプロパティの数
c:各クラスに定義するVariableArray型のユーザプロパティの合計数EDMSMETAREGENVID 5 554 実行環境の数 リファレンスファイル管理機能を使用する場合は,列数を6,データサイズを558バイトとして見積もってください。 EDMS_META_edms 5 527 700+a×23+b×7+c+d×6 a:定義するユーザクラスの数
b:各クラスに定義するVariableArray型のユーザプロパティの合計数
c:各クラスに定義するクラスに追加するユーザプロパティの合計数
d:全文検索機能付き文書クラスの数EDMS_META_dmaclass 5 527 1,800 − EDMS_META_dmaprop 5 527 3,200 − EDMS_META_dmaproto 5 527 500 − EDMS_META_dsclass 5 527 1,500+a×48+b+c×6 a:「dmaClass_」で始まるクラスのサブクラスとして定義するユーザクラスの数
b:aの各ユーザクラス,dmaClass_DirectContainmentRelationshipクラス,およびdmaClass_ReferentialContainmentRelationshipクラスに定義するユーザプロパティの合計数
c:aのクラスのうち全文検索機能付き文書クラスの数EDMS_META_dsprop 5 527 1,500+a×43 a:「dmaClass_」で始まるクラスのサブクラスに定義するユーザプロパティの合計数
b:aのユーザプロパティに定義するオペレータの平均数EDMS_META_dsqop 5 527 1,500 − EDMS_META_edmclass 5 527 1,100+a×50+b+c×6 a:「edmClass_」で始まるクラスのサブクラスとして定義するユーザクラスの数
b:aの各ユーザクラス,edmClass_VersionTraceableContainmentRelationshipクラス,edmClass_PublicACLクラス,およびedmClass_Relationshipクラスに定義するユーザプロパティの合計数
c:aのクラスのうち全文検索機能付き文書クラスの数EDMS_META_edmprop 5 527 2,000+a×43 a:「edmClass_」で始まるクラスおよびサブクラスに定義するユーザプロパティの合計数
b:aのユーザプロパティに定義するオペレータの平均数EDMS_META_edmqop 5 527 600 − EDMS_META_edmsys 5 527 100 − EDMS_META_edmsysclass 5 527 400 − EDMS_META_edmsysprop 5 527 200 − EDMS_META_ssysobj 5 527 50 − EDMS_META_edmnmclass 5 527 100+a a:定義するユーザクラスの数 EDMS_META_edmnmprop 5 527 200+a a:定義するユーザプロパティの数 EDMSMETAdocinfo 2 260 a×2+b+2 文書空間構築コマンド(EDMCBuildDocSpace)実行時だけ
a:文書空間情報ファイルに指定するセクション数
b:文書空間情報ファイルに指定するエントリの合計数EDMSMETAclassdef 2 260 a×16+b×10+c×5+d×9+2 文書空間構築コマンド(EDMCBuildDocSpace)実行時だけ
a:定義するユーザクラスの数
b:各クラスに定義するユーザプロパティの合計数
c:全文検索機能付き文書クラスの数
d:定義するユーザインデクスの数
- 注※1
- サブクラスごとに算出する必要があります。
- 注※2
- バージョンなし文書は,バージョン付き文書の個々のバージョンに対応しない文書を指します。
(3) ユーザ用RDエリアの容量の見積もり方法
ここでは,ユーザ用RDエリアの容量を見積もるための方法について説明します。ここで算出した値を基にして,実際に使用するディスク占有量を算出してください。ディスク占有量の算出方法については,マニュアル「HiRDB システム導入・設計ガイド」を参照してください。
「(2) ユーザ用RDエリアが使用するデータベースリソースの所要量」の表2-11の内容を参考にして,次の値を算出してください。
(a) 各表に格納するレコードの総数
表2-11のデータサイズおよびレコード数の見積もり方法を参考にして,文書数やコンテナの数などから,各表に格納するレコードの総数を算出してください。
(b) 各表に定義する列の総数
表2-11には,DocumentBrokerのシステムプロパティが使用する列数が示してあります。サブクラスを定義してユーザプロパティを追加した場合は,この表に示すスーパークラスの列数の値に,ユーザプロパティ数を加算して算出してください。
(c) 各列のデータサイズ
表2-11には,DocumentBrokerのシステムプロパティが使用するデータサイズが示してあります。サブクラスを定義してユーザプロパティを追加した場合は,この表に示すスーパークラスのデータサイズの値に,ユーザプロパティのデータサイズを加算してください。ユーザプロパティのデータサイズについては,マニュアル「HiRDB システム導入・設計ガイド」を参照してください。対応するHiRDBのデータ型を基に,データサイズを算出してください。
(d) インデクス
オブジェクトのプロパティに定義されるインデクスの算出については,データベース定義文出力コマンド(EDMCrtSql)によって出力されるデータベース定義文を参考にしてください。
EDMS_META_で始まるメタ情報の表には,次に示す複数列インデクスが一つ定義されます。
- UNIQUE指定あり
- キー長:136
EDMSMETAREGENVIDのメタ情報の表には,次に示す単一列インデクスが一つ定義されます。
- UNIQUE指定あり
- キー長:2
EDMSMETAdocinfoおよびEDMSMETAclassdefのメタ情報の表には,次に示す単一列インデクスが一つ定義されます。
- UNIQUE指定あり
- キー長:4
(4) 見積もりの例
ここでは,文書を管理する表の見積もりの例として,バージョン付き文書を管理する表の見積もりの例を示します。バージョン付き文書を管理する表の見積もりの例を次の図に示します。
図2-37 バージョン付き文書を管理する表の見積もりの例
この例では,バージョン付き文書で,三つのバージョンと二つのレンディションを管理しています。ユーザプロパティの追加はありません。例えば,このバージョン付き文書の文書数が1,000の場合,バージョン付き文書を管理する表の容量は次のように算出できます。
- 文書数×(文書情報+(バージョン数×(バージョン情報+(レンディション数−1)×Renditionオブジェクト+(レンディション数×ContentTransferオブジェクト))))
- =1,000×(884+(3×(753+(2−1)×380+(2×605))))
- =約8.0メガバイト
- 文書情報
- =ConfigurationHistoryのデータサイズ+VersionSeriesのデータサイズ
- =228バイト+656バイト
- =884バイト
- バージョン情報
- =VersionDescriptionのデータサイズ+DocVersionのデータサイズ
- =180バイト+573バイト
- =753バイト
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