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uCosminexus Batch Job Execution Server 使用の手引


3.4.8 逆方向参照

ジョブ定義XMLには逆方向参照機能が備わっている。これを利用すると,ジョブ内の先行DD要素にある情報を取得するようシステムに指示できる。

逆方向参照は先行DD要素のTYPE属性が,FILE,DATA,またはTEMPであることが必要である。なお,JSPEC機能適用ジョブステップの場合,先行DD要素のTYPE属性がFILEだけ参照できる。

逆方向参照する場合,参照先のTYPE属性を参照元に引き継ぐ。このため,参照する側のTYPE属性の指定は不要であり,指定しても無視される。ただし,参照する側のTYPE属性のシンタクスチェックは行われる。

なお,参照元のTYPE属性でPRESTを指定した場合,逆方向参照は行われないで,指定されたファイル名を基にPRESTファイルとして使用される。

TYPE属性と逆方向参照可否についての関係を次の表に示す。

表3‒15 TYPE属性と逆方向参照可否についての関係

参照される側のTYPE属性

FILE

DIR

GDG

TEMP

DATA

DUMMY

SYSOUT

LIB

TEMP

ISAM

PREST

TEMP

PREST

逆方向参照可否

×

×

×

×

×

×

×

×

(凡例)

○:参照先のファイル名を参照できる。

×:参照先のファイル名を参照できない。エラーとなる。

注※ JSPEC時は参照できない。

一時ファイルを逆方向参照する場合,参照元のDISPS属性値によって,正しく参照できないときがある。

参照元のDISP属性の第1パラメータで"NEW",または"RNW"を指定した場合には,逆方向参照とならないで新たにファイルを割り当てる。

参照元のDISP属性指定値と実際に参照されるファイルの関係を次の表に示す。

表3‒16 参照元のDISP属性の第1パラメータ指定値と参照されるファイルの関係

DISP属性指定値

NEW

RNW

OLD

SHR

MOD

参照されるファイル

新規に作成したファイル

参照先のファイル

逆方向参照はDD要素のDSN属性に指定する方法が次に示す3とおりある。

使用例

同一ジョブステップおよび先行するジョブステップで指定されたDSN属性値を,逆方向参照で複写する例を次に示す。

[図データ]

注意事項
  • 「DSN="*.参照するDD名"」によって同一ジョブステップ内のDD要素を検索する場合は,必ず逆方向参照を行うDD要素より前に定義されているDD要素を指定すること。

  • 参照先のDD要素を持つジョブステップが,COND属性やIF要素により実行されなかった場合,参照したファイルが作成されていないことが考えられる。このようなとき,参照元のジョブステップ時実行時にエラーとなることがある。例を次に示す。

    [図データ]

  • 一時ファイルを後続ステップから逆方向参照する場合,ステップ終了時に一時ファイルが削除されないよう,参照先のDD要素では,DISP=(,PASS)を指定する必要がある。

  • TYPE=DATA指定のファイルは,一時ファイルのためジョブステップ終了時に削除しているが,後続DD要素で逆方向参照されている場合には,ジョブ終了時に削除される。逆方向参照されていないものについては,従来どおりジョブステップ終了時に削除される。