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uCosminexus Batch Job Execution Server 使用の手引


3.1.3 ジョブコントローラ

バッチジョブ実行システムでのジョブの実行を制御する。

ジョブの入力はJP1/AJSで行う。JP1/AJSから起動されたジョブコントローラは,ジョブに対して入出力装置や各種システム資源の割り当ておよび解放処理,すなわちジョブの実行準備および終了処理をする。また,ジョブの実行結果を管理し,ジョブ実行に付随するジョブログを出力する。

機能の特長を次に示す。

〈この項の構成〉

(1) ジョブのシンタクスチェック機能

シンタクスチェック機能は,bjexecコマンドで-cオプションを指定することによって実行できる。この機能は,ジョブ定義XMLファイルのシンタクスチェックだけを行い,ジョブの実行はしない。

シンタクスチェック機能の特長を次に示す。

(2) ジョブログ出力機能

ジョブコントローラは,ジョブ実行の出力情報として,処理プログラムの実行結果のほかに,ジョブ実行に付随したログ情報を出力する。このログ情報をジョブログという。

(a) ジョブログに出力する内容

ジョブログには,JOBLOG,XMLおよびSYSMSGを出力する。ジョブログの内容は,ジョブ終了時にジョブコントローラの標準エラー出力に出力するので,JP1/AJS - Viewから参照できる。

注意事項

JP1/AJSではジョブネットのUNIXジョブとしてジョブを実行した場合,デフォルト設定ではジョブの標準エラー出力データを取得する。

このため,ジョブログはJP1/AJS - Viewから参照できる。

ただし,ジョブが出力する標準エラー出力データ量が大きい場合,次に示す事象が発生する要因となることがある。

  • JP1/AJS - Viewでの参照時のメモリ不足の発生

  • JP1/AJSシステムの負荷の増加

  • 高負荷によるジョブの実行遅延

  • ジョブ異常終了

このため,ジョブログの出力データは,多くても数MB以内になるように設計する必要がある。

また,エラーケースなど意図しないでジョブログ,XML,およびSYSMSGの出力データが多くなる場合も考えられるため,JP1/AJSのUNIXジョブとして定義する前に,ジョブコントローラ単体で十分テストを実施する必要がある。

並列実行するジョブステップの場合,ジョブログとSYSMSGは時系列に出力されるため,並列実行するジョブステップの情報はジョブ定義XMLファイルに指定した順とはならない。

(b) JOBLOGの出力形式

JOBLOGには主に次の表に示す内容をメッセージ出力する。

表3‒1 ジョブログに出力する内容

出力契機

出力内容

ジョブログヘッダ

  • ジョブ識別子

  • スプールジョブディレクトリ

  • 実行ホスト名

  • JP1情報

ジョブ開始時

  • ジョブの開始時刻

  • ジョブ識別子

  • ジョブ名

ジョブステップ開始時

  • ジョブステップの開始時刻

  • ジョブ識別子

  • ジョブ名

  • ジョブステップ名

ジョブステップ終了時

  • ジョブステップの終了時刻

  • ジョブ識別子

  • ジョブ名

  • ジョブステップ名

  • ジョブステッププロセスの終了コード

  • C-TIME

  • E-TIME

ジョブ終了時

  • ジョブの終了時刻

  • ジョブ識別子

  • ジョブ名

  • ジョブの終了コード

  • ジョブステップのC-TIMEの合計

  • ジョブステップのE-TIMEの合計

  • ジョブが利用した最大実メモリサイズ

ジョブログヘッダはJOBLOGファイルの先頭に出力する。

JOBLOGの出力形式を次に示す(項番は項目の説明の番号と対応している)。

[図データ]

(1)バッチジョブ実行システムに関する情報

(2)ジョブ識別子

バッチジョブ実行システムが割り当てたジョブ通し番号。

(3)スプールジョブディレクトリ

ジョブの出力情報が格納されるスプールジョブディレクトリ名。

(4)日付

ヘッダ出力時の日付。yyyy/mm/dd形式で出力する。

(5)設定ファイルのパス

使用したバッチジョブ実行システムの設定ファイルのパス。

(6)ホスト名

設定ファイルのJP1_HOSTNAMEパラメータで指定したホスト名。

ただし,bjexecコマンドで-hオプションを指定した場合,設定ファイルのJP1_HOSTNAMEパラメータは無視され,論理ホスト名が有効になる。詳細については,「7. コマンド」を参照すること。

(7)JP1の環境変数の始まり

(8)JP1ジョブ名

JP1で定義した実行ファイル名,またはジョブ名。

(9)JP1ジョブ番号

JP1のジョブ番号。

(10)JP1ユーザ名

JP1のユーザ名。

(11)JP1エージェントホスト名

JP1の実行ホスト名。

(12)マネージャーホスト名とキュー名

ジョブの登録先であるJP1/AJSのマネージャーホスト名(255バイト以内の文字列)とキュー名(63バイト以内の文字列)が「\\マネージャーホスト名\キュー名」の形式で設定される。

(13)JP1実行優先順位

JP1のジョブ実行優先順位。

(14)JP1実行ID

JP1のジョブ実行ID。

(15)AJSJOBNAME

JP1のジョブ名。

(c) XMLの出力形式

ジョブ定義XMLファイルを解析したXMLのイメージを出力する。

  • >>>>> ファイル名

    カタログドプロシジャとしてファイル名で示すファイル解析の開始を示す。

  • <<<<<< ファイル名

    カタログドプロシジャとしてファイル名で示すファイル解析の終了を示す。

  • 要素番号 記号 <要素 〜>

    ファイル内に含む要素を表示する。

    • 要素番号 ((000001〜999999))

      ファイル内の要素を6けたの10進数で表示する。

      999999を超える要素数のXMLを入力した場合,7けた以上の要素番号表示となる。

    • 記号

      ++:入力ストリームプロシジャ

        EXEC要素,DD要素,SETENV要素,IF要素,ELSE要素,ENDIF要素およびSETENVFILE要素を表示する。

      +/:修正された可能性のある入力ストリームプロシジャ

        REPLACE要素またはREPLACESTEP要素で修正された可能性のある要素を表示する。

      XX:カタログドプロシジャ

        EXEC要素,DD要素,SETENV要素,IF要素,ELSE要素,ENDIF要素およびSETENVFILE要素を表示する。

      X/:修正された可能性のあるカタログドプロシジャ

        REPLACE要素またはREPLACESTEP要素で修正された可能性のある要素を表示する。

      **:読み込んだカタログドプロシジャ

      空白:入力したジョブ定義XMLファイルの内容

    • 要素

      解析後の要素を示す。内容を含む場合,改行後の要素番号がない状態で表示する。

XMLの表示例を次に示す。

[図データ]

[図データ]

(d) SYSMSGの出力形式

ファイルの前処理,後処理の結果を出力する。

SYSMSGに出力する内容を次の表に示す。

表3‒2 SYSMSGに出力する内容

出力契機

出力内容

ジョブ定義XMLファイル変換時

  • ジョブ定義XMLファイルの誤り

  • ジョブのメッセージクラス

ファイル割り当て時

  • 割り当てたファイルのDD名

  • パス名

ファイル割り当て解除時

  • 割り当て解除したファイルのDD名

  • パス名

SYSMSGの表示例を次に示す。

[図データ]

(e) ジョブステップの標準エラー出力

各ジョブステップが出力した標準エラー出力をKAKC0719-Iメッセージの下部に表示する。出力例を次に示す。

[図データ]

(f) ジョブログの出力例

JP1/AJS - Viewから参照した場合のジョブログの出力例を次の図に示す。

図3‒2 ジョブログの出力例

[図データ]

[図データ]

[図データ]