1.1 メッセージキューイングの概要
メッセージキューイングは長年にわたりデータ処理に使用されてきました。近年では電子メールでよく使用されています。キューイングなしで電子メッセージを送信するには,経路にある各ノードについて,メッセージを転送可能な状態にあることやアドレスが記載されていることを意識しなければなりません。キューイングシステムの場合,システムがメッセージを転送できるようになるまで,メッセージは中間ノードに保存されます。最終目的地に到着すると,あて先が読み込み可能になるまで,メッセージは電子メール箱に保存されます。
しかし,多くの複雑なビジネストランザクションが今日もキューイングなしで処理されています。巨大なネットワークでは,システムは何千ものコネクションを使用可能な状態で維持することになります。このためシステムの一部に障害が発生すると,システムの大部分が使用不能になります。
メッセージキューイングはプログラム用の電子メールであると考えることができます。メッセージキューイング環境では,各アプリケーションは特定の問い合わせに対応するよう定義され,機能します。他アプリケーションと通信するには,アプリケーションはメッセージを定義済みキューに登録します。相手アプリケーションはキューからメッセージを受信し,メッセージに含まれている問い合わせと情報を処理します。つまり,メッセージキューイングはプログラム間通信です。
キューイングは,アプリケーションによる処理が可能になるまで,メッセージを保持する機能です。キューイングには,次に示す機能があります。
-
通信コードを記述する必要のないプログラム間通信
各プログラムが異なる環境で動作できます。
-
アプリケーションがメッセージを処理する順序の選択
-
システム内の負荷分散
メッセージ数がしきい値を超える場合に複数のアプリケーションで一つのキューに対応します。
-
アプリケーションの可用性の向上
主系システムが使用不能になると待機系システムがキューに対応します。