2.1.7 相手アドレスチェックの抑止(サーバ型コネクション)
相手アドレスチェックの抑止は,TP1/NET/TCP/IPによる相手システムのアドレス情報のチェックを抑止する機能です。この機能を使用すると,業務運用に合わせた相手システムのアドレスチェックと,コネクション確立の制御ができるようになります。
相手アドレスチェックの抑止機能を使用すると,TP1/NET/TCP/IPは,定義されたコネクションの中からコネクション選択ルールに従って未確立コネクションを選び出します。そのあと,コネクション確立UOCを呼び出し,コネクション確立を受け入れるかどうかを判定します。一方,未確立コネクションがない場合は,コネクション確立要求を拒否します。
コネクション選択ルールについては,「(2) コネクション選択ルール」を参照してください。また,コネクション確立UOCについては,「(3) コネクション確立UOC」を参照してください。
このようにすることで,コネクション確立要求受信時の相手アドレスチェックを抑止し,任意の相手システムからのコネクション確立要求を受け入れられるようになります。相手システムのアドレス情報をコネクション定義に指定しておく必要がありません。
なお,相手アドレスチェックを抑止した場合でも,運用コマンド(mcftlsln -t)を入力することで接続相手を確認できます。
相手アドレスチェックを抑止している場合にコネクション障害が発生したときは対処が必要です。詳細については,「2.1.9(2) 相手アドレス指定時,または相手アドレスチェックの抑止時のコネクション障害」を参照してください。
(1) 相手アドレスチェックを抑止する場合の定義方法
相手アドレスチェックを抑止する場合は,コネクション定義(mcftalccn -h)のaddrchkオペランドでnoを指定します。このとき,-oオプションの次に示すオペランドに指定する相手システムのアドレス情報の定義は不要です。定義した場合は,無効となります。
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oipaddrオペランド
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ohostnameオペランド
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oportnoオペランド
また,同時に通信する相手システム数以上のコネクションを指定してください。
- 注意事項
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一つの通信プロセスで,相手アドレスチェックを抑止するコネクションと,相手アドレスをチェックするコネクションとの混在はできません。ただし,MCF通信プロセスを分ければ混在できます。
(2) コネクション選択ルール
TP1/NET/TCP/IPは,相手アドレスチェックの抑止機能を使用してコネクション確立要求を受け入れる場合は,MCF通信構成定義による構成管理をしません。コネクション選択ルールに従って未確立コネクションを選び出し,コネクション確立要求を受け入れます。未確立コネクションがなければ,コネクション確立要求を拒否します。
TP1/NET/TCP/IPが未確立コネクションを選び出すときの,コネクション選択ルールを次の図に示します。
相手システム数以上のコネクションを定義していて,相手システムとの間に1本だけTCPコネクションを確立する場合は,コネクション選択ルールの1.および2.の検索で未確立コネクションを選べます。つまり,同じ相手システムとの再接続時には,前回接続時と同じコネクションで確立します。
問い合わせ応答形態および継続問い合わせ応答形態のメッセージ送受信機能を使用する場合,継続問い合わせ応答中の論理端末に対応するコネクションを割り当て対象とするかどうかをコネクション定義(mcftalccn -l)のcnassignオペランドで指定できます。ただし,継続問い合わせ応答中の論理端末に対応するコネクションを割り当て対象とする指定(all)をしても,継続問い合わせ応答が終了するまでは,該当するコネクションで確立できません。