4.6.1 HiRDBとの連携
ここでは,HiRDBと連携するために必要な設定について説明します。
- 〈この項の構成〉
(1) HiRDBの登録
OpenTP1システムにHiRDBを登録します。OpenTP1システムへのHiRDBの登録には,trnlnkrmコマンドを使用します。
HiRDB Version 9の場合のtrnlnkrmコマンドの実行例を次に示します。
trnlnkrm -a HiRDB_DB_SERVER -s pdtxa_switch -o pdcltx32.lib
trnlnkrmコマンドについては,「7. 運用コマンド」を参照してください。また,trnlnkrmコマンドに指定する「RM名」,「RMスイッチ名」,「RM関連オブジェクト名」などについては,マニュアル「スケーラブルデータベースサーバ HiRDB システム導入・設計ガイド」を参照してください。
trnlnkrmコマンドを実行する場合の注意事項を次に示します。
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trnlnkrmコマンドの-oオプションの指定について
事前に,環境変数LIBに関連オブジェクトのパスを設定しておいてください。また,関連オブジェクト名称をフォルダ付きの絶対パスで指定する場合は,フォルダの区切り文字は「\\」としてください。
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prcsvpath定義コマンドの指定について
OpenTP1システムにHiRDBを登録すると,トランザクションサービスプロセスがHiRDBのランタイムライブラリを使用します。このため,プロセスサービス定義のprcsvpath定義コマンドで,HiRDBのランタイムライブラリの格納フォルダを指定してください。prcsvpath定義コマンドの定義例を次に示します。
prcsvpath c:\hirdb_s\client\utl
(2) 環境変数の設定
HiRDBにアクセスするために,HiRDBの環境変数に値を設定します。環境変数は,次に示すOpenTP1のシステム定義にputenv形式で設定します。
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トランザクションサービス定義
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ユーザサービス定義
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ユーザサービスデフォルト定義
トランザクションサービス定義の定義例を次に示します。
putenv PDHOST host1 putenv PDNAMEPORT 22200 putenv PDTMID smpl putenv PDSWAITTIME 6000
ユーザサービス定義またはユーザサービスデフォルト定義の定義例を次に示します。
putenv PDHOST host1 putenv PDNAMEPORT 22200 putenv PDTMID smpl putenv PDSWAITTIME 6000 putenv PDUSER '"root"/"root"' putenv PDXAMODE 1
- 注意事項
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X/OpenのXAインタフェースを使用してOpenTP1からデータベースにアクセスする場合に発生する障害の多くは,環境変数(PDHOSTやPDNAMEPORTなど)の設定の誤りによって発生します。KFCA00901-Wメッセージが出力された場合には,環境変数の設定を見直してください。
OpenTP1のシステム定義については,「5. システム定義」を参照してください。設定が必要な環境変数名や設定値などについては,HiRDBのインストール時の設定値や,マニュアル「スケーラブルデータベースサーバ HiRDB UAP開発ガイド」を参照してください。
(3) トランザクションサービス定義の設定
トランザクションサービス定義のtrnstring定義コマンドで,リソースマネジャにアクセスするための情報を指定します。HiRDBと連携する場合は,trnstring定義コマンドの-nオプション,および必要に応じて-dオプションを指定してください。
なお,xa_open関数用文字列,およびxa_close関数用文字列(trnstring定義コマンドの-oオプション,-Oオプション,-cオプション,および-Cオプションで指定)については,指定する必要はありません。
トランザクションサービス定義の定義例を次に示します。
trnstring -n HiRDB_DB_SERVER
(4) UAPの翻訳と結合
HiRDBにアクセスするUAPを翻訳(コンパイル)および結合(リンケージ)する場合,trnmkobjコマンドで%DCDIR%\spool\trnrmcmd\userobj下に作成したトランザクション制御用オブジェクトをリンケージする必要があります。
コンパイルとリンケージの手順については,「3.2 UAPの翻訳と結合」,マニュアル「OpenTP1 プログラム作成リファレンス」の該当する言語編,およびマニュアル「スケーラブルデータベースサーバ HiRDB UAP開発ガイド」を参照してください。trnmkobjコマンドについては,「7. 運用コマンド」を参照してください。
HiRDBにアクセスするUAP用トランザクション制御用オブジェクトの作成例を,C言語の場合とCOBOL言語の場合に分けて次に示します。
C言語の場合
trnmkobj -o rm_obj -r HiRDB_DB_SERVER
COBOL言語の場合
trnmkobj -o rm_obj -C "/Zl" -r HiRDB_DB_SERVER
(5) メイクファイルの例(C言語の場合)
C言語でSPPを作成する場合のメイクファイルの例を示します。
(a) ソースファイル名
メイクファイルの例中で使用するソースファイル名を次に示します。
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C言語で作成したUAPのソースプログラム名:
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exmain.c(メイン関数)
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exsv1.c(サービス関数1)
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exsv2.c(サービス関数2)
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exproc.ec(ecファイル)
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RPCインタフェース定義ファイル名:ex.def
(b) メイクファイルの例
メイクファイルの例を次に示します。
NODEBUG = 1 !include <ntwin32.mak> #TP1TEST Make File SYSLIB = $(conlibsdll) TP1LIB = [libdam.lib]※1 [libtam.lib]※2 libbetran.lib HIRDBLIB = pdcltx32.lib※4 all:TP1TEST.exe #コンパイル exmain.obj:exmain.c $(cc) $(cflags) $(cvarsdll) $*.c exsv1.obj:exsv1.c $(cc) $(cflags) $(cvarsdll) $*.c exsv2.obj:exsv2.c $(cc) $(cflags) $(cvarsdll) $*.c ex_sstb.obj:ex_sstb.c $(cc) $(cflags) $(cvarsdll) $*.c exproc.obj:exproc.c $(cc) $(cflags) $(cvarsdll) $*.c #スタブソースファイルの作成 ex_sstb.c:ex.def $(DCDIR)\bin\stbmake $? #プリコンパイルの実行 exproc.c:exproc.ec $(PDDIR)\client\utl\pdcpp /XA $?※5 #リンケージ TP1TEST.exe: exmain.obj exsv1.obj exsv2.obj ex_sstb.obj exproc.obj $(link) $(conflags) -out:$*.exe $** \ [$(DCDIR)\spool\trnrmcmd\userobj\rm_obj.obj \]※3 $(TP1LIB) $(SYSLIB) $(HIRDBLIB)
- 注※1
-
libdam.libは,TP1/FS/Direct Accessを使用する場合だけ指定してください。
- 注※2
-
libtam.libは,TP1/FS/Table Accessを使用する場合だけ指定してください。
- 注※3
-
TP1/FS/Direct AccessまたはTP1/FS/Table Accessを使用する場合には,trnmkobjコマンドでトランザクション制御用オブジェクトを作成するときに,「OpenTP1_DAM」または「OpenTP1_TAM」を追加してください。
- 注※4
-
TP1/Server Base(64)を使用する場合,ライブラリ名称はpdcltx64.libになります。
- 注※5
-
TP1/Server Base(64)を使用する場合,pdcppコマンドのオプションに「/h64」を追加してください。
(6) メイクファイルの例(COBOL言語の場合)
COBOL言語でSPPを作成する場合のメイクファイルの例を示します。
(a) ソースファイル名
メイクファイルの例中で使用するソースファイル名を次に示します。
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COBOL2002で作成したUAPのソースプログラム名:main.cbl
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COBOL2002で作成したUAPのサービスプログラム名:sev1.cbl
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COBOL2002で作成したUAPのサービスプログラム名:sev2.cbl
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ecbファイル名1:exprocb1.ecb
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ecbファイル名2:exprocb2.ecb
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RPCインタフェース定義ファイル名:ex.def
(b) メイクファイルの例
メイクファイルの例を次に示します。
!include <ntwin32.mak> #TP1TEST Make File CBLFG1 = -Compile,NoLink -Comp5 -Lib,CUI -SQL,ODBC -Main,System CBLFG2 = -Compile,NoLink -Comp5 -Lib,CUI -SQL,ODBC SYSLIB = $(conlibsdll) TP1LIB = [libdam.lib]※1 [libtam.lib]※2 libbetran.lib HIRDBLIB = pdcltx32.lib※4 CCBL = ccbl2002 LK = ccbl2002 -Lib,CUI all:TP1TEST.exe #コンパイル main.obj:main.cbl $(CCBL) $(CBLFG1) main.cbl sev1.obj:sev1.cbl $(CCBL) $(CBLFG2) sev1.cbl sev2.obj:sev2.cbl $(CCBL) $(CBLFG2) sev2.cbl exprocb1.obj:exprocb1.cbl $(CCBL) $(CBLFG2) exprocb1.cbl exprocb2.obj:exprocb2.cbl $(CCBL) $(CBLFG2) exprocb2.cbl ex_sstb.obj:ex_sstb.c $(cc) $(cflags) /Zl $(cvarsdll) $*.c #スタブソースファイルの作成 ex_sstb.c:ex.def $(DCDIR)\bin\stbmake $? #プリコンパイルの実行 exprocb1.cbl:exprocb1.ecb $(PDDIR)\client\utl\pdcbl /XA $?※5 exprocb2.cbl:exprocb2.ecb $(PDDIR)\client\utl\pdcbl /XA $?※5 #リンケージ TP1TEST.exe: main.obj sev1.obj sev2.obj ex_sstb.obj \ exprocb1.obj exprocb2.obj $(LK) -OutputFile $*.exe $** \ [$(DCDIR)\spool\trnrmcmd\userobj\rm_obj.obj \]※3 $(TP1LIB) $(SYSLIB) $(HIRDBLIB)
- 注※1
-
libdam.libは,TP1/FS/Direct Accessを使用する場合だけ指定してください。
- 注※2
-
libtam.libは,TP1/FS/Table Accessを使用する場合だけ指定してください。
- 注※3
-
TP1/FS/Direct AccessまたはTP1/FS/Table Accessを使用する場合には,trnmkobjコマンドでトランザクション制御用オブジェクトを作成するときに,「OpenTP1_DAM」または「OpenTP1_TAM」を追加してください。
- 注※4
-
TP1/Server Base(64)を使用する場合,ライブラリ名称はpdcltx64.libになります。
- 注※5
-
TP1/Server Base(64)を使用する場合,pdcppコマンドのオプションに「/h64」を追加してください。
(7) HiRDBとの連携時の注意事項
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OpenTP1とHiRDBをX/OpenのXAインタフェースで連携する場合,HiRDBの関連サービスがすべて起動されていることを確認してください。
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OpenTP1とHiRDBをX/OpenのXAインタフェースで連携する場合,トランザクションの開始,および同期点取得は,次に示すOpenTP1の関数を使用してください。
dc_trn_begin,tx_begin,dc_trn_unchained_commit,dc_trn_chained_commit,tx_commit,dc_trn_unchained_rollback,dc_trn_chained_rollback,tx_rollback
HiRDBのSQL言語などでコミットやロールバックをした場合,またはHiRDBがXAインタフェースで連携する場合に使用できない機能を使用すると,トランザクション処理が正常に実行されないで,リソース間の不整合が発生したり,OpenTP1システムがダウンしたりすることがあります。