1.4.2 記述形式
(1) set形式
set形式で指定する定義をオペランドと呼びます。set形式では,オペランドに値を設定します。
- 形式
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set オペランド=値
(2) コマンド形式
コマンド形式で指定する定義を定義コマンドと呼びます。コマンド形式では,次の形式に従ってオプションおよび引数を設定します。
- 形式
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コマンド名 オプション コマンド引数
用語の定義
コマンド名:コマンド名称です。
- オプション:マイナス記号で始まる文字列です。
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引数を取らない形式1と引数を必要とする形式2の二つがあります。
形式1 -オプションフラグ
形式2 -オプションフラグ フラグ引数
- (凡例)
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オプションフラグ:マイナス記号に続く1文字の英数字です。英大文字と英小文字とは区別します。
フラグ引数:オプションフラグに対する文字列です。
コマンド引数:マイナス記号以外で始まる引数でコマンドの操作対象です。
(3) putenv形式
putenv形式ではユーザの環境変数を設定します。環境変数値に環境変数名を設定した場合,その環境変数は展開しません。
- 形式
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putenv 環境変数名 環境変数値
(4) dcputenv形式
dcputenv形式ではユーザの環境変数を設定します。環境変数値に環境変数名を設定した場合,その環境変数を展開した値で,ユーザの環境変数を設定します。
- 形式
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dcputenv 環境変数名 環境変数値
(5) コメント
コメントを記入する場合は,コメントの先頭に「#」を記述してください。
行の先頭に「#」を記述すると1行全体がコメント扱いになります。
形式1 定義の記述 #コメント・・・・・・
形式2 #コメント・・・・・・・
(6) 制限事項
複数の項目をコンマで区切る定義があります。このような定義を記述する場合,項目の直後にコンマを記述してください。項目とコンマの間に空白を入れないでください。
定義の1行の最大長は次のとおりです。
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システムサービス定義:定義1行の長さはコメントを含め最大80バイトです。
-
ネットワークコミュニケーション定義※:定義1行の長さはコメントを含め最大1,024バイトです。
- 注※
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システムサービス情報定義,またはシステムサービス共通情報定義の場合はコメントを含め最大80バイトです。
1行の最大長を超えて定義を指定すると,OpenTP1の開始に失敗したり,エラーメッセージを出力したりする場合があります。
定義が1行の最大長を超える場合は,複数行に分けて記述してください。このとき,行の末尾に継続符号'\'を記述します。継続符号'\'の後ろには何も記述しないでください。また,複数の項目をコンマで区切りながら複数行に分けて記述する場合,継続符号'\'を記述する行にある項目の末尾にコンマを記述してください。
ネットワークコミュニケーション定義で,引用符(")を使って囲むオペランドを指定するオプションに,次の行にほかのオプションを記述する場合,引用符(")と継続符号'\'の間に一つ以上の空白を入れてください。次に指定例を示します(△は半角スペースを示します)。
-y "mode=client"△\ -r "portno=10002"
なお,コメントを記述した行に継続行を続ける場合の制限事項は,次のとおりです。
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システムサービス定義の場合
コメントを記述した行に継続行を続けることはできません。'#'を記述すると,その行の終わりまでがコメントと見なされるため,'\'を記述しても行の継続はできなくなります。
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ネットワークコミュニケーション定義の場合
コメントを記述した行に継続行を続ける場合は,コメントを'#'で囲んだあと,その行の末尾に'\'を記述してください。
(7) 環境変数を設定する場合の注意事項
dcputenv形式では,環境変数値に設定した環境変数名もgetenv関数によって展開します。展開する環境変数名の先頭には'$'を記述してください。環境変数名として指定できるのは,英数字,およびアンダスコアです。
- 環境変数値に環境変数名を指定する場合の注意事項
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展開した環境変数値にさらに環境変数名がある場合,その環境変数名については展開しません。
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環境変数名を展開しないで文字列と見なす場合は,環境変数値全体をダブルクォーテーションで囲ってください。
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環境変数値の途中にダブルクォーテーションを指定した場合,そのダブルクォーテーションは,環境変数値の一部として扱います。
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環境変数値には,設定したい環境変数名を指定できません。
(指定できない例)dcputenv SETPATH $SETPATH:/OpenTP1/file
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- (例)環境変数$DCDIRにディレクトリ/OpenTP1が設定されている場合
putenv TMPPATH $DCDIR/tmp …1 dcputenv FILEPATH $DCDIR/tmp …2 dcputenv TEMPDIR $TMPPATH/file …3 dcputenv REALPATH $FILEPATH:$DCDIR/file …4 dcputenv ENVPATH "$TMPPATH/file" …5 dcputenv DIRTMP $DCDIR:"$FILEPATH":/tmp …6
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TMPPATHに"$DCDIR/tmp"という文字列が設定されます($DCDIRは展開しません)。
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FILEPATHに"/OpenTP1/tmp"が設定されます($DCDIRを展開し,"/OpenTP1"とします)。
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TEMPDIRに"$DCDIR/tmp/file"が設定されます(TMPPATHは'$DCDIR/tmp'に展開されますが,$DCDIRは展開しません)。
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REALPATHに"/OpenTP1/tmp:/OpenTP1/file"が設定されます($FILEPATH:と指定されている場合,コロンの直前までの文字列が環境変数名として認識されます)。
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ENVPATHに"$TMPPATH/file"が設定されます($TMPPATHは展開しません)。
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DIRTMPに'/OpenTP1:"/OpenTP1/tmp":/tmp'が設定されます(ダブルクォーテーションを環境変数値の一部として扱うため,ダブルクォーテーションも環境変数値として設定されます。さらに,環境変数名を展開しないためのダブルクォーテーションとしては扱わないため,$FILEPATHを展開します)。
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同じ環境変数をputenv形式とdcputenv形式の両方で設定している場合は,あとに設定したものが有効になります。