アソシエーションの活性化（確立）要求を行います。アソシエーションの確立方法には，次に示す3種類があります。

• 獲得型：相手にアソシエーションの確立要求を行います。
• 受け入れ指示型：相手からアソシエーションの確立要求を待ちます。
• 受け入れ応答型：相手からのアソシエーション確立要求に対し肯定応答を行います。

#include <xnfw/xnf.h> /* ヘッダ情報取り込み */ struct cd_s sbuf; /* 通信記述部の領域確保 */ int rcode; /* リターンコード */ sbuf.O_vpart1.O_mode=O_SYN; /* 通信記述部の設定 */ .......................... ................. sbuf.O_vpart2.O_sdtlen=DTLEN; /* 通信記述部の設定 */ rcode=xnf_enb(&sbuf); /* 関数呼び出し */

(a)　リターンコード

正の整数：ENABLE関数の受け入れ指示で指定した受信バッファ長不足のため，不足分のデータを読み捨てた

0：正常終了

-1：異常終了

(b)　詳細エラー情報

詳細エラー情報は，リターンコードが異常終了のときに，グローバル変数のerrnoに設定されます。詳細エラー情報については，「11.　詳細エラー情報」を参照してください。

(c)　詳細エラーコード

詳細エラーコードは，リターンコードが異常終了でerrno=EINVALのときに，通信記述部のO_statusに設定されます。詳細エラーコードについては,「12.　詳細エラーコード」を参照してください。

• アソシエーションの確立要求が正常に完了した場合，通信記述部のO_ascidにアソシエーション端点識別子が格納されます。これ以降の通信要求は，すべてこのアソシエーション端点識別子によってアソシエーションを識別します。
• 非同期指定の場合，ENABLE関数は通信管理に動作要求を指定するだけで，要求動作は完了していません。動作完了通知は，CHECK関数発行によって受け取ります。CHECK関数については，「10.6　CHECK」を参照してください。
  CHECK関数を発行するまでは，ENABLE関数で指定した通信記述部の内容を更新しないでください。
  
• 同期指定の受け入れ指示型のENABLE関数は，相手APからのアソシエーション確立要求（AARQ-APDU）を受信するまで，関数発行元に制御が戻りません。
• 同じ「自局PSAPアドレス」を持つ通信エンティティが，同時にアソシエーションを確立しようとした場合，目的とする相手とアソシエーションが確立できないときがあります。
• 要求種別，AP識別子，自局PSAPアドレス情報，およびマルチネットワーク情報の指定の関係を表10-1に示します。
  

  表10-1　要求種別，AP識別子，自局PSAPアドレス情報，およびマルチネットワーク情報の指定の関係

  項番	要求種別	AP識別子	自局PSAPアドレス情報	マルチネットワーク情報
  1	O_ACTR（確立要求）	要	不要	不要
  2	O_EXACTR（確立要求）	不要	要	任意
  3	O_PASI（受け入れ指示）	要	不要	不要
  4	O_EXPASI（受け入れ指示）	不要	要	任意※3
  5	O_PASR※1（受け入れ応答）	要	不要	不要
  6	O_PASR※2（受け入れ応答）	不要	要	不要

  注※1

  アソシエーション受け入れ指示でO_PASIを指定

  注※2

  アソシエーション受け入れ指示でO_EXPASIを指定

  注※3

  APは格納領域（およびLI値）を指定

• 受け入れ応答型のerrno=EINVALの場合は，以降の通信はできません。異常終了のDISABLE関数，またはCLOSE関数を発行し，通信を終了させてください。これら以外の関数を発行したとき，errno=EDEADLKでエラーリターンします。
• ENABLE関数は，通信障害が発生してもエラーリターンしない場合があります。この場合，RECEIVE関数で障害情報を受け取る必要があります。
• アソシエーションの確立方法には，図10-1に示す方法があります。
  

  図10-1　アソシエーションの確立方法