5.2.2 cprfstart
PRFデーモンの開始
書式
cprfstart [-h] [-PRFID PRF識別子] [-PrfTraceLevel PRFトレース取得レベル[,[PRFトレース取得レベル]...]] [-PrfTraceCount PRFトレースファイル数] [-PrfTraceFileSize PRFトレースファイルサイズ] [-PrfTraceBufferSize PRFトレースバッファーサイズ] [-PrfRemakeBuffer] [-PrfNoBackUp [0|1]] [-PrfConsole {0|1}] [-PrfLogShiftTime PRFログシフト時刻] [-PrfLogFileSize PRFログサイズ] [-PrfLogFileCount PRFログ最大個数]
格納先
Application Serverインストールディレクトリー/common/PRF/bin/
機能
PRFデーモン(cprfd)を起動します。なお、PRFデーモンは、ほかのプロセスよりも先に起動してください。
PRFデーモンは開始後にカレントディレクトリーを移動します。移動先は、次のディレクトリーです。
PRFトレース出力ディレクトリー$PRFSPOOL/utt/prf/PRF識別子/
実行権限
次の権限を持つユーザー
-
PRFを取得するプロセスと同じユーザーまたはスーパーユーザー
-
同じPRFSPOOL環境変数を使用する環境内では、スーパーユーザーとほかのユーザーが混在してPRFコマンドを実行できません。常に同じユーザーでPRFコマンドを実行する必要があります。
前提条件
-
PRFSPOOL環境変数を設定してください。設定していない場合、コマンドがエラーリターンします。
-
OSインストール後のデフォルトの設定では、/etc/hostsファイルに127.0.0.1のIPアドレスに対して自ホスト名が設定されます。PRFを使う場合には、ネットワークインターフェースに割り当てられたIPアドレスに対して自ホスト名が設定されている必要があります。そのため、/etc/hostsファイルには、自ホスト名に対してネットワークインターフェースに割り当てられた適切なIPアドレスを設定してください。
環境変数
-
PATH
Application Serverインストールディレクトリー/common/PRF/bin、および/binを追加してください。
-
LD_LIBRARY_PATH(Linux)
Application Serverインストールディレクトリー/common/PRF/libを指定してください。
-
LIBPATH(AIX)
Application Serverインストールディレクトリー/common/PRF/libを指定してください。
-
PRFSPOOL
PRFデーモンの実行環境ディレクトリーを設定します。
PRFSPOOL環境変数は、ドメイン管理サーバがJavaEEサーバ、クラスターを起動するとき、ドメイン管理サーバによって設定されます。PRFSPOOL環境変数は、JavaEEサーバを関連元とするPRF関連がある場合、関連先のPRF名を基に、次の形式で設定されます。
"JavaEEサーバ構築先ノードのJava EE Serverログ出力先ディレクトリー/nodes/ノード名/PRF名"
-
TZ(UNIX)
タイムゾーンを設定します。日本標準時の場合はJST-9を指定します。
-
PSALLOC(AIX)
メモリー確保時に必要なページングスペースをすぐに確保する設定にします。
earlyを設定してください。
-
NODISCLAIM(AIX)
free()に対するコールの処理方法として、disclaim()の発行を抑止する設定にします。
trueを設定してください。
-
EXTSHM(AIX)
プロセス空間の共有メモリー領域数の制限をなくす設定にします。
ONを設定してください。
-
LDR_CNTRL(AIX)
カーネルの従来の区分化より大きいデータエリアを扱えるようにするための設定です。
MAXDATA=0x40000000を指定してください。
引数
- -h
-
コマンドの使用方法を表示します。
- -PRFID PRF識別子
-
PRF識別子には、asadminのcreate-prfサブコマンドでPRFを構築したときに付けたPRFサーバの名称を指定します。PRF識別子は1〜31文字の英数字、またはアンダースコア(_)で指定します。"TSC"や"tsc"、または"CTM"や"ctm"で始まる文字列は指定しないでください。
デフォルト値:PRF_ID
- -PrfTraceLevel PRFトレース取得レベル [,[PRFトレース取得レベル]...]
-
-PrfTraceLevelを省略した場合は標準レベルで情報を出力します。
PRFトレース取得レベルを4バイトの16進数(8桁の値)で指定します。ここで4バイトの16進数の先頭に0xを付けることができますが、0xは無視されます。
各インデックス番号のレベル値をコンマ(,)区切りで左から複数指定できます。レベル値の指定を省略する場合は、値を記述しないでください。また、あるインデックス番号以降の値をすべて指定しない場合は、コンマ(,)の記述を省略してください。インデックス番号1のトレース取得レベルを(1)、インデックス番号2のPRFトレース取得レベルを(2)とした場合、PRFトレース取得レベルは「(1),(2),...」と指定します。
PRFトレース取得レベルの指定例を次に示します。
PRFトレース取得レベルの指定例
オプションの指定
インデックス番号1のPRFトレース取得レベルを指定する
-PrfTraceLevel 0x44445555
インデックス番号1とインデックス番号2のPRFトレース取得レベルを指定する
-PrfTraceLevel 0x44445555,0x55554444
インデックス番号2のPRFトレース取得レベルを指定する
-PrfTraceLevel ,0x55554444
各機能レイヤーでのPRFトレース取得レベルの割り当てについて説明します。
PRFトレース取得レベルは、インデックスごとに8桁の16進数で指定します。それぞれの桁には、機能レイヤーが2つずつ割り当てられています。16進数を2進数にした場合の上位2ビットに割り当てられている機能レイヤーを上位レイヤー、下位2ビットに割り当てられている機能レイヤーを下位レイヤーといいます。
桁ごとの上位レイヤー、下位レイヤーに割り当てられている機能レイヤーについて、次の表に示します。
インデックス
桁番号
上位レイヤー
下位レイヤー
インデックス1
1桁目
(なし)
Java EE Server
2桁目
(なし)
Java VM
5桁目
(なし)
uCosminexus TP1 Connector、TP1/Client/J
PRFトレース取得レベルを指定する場合は、桁ごとの上位レイヤー、下位レイヤーのPRFトレース取得レベルを「標準」「詳細」「保守」のどのレベルで取得するかを決め、それを16進数で指定します。上位レイヤーと下位レイヤーのPRFトレース取得レベルの組み合わせと指定値の対応を、次の表に示します。
なお、保守レベルは、障害発生時などの保守情報を取得するためのレベルです。通常は指定しないでください。
表5‒1 詳細レベルまたは保守レベルのトレース情報を取得する場合の指定値(cprfstartコマンド) 上位レイヤー
下位レイヤー
指定値
標準
標準
0
標準
詳細
1
標準
保守
2
詳細
標準
4
詳細
詳細
5
詳細
保守
6
保守
標準
8
保守
詳細
9
保守
保守
a
PRFトレース取得レベルの指定例を、次の表に示します。
インデックス
指定例
説明
インデックス1
00000000
インデックス1の各機能レイヤーの標準レベルのトレース情報を取得します。
10000000
Java EE Serverだけ詳細レベルのトレース情報を取得して、ほかの機能レイヤーは標準レベルのトレース情報を取得します。
11000000
Java EE ServerおよびJava VMの詳細レベルのトレース情報を取得します。
- -PrfTraceCount PRFトレースファイル数
-
PRFトレースファイルの面数を3〜256の範囲で指定します。
正常停止中と前回強制停止後の再起動中に、PRFトレースファイルをバックアップします。PRFトレースファイルサイズの合計値が大きい場合、バックアップ処理でPRFデーモンの起動や停止に時間が掛かることがあります。そのため、ドメイン管理サーバでプロセス監視する場合、デフォルトの監視時間ではタイムアウトが発生する場合があります。タイムアウトが発生した場合には、監視時間を長くしてください。
デフォルト値:4
- -PrfTraceFileSize PRFトレースファイルサイズ
-
PRFトレースファイルの1ファイル当たりの最大容量を1024〜1048576(単位:キロバイト)の範囲で指定します。ファイル容量を1メガバイトとする場合、1024と指定します。実際のファイルサイズは、この値より多少の増減があります。増減の中で増分の幅は、最大で「-PrfTraceBufferSize指定値−32キロバイト」です。
-PrfNoBackUpオプションに0を指定した場合、正常停止中と前回強制停止後の再起動中に、PRFトレースファイルをバックアップします。PRFトレースファイルサイズの合計値が大きい場合、バックアップ処理でPRFデーモンの起動や停止に時間がかかることがあります。そのため、-PrfNoBackUpオプションに0を指定してドメイン管理サーバでプロセス監視する場合、デフォルトの監視時間ではタイムアウトが発生する場合があります。タイムアウトが発生した場合には、監視時間を長くしてください。
デフォルト値:8192
デフォルト値の8192より小さい値を指定する場合は、-PrfTraceBufferSizeもデフォルト値より小さい値を指定してください。
- -PrfTraceBufferSize PRFトレースバッファーサイズ
-
共用メモリーに確保するバッファーサイズを512〜102400(単位:キロバイト)の範囲で指定します。このオプションには、-PrfTraceFileSizeで指定した値よりも大きい値は指定できません。
バッファー領域が不足するとKFCT26999-Wメッセージが出力され、PRFトレースが欠落する場合があります。そのため、メッセージが出力されなくなるまでバッファー領域を拡張してください。
デフォルト値:8192
- -PrfRemakeBuffer
-
共用メモリーを再作成して起動します。再作成できない場合にはエラーとなります。
- -PrfNoBackUp [0|1]
-
PRFデーモンの起動時、および停止時にPRFトレースファイルをバックアップするかを指定します。
値に0を指定した場合、PRFトレースファイルをバックアップします。PRFトレースファイルをコピーするため、PRFデーモンの起動、および停止に時間が掛かることがあります。障害発生後、PRFトレースがラップするまでの間にPRFトレースファイルを採取できない場合は、値に0を指定してください。なお、ドメイン管理サーバを使用している時は、障害発生後にPRFトレースファイルを含むsnapshotログを自動的に収集します。
値に1を指定した場合、PRFトレースファイルをバックアップしません。
PRFトレースファイルをバックアップするタイミング、バックアップの有無、および-PRFNoBackUpオプションの関係は次のようになります。
実行コマンド
前回開始したPRFデーモンの終了状態
PRFトレースファイルのバックアップ
-PrfNoBackUp 0
-PrfNoBackUp 1
cprfstart
正常終了
しない
しない
強制終了または異常終了
する
しない
cprfstop
終了状態に依存しない
する
しない
cprfstop -Force
終了状態に依存しない
しない
しない
デフォルト値:1
- -PrfConsole {0|1}
-
Windowsのデスクトップからcprfstartコマンドを実行した場合、PRFデーモンのDOSプロンプトを表示するかどうかを指定します。このオプションはWindows以外のOSでは効果はありません。
指定できる値を次に示します。
-
1
DOSプロンプトを表示します。
-
0
DOSプロンプトを表示しません。
デフォルト値:0
-
- -PrfLogShiftTime PRFログシフト時刻
-
PRFが出力するログファイルを時刻でシフトさせる場合のシフト時刻を指定します。ログのシフトは、ログファイルにログを出力するタイミングでシフトします。このため、ログの出力がない場合、ログはシフトされません。
指定できる値を次に示します。
-
000000〜235959
デフォルト値:000000
-
- -PrfLogFileSize PRFログサイズ
-
PRFが出力するログファイルサイズの上限をメガバイト単位で指定します。
指定できる値を次に示します。
-
1〜100
デフォルト値:10
-
- -PrfLogFileCount PRFログファイル最大個数
-
PRFが出力するログファイルの最大個数を指定します。
指定できる値を次に示します。
-
1〜32
デフォルト値:8
-
戻り値
戻り値 |
説明 |
---|---|
0 |
PRFデーモンが正常に起動しました。 |
1 |
PRFデーモンの起動に失敗しました。PRFSPOOL環境変数が設定されていません。 |
上記以外 |
コマンド処理中にエラーが発生しました。出力されたメッセージに従って対策したあと、再度コマンドを実行してください。エラーメッセージは標準エラー出力、ログファイルに出力します。 |
注意事項
-
PRFデーモンを再起動する場合、-PrfTraceCountと-PrfTraceFileSizeに前回と同じ値を指定して再起動してください。指定を省略して再起動した場合、PRFトレースファイル数とPRFトレースファイルサイズについては、前回の起動時の値は引き継がれないので、デフォルトの値になります。
-
PRFデーモンが異常終了して再起動した場合、終了時のトレース取得レベルが引き継がれます。そのため、トレース取得レベルを変更したあとに異常終了した場合、再起動時に指定したトレース取得レベル(前回起動時と同じ値)と異なる値(変更後の値)が設定されます。次に運用例を示します。
-
PRFデーモン起動:cprfstart -PrfTraceLevel 0x00000001
-
トレース取得レベル変更(0x00000001 → 0x0000000f)
-
PRFデーモン異常終了
-
PRFデーモン再起動:cprfstart -PrfTraceLevel 0x00000001
この場合、再起動後のトレース取得レベルは、0x000000fになります。
-
-
PRFデーモンを再起動する場合、前回使用したバッファーを再利用し、トレース取得レベルを引き継ぎます。また、バッファーのサイズが変更になった場合は、前回のバッファーを削除し、再作成します。ほかのプロセスがバッファーにアクセスしている場合、この作成処理に失敗します。
$PRFSPOOL/utt/prf/PRF識別子/spool/save/
-
PRFデーモンが異常終了した場合、PRFデーモンだけを再起動してください。
-
PRFデーモンが異常終了してから再起動するまでの間に取得されたトレースは破棄されます。
-
-PrfTraceCountまたは-PrfTraceFileSizeに大きな値を指定すると、PRFデーモンが異常終了したあとのPRFデーモンの再起動に時間が掛かる場合があります。