3.6.1 リファレンスファイル管理の概要

ここでは,リファレンスファイル管理の概要について説明します。

<この項の構成>
(1) 機能
(2) リファレンスファイル文書を構成するDMAオブジェクト

(1) 機能

リファレンスファイルの管理とは,文書の実体であるコンテントを任意のディレクトリに格納し,文書のプロパティとコンテントロケーションだけをデータベースで管理する機能です。

この機能には,次のような特徴があります。

リファレンスファイルの管理では,バージョンなし文書およびバージョン付き文書をリファレンスファイル文書として管理できます。

リファレンスファイルの管理では,コンテントを任意のディレクトリに登録し,そのコンテントの格納先を,コンテントロケーションとして登録します。コンテントロケーションには,ユーザが管理するコンテントのコンテント格納先ベースパスを基点とする相対パス(コンテント格納先パス)を登録します。コンテントは,DocumentBrokerの機能で操作します。

リファレンスファイルの管理を使用する場合,コンテントを任意のディレクトリへ格納し,文書のプロパティをデータベースで管理することから,データベースとコンテントの整合性を考慮する必要があります。このため,1メソッド1トランザクションとすることを前提としています。文書作成をn件連続で実行し,エラーが発生したときは,ロールバックしたあとにコンテントだけが存在する状態となります。また,文書削除をn件連続で実行し,エラーが発生したときは,ロールバックしたあとにコンテントの存在しない文書が残ります。

また,リファレンスファイルの管理では,オブジェクトとコンテントが不整合となる場合があります。不整合となる場合の内容を,次の表に示します。

表3-9 オブジェクトとコンテントが不整合となる場合

機能エラー発生個所不整合の内容対処
文書の作成コンテントを登録したあとのエラー登録コンテントが残ります。再度実行して文書を作成してください。
文書の更新更新前のコンテントを削除したあと,更新後のコンテントを登録するまでのエラーコンテントの存在しないオブジェクトが残ります。文書を削除したあと,更新後のコンテントを使用して文書を作成してください。
更新後のコンテントを登録したあとのエラーコンテントの存在しないオブジェクトが残り,登録コンテントが残ります。文書を削除したあと,更新後のコンテントを使用して文書を作成してください。
文書の削除コンテントを削除したあとのエラーコンテントの存在しないオブジェクトが残ります。再度実行して文書を削除してください。
バージョンのチェックアウトコンテントを複写したあとのエラー複写したコンテントが残ります。チェックアウトを取り消し,コンテントを削除したあと,ロールバックを実行してください。
バージョンの削除コンテントを削除したあとのエラーコンテントの存在しないオブジェクトが残ります。再度実行してバージョンを削除してください。
チェックアウトの取り消しコンテントを削除したあとのエラーコンテントの存在しないオブジェクトが残ります。再度実行してチェックアウトを取り消してください。

(2) リファレンスファイル文書を構成するDMAオブジェクト

リファレンスファイルの管理では,バージョンなし文書およびバージョン付き文書をリファレンスファイル文書として管理できます。リファレンスファイルを管理する場合としない場合とで,バージョンなし文書およびバージョン付き文書を構成するDMAオブジェクトが異なります。

(a) リファレンスファイルを管理するバージョンなし文書を構成するDMAオブジェクト

リファレンスファイルを管理するバージョンなし文書を構成するDMAオブジェクトの種類を次に示します。ContentReferenceオブジェクト以外のオブジェクトについては,リファレンスファイルを管理しないバージョンなし文書と同様です。

リファレンスファイルを管理するバージョンなし文書とDMAオブジェクトの関係を次の図に示します。

図3-26 リファレンスファイルを管理するバージョンなし文書とDMAオブジェクトの関係

[図データ]

(b) リファレンスファイルを管理するバージョン付き文書を構成するDMAオブジェクト

リファレンスファイルを管理するバージョン付き文書を構成するDMAオブジェクトの種類を次に示します。ContentReferenceオブジェクト以外のオブジェクトについては,リファレンスファイルを管理しないバージョン付き文書と同様です。また,ContentReferenceオブジェクトについては,リファレンスファイルを管理するバージョンなし文書と同様です。

リファレンスファイルを管理するバージョン付き文書とDMAオブジェクトの関係を次の図に示します。

図3-27 リファレンスファイルを管理するバージョン付き文書とDMAオブジェクトの関係

[図データ]