1.3.2 文書を作成,管理する機能

DocumentBrokerによって管理する文書には,次の種類があります。

 

文書を管理する方法には,次の種類があります。

 

また,次に示す,論理構造を持つ文書を管理することもできます。

なお,DocumentBrokerの文書空間で使用する文字コード種別がUTF-8の場合,DocumentBrokerで使用できる機能に制限があります。文書空間で使用する文字コード種別がUTF-8の場合に使用できる機能の詳細は,マニュアル「DocumentBroker Version 3 クラスライブラリ C++ リファレンス 基本機能編」を参照してください。

<この項の構成>
(1) 一つのファイルから構成される文書を管理する
(2) 一つの文書の中に複数のバージョンに対応するファイルを持つ文書を管理する
(3) 一つの文書の中に複数の形式に対応するファイルを持つ文書を管理する
(4) 一つの文書の中に複数のファイルを持つ文書を管理する
(5) ファイルの実体をDocumentBrokerサーバが存在するマシンから接続可能なファイルシステムに持つ文書を管理する
(6) ファイルの実体をデータベースと連携したファイルサーバ上に持つ文書を管理する
(7) 文書と文書を関連づけて管理する
(8) 文書をコンテナに関連づけて管理する
(9) 文書を構成管理する
(10) XML文書を管理する

(1) 一つのファイルから構成される文書を管理する

最も基本的な文書は,一つのファイルから構成される文書です。

例えば,Wordで作成した文書「報告書.doc」を,DocumentBrokerの文書として管理できます。

DocumentBrokerでは,文書にさまざまな属性を付けて管理できます。この属性をプロパティといいます。プロパティには,DocumentBrokerによって設定されるプロパティと,ユーザが任意に追加するプロパティがあります。例えば,「報告書.doc」をDocumentBrokerで管理する時に,ユーザが追加したプロパティの値として,「作成者」や「担当部署」,「コメント」などの情報も一緒に管理できます。

文書を作成する基になるクラスは,次のとおりです。

バージョン管理機能については,「(2)一つの文書の中に複数のバージョンに対応するファイルを持つ文書を管理する」で説明します。

(2) 一つの文書の中に複数のバージョンに対応するファイルを持つ文書を管理する

文書を更新するときに,履歴を残して管理することができます。文書に対して,第1版,第2版などのバージョンを付けておくことで,過去のある時点での文書を取り出したり,その文書を基に新たな文書を作成したりできます。また,その文書が幾つのバージョンを持っているかも管理できます。

この機能を,バージョン管理機能といいます。

この機能を使用できる文書の基になるクラスは,次のとおりです。

(3) 一つの文書の中に複数の形式に対応するファイルを持つ文書を管理する

一つの文書として,複数の形式に対応するファイルを管理できます。

この機能は,一つの文書の内容を,対応するアプリケーションごとの複数の形式に変換した場合などに,使用できます。

例えば,文書「報告書」に,Wordで作成したファイル「報告書.doc」のほかに,「報告書.doc」をPDF形式に変換した「報告書.pdf」も一緒に登録できます。これによって,使用するユーザによって,Word形式の文書をダウンロードしたり,PDF形式の文書をダウンロードしたりできます。

この機能を,マルチレンディション機能といいます。

この機能を使用できる文書を作成する基になるクラスは,次のとおりです。

(4) 一つの文書の中に複数のファイルを持つ文書を管理する

一つの文書として,複数のファイルを管理できます。一つの文書で複数のファイルを管理することで,文書を構成する複数のファイルを一括して登録したり,一括して取得したりできます。

この機能を,マルチファイル管理機能といいます。

この機能を使用できる文書を作成する基になるクラスは,次のとおりです。

(5) ファイルの実体をDocumentBrokerサーバが存在するマシンから接続可能なファイルシステムに持つ文書を管理する

文書の実体であるコンテントをファイルシステムの任意のディレクトリに格納し,文書のプロパティとコンテントの格納先の情報(コンテントロケーション)をデータベースに登録して管理します。コンテントロケーションには,コンテントの格納先の基点となるディレクトリパス(コンテント格納先ベースパス)からの相対パスが登録されます。このため,コンテントの格納先を移行する場合などは,データベースに影響を与えることなく,コンテント格納先ベースパスを変更するだけで,コンテントの格納領域を変更できます。また,コンテントをデータベースに格納しないため,データベースの容量を削減できます。

この機能を,リファレンスファイル管理機能といいます。

この機能を使用できる文書を作成する基になるクラスは,次のとおりです。

(6) ファイルの実体をデータベースと連携したファイルサーバ上に持つ文書を管理する

音声・画像などの容量が大きいコンテンツを管理する場合,ファイルの実体はファイルサーバ上で管理したいことがあります。このときに,データベースではファイル名や作成者名などの属性情報だけを管理して,ファイルの実体をファイルサーバ上で管理するためには,データベースとファイルサーバ間で整合性を確保することが必要です。

File Link連携機能を使用すると,データベースとファイルサーバの内容の整合性をHiRDB File Linkの機能によって確保できます。これによって,ユーザアプリケーションで整合性を取るための処理をする必要がなくなります。

なお,この機能を使用する場合には,関連プログラムが必要です。

この機能を使用できる文書を作成する基になるクラスは,次のとおりです。

(7) 文書と文書を関連づけて管理する

文書と文書を関連づけて管理できます。ある文書の中で,ほかの文書を参照する記述がある場合などに,文書間に関連づけを設定しておくことで,参照元の文書から参照先の文書をたどることができます。また,参照先の文書から,参照元の文書をたどることもできます。

この機能を持つ文書を作成する基になるクラスは,次のとおりです。

(8) 文書をコンテナに関連づけて管理する

文書は,フォルダに格納するイメージで,まとめて管理できます。また,フォルダに格納した文書を,別の観点から分類して管理することもできます。

DocumentBrokerでは,複数の文書をまとめて管理するために,コンテナというオブジェクトを使用します。コンテナと文書を関連づけることによって,文書をフォルダに格納するようにして管理したり,文書を複数の観点から分類して管理したりできます。設定する関連づけの種類によって,コンテナと文書は1:n(nは1以上の整数)の関係で関連づけたり,m:n(m,nは1以上の整数)の関係で関連づけたりできます。

例えば,文書をプロジェクト単位でまとめて管理したい場合,プロジェクトごとにコンテナを作成して,コンテナと文書を1:nの関係で関連づければ,プロジェクトごとのフォルダに文書を格納するイメージで文書を管理できます。また,フォルダに格納された文書を作成者とテーマで分類して管理したい場合,作成者とテーマを表すコンテナをそれぞれ作成して,コンテナと文書をm:nの関係で関連づければ,文書を作成者やテーマごとに分類して管理できます。

コンテナとコンテナを関連づけることによって,フォルダや分類に階層を持たせることもできます。

コンテナの基になるクラスは,次のとおりです。

(9) 文書を構成管理する

コンテナでは,文書の特定のバージョンを管理することもできます。文書やコンテナのバージョンを指定して管理するには,構成管理機能を持つコンテナ(構成管理コンテナ)を使用します。構成管理機能とは,管理している文書やコンテナの,ある時点でのバージョン構成の状態を管理する機能です。例えば,管理する複数の文書が,それぞれ異なるタイミングでバージョンアップする場合などに,構成管理機能を使用します。

構成管理機能を持つコンテナでは,それぞれの文書の最新のバージョンを参照できるようにしたり,文書のバージョンアップに関係なく常にバージョン1やバージョン2など特定のバージョンの文書を参照できるようにしたりできます。ある文書は常に最新のバージョンを参照して,別の文書は特定のバージョンを参照し続ける,ということもできます。

また,このコンテナをバージョンアップすることで,コンテナごとに関連づけている文書やコンテナのバージョン構成をまとめて管理できます。例えば,バージョン1のコンテナからたどる文書をバージョン1で固定して,バージョン2のコンテナで管理する文書は常に最新のバージョンをたどるようにしたりできます。

構成管理機能を持つコンテナを作成する基になるクラスは,次のとおりです。

このうち,構成管理機能を持つコンテナ自身のバージョンを管理する機能を持つコンテナは,CdbrConfiguratedReferentialContainerクラスを基に作成します。

(10) XML文書を管理する

XML文書とは,XML形式のファイル(XMLファイル)をコンテントとして登録した文書です。XMLファイルは,タグによって定義された論理構造を持っています。DocumentBrokerでは,任意のタグに囲まれた文字列を文書のプロパティの値として割り当てて管理したり,特定の構造に含まれる文字列を指定した検索を実行したりできます。

このような機能を,XML文書管理機能といいます。なお,この機能を使用する場合には,関連プログラムが必要です。

XML文書の基になるクラスは,次のとおりです。