3.1.3 マルチレンディション文書

ここでは,文書のマルチレンディション管理について説明します。

文書の実体であるコンテント(Wordやテキストエディタなどのアプリケーションプログラムで作成されたファイル)と,その形式を表すレンディションタイプ(MIME名)の情報を合わせてレンディションといいます。DocumentBrokerでは,一つの文書に同じ内容を表す複数の異なる形式のレンディションを登録することができます。この機能をマルチレンディション機能といいます。また,複数のレンディションを登録した文書を特にマルチレンディション文書といいます。

例えば,プロジェクトAでは,企画書をマルチレンディション文書として管理しています。企画書には,作成者が作成したWord形式の「企画書.doc」と,プロジェクトにかかわるメンバが参照するPDF形式の「企画書.pdf」を一つの文書として登録します。これによって,必要に応じて,Word形式のファイルをダウンロードしたり,PDF形式のファイルをダウンロードしたりすることが可能になります。また,アクセス制御機能と組み合わせたユーザプログラムを作成すると,更新する権利を持つユーザにはWord形式のファイルを,参照する権利しか持たないユーザにはPDF形式のファイルを自動的にダウンロードさせるという運用もできます。

マルチレンディション機能を使用した管理の例を次の図に示します。

図3-3 マルチレンディション機能を使用した管理の例

[図データ]

DocumentBrokerでは,一つの文書に最大10個のレンディションを登録することができます。

また,DocumentBroker Rendering Optionと連携すると,ユーザが登録した形式のファイルからほかの形式のファイルを作成することもできます。例えば,登録した企画書.docから,DocumentBroker Rendering Optionを使用して,企画書.pdfを作成することができます。

マルチレンディション文書は,CdbrVersionableDocumentクラスのオブジェクトまたはCdbrDocumentクラスのオブジェクトとして作成します。詳細については,「3.4 文書のマルチレンディション管理」を参照してください。