ここでは,構成管理コンテナを使用した構成管理について説明します。
説明で使用するバージョン付き構成管理コンテナの例を次の図に示します。
図3-45 文書および構成管理コンテナを管理する構成管理コンテナの例
構成管理コンテナ1では,文書1に対してFIXモード,文書2および構成管理コンテナ2に対してFLOATINGモードという構成管理モードを設定して関連づけています。
構成管理コンテナでは,構成要素である文書またはコンテナのバージョン構成を管理するために,構成管理モードを設定して,文書やコンテナを関連づけます。
常に構成管理コンテナを構成要素の最新バージョンと関連づけるモードです。このモードを設定した場合,構成管理コンテナでは,構成要素がバージョンアップするたびに,コンテナを最新バージョンの構成要素につなぎ替えます。
構成管理コンテナと関連づける構成要素を特定のバージョンで固定するモードです。このモードを設定した場合,構成管理コンテナが制御する構成要素は,構成要素のバージョンアップにかかわらず固定されます。
構成要素がバージョンアップした場合,設定している構成管理モードによって,構成管理コンテナが管理する構成要素のバージョンが異なります。
ここでは,次の図に示すように,文書1,文書2および構成管理コンテナ2をそれぞれ編集してバージョンを追加(バージョンアップ)します。
図3-46 構成管理コンテナの構成要素の編集
文書1はFIXモードで管理しているため,バージョンを追加しても構成管理コンテナ1が管理するのはバージョン1の文書1です。一方,文書2および構成管理コンテナ2はFLOATINGモードで管理しているため,構成管理コンテナ1は最新のバージョンであるバージョン2の文書2および構成管理コンテナ2を管理するようにつなぎ替えます。
構成要素の編集が終了した場合など,構成管理コンテナで管理する構成要素のバージョンを確定する場合,構成管理モードをFLOATINGモードからFIXモードに変更します。これによって,構成管理コンテナが管理する構成要素のバージョンを確定できます。確定後に文書や構成管理コンテナにバージョンが追加されても,構成管理コンテナは確定したバージョンの構成要素から制御をつなぎ替えません。
構成要素のバージョンを確定した構成管理コンテナの例を,次の図に示します。
図3-47 構成要素のバージョンを確定した構成管理コンテナの例
バージョン付き構成管理コンテナの場合,構成要素のバージョンを,構成管理コンテナのバージョンごとに管理できます。例えば,構成要素のバージョンを確定したあとでさらに構成要素を編集したい場合,バージョン付き構成管理コンテナをバージョンアップして,確定したバージョンの情報を保持する構成管理コンテナとは別に,新しく最新バージョンの文書を管理する構成管理コンテナを作成できます。
これによって,バージョン付き構成管理コンテナのバージョンごとに管理する文書またはコンテナのバージョンが決められます。
バージョン付き構成管理コンテナのバージョンアップの例を次の図に示します。
図3-48 バージョン付き構成管理コンテナのバージョンアップの例
バージョン付き構成管理コンテナをバージョンアップした場合,新しいバージョンとして,DMAオブジェクトのContainerVersionオブジェクトがコピーされます。つまり,最新バージョンに対応するバージョンなし構成管理コンテナがコピーされます。このとき,構成要素はコピーされません。
バージョンアップするバージョン付き構成管理コンテナに直接型のコンテインメント,参照型のコンテインメントおよび構成管理型のコンテインメントを設定している場合,関連づけを表すオブジェクトとしては参照型の関連づけを表すReferentialContainmentRelationshipオブジェクトおよび構成管理型のコンテインメントを表すVersionTraceableContainmentRelationshipオブジェクトがコピーされます。これによって,バージョンアップ前の構成管理コンテナとバージョンアップ後の構成管理コンテナで同じ構成要素を管理することになります。なお,このとき直接型の関連づけを表すDirectContainmentRelationshipオブジェクトはコピーされません。したがって,直接型のコンテインメントで管理していた構成要素は,バージョンアップした構成管理コンテナでは管理されません。
また,バージョンアップの際,バージョンアップ前の構成管理コンテナでバージョンを確定しておきたい構成要素は,すべてFIXモードに確定してからバージョンアップしてください。構成管理コンテナバージョン1から構成管理コンテナバージョン2にバージョンアップした場合,構成要素ごとに設定した構成管理モードはそのまま引き継がれます。例えば,FLOATINGモードのままで構成管理コンテナをバージョンアップして,構成管理コンテナバージョン2に関連づけられた文書をバージョンアップすると,構成管理コンテナバージョン1から関連づけられている文書のバージョンもつなぎ替えられ,構成管理コンテナのバージョンごとに文書のバージョンを管理することができません。
構成管理コンテナバージョン1でFIXモードを設定してから構成管理コンテナバージョン2にバージョンアップすると,構成管理コンテナバージョン2でもFIXモードで管理されます。構成管理コンテナバージョン2で構成要素の最新バージョンを管理する場合は,構成管理コンテナバージョン2と構成要素との関連づけをFLOATINGモードに変更してください。
構成管理コンテナで構成管理しているオブジェクトのバージョンを削除する場合は,コンテインメントの種類に応じて,次のオブジェクトも削除されます。
構成管理コンテナのコンテインメントの種類ごとに削除されるDMAオブジェクトについて,次の図に示します。
図3-49 構成管理コンテナのコンテインメントの種類ごとに削除されるDMAオブジェクト