ここでは,構成管理コンテナの概要と,このコンテナを作成するための基になる,CdbrVersionTraceableContainerクラスおよびCdbrConfiguratedReferentialContainerクラスの概要について説明します。
DocumentBrokerでは,複数の文書またはコンテナを一つのコンテナと関連づけることによって,オブジェクトをまとめて管理できます。構成管理コンテナでは,関連づけて管理する文書またはコンテナが複数のバージョンを持つ場合に,どのバージョンと関連づけるかが設定できます。さらに,コンテナ自身をバージョン管理することで,どのバージョンのコンテナとどのバージョンの文書またはコンテナと関連づけるかを設定できます。
例えば,文書が複数のバージョンを持つ場合に,次のような管理ができます。
この機能によって,複数の文書またはコンテナを管理する時に,そのバージョンの状態も特定して,一つのコンテナに関連づけた要素としてまとめて管理できます。この機能を構成管理機能といい,この機能を実現するためのコンテナを構成管理コンテナといいます。
クラスライブラリで提供するクラスから作成できる構成管理コンテナは,CdbrVersionTraceableContainerオブジェクトとCdbrConfiguratedReferentialContainerオブジェクトです。これらのオブジェクトは,次の機能を持ちます。
なお,構成管理コンテナには,構成管理コンテナ自身のバージョンも管理できるバージョン付き構成管理コンテナと,バージョン付き構成管理コンテナの個々のバージョンに対応するバージョンなし構成管理コンテナがあります。構成管理コンテナをバージョン管理する必要がない場合も,バージョンなし構成管理コンテナが使用できます。
また,構成管理コンテナによって包含されるオブジェクトを,構成要素といいます。
構成管理コンテナでは,コンテナで管理する構成要素と,構成要素のバージョンを示すポインタを保持しています。これによって,構成要素の集まりを管理するほか,構成要素の任意のバージョンを管理できます。
CdbrVersionTraceableContainerクラスの概要について説明します。
バージョン付き構成管理コンテナの個々のバージョンに対応する構成管理コンテナおよびバージョン管理をしない構成管理コンテナは,CdbrVersionTraceableContainerオブジェクトとして扱うことができます。このクラスから作成したオブジェクトを,バージョンなし構成管理コンテナといいます。
検索で個々のバージョンに対応する構成管理コンテナのOIID(DMAオブジェクトのContainerVersionオブジェクトのOIID)を取得した場合など,このクラスのオブジェクトとして接続して,操作できます。また,バージョン管理する必要がない場合は,バージョンなし構成管理コンテナとして作成することで,バージョン付き構成管理コンテナを使用した場合に比べて高速に処理できます。
CdbrVersionTraceableContainerクラスを構成するDMAオブジェクトの種類と概要を次に示します。
DMAオブジェクトについての詳細は,「付録A DMAオブジェクトの概要」を参照してください。
CdbrVersionTraceableContainerクラスのオブジェクトとDMAオブジェクトの関係について次の図に示します。
図3-43 CdbrVersionTraceableContainerクラスのオブジェクトとDMAオブジェクトの関係
CdbrConfiguratedReferentialContainerクラスの概要について説明します。
バージョン管理の対象にしたい構成管理コンテナは,CdbrConfiguratedReferentialContainerクラスを基にしたオブジェクトとして作成します。このクラスから作成したオブジェクトを,バージョン付き構成管理コンテナといいます。バージョン付き構成管理コンテナは,構成管理コンテナのバージョンごとに,関連づけられている構成要素のバージョンをまとめて管理できます。
CdbrConfiguratedReferentialContainerクラスを構成するDMAオブジェクトの種類と概要を次に示します。
DMAオブジェクトについての詳細は,「付録A DMAオブジェクトの概要」を参照してください。
CdbrConfiguratedReferentialContainerクラスのオブジェクトとDMAオブジェクトの関係について次の図に示します。
図3-44 CdbrConfiguratedReferentialContainerクラスのオブジェクトとDMAオブジェクトの関係