プロパティには次のような用途があります。ユーザがクラスにプロパティを追加する場合は,どのように使用するかよく検討してから,必要なプロパティを定義してクラスを設計してください。
オブジェクトを操作するとき,目的のオブジェクトは検索によって取得できます。プロパティは,検索を実行するときの条件として指定できます。
このため,ユーザがクラスを作成するときには,どのような検索をしたいかを考慮して,検索のキーになるようなプロパティを追加,設定してください。
「2.6.2 プロパティの種類」で説明した各プロパティの検索での特徴を,次の表に示します。
表2-10 各プロパティの検索での特徴
指定する個所 | DMAプロパティ | クラスライブラリ固有のプロパティ | ユーザ定義プロパティ |
---|---|---|---|
検索条件 | ○※1 | × | ○※1 |
検索結果 | ○※2 | × | ○※2 |
検索結果をソートする基準(キー) | ○※3 | × | ○※3 |
プロパティの特徴を定義した定義ファイルについては,マニュアル「DocumentBroker Version 3 システム導入・運用ガイド」を参照してください。
なお,文書に対する全文検索を実行する場合には,検索する文書に特定のプロパティが定義されている必要があります。このプロパティは,文書の基になるクラスにユーザが追加して定義してください。全文検索を実行する場合に追加する必要があるプロパティと追加する方法については,マニュアル「DocumentBroker Version 3 システム導入・運用ガイド」を参照してください。また,検索についての詳細は,「4. オブジェクトの検索」を参照してください。
ユーザがオブジェクトの管理情報として保持したい情報を,プロパティとしてオブジェクトごとに設定できます。
可変長配列の値を持つVariableArray型プロパティは,データを格納するために使用できます。例えば,文書を表すオブジェクトに対して,「執筆者」プロパティをVariableArray型プロパティとして設定すると,執筆者が複数いる場合も,それぞれの管理者の情報を可変長配列の要素として格納できます。
VariableArray型プロパティの管理例を,次の図に示します。
図2-5 VariableArray型プロパティの管理例
クラスライブラリでは,VariableArray型プロパティをCdbrVariableArrayオブジェクト,VariableArray型プロパティに設定される個々の要素をCdbrCompoundオブジェクトとして作成,管理します。さらに,個々の要素には,CdbrCompoundオブジェクトのプロパティとして,複数のプロパティが定義できます。
図の例では,「執筆者」プロパティをVariableArray型プロパティとして設定しています。この場合,「執筆者」プロパティはCdbrVariableArrayオブジェクトとして作成します。「執筆者」プロパティに設定する個々の要素のデータ(個々の執筆者に関するデータ)は,CdbrCompoundオブジェクトとして作成します。
そして,CdbrCompoundオブジェクトのプロパティとして,個人情報である「所属」,「名前」および「社員番号」を管理します。
CdbrVariableArrayクラスおよびCdbrCompoundクラスについての詳細は,「2.6.7 VariableArray型プロパティの操作」を参照してください。
また,ここで設定したVariableArray型プロパティの要素のプロパティの値も,検索条件として指定できます。例えば,図2-5の場合に,「執筆者の名前に『田中花子』が存在する文書を検索して,その文書の『タイトル』を取得する」といった検索条件が指定できます。