2.5 レンディション管理

この節では,Java クラスライブラリでのレンディション管理の概念について説明します。

文書の実体であるコンテンツ(Wordやテキストエディタなどのアプリケーションプログラムで作成された文書ファイル)と,その表現形式を表すレンディションタイプ(MIME形式)などの情報をあわせてレンディションといいます。

Java クラスライブラリでは,バージョンなし文書またはバージョン付き文書に1個または複数のレンディションを登録して管理します。複数のレンディションを登録した文書を特にマルチレンディション文書といいます。マルチレンディションとは,一つの文書に対して同じ内容を表す複数の異なる形式のレンディションを登録する機能です。なお,レンディションのうち,主要なレンディションをマスタレンディション,マスタレンディション以外のレンディションをサブレンディションといって区別します。

例えば,同じ内容を表すWord形式のファイル,HTML形式のファイルおよびPDF形式のファイルをマルチレンディション文書のコンテンツとして登録して管理すると,ユーザの目的やユーザが使用するマシンの環境などの利用形態に応じて,Word形式のファイルをダウンロードしたり,HTML形式のファイルをダウンロードしたり,PDF形式のファイルをダウンロードしたりできます。マルチレンディションによる文書の管理例を次の図に示します。

図2-5 マルチレンディションによる文書の管理例

[図データ]

Java クラスライブラリでは,バージョンなし文書またはバージョン付き文書をマルチレンディション文書として管理して,一つの文書に対して,1個のマスタレンディションおよび最大9個のサブレンディションを登録できます。

また,DocumentBroker Rendering Optionと連携すると,登録済みのマスタレンディションのコンテンツを基に,別のレンディションタイプのファイルを自動作成してサブレンディションのコンテンツとして登録することもできます。