2.4 バージョン管理

この節では,Java クラスライブラリでのバージョン管理の概念について説明します。

Java クラスライブラリでは,次の2種類の文書空間オブジェクトでバージョンを管理できます。

バージョン付きオブジェクトでは,オブジェクトにバージョンを付けて管理します。新しく文書(またはフォルダ)を作成した時点からバージョンを付け始め,更新のたびにバージョンを追加して,一連のバージョンを管理します。なお,各バージョンから枝分かれしたバージョンを管理することはできません。

バージョン付きオブジェクトの管理例を次の図に示します。

図2-4 バージョン付きオブジェクトの管理例

[図データ]

この例では,バージョン付き文書「発表資料」を作成して,社内発表時および社外発表時にバージョンを追加して,管理しています。

バージョン付きオブジェクトを更新する場合は,古いバージョンを破棄して新しいバージョンと置き換えるのではなく,古いバージョンを残して新しいバージョンを追加(バージョンアップ)して登録します。バージョンを追加する場合は,チェックアウトとチェックインという操作が必要になります。

チェックアウトは,新しいバージョンの追加を予約するために,最新バージョンの次に仮のバージョンを追加する操作です。また,チェックインは,チェックアウトで追加した仮のバージョンを最新バージョンとして確定する操作です。

なお,バージョン付きオブジェクトの一連のバージョンを統括する文書空間オブジェクトをバージョニングオブジェクト,個々のバージョンを表す文書空間オブジェクトをバージョンオブジェクトといいます。Java クラスライブラリでは,バージョン付きオブジェクトを操作する場合,バージョン全体を対象とするときはバージョニングオブジェクト,個々のバージョンを対象とするときはバージョンオブジェクトを操作します。