2.11.1 文書空間オブジェクトのプロパティの種類

文書空間オブジェクトのプロパティには次の3種類があります。

なお,データベースに値が格納されているプロパティを特に永続プロパティといいます。

<この項の構成>
(1) DMAまたはDocumentBrokerサーバが規定したプロパティ(DMAプロパティ)
(2) Java クラスライブラリが定義したプロパティ(Java クラスライブラリ固有のプロパティ)
(3) ユーザが定義したプロパティ(ユーザ定義プロパティ)
(4) 文書空間オブジェクトのクラスとプロパティの識別
(5) バージョン付きオブジェクトのプロパティ

(1) DMAまたはDocumentBrokerサーバが規定したプロパティ(DMAプロパティ

DMAでは,DMAクラスごとにプロパティを規定しています。また,DocumentBrokerで拡張したクラスには,DocumentBroker独自のプロパティも定義されています。DMAプロパティは,「dmaProp_」または「edmProp_」で始まる識別子を持つプロパティです。DMAプロパティは,文書空間オブジェクトクラスの構成要素であるDMAクラスのうち,トップオブジェクトクラスに定義されています。トップオブジェクトクラスについては,「2.2.2 文書空間オブジェクトクラスとDMAクラスの対応」を参照してください。

DMAプロパティについては,「付録A 文書空間オブジェクトのプロパティ一覧」を参照してください。

(2) Java クラスライブラリが定義したプロパティ(Java クラスライブラリ固有のプロパティ

Java クラスライブラリ固有のプロパティとは,DMAクラスに定義されていない情報や,トップオブジェクトクラス以外のDMAクラスに定義されている情報を,文書空間オブジェクトのプロパティとして扱えるように定義したものです。

Java クラスライブラリでは,DMAクラスに定義されていない情報を,Java クラスライブラリ固有のプロパティとして扱うことができます。例えば,あるフォルダにリンク付けられている文書とフォルダの数,文書が保持するバージョンの数などは,DMAオブジェクト上には存在しない情報です。Java クラスライブラリでは,このような情報に対して「dbrProp_」で始まるプロパティ識別子を付けて,文書空間オブジェクトのプロパティとして扱えるようにしています。「バージョンなしフォルダがリンク付けている文書の数を知りたい」場合などに,このプロパティの値を取得するメソッドを実行すれば,必要な値を得ることができます。実際には,メソッドを実行した段階で,Java クラスライブラリの内部で必要な処理や演算が実行されて,値が作成され,バージョンなしフォルダのプロパティの値としてユーザに返却されます。なお,リンクオブジェクトクラスには,Java クラスライブラリ固有のプロパティはありません。

また,Java クラスライブラリでは,トップオブジェクトクラス以外のDMAクラスに定義されている情報を,Java クラスライブラリ固有のプロパティとして扱うことができます。例えば,バージョンなし文書のコンテンツのファイル名についての情報は,トップオブジェクト上でなく,バージョンなし文書を構成するほかのDMAオブジェクト上にプロパティとして存在しています。Java クラスライブラリでは,このような情報に対して「dbrProp_」で始まるプロパティ識別子を付けて,プロパティの値を取得できるようにしています。このプロパティの値を取得するメソッドを実行すれば,必要な値を得ることができます。実際には,メソッドを実行した段階で,Java クラスライブラリの内部で該当するプロパティが参照され,バージョンなし文書のプロパティとしてユーザに返却されます。

Java クラスライブラリ固有のプロパティについては,「付録A 文書空間オブジェクトのプロパティ一覧」を参照してください。

注意事項
Java クラスライブラリ固有のプロパティは,検索条件には指定できません。アクセス制御機能を使用する場合に定義されるプロパティについては,指定方法によって,検索の対象にできるプロパティがあります。アクセス制御機能を使用する場合に定義されるプロパティについては,「3.10.5 アクセス制御モデルで使用するプロパティ」を参照してください。

(3) ユーザが定義したプロパティ(ユーザ定義プロパティ

ユーザ定義プロパティは,ユーザが業務に応じて追加定義するプロパティです。ユーザ定義プロパティは,トップオブジェクトクラスにサブクラスを作成して追加定義できます。

ユーザ定義プロパティの追加については,マニュアル「DocumentBroker Version 3 システム導入・運用ガイド」を参照してください。

(4) 文書空間オブジェクトのクラスとプロパティの識別

Java クラスライブラリでは,文書空間オブジェクトクラスの識別にクラスの名前を使用します。クラスの名前とは,DocumentBrokerサーバのクラス定義情報ファイルで,各クラスのdmaProp_DisplayNameの値として指定されている文字列です。

また,Java クラスライブラリでは,文書空間オブジェクトのプロパティの識別にプロパティの名前を使用します。プロパティの名前とは,DocumentBrokerサーバのクラス定義情報ファイルで,各プロパティのdmaProp_DisplayNameの値として指定されている文字列です。

クラス定義情報ファイルについては,「7.6.1 クラス定義情報ファイル」を参照してください。

(5) バージョン付きオブジェクトのプロパティ

バージョン付きオブジェクトのプロパティは,バージョニングオブジェクトおよびバージョンオブジェクトのプロパティとして管理します。

バージョニングオブジェクトとバージョンオブジェクトのプロパティを次の図に示します。

図2-10 バージョニングオブジェクトとバージョンオブジェクトのプロパティ

[図データ]

この例では,バージョニングオブジェクトのプロパティとして文書名および作成者を,バージョンオブジェクトのプロパティとして更新日を設定しています。