6.14.4 トレース情報の出力範囲

次に示す出力先にトレース情報を出力するときは,トレースレベルを指定できます。トレースレベルを指定すると,トレース情報をどの範囲まで出力するかを選択できます。

<この項の構成>
(1) トレースレベルを指定する目的
(2) 各トレースレベルで出力する情報の目安

(1) トレースレベルを指定する目的

システムが開発段階にあるか,または運用段階にあるかによって,必要なトレース情報が異なります。例えば,システムが運用段階にある場合,メソッドの入り口および出口の情報は重要な情報ではありません。しかし,システムが開発段階にある場合や,障害の発生個所を特定する場合などは,メソッドの入り口および出口の情報は重要な情報になります。

このように,状況に応じて必要な情報が異なるため,トレースレベルを指定し,取得する情報の範囲を選択してください。

トレースレベルを指定するメリットを次に示します。

用途や,目的を考えないですべての情報を出力すると,重要な情報が探せない,または重要な情報が上書きされたなどの不都合が生じることがあります。

(2) 各トレースレベルで出力する情報の目安

トレースレベルには,次の表に示すレベルがあります。各トレースレベルの用途に応じて出力する情報を決定してください。

表6-16 トレースレベルで出力する情報の目安

用途APTraceLevel
の値※1
level引数の値※2出力する情報の目安
障害監視0~9ERROR●出力先がコマンドプロンプトの場合
ERRORレベルでは,次に示す情報を出力するようにします。
  • ユーザアプリケーションプログラムの開始および終了時の情報
  • ユーザアプリケーションプログラムを利用するユーザが対処できないエラーの情報
●出力先がアプリケーショントレースファイルの場合
ERRORレベルでは,すべてのエラー情報を出力するようにします。
通常運用10~19MANAGE●出力先がコマンドプロンプトの場合
MANAGEレベルでは,ERRORレベルで出力される情報をすべて出力するようにします。
●出力先がアプリケーショントレースファイルの場合
MANAGEレベルでは,ERRORレベルで出力される情報をすべて出力するようにします。それに加えて次に示す情報を出力するようにします。
  • 外部APIの呼び出しおよびリターン時の情報
  • 重要なメソッドの入り口および出口の情報
障害調査20~29HINT●出力先がコマンドプロンプトの場合
HINTレベルでは,MANAGEレベルで出力される情報をすべて出力するようにします。それに加えて次に示す情報を出力するようにします。
  • 重要なメソッドの入り口および出口の情報
  • 外部から与えられた情報
●出力先がアプリケーショントレースファイルの場合
HINTレベルでは,MANAGEレベルで出力される情報をすべて出力するようにします。それに加えて次に示す情報を出力するようにします。
  • 下位メソッドのエラーの情報
  • 外部から与えられた情報
  • 重要なメソッドの引数の情報
デバッグ30DEBUG●出力先がコマンドプロンプトの場合
DEBUGレベルでは,HINTレベルで出力される情報をすべて出力するようにします。
●出力先がアプリケーショントレースファイルの場合
DEBUGレベルでは,HINTレベルで出力される情報をすべて出力するようにします。それに加えて次に示す情報を出力するようにします。
  • メソッドの入り口および出口の情報
  • メソッドの引数の情報
注※1
動作環境定義ファイルのAPTraceLevelの値です。動作環境定義ファイルについては,「7.6.3 動作環境定義ファイル」を参照してください。
注※2
各メソッドの引数levelにこれらの定数を指定して出力範囲を選択します。これらの定数はDbjTraceDefクラスのメンバとして定義されています。