文書空間オブジェクトは,複数のDMAオブジェクトを包含した形で構成されるオブジェクトです。Java クラスライブラリでは,文書空間オブジェクトを操作することによって,複数のDMAオブジェクトをまとめて操作します。
DMAオブジェクトには,文書を表すオブジェクト,文書の表現形式を管理するオブジェクト,文書の実体であるコンテンツ(文書ファイル)に相当するオブジェクトなどがあります。一つの文書を操作するためには,これらのDMAオブジェクトをすべて操作する必要があります。DMAオブジェクトは,プロパティの値を設定,変更することで操作します。文書管理の操作を実現するためには,文書を構成する複数のDMAオブジェクトに対して,それぞれ適切なプロパティを設定する必要があります。
Java クラスライブラリでは,文書管理に使用する複数のDMAオブジェクトを,文書やフォルダなどのまとまった一つの文書空間オブジェクトとして扱います。文書空間オブジェクトに対応するクラスが,文書空間オブジェクトクラスです。文書空間オブジェクトクラスは,文書管理を実現する機能ごとに,一つまたは複数のDMAクラスから構成されています。文書空間オブジェクトクラスを基に文書空間オブジェクトを作成することによって,その機能を実現するために必要なDMAオブジェクトが作成されます。また,Java クラスライブラリでは,文書管理に必要な操作をクラスごとまたはインターフェースごとにメソッドとして提供しています。Java クラスライブラリのメソッドを実行することによって,その操作に必要なプロパティがDMAオブジェクトに設定されます。したがって,文書を表す文書空間オブジェクトを操作することで,文書を表すオブジェクト,文書の表現形式を管理するオブジェクト,文書の実体であるコンテンツに相当するオブジェクトなどの複数のDMAオブジェクトを包含した,一つの文書が操作できます。
文書空間オブジェクトとDMAオブジェクトの関係を次の図に示します。
図2-3 文書空間オブジェクトとDMAオブジェクトの関係
データベースはDMAのオブジェクトモデルと対応して構成されています。DMAクラスは,データベースの表に対応します。文書空間オブジェクトに対してメソッドを実行すると,複数のDMAオブジェクトへのメソッドとして配置され,該当するデータベースの表が操作されます。
オブジェクトを生成するDMAクラスは,通常,それぞれがHiRDBの一つの表と対応します。DMAオブジェクトは各表の行(レコード)に相当し,各DMAクラスが持つプロパティのうち,永続プロパティ(データベースに値が格納されているプロパティ)は各表の列(カラム)に相当します。また,DMAオブジェクト同士の関連は,各オブジェクトが属性として保持する参照先のOIIDによって表されます。
オブジェクトとデータベースの関係の詳細については,マニュアル「DocumentBroker Version 3 システム導入・運用ガイド」を参照してください。
文書空間オブジェクトの種類を次に示します。
なお,このマニュアルでは,それぞれの文書空間オブジェクトをまとめて,次のような総称で表記することがあります。