7.8 ユーザ拡張性能解析トレース使用時の注意事項
ユーザ拡張性能解析トレースを使用する場合の注意事項を次に示します。
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トレース対象メソッドが頻繁に呼び出される場合,ユーザ拡張性能解析トレースの処理のオーバーヘッドによる性能劣化によって,劣化の要因となるメソッドの特定が困難になることがあります。そのため,トレース対象メソッドには劣化要因が特定できる処理の入口となるメソッドを指定してください。
例えば,次の図に示すようなメソッドの呼び出し関係のあるアプリケーションの場合,処理の入口となるメソッド1(トレース取得ポイント1)を対象としてください。トレース取得ポイント2のメソッド4,メソッド5,メソッド6を指定すると,これらのメソッドに対するユーザ拡張性能解析トレースの処理に時間が掛かると,このアプリケーションの性能測定に影響を与えることがあります。
図7‒13 アプリケーションのメソッドの呼び出し関係 -
ルートアプリケーション情報を取得する前に呼び出されるメソッドにユーザ拡張性能解析トレースを使用した場合,ルートアプリケーション情報が0で出力されることがあります。
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トレース対象メソッドの呼び出し回数を増やしたり,トレースの出力量を増やすプロパティを指定したりした場合,PRFトレースファイルの出力量が増えます。その場合は,PRFトレースファイル面数またはPRFトレースファイルサイズの量を増やしてください。PRFトレースファイル数とPRFトレースファイルサイズの変更の方法については,マニュアル「アプリケーションサーバ 運用管理ポータル操作ガイド」の「10.3.1 パフォーマンストレーサの設定」を参照してください。
なお,PRFトレースファイルの出力量の増加は,次の現象に対する原因となります。
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トレースファイルへの書き込みによるオーバーヘッドが発生して性能劣化につながります。
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大量の書き込みでトレースファイルの面の切り替えが発生して,J2EEサーバが取得しているトレースが取得できなくなることがあります。
通常運用時では,ユーザ拡張性能解析トレース設定ファイルの指定内容を適切に設定してトレース取得量を調整してください。
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ユーザ拡張性能解析トレースでは,アプリケーションのクラスを書き換えます。このとき,クラスの書き換え後のサイズが64キロバイトを超える場合は,書き換えに失敗します。その場合は,クラスを分割するなどしてクラスのサイズを小さくしてください。