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Cosminexus V11 アプリケーションサーバ Cosminexus XML Processor ユーザーズガイド


付録C.2 XML Processorの応用機能

XML Processorの応用機能は,高度で複雑なXML関連技術を容易に利用できるようにすることで,利便性や保守性を高めます。

応用機能は,基本機能を利用・連携することで実現しています。このため,単純な処理であれば応用機能の代わりに基本機能で実装することもできます。

例えば,XML文書の特定の要素名を別の名前に変更する程度の単純な変換処理であれば,XSLTを使わなくともDOMパーサなどの基本機能で実現できます。

一般的な傾向として,基本機能の方が処理速度が速くなるメリットがある反面,XML文書の構造に依存した処理の記述が必要になったり,記述するコードが複雑になったりといったデメリットがあります。どの機能を利用するのが最適かは,実行性能,メモリ性能,プログラムの保守性,システムや扱うデータの特性などから総合的に判断する必要があります。

XML Processorの応用機能について次に説明します。

〈この項の構成〉

(1) XSLT機能

XSLT機能は,XML文書を別の構造のXML文書,またはHTML文書やプレーンテキストに変換する機能です。

変換規則はXSLTスタイルシートというXML文書で定義するため,複雑な変換処理をプログラムとして記述する必要がなく,プログラムの開発・保守が容易になります。

(2) XPath機能

XPath機能は,XML文書内の特定の位置を示す式(XPath式)を使って,XML文書から特定の部分を抽出したり,文書内容や文書構造に関する情報を取得したりできます。

XML文書の中に特定の要素や属性が存在するかチェックする処理や,XML文書の一部分を取り出す処理を単純なコードで実現できます。

(3) Validation機能

Validation機能は,XMLスキーマで定義された文法ルールをオブジェクトに変換することで,XMLスキーマを使った検証処理を効率化する機能です。

1つのXMLスキーマ文書を使って複数回の検証処理を実行する場合,基本機能を使うと,パースのたびに必ず文法ルールを生成するためにXMLスキーマ文書の解析処理が実行されます。Validation機能を使うとXMLスキーマの文法ルールをオブジェクトとして再利用できるため,スキーマ文書の解析処理が1回で済みます。

(4) JAXB機能

JAXB機能は,XML文書に含まれるデータをJavaクラスに読み込んだり,Javaクラス内のデータをXML文書として出力したりするデータ交換処理を容易に記述するための機能です。

JavaクラスからXMLスキーマ文書を自動生成したり,XMLスキーマからJavaクラスを自動生成したりする付加機能を併用することで,データ構造の変更にも柔軟に対応できます。