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Cosminexus V11 アプリケーションサーバ 機能解説 拡張編


3.3.5 CTMドメインとCTMドメインマネジャ

CTMドメインとは,複数のCTMデーモン間で,それぞれに登録された業務処理プログラムの情報やスケジュールキューの負荷情報を交換して,情報共有と負荷分散をする範囲のことです。CTMドメイン名称で識別されます。CTMデーモンは,同じCTMドメイン内に存在するCTMデーモン間で,リクエストの振り分けやスケジューリングをします。CTMドメインの範囲と,CTMドメイン内の各CTMデーモンの情報は,CTMドメインマネジャによって管理されます。

ポイント

CTMドメインは,Management Serverが管理する運用管理ドメイン内に含まれます。

注意事項

CTMドメインを新しく増やすと,ファイルシステム中に情報が増えます。使用しなくなったCTMドメインに対するCTMドメイン情報は,ctmdminfoコマンドを使用して適宜削除してください。

CTMドメインマネジャは,同じCTMドメイン内のCTMデーモンの情報を管理するデーモンプロセスです。CTMデーモンを配置したホスト上に一つずつ配置します。

対象となるCTMドメインマネジャが同じネットワークセグメント内にあるか,異なるネットワークセグメントにあるかによって,CTMドメインマネジャによる情報の配布方法が異なります。

なお,CTMドメインマネジャの機能を使用するための設定は,CTMドメインマネジャを起動するときにctmdmstartコマンドの引数として指定します。また,運用管理ポータルで構築したシステムを運用している場合は,論理CTMドメインマネジャにあらかじめ設定しておくことができます。コマンドについては,マニュアル「アプリケーションサーバ リファレンス コマンド編」の「ctmdmstart(CTMドメインマネジャの開始)」を参照してください。運用管理ポータルについては,マニュアル「アプリケーションサーバ 運用管理ポータル操作ガイド」の「10.6.2 CTMドメインマネジャのネットワーク設定」を参照してください。

注意事項
  • Windowsのサービスから起動する場合は,開始コマンドのオプションに,「-Dvbroker.orb.isNTService=true」を指定してください。

  • WindowsでCTMデーモンが異常終了した場合,CTMドメインマネジャはCTMデーモンの子プロセスを強制停止します。

  • CTMドメインマネジャが異常終了した場合,CTMドメインマネジャの正常起動コマンド(ctmdmstartコマンド)に,-CTMForceStartオプション,または-CTMAutoForceオプションを指定してください。

〈この項の構成〉

(1) 対象のCTMドメインマネジャが同じネットワークセグメント内にある場合の情報共有

CTMドメインマネジャは,ホスト内のCTMデーモンの情報を,ほかのホスト上のCTMドメインマネジャにブロードキャストで配布します。対象のCTMドメインマネジャが同じネットワークセグメント内にある場合の情報共有について,次の図に示します。

図3‒10 同じネットワークセグメント内でのCTMドメインマネジャによる情報共有

[図データ]

既存のCTMドメインに新しくCTMデーモンを登録したい場合は,CTMドメイン内のホスト上で,ほかのCTMドメインマネジャと同じドメイン名称とポート番号を持つCTMドメインマネジャを開始するだけで参加できます。既存のCTMドメインで環境の定義などを更新する必要がないので,システム環境をコピーするだけで,容易にシステムのスケールアウトができます。

(2) 対象のCTMドメインマネジャが異なるネットワークセグメントにある場合の情報共有

ブロードキャストされた情報はルータを越えられないため,異なるネットワークセグメントにあるCTMドメインマネジャには届きません。この場合には,スマートエージェントを使用して情報を配布する必要があります。

対象のCTMドメインマネジャが異なるネットワークセグメントにある場合の情報共有について,次の図に示します。

図3‒11 異なるネットワークセグメントでのCTMドメインマネジャによる情報共有

[図データ]

複数のネットワークセグメントでCTMドメインを構成する場合に必要な設定は次のとおりです。

(3) CTMドメインマネジャの部分再開始

CTMドメインマネジャが異常終了した場合,CTMドメインマネジャだけを部分再開始できるときがあります。再開始できる障害かどうかは,CTMドメインマネジャが再開始する時に,自動的に判断されます。部分再開始ができない場合は,システム全体が異常終了します。この場合は,システムを全面的に再開始してください。

(4) CTMドメインマネジャの稼働状態の確認

CTMドメインマネジャは,ほかのホストのCTMドメインマネジャが稼働しているかどうかを確認しています。このとき,稼働状態を確認する間隔に,任意の時間を指定できます。稼働状態の確認間隔の指定は,ctmdmstartコマンドの-CTMAliveCheckCountオプションで指定します。

なお,稼働状況の確認間隔で,CTMノード情報が送信されなかった場合は,送信元のCTMドメインマネジャが停止したと判断され,送信元に対するCTMの情報が削除されます。CTMノード情報を削除した場合,そのCTMデーモンへのリクエストの振り分けは実施されません。CTMドメインマネジャの稼働状況確認について,次の図に示します。

図3‒12 CTMドメインマネジャの稼働状況確認

[図データ]

ホストBのCTMドメインマネジャは,ホストAのCTMドメインマネジャからホストAのCTMデーモンの情報を受信します。「CTMデーモンの情報の送信間隔に指定した値×生存判定監視係数」の間にCTMデーモンの情報が受信されない場合,ホストAのCTMデーモンの情報を削除し,そのことをホストBのCTMデーモンに通知します。これによって,ホストBのCTMデーモンは,ホストAのCTMデーモンにリクエストを振り分けなくなります。