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Cosminexus V11 アプリケーションサーバ システム設計ガイド


8.8.1 CTMドメインマネジャおよびCTMデーモンの稼働状態の監視間隔をチューニングする

システムに存在する複数のCTMドメインマネジャ間,およびCTMドメイン内の複数のCTMデーモン間では,お互いの稼働状態を監視するために,定期的に通信処理が実行されています。

ここでは,それぞれの通信処理間隔をチューニングする場合の考え方について説明します。

〈この項の構成〉

(1) CTMドメインマネジャ間で稼働状態を監視する間隔のチューニング

CTMドメインマネジャ間では,お互いのホストにあるCTMデーモンの情報を定期的に交換しています。この情報を基に,自ホストで受け付けたリクエストを適宜ほかのホストのCTMデーモンに振り分けています。

情報を交換するタイミングでは,お互いが稼働状態であるかどうかも同時に確認します。相手のホストのCTMドメインマネジャが停止している場合は,そのホストにはリクエストを振り分けないようにします。CTMドメインマネジャでは,情報を交換する間隔に一定の係数を掛けた時間以上応答がない場合に,相手のCTMドメインマネジャが停止していると判断します。

情報を交換する間隔の設定個所は,相手のCTMドメインマネジャが同じネットワークセグメント内にあるか,異なるネットワークセグメントにあるかによって異なります。稼働状態を判断するときに使用する係数のデフォルトは2です。例えば,同じネットワークセグメント内にあるCTMドメインマネジャの稼働情報を確認する場合,Management Serverを使用して構築したシステムでは,CTMドメイン構成情報の送信間隔に2を掛けた時間以上応答がない場合は,停止していると判断します。CTMドメイン構成情報の送信間隔が60秒の場合は,120秒間応答がない場合に,停止していると判断します。

この係数を変更することによって,通信処理の最適化が図れます。

係数に指定する値は,通信によって発生する処理の負荷を考慮して,適切な値を検討してください。基準になる送信間隔も必要に応じて検討してください。係数を小さくすると,間隔が短くなり,相手のCTMドメインマネジャが停止したことがすぐに検知できます。これによって,CTMデーモンが停止しているホストにリクエストを送信してしまうことを防げます。ただし,間隔が短過ぎると,通信処理が多く発生し,通信負荷が掛かります。

(2) CTMデーモン間で稼働状態を監視する間隔のチューニング

CTMデーモン間では,CTMドメインマネジャ間でやり取りした情報を基に,相互にリクエストの振り分け処理をしています。

リクエストの振り分け先のCTMデーモンから一定時間応答がない場合,振り分け元のCTMデーモンでは,相手のCTMデーモンが停止していると判断して,以降のリクエストを振り分けないようにします。

デフォルトの設定では,CTMデーモンは180秒間応答を待ちます。180秒以上応答がない場合,相手のCTMデーモンが停止していると判断します。この値を変更することで,不要な処理待ち時間を短縮できます。

値は,リクエストとして送信するデータの大きさなど考慮して,適切な値を設定してください。間隔を短くすることで,相手のホストのトラブルを迅速に検知できるため,トラブルの影響が少ない状態でシステムから切り離すことができるようになります。ただし,間隔が短過ぎると,大きなサイズのデータを転送している間にタイムアウトが発生してしまうおそれがあります。