7.5.2 Javaヒープ内のNew領域のメモリサイズを追加する理由
Tenured領域のメモリサイズには,アプリケーションが最低限必要とするメモリサイズに,New領域分のメモリサイズを追加することをお勧めします。これは,Tenured領域の未使用メモリサイズがNew領域の使用メモリサイズを下回ることによって,FullGCが頻発するのを防ぐためです。
通常,Eden領域がいっぱいになると,CopyGCが発生します。このとき,Eden領域とSurvivor領域のFrom空間に存在する使用中のJavaオブジェクトが,Survivor領域のTo空間に移動しようとします。このとき,Tenured領域の未使用領域がEden領域とSurvivor領域で使用中のメモリサイズよりも小さいと,New領域のすべてのJavaオブジェクトが昇格した場合に,JavaオブジェクトをTenured領域に移動できなくなります。そこでJavaVMは,FullGCを発生させ,Tenured領域の未使用メモリサイズを増やそうとします。
これを防ぐために,Tenured領域には,アプリケーションが必要とするメモリサイズに加えて,New領域分のメモリサイズを追加してください。
考え方を次の図に示します。
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オブジェクトが昇格できないおそれがあるためFullGCが発生する例
Tenured領域のメモリの空き領域(アプリケーションで必要なメモリ領域以外の領域)がNew領域のメモリサイズよりも小さいため,Eden領域およびFrom空間からの移動オブジェクトが多い場合,オブジェクトの昇格に対応できないおそれがあります。この場合,FullGCが発生します。
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オブジェクトが確実に昇格できる例
Tenured領域のメモリの空き領域(アプリケーションで必要なメモリ領域以外の領域)がNew領域と同じサイズ分確保してあるため,Eden領域およびFrom空間からの移動オブジェクトが多い場合も,オブジェクトの昇格に対応できます。
なお,New領域のメモリサイズの見積もりについては,「7.6 Javaヒープ内のNew領域のメモリサイズの見積もり」で説明します。
- ポイント
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拡張verbosegc情報などで確認したときに,CopyGCが発生しないでFullGCが頻発している場合,New領域からの退避オブジェクトに対してTenured領域のメモリサイズが小さいことが考えられます。New領域のサイズを増やした場合などにこの状態になることがあります。必要に応じて,Tenured領域のメモリサイズを見直してください。また,New領域内のEden領域とSurvivor領域の関係もあわせて見直してください。