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Cosminexus V11 アプリケーションサーバ 仮想化システム構築・運用ガイド


1.1 仮想化システムとは

アプリケーションサーバでは,ハイパーバイザで制御される仮想化環境の仮想サーバ上に,アプリケーションサーバ(業務システム)を構築して,業務を運用・管理する環境を構築できます。この環境を仮想化システムといいます。

仮想化システムは,業務(アプリケーション)を実行してユーザにサービスを提供する基盤となる環境(アプリケーション実行環境)と,アプリケーション実行環境を構築して,運用したり管理したりする環境(運用環境)から構成されます。

仮想化システムの概要を次の図に示します。

図1‒1 仮想化システムの概要

[図データ]

アプリケーションサーバを構築して,運用,管理するユーザ(以降,システム構築者といいます)から構築,運用または管理の指示を受け付けた仮想サーバマネージャは,仮想サーバ上のアプリケーションサーバに対して,構築,運用または管理の処理を実行します。運用環境からアプリケーション実行環境を構築して,運用,管理するために,仮想化システムでは,仮想サーバマネージャというプロセスの機能を使用します。仮想サーバマネージャは,仮想化システムを構成する仮想サーバ上のアプリケーションサーバ(アプリケーション実行環境)を構築して,運用,管理するためのプロセスです。

仮想サーバマネージャでは,次のような機能が実行できます。

仮想サーバマネージャの機能の詳細は,「7. 仮想化システムの構築・運用で使用する機能」を参照してください。

また,仮想化環境を利用すると,物理マシン数を削減したり,リソースを有効活用したりできるという利点があります。仮想化環境を利用しないシステムと利用するシステムの差異を次の図に示します。

図1‒2 仮想化環境を利用しないシステムと利用するシステムの差異

[図データ]

仮想化環境では,1台の物理マシン上に仮想サーバを複数台配置でき,それぞれに異なるOS,アプリケーション(業務)などを配置したアプリケーションサーバを構築できます。これによって,複数の業務を処理する大規模なシステムを構築する場合に,物理マシン数の増加を防いだり,物理マシンの構築やメンテナンスなどの作業コストを削減したりできます。また,ピーク時の負荷に備えたリソースが物理マシンに割り当てられている場合には,通常の運用で使用されない余剰リソースを複数の仮想サーバで使用して,リソースを有効活用できます。なお,仮想化環境は,リソースを管理するユーザ(以降,リソース管理者といいます)が用意します。

〈この節の構成〉