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Cosminexus V11 アプリケーションサーバ & BPM/ESB基盤 概説


4.3.2 システムの安定稼働の実現

業務システムには,安定して稼働し続けることが求められます。業務の内容によっては,一定時間にアクセスが急増したり,特定の処理に要求が集中したりする場合があります。急激な状況の変化に即応して,システムを安定稼働させるためには,次の制御が有効です。

アプリケーションサーバでは,J2EEアプリケーションに対して,きめ細やかな流量制御,優先制御を実現できます。これによって,システムの安定稼働に加えて,システムリソースの有効活用も実現できます。

ここでは,Webアプリケーションの流量制御,およびOLTP技術を適用したEnterprise Beanの流量制御と負荷分散について説明します。なお,それぞれの機能の詳細については,マニュアル「アプリケーションサーバ 機能解説 基本・開発編(Webコンテナ)」の「2.15 同時実行スレッド数の制御の概要」およびマニュアル「アプリケーションサーバ 機能解説 拡張編」の「3. CTMによるリクエストのスケジューリングと負荷分散」を参照してください。

〈この項の構成〉

(1) Webアプリケーションの流量制御

アプリケーションサーバでは,サーブレットやJSPによって構成されるWebアプリケーションを,J2EEサーバのWebアプリケーション実行基盤であるWebコンテナで実行します。

アプリケーションサーバのWebコンテナでは,Webコンテナ単位,Webアプリケーション単位およびWebアプリケーション内のURLグループ(業務ロジック)単位に同時に処理できるリクエスト数を設定したり,リクエストをキュー(待ち行列)の概念で管理したりできます。これによって,Webアプリケーションで同時に実行する処理数を,処理内容に応じて細かく制御できます。送信されたリクエスト数が突発的に急増した場合でも,処理するリクエスト数を一定の数に制御できるので,システムを安定した状態で稼働させることができます。

また,リクエストの重要度に応じたリクエストの実行が可能になります。例えば,緊急度の高い重要な処理は確実に処理できるようにすることで,負荷の高い業務処理がほかの業務に影響を与えることを防げます。

Webアプリケーションの流量制御の概要を次の図に示します。

図4‒4 Webアプリケーションの流量制御の概要

[図データ]

Webコンテナ単位,Webアプリケーション単位およびURLグループ(業務ロジック)単位で流量制御を実施することによって,システムの安定稼働を実現しながら,負荷の高い処理があっても優先度の高い処理を確実に実行できるシステムを構築できます。

(2) OLTP技術のEnterprise Beanへの適用

OLTP技術は,大規模な業務システムには不可欠な技術です。アプリケーションサーバでは,J2EEアプリケーション内の業務処理プログラム(Enterprise Bean)に対して,高度なOLTP技術を適用できます。これによって,次のような処理を実現できます。なお,対象となるEnterprise Beanは,Stateless Session Beanです。