14.10.2 構成と使用
バッキングストアアダプタを接続できます。つまり,使用するアダプタの型を,ネーミングサービスの起動時に使用する構成(プロパティ)ファイルにユーザ定義情報として格納して指定できます。インメモリアダプタを除くすべてのアダプタはパーシステントです。ネームスペース全体をメモリに保管するライトウェイトのネーミングサービスを使用したい場合には,インメモリアダプタを使用してください。
- 注
-
最新バージョンのネーミングサービスでは,ネーミングサービスの実行中は設定を変更できません。設定を変更するには,必ずサービスを停止し,構成ファイルを変更してからネーミングサービスを再起動してください。
(1) プロパティファイル
そのほかの多くのネーミングサービスと同様,どのアダプタを使用するかや,その個々の構成などはネーミングサービスのプロパティファイルで処理されます。デフォルトのプロパティを表14-6に示します。
プロパティ |
デフォルト |
説明 |
---|---|---|
vbroker.naming.backingStoreType |
InMemory |
使用するネーミングサービスアダプタのタイプを指定します。 このプロパティは,ネーミングサービスを使用したいプラガブルバッキングストア(外部記憶装置)のタイプを指定します。有効なオプションは,InMemory,JDBC,Dx,およびJNDIです。デフォルトはInMemoryです。 |
vbroker.naming.cacheOn |
0 |
ネーミングサービスキャッシュを使用するかどうかを指定します。 |
vbroker.naming.cacheSize |
5 |
ネーミングサービスキャッシュがオンの場合にそのサイズを指定します。 |
(2) JDBCアダプタプロパティ
- vbroker.naming.backingStoreType
-
このプロパティはJDBCに設定しなければなりません。JDBCアダプタでは,poolSize,jdbcDriver,url,loginName,およびloginPwdプロパティも設定する必要があります。
- vbroker.naming.jdbcDriver
-
このプロパティは,バッキングストアとして使用するデータベースへのアクセスに必要なJDBCドライバです。ネーミングサービスはこの設定に従って表14-7の中から適切なJDBCドライバをロードします。デフォルトはJava DataStore JDBCドライバです。
表14‒7 vbroker.naming.jdbcDriverプロパティを使用してデータベースへアクセスするためのJDBCドライバ JDBCドライバ値
説明
com.borland.datastore.jdbc.DataStoreDriver
JDataStoreドライバ
com.sybase.jdbc.SybDriver
Sybaseドライバ
oracle.jdbc.driver.OracleDriver
Oracleドライバ
interbase.interclient.Driver
Interbaseドライバ
weblogic.jdbc.mssqlserver4.Driver
WebLogic MS SQLServerドライバ
COM.ibm.db2.jdbc.app.DB2Driver
IBM DB2ドライバ
- vbroker.naming.loginName
-
このプロパティはデータベースに対応するログイン名です。デフォルトはVisiNamingです。
- vbroker.naming.loginPwd
-
このプロパティはデータベースに対応するログインパスワードです。デフォルトはVisiNamingです。
- vbroker.naming.poolSize
-
このプロパティは,バッキングストアとしてJDBCアダプタを使用する場合にコネクションプールで使用するデータベースコネクションの数を指定します。デフォルト値は5ですが,データベースが扱える任意の値に増やせます。ネーミングサービスへのリクエスト数が多くなりそうな場合は,この値を大きくしてください。
- vbroker.naming.url
-
このプロパティは,アクセスしたいデータベースの位置を指定します。この設定は使用するデータベースに依存します。デフォルトはJDataStoreで,データベース位置はrootDB.jdsというカレントディレクトリです。rootDB.jdsに限らないで,任意の名前を付けてかまいません。これに従って構成ファイルを更新しなければなりません。データベースのURL値を表14-8に示します。
表14‒8 vbroker.naming.urlプロパティを使用してアクセスするデータベースのURL URL値
説明
jdbc:borland:dslocal:<db_name>
JDataStore URL
jdbc:sybase:Tds:<host>:<port>/<db_name>
Sybase URL
jdbc:oracle:thin:@<host>:<port>:<sid>
Oracle URL
jdbc:interbase://<server>/<full_db_path>
Interbase ※1 URL
jdbc:weblogic:mssqlserver4:<db_name>@<host>:<port>
WebLogic MS SQLServer URL
jdbc:db2:<db_name>
IBM DB2※2 URL
<full_path_JDataStore_db>
ネイティブドライバのDataExpress※3 URL
- 注※1
-
JDBCを介してInterBaseにアクセスする前に,InterServerサーバを起動してください。InterBaseサーバがローカルホストに存在するなら,localhostを<server>に指定します。これ以外の場合はホスト名を<server>に指定します。InterBaseデータベースがWindowsに存在するなら,<full_db_path>にdriver:\\dir1\\dir2\\db.gdb(最初の\記号は2番目の\記号をエスケープします)を指定します。InterBaseデータベースがUNIXに存在するなら,<full_db_path>に/dir1/dir2/db.gdbを指定します。
- 注※2
-
JDBCを介してDB2にアクセスする前に,Client Configuration Assistantを使用してデータベースをエイリアス <db_name>で登録しなければなりません。データベースの登録後は,vbroker.naming.urlプロパティに<host>や<port>を指定する必要はありません。
- 注※3
-
JDataStoreデータベースがWindowsに存在するなら,<full path of the JDataStore database>にDriver:\\dir1\\dir2\\db.jds(最初の\記号は2番目の\記号をエスケープします)を指定します。JDataStoreデータベースがUNIXに存在するなら,<full path of the JDataStore database>に/dir1/dir2/db.jdsを指定します。
(4) JNDIアダプタプロパティ
表14-9に,JNDIアダプタの構成ファイルに表示される設定例を示します。
- 注
-
ユーザは,ディレクトリサーバにスキーマや属性を追加するために必要な権限を持つ必要があります。
(5) キャッシング機能
キャッシング機能をオンにすることで,バッキングストアの性能を向上できます。例えば,JDBCアダプタの場合,解決またはバインドオペレーションがあるたびにデータベースに直接アクセスすると,かなりの時間が掛かりますが,結果をキャッシングすることでデータベースアクセスの回数を減らせます。キャッシング機能をオンにする前に知っておくべき留意点が幾つかあります。まず,基本となるデータにアクセスするネーミングサービスは,キャッシュを使用したネーミングサービスだけであることを確認してください。そうでなければ,古くなったデータがキャッシュに入っていることがあるため,ネーミングサービスを使用するクライアントが間違ったデータを取得することがあります。バッキングストアの性能向上が見られるのは,同じ一つのデータが複数回アクセスされた場合だけです。
- 注
-
使用環境での性能がキャッシング機能によって必ず向上するという確信がないかぎり,キャッシング機能はオンにしないでください。
このキャッシング機能は,コンテキストごとにキャッシュする実装になっています。この場合,各コンテキストにキャッシュがインストールされることになり,コンテキストとオブジェクトの両方をキャッシュするために使用されます。このキャッシュのサイズは調整できます。デフォルトでは,このキャッシュのサイズは5です。
キャッシング機能を使用するには,次のプロパティを構成ファイルに追加してください。
vbroker.naming.cacheOn=1 vbroker.naming.CacheSize=5