8.1 Borland Enterprise Server VisiBrokerでのスレッドの使用
スレッドとは,プロセス中の一つの連続した制御の流れのことです。スレッドは,基本的な部分をほかのスレッドと共用することによってオーバヘッドを減らせることからライトウェイトプロセスともいいます。スレッドは軽いので,一つのプロセス内部に多くのスレッドが存在できます。
マルチスレッドを使用すると,アプリケーション内に並行性がもたらされるので,性能が向上します。独立した幾つもの計算を同時に処理するスレッドを利用して,アプリケーションを効率的に構築できます。例えば,データベースシステムは,同時に複数のファイルオペレーションとネットワークオペレーションを実行しながら,多くのユーザの処理を進めることができます。複数のリクエストを非同期に処理させる一つの制御用のスレッドでソフトウェアを作成できますが,各リクエストを独立したシーケンスとして作成し,システムに異なるオペレーション間の同期処理をさせることによって,コードを単純化できます。
マルチスレッドは次の場合に役立ちます。
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ほかの処理(ウィンドウ描画,文書の出力,マウスクリックへの応答,スプレッドシートの列計算,シグナル処理など)にお互いの処理が依存しないオペレーションのグループがある場合
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データの排他処理がほとんど発生しそうにない場合(共用データの量は識別可能で少量である場合)
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タスクをさまざまな処理に分けることができる場合。例えば,あるスレッドはシグナルを処理し,別のスレッドはユーザインタフェースを処理できる