4.1.2 開発手順の概要
Borland Enterprise Server VisiBrokerで分散アプリケーションを開発する場合,まずアプリケーションに必要なオブジェクトを識別する必要があります。図4-1に,サンプルのバンクアプリケーションを開発する手順を示します。バンクサンプルを開発する手順の概要を次に示します。
-
IDL(インタフェース定義言語)を使用して各オブジェクトの仕様を記述します。
IDLは,オブジェクトが提供するオペレーションとその起動方法を指定するために実装者が使用する言語です。この例では,balance()メソッドを使用してAccountインタフェースを,open()メソッドを使用してAccountManagerインタフェースをそれぞれIDLで定義します。
-
IDLコンパイラを使用してクライアントのスタブコードとサーバPOAのサーバントコードを生成します。
手順1.のインタフェース仕様で,idl2java(Java)コンパイラまたはidl2cpp(C++)コンパイラを使用して,クライアント側のスタブ(AccountオブジェクトメソッドとAccountManagerオブジェクトメソッドとのインタフェースを提供する)とサーバ側のクラス(リモートオブジェクトのインプリメンテーションのクラスを提供する)を作成します。
-
クライアントプログラムコードを記述します。
クライアントプログラムのインプリメンテーションを完成させるには,VisiBroker ORBを初期化し,AccountオブジェクトとAccountManagerオブジェクトにバインドし,これらのオブジェクトのメソッドを呼び出し,残高を表示します。
-
サーバオブジェクトコードを記述します。
サーバオブジェクトコードのインプリメンテーションを完成させるには,AccountPOAクラスとAccountManagerPOAクラスから派生を行い,interfaceのメソッドのインプリメンテーションを提供し,サーバのmainルーチンをインプリメントする必要があります。
-
クライアントとサーバコードをコンパイルします。
- C++の場合
-
クライアントプログラムを生成するには,クライアントプログラムコードをクライアントスタブとコンパイルしてリンクしてください。
Accountサーバを生成するには,サーバオブジェクトコードをサーバスケルトンとコンパイルしてリンクしてください。
- Javaの場合
-
クライアントプログラムを生成するには,クライアントプログラムコードをクライアントスタブとコンパイルしてください。
Accountサーバを生成するには,サーバオブジェクトコードをサーバスケルトンとコンパイルしてください。
-
サーバを起動します。
-
クライアントプログラムを実行します。
図4‒1 サンプルのバンクアプリケーションの開発
ORBはhvまたはHVで始まる名称の関数,クラス,グローバル変数,環境変数を使用します。この名称で始まる関数,クラス,グローバル変数,環境変数などを使用した開発はしないでください。