7.9.3 運用環境のバックアップと復旧
運用環境に発生した障害を復旧する場合や,システムの規模の拡大に伴う運用マシンの移行などで環境を移行する場合に,環境の復旧に必要なファイルをバックアップできます。
- 〈この項の構成〉
(1) 運用環境のバックアップ
次に示すcscenvbackupコマンドを実行して,運用環境の復旧に必要な最新のファイルをバックアップします。
cscenvbackup -user <ログインユーザID> -pass <ログインパスワード> -backupdir <バックアップファイル出力先ディレクトリ>
HCSC-Manager定義ファイルに,バックアップファイル出力先ディレクトリを指定している場合は,次に示すcscenvbackupコマンドを実行します。
cscenvbackup -user <ログインユーザID> -pass <ログインパスワード>
- 参考
-
運用環境バックアップファイルは,自動バックアップの場合にも取得できます。自動バックアップ時に取得される運用環境バックアップファイルは,次のディレクトリに格納されます。
-
HCSC-Manager定義ファイル(cscmng.properties)に指定した環境バックアップファイルの出力先
-
<サービスプラットフォームのインストールディレクトリ>\CSC\spool\manager(HCSC-Manager定義ファイル(cscmng.properties)に出力先の指定がない場合)
-
取得した運用環境バックアップファイルは,次のコマンドを実行して,バックアップファイル内のリポジトリ情報を確認できます。
cscrepls -user <ログインユーザID> -pass <ログインパスワード> -envbackfile <運用環境バックアップファイル名>
(2) 運用環境の復旧
運用環境は,cscenvrestoreコマンドを使用して,運用環境バックアップファイルから復旧できます。
- 参考
-
cscenvrestoreコマンドによる復旧は,運用環境を実行環境と異なるマシンに構築している場合などに適しています。
- 注意事項
-
cscenvrestoreコマンドで復旧できるのは運用環境だけです。実行環境はこのコマンドでは復旧できません。実行環境を復旧するには,次に示す項の手順に従い,環境のリポジトリ情報やリソースを取り除いてから,実行環境を再構築してください。
(a) ディスク障害から復旧する場合の手順
手順を次に示します。
-
Service Platformをインストールしたマシンを用意します。必要に応じてソフトウェアをインストールします。
-
取得済みの運用環境バックアップファイルを復旧するマシンが認識できるところに格納します。
-
cscreplsコマンドを実行して,運用環境バックアップファイルの復旧する環境を確認します。
cscrepls -user <ログインユーザID> -pass <ログインパスワード> -envbackfile <運用環境バックアップファイル名>
-
cscenvrestoreコマンドを実行して,運用環境バックアップファイルを使用し,環境を復旧します。
cscenvrestore -user <ログインユーザID> -pass <ログインパスワード> -restorefile <運用環境のバックアップファイル名>
(b) 運用マシンを移行する場合の手順
手順を次に示します。
-
必要に応じて,cscenvbackupコマンドで復旧前の運用環境のバックアップファイルを取得します。
cscenvrestoreコマンドで運用環境を復旧させた場合,復旧前の運用環境は破棄されます。環境バックアップファイルは,自動バックアップ時と復旧直前とで内容が異なる場合があります。
-
Service Platformをインストールしたマシンを用意します。
-
取得済みの運用環境バックアップファイルを,移行後のマシンが認識できるところに格納します。
-
cscreplsコマンドを実行して,運用環境バックアップファイルの復旧する環境を確認します。
cscrepls -user <ログインユーザID> -pass <ログインパスワード> -envbackfile <運用環境バックアップファイル名>
-
cscenvrestoreコマンドを実行して,運用環境バックアップファイルを使用し,環境を復旧します。
cscenvrestore -user <ログインユーザID> -pass <ログインパスワード> -restorefile <運用環境のバックアップファイル名>
- 注意事項
-
cscenvbackupコマンドまたはcscrepctlコマンド(-importオプション)を実行して取得した環境バックアップには,HCSC-Manager定義ファイル(cscmng.properties)が格納されています。しかし,cscenvrestoreコマンドで運用環境を復旧したときには,復旧先のHCSC-Manager定義ファイルを有効とし,環境バックアップに含まれるHCSC-Manager定義ファイルは,別名(cscmng_backup.properties)で復旧します。cscmng_backup.propertiesは,参考資料として活用してください。また,不要であれば,削除しても問題ありません。
(c) 復旧時の自動バックアップ
cscenvrestoreコマンドを使用して,運用環境バックアップファイルから復旧する場合,復旧前の環境を自動でバックアップします。誤った運用環境バックアップファイルから環境を復旧してしまった場合に,この復旧時の自動バックアップファイルを使用することで,復旧前の環境に戻すことができます。
復旧時のバックアップファイルは,cscenvrestore_1.zipのファイル名で次のディレクトリに出力されます。
<サービスプラットフォームのインストールディレクトリ>\csc\spool\manager
なお,バックアップファイルの出力先ディレクトリは,HCSC-Manager定義ファイルのcscmng.envbackup.dirパラメタ,またはcscmng.envbackup.dir.envrestoreパラメタで変更できます。出力先ディレクトリに古いバックアップファイルが存在している場合は,復旧が成功したあとに,古いバックアップファイルが削除されます。
また,復旧時に自動バックアップをするかどうかは,HCSC-Manager定義ファイルのcscmng.envbackup.autogetパラメタ,またはcscmng.envbackup.autoget.offパラメタで設定できます。
HCSC-Manager定義ファイルの詳細については,マニュアル「サービスプラットフォーム リファレンス」の「6.5.3 HCSC-Manager定義ファイル」を参照してください。