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TPBroker Version 5 トランザクショナル分散オブジェクト基盤 TPBroker 運用ガイド


5.3.5 ORB機能使用時の設定(HAモニタ)

ORB機能を使用するときに必要なIPアドレスとポート番号を設定します。

次に示す設定をすることで,HAモニタを起動するホスト上でosagent,nameserv,およびCORBAアプリケーションを起動できるようになります。

〈この項の構成〉

(1) osagentの設定(HAモニタ)

osagentへのIPアドレスの設定について説明します。

(a) IPアドレスの設定(HAモニタ)

HAモニタを起動するホスト上でosagentを起動する場合,すべての系に次の定義ファイルを設定します。

  • localaddr

  • htc.clienthandleraddr

各定義ファイルの設定値は,シングルホームホスト環境か,またはマルチホームホスト環境かどうかによって異なります。以降,それぞれの環境での設定値について説明します。

シングルホームホスト環境

シングルホームホスト環境で,HAモニタを使用したクラスタシステムを構築する場合に設定する値を次の表に示します。

表5‒3 シングルホームホスト環境の設定値(HAモニタ)

項番

条件

localaddrファイル

htc.clienthandleraddrファイル

1

osagentを系切り替えの対象にする

  • 実IPアドレス(プライマリIPアドレス)

  • エイリアスIPアドレス

  • エイリアスIPアドレス

2

osagentを系切り替えの対象にしない

  • 実IPアドレス(プライマリIPアドレス)

  • 実IPアドレス(プライマリIPアドレス)

それぞれの条件について説明します。

osagentを系切り替えの対象にする場合

localaddrファイルには,実IPアドレス(プライマリIPアドレス)およびosagentが使用するエイリアスIPアドレスを必ず設定してください。

また,osagentが各クライアント(osagentに接続するプロセス)に対して,エイリアスIPアドレスを返却するようにhtc.clienthandleraddrファイルを定義してください。

osagentを系切り替えの対象にしない場合

localaddrファイルには,実IPアドレス(プライマリIPアドレス)を必ず設定してください。エイリアスIPアドレスは設定しないでください。

また,osagentが各クライアント(osagentに接続するプロセス)に対して,実IPアドレス(プライマリIPアドレス)を返却するようにhtc.clienthandleraddrファイルを定義してください。

マルチホームホスト環境

マルチホームホスト環境で,HAモニタを使用したクラスタシステムを構築する場合に設定する値を次の表に示します。

表5‒4 マルチホームホスト環境の設定値(HAモニタ)

項番

条件

localaddrファイル

htc.clienthandleraddrファイル

1

osagentを系切り替えの対象にする

  • 実IPアドレス(プライマリIPアドレス)

  • osagentに明示的に指定したいIPアドレス

  • エイリアスIPアドレス

  • エイリアスIPアドレス

2

osagentを系切り替えの対象にしない

  • 実IPアドレス(プライマリIPアドレス)

  • osagentに明示的に指定したいIPアドレス

  • 実IPアドレス(プライマリIPアドレス)

それぞれの条件について説明します。

osagentを系切り替えの対象にする場合

localaddrファイルには,実IPアドレス(プライマリIPアドレス),osagentに明示的に指定したいIPアドレス,およびosagentが使用するエイリアスIPアドレスを設定します。

また,osagentが各クライアント(osagentに接続するプロセス)に対して,エイリアスIPアドレスを返却するようにhtc.clienthandleraddrファイルを定義します。

osagentを系切り替えの対象にしない場合

localaddrファイルには,実IPアドレス(プライマリIPアドレス)およびosagentに明示的に指定したいIPアドレスを必ず設定します。エイリアスIPアドレスは設定しないでください。

またosagentが各クライアント(osagentに接続するプロセス)に対して,実IPアドレス(プライマリIPアドレス)を返却するようにhtc.clienthandleraddrファイルを定義します。

注意

osagentは,localaddrファイルに設定されたIPアドレスだけを認識します。localaddrファイルを設定しない場合,osagentはデフォルトでgethostbyname()から得られるIPアドレスを認識します。osagentが認識するIPアドレスはバーボースモードで起動させることにより,確認できます。

(b) osagentへの設定(HAモニタ)

異なるネットワークドメインのosagent間の通信で,一方のosagentを系切り替えの対象とする場合,系切り替え対象のosagentと通信をするosagentの定義ファイル(agentaddrファイル)に,サービスIPアドレスを設定します。

(c) osagentに接続するプロセスへの設定(HAモニタ)

osagentとosagentに接続するプロセスを異なるネットワークドメインで起動し,osagentを系切り替えの対象とする場合,次に示す定義ファイル,およびオプションのどれかにサービスIPアドレスを設定してください。

  • agentaddrファイル

  • 環境変数OSAGENT_ADDR

  • プロパティvbroker.agent.addr

(2) osagentの接続に関する設定(HAモニタ)

HAモニタ上でosagentを起動する場合,次に示す環境変数の設定がosagentに必要です。

環境変数名:OSAGENT_CLIENT_HANDLER_PORT

環境変数の設定方法については,マニュアル「Borland Enterprise Server VisiBroker デベロッパーズガイド」を参照してください。

(3) サーバの設定(Cosminexus TPBroker)(HAモニタ)

Cosminexus TPBrokerでは次の設定をします。

ネーミングサービスを系切り替えの対象とする場合
  • nameservコマンドの起動時に次の値を設定します。

    -J-Dvbroker.se.iiop_tp.host=<エイリアスIPアドレス>または<エイリアスホスト名>

  • ネーミングサービスが使用するポート番号は,すべての系で同じポート番号が使用できるよう管理する必要があります。

J2EEサーバ,および運用監視エージェントを系切り替えの対象とする場合

J2EEサーバ,および運用監視エージェントのプロパティファイルに次の設定をします。

  • プロパティvbroker.se.iiop_tp.host

    エイリアスIPアドレスまたはエイリアスホスト名を設定します。

  • プロパティvbroker.se.iiop_tp.scm.iiop_tp.listener.port

    任意のポート番号を設定します。

(4) サーバの設定(TPBroker Developer,およびTPBroker)(HAモニタ)

TPBroker Developer,およびTPBrokerで,ネーミングサービスを含むCORBAアプリケーションを系切り替えの対象とする場合,次の設定をします。

プロパティ名で,xxxはサーバエンジン,yyyはサーバコネクションマネージャを示します。

(5) ORB機能使用時の設定例(HAモニタ)

ここで示す設定例は,シングルホームホスト環境です。

(a) osagentを系切り替え対象にする場合(HAモニタ)

osagentを系切り替え対象にする場合の,ORB機能の使用時の設定例について説明します。

システム構成の例

ORB機能使用時のシステム構成の例を次の図に示します。

図5‒3 osagentを系切り替え対象にする場合のシステム構成例(HAモニタ)

[図データ]

IPアドレスの設定例

上記の図で示すシステム構成例でのIPアドレスの設定例を示します。

  1. ホストA(実行系)のIPアドレスの設定

    ・localaddrファイル

    "A.A.A.A subnet broadcast"(ホストAの実IPアドレスを設定)

    "C.C.C.C subnet broadcast"(エイリアスIPアドレスを設定)

    ・htc.clienthandleraddrファイル

    "F.F.F.F subnet C.C.C.C"(クライアントの実IPアドレスにエイリアスIPアドレスを設定)

  2. ホストB(待機系)のIPアドレスの設定

    ・localaddrファイル

    "B.B.B.B subnet broadcast"(ホストBの実IPアドレスを設定)

    "C.C.C.C subnet broadcast"(エイリアスIPアドレスを設定)

    ・htc.clienthandleraddrファイル

    "F.F.F.F subnet C.C.C.C"(クライアントの実IPアドレスにエイリアスIPアドレスを設定)

  3. ホストCのIPアドレスの設定

    ・agentaddrファイル

    "C.C.C.C"(エイリアスIPアドレスを設定)

  4. ホストAおよびホストBで起動するosagent

    ・環境変数OSAGENT_CLIENT_HANDLER_PORT

(b) osagentを系切り替え対象にしない場合(HAモニタ)

osagentを系切り替えの対象にしない場合の,ORB機能の使用時の設定例について説明します。

システム構成の例

ORB機能使用時のシステム構成の例を次の図に示します。

図5‒4 osagentを系切り替え対象にしない場合のシステム構成例(HAモニタ)

[図データ]

IPアドレスの設定例

上記の図で示すシステム構成例でのIPアドレスの設定例を示します。

  1. ホストA(実行系)のIPアドレスの設定

    ・localaddrファイル

    "A.A.A.A subnet broadcast"(ホストAの実IPアドレスを設定)

    ・htc.clienthandleraddrファイル

    "F.F.F.F subnet A.A.A.A"(クライアントの実IPアドレスにホストAの実IPアドレスを設定)

  2. ホストB(待機系)のIPアドレスの設定

    ・localaddrファイル

    "B.B.B.B subnet broadcast"(ホストBの実IPアドレスを設定)

    ・htc.clienthandleraddrファイル

    "F.F.F.F subnet B.B.B.B"(クライアントの実IPアドレスにホストBの実IPアドレスを設定)

  3. ホストCのIPアドレスの設定

    ・agentaddrファイル

    "A.A.A.A"(ホストAの実IPアドレスを設定)

    "B.B.B.B"(ホストBの実IPアドレスを設定)

  4. ホストAおよびホストBで起動するosagent

    ・環境変数OSAGENT_CLIENT_HANDLER_PORT