付録C.2 XML Processorの応用機能
XML Processorの応用機能は,高度で複雑なXML関連技術を容易に利用できるようにすることで,利便性や保守性を高めます。
応用機能は,基本機能を利用・連携することで実現しています。このため,単純な処理であれば応用機能の代わりに基本機能で実装することもできます。
例えば,XML文書の特定の要素名を別の名前に変更する程度の単純な変換処理であれば,XSLTを使わなくともDOMパーサなどの基本機能で実現できます。
一般的な傾向として,基本機能の方が処理速度が速くなるメリットがある反面,XML文書の構造に依存した処理の記述が必要になったり,記述するコードが複雑になったりといったデメリットがあります。どの機能を利用するのが最適かは,実行性能,メモリ性能,プログラムの保守性,システムや扱うデータの特性などから総合的に判断する必要があります。
XML Processorの応用機能について次に説明します。
- 〈この項の構成〉
(1) XSLT機能
XSLT機能は,XML文書を別の構造のXML文書,またはHTML文書やプレーンテキストに変換する機能です。
変換規則はXSLTスタイルシートというXML文書で定義するため,複雑な変換処理をプログラムとして記述する必要がなく,プログラムの開発・保守が容易になります。
(2) XPath機能
XPath機能は,XML文書内の特定の位置を示す式(XPath式)を使って,XML文書から特定の部分を抽出したり,文書内容や文書構造に関する情報を取得したりできます。
XML文書の中に特定の要素や属性が存在するかチェックする処理や,XML文書の一部分を取り出す処理を単純なコードで実現できます。