18.4.1 相互系切り替えシステムの設定手順
ここでは,Windows Server Failover Clusterと連携する場合の,システムの構成例とシステムの設定手順について説明します。
- 〈この項の構成〉
(1) システムの構成例
相互系切り替えシステムの構成例を次の図に示します。なお,以降の項では,このシステムの構成例を使用したシステムの構築例を示します。
この例では,2種類のアプリケーションサーバ(アプリケーションサーバ1,アプリケーションサーバ2とします)を使用しています。アプリケーションサーバ1の実行系(現用系1)と待機系(予備系2),アプリケーションサーバ2の実行系(現用系2)と待機系(予備系1)をそれぞれ1:1で配置しています。それぞれ別の運用管理ドメインを持つManagement Serverを配置し,両方のマシンでManagement Serverを起動させています。
相互系切り替えシステムでは,一つの運用管理ドメイン内に二つの仮想ホストを定義し,それぞれを現用系アプリケーションサーバのホスト,予備系アプリケーションサーバのホストとして構築します。この例では,次のような組み合わせになります。
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Node1の現用系1(仮想ホスト1)とNode2の予備系1(仮想ホスト1)
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Node2の現用系2(仮想ホスト2)とNode1の予備系2(仮想ホスト2)
仮想ホストでは,一つの運用管理エージェントによってアプリケーションサーバの起動,停止を制御しますが,運用で使用するIPアドレスには異なるIPアドレスを割り当てて,見かけ上は異なるホストであるように定義しています。
アプリケーションサーバをクラスタ構成に配置するためには,エイリアスIPアドレスを設けて,稼働中のノードがエイリアスIPアドレスを引き継ぐことで,クライアントがクラスタ内のノードを意識しないようにします。相互系切り替えシステムの場合,エイリアスIPアドレスは,クラスタソフトウェアによって動的に割り当てられるアドレス(クラスタIPアドレス)となります。アプリケーションサーバの運用に使用するIPアドレスには,クラスタIPアドレスを使用し,Management Serverから運用管理エージェントに対するリクエストの送信には,系切り替えによって他系に移動しないIPアドレス(ステーショナリIPアドレス)を使用します。
(2) システムの設定手順
Windows Server Failover Clusterと連携する場合には,Management Serverやクラスタアドミニストレータの設定などが必要になります。相互系切り替えシステムの設定手順を次の図に示します。
図中の1.〜6.について説明します。
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共有ディスクにパーティションを作成して,ファイルシステムを構築します。
Windows Server Failover Clusterのクラスタ管理用ファイルの格納場所を作成します。また,グローバルトランザクションを使用する場合には,トランザクション情報の格納場所を作成します。なお,クラスタ管理用ファイルの格納場所とトランザクション情報の格納場所は,同じパーティションでもかまいません。
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システムに共有ディスクを割り当てます。
システムに共有ディスクを割り当てる際は,現用系1と予備系1,現用系2と予備系2で,同じドライブ文字を割り当ててください。
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Management Serverでクラスタサーバの環境を設定します。
Management ServerのSmart Composer機能の簡易構築定義ファイルで,Windows Server Failover Clusterを使用する場合の設定をします。詳細は,「18.4.2 クラスタサーバの環境設定」を参照してください。
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設定ファイルを編集します。
簡易構築定義ファイルでは設定できない,運用管理エージェントやManagement Server,HTTP Serverなどの各種定義ファイルを設定します。詳細は,「18.4.3 設定ファイルの編集」を参照してください。
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クラスタを設定します。
クラスタソフトウェアの環境設定やManagement Severと運用管理エージェントを監視するスクリプトファイルを作成します。詳細については,「18.4.4 クラスタの設定」を参照してください。
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Management Serverとクラスタアドミニストレータで,アプリケーションサーバの設定をします。
Management Serverとクラスタアドミニストレータを使用して,アプリケーションサーバをクラスタ構成に配置し,J2EEアプリケーションやリソースアダプタを設定します。詳細は,「18.4.5 アプリケーションサーバの設定」を参照してください。