1.1.2 BPM/ESB基盤の位置づけ
BPM/ESB基盤では,サービスプラットフォームでSOA(Service Oriented Architecture(サービス指向アーキテクチャ))を適用したシステムを実現するための機能を提供しています。ここでは,BPM/ESB基盤が実現するサービスプラットフォームの目的と位置づけについて説明します。
サービスプラットフォームとは,SOAを実現するシステムの開発・運用の基盤となる製品です。統一された開発・運用環境でビジネスプロセスからサービスの接続までを構築・実行できます。そのため,SOAの利点を引き出して,サービスを柔軟に組み合わせて新しいシステムを迅速に構築・実行できます。この中心となるのが,サービスをプロセスで統合する「プロセス統合」です。プロセス統合を実現するのが,サービスプラットフォームです。サービスプラットフォームを使用したシステムの実現例を次の図に示します。
図1-2は,生産物流システムにSOAを適用した例です。業務の流れに沿って,サービスを自動的に呼び出せます。図1-2の場合,次のような利点があります。
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業務を段階的にオープン化する場合の対応が容易になります。
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実業務に応じたビジネスプロセスを実現できます。
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在庫状況や生産進捗状況を的確に把握し,迅速な納期回答ができます。
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リードタイムを短縮できます。
サービスプラットフォームの実行環境および運用環境には,アプリケーションサーバの実行環境の機能に加えてサービス統合を実現するための機能があります。SOAの中心であるエンタープライズサービスバス機能を持ち,サービスを自由に組み合わせて,実行する戦略の変化に即応したシステムを構築できます。既存システムから切り出したサービスや外部から提供されるサービスも自由に組み合わせて,信頼性の高いシステムを構築できます。
サービスプラットフォームの開発環境には,アプリケーションサーバの開発環境の機能に加えてサービス統合を実現するための機能があります。ビジネスプロセス定義,データ変換定義,およびサービスアダプタ定義など,プロセス統合に必要な定義ツールをEclipseのPlug-inとして使用できます。ビジネスプロセスからサービスの接続まで,Eclipse上の一連の操作でプロセス統合ができます。
SOAを適用したシステム開発手法の中で,サービスプラットフォームの開発環境では,インタフェースを含むビジネスプロセスの詳細設計から実装・テストまでをサポートしています。サービスプラットフォームの機能を利用すれば,コンポーネントの設計・実装ができます。
これによって,すでにアプリケーションの実行環境やサービスプラットフォーム以外の環境で稼働しているサービスを統合して,新しいサービスとしてユーザに提供できます。