Hitachi

TPBroker Version 5 トランザクショナル分散オブジェクト基盤 TPBroker ユーザーズガイド


7.7.1 トレースファイル

トランザクショントレースは,OTSデーモンが作成した共用メモリにいったん格納され,その後トレースファイルへ記録されます。トレースファイルが存在しない場合,新規に作成されます。OTSデーモンが作成する共用メモリのサイズは約512キロバイトです。

トレースファイルは,trn_xxx(xxx:001〜トランザクショントレース定義で設定した値)のファイル名で出力されます。トレースファイルがトランザクショントレース定義に設定したファイルサイズを超えると,新規にトレースファイルを作成し,以降のトレース情報は新しいファイルに記録されます。この場合,古いトレースファイルは世代管理され,バックアップとして残されます。世代数はトランザクショントレース定義で設定してください。

トレースファイルの世代管理の流れを次の図に示します。

図7‒1 トレースファイルの世代管理

[図データ]

説明
  1. trn_001にトランザクショントレースが記録される。

  2. trn_001のファイルサイズがトランザクショントレース定義に設定した値を超えると,新規にトレースファイル(trn_002)が作成される。

  3. trn_001はバックアップファイルになり,以降のトレース情報はtrn_002に記録される。

  4. trn_002のファイルサイズがトランザクショントレース定義に設定した値を超えると,新規にトレースファイル(trn_003)が作成される。

  5. trn_002はバックアップファイルになり,以降のトレース情報はtrn_003に記録される。

  6. trn_003のファイルサイズがトランザクショントレース定義に設定した値を超えると,trn_001を初期化する。

  7. trn_003はバックアップファイルになり,以降のトレース情報はtrn_001に記録される。

    注※

    トランザクショントレース定義に設定したトレースファイルの世代数を超えると,trn_001(最も古いバックアップファイル)を初期化してtrn_001の先頭からトレース情報を記録します。

トレースファイルは,OTSデーモンが起動(正常起動または再起動)するたびに,前回記録していたファイルの次の世代のファイルから記録を開始します。記録するファイルを決定するために,最新ファイルを検索します。検索は,ファイルの先頭部分(ファイルの世代データなど)だけをチェックするため,ファイルサイズは性能に影響しません。ただし,存在するすべてのトレースファイルがチェック対象のため,ファイル数は性能に影響します。トランザクショントレース定義/OTS/TRC/max_trntrace_file_countの値を設定するときは,このことを考慮してください。

トレースファイルのファイルサイズがトランザクショントレース定義/OTS/TRC/max_trntrace_file_sizeに設定したサイズを超過した場合,次のファイルに切り替わって記録を続けます。切り替えるファイルがすでに存在していたときは,ファイルを初期化し,ファイルの先頭から記録します。

記録しているトレースファイルが削除された場合,トレースデーモンはそのファイルに記録し続けているように動作します。その間に運用中のトランザクショントレースデータは失われます。ただし,トレース情報がトランザクショントレース定義/OTS/TRC/max_trntrace_file_sizeに設定したサイズを超過してトレースファイルが次のファイルに切り替わるタイミングで,トレースファイルへの記録が再開始されます。