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Cosminexus V11 アプリケーションサーバ & BPM/ESB基盤 概説


4.3.9 仮想化への対応

近年,システムの高度化・複雑化が進み,システムで使用するサーバ数は増加しています。しかし,サーバの台数を増やすことで維持および管理コストが増大するおそれがあります。この問題に対する解決方法として,サーバの仮想化技術の適用が考えられます。仮想化技術の適用によって,物理サーバの台数はそのままでサーバを増やすことができます。ただし,仮想化したサーバは増加傾向にあるため,仮想化したサーバ上にJ2EEアプリケーションの実行環境を構築,運用するための負荷は減りません。

アプリケーションサーバの機能を使用すると,サーバの仮想化技術を使用したシステムの構築,運用が容易になります。これによって,次のことが実現できます。

仮想サーバ上で動作するアプリケーションサーバを構築および運用する場合の詳細については,マニュアル「アプリケーションサーバ 仮想化システム構築・運用ガイド」を参照してください。

参考

08-50モードの仮想サーバマネージャを利用する場合,アプリケーションサーバで構築できる仮想化システムの構成パターンは決まっています。ぞれぞれのシステム構成パターンについて説明します。

  • パターン1:テスト環境のオンデマンド提供

    Webアプリケーションの開発者向けに提供するテスト環境を仮想化し,開発者の要望に応じてオンデマンドに提供する用途を想定しています。

  • パターン2:実行環境の持続的運用

    Webシステムを仮想化環境に構築して性能と信頼性を確保しつつ,各サーバの実行環境を持続的に運用することで安定稼働を維持する用途を想定しています。

  • パターン3:実行環境のスケールアウト

    Webシステムを仮想化環境に構築してシステム構成の柔軟性を生かします。業務量の増大に応じてスケールアウト(拡大)し,各サーバの環境を常に最新に保つ運用を想定しています。

  • パターン4:小規模部門サーバの集約

    散在する部門サーバを仮想化環境に集約し,TCOを削減するシンプルな構成と運用を想定しています。

08-53以降の場合に,08-50モードの仮想サーバマネージャを利用するときは設定が必要です。詳細は,マニュアル「アプリケーションサーバ 仮想化システム構築・運用ガイド」の「付録D 08-50モードの仮想サーバマネージャを利用する場合の設定」を参照してください。

また,08-50モードの仮想サーバマネージャでは,次のことが実現できます。

  • 複数の仮想サーバ上に同じJ2EEアプリケーションを実行する環境を一括で構築および運用できます。

  • コマンドの実行で,仮想サーバをスケールインまたはスケールアウトできます。

  • 業務を止めることなく仮想サーバの内容を変更できます。

    仮想サーバ上のOSの更新プログラムを適用したい場合や,アプリケーションサーバの定義情報を変更したい場合などは,イメージを更新すると,その更新内容を複数の仮想サーバに反映できます。

    コマンド1つで複数の仮想サーバに対してイメージを反映できることが特長です。仮想サーバが稼働している場合でも,停止している場合でも変更できます。1台ずつ反映していくことで,業務を完全に止めることなく変更内容を反映できます。