1対1または1対複数のFTPクライアント間でファイルを送受信する転送パターンについて説明します。
この転送パターンでは,ファイルの送信側と受信側のシステムが任意のタイミングでHCSCサーバにアクセスできるため,海外拠点のように運用時間帯が異なるシステム間でファイル転送を行う場合に活用できます。
ファイル転送の流れを次の図に示します。
この図では,FTPクライアントAからSTORコマンドまたはAPPEコマンドを実行してHCSCサーバにファイルを送信(図中の番号1.〜11.)したあと,FTPクライアントBからRETRコマンドを実行してHCSCサーバ内のファイルを取得(図中の番号12.〜23.)しています。
図8-8 FTPクライアントから別のFTPクライアントへのファイル転送の流れ
図中の制御,転送データ,およびビジネスプロセスの流れについて説明します。次の番号は,図中の番号と対応しています。
- FTPクライアントAが転送コマンド(STORコマンドまたはAPPEコマンド)を実行します。
- 転送コマンドを受け取ったFTPインバウンドアダプタがFTP受付Aを呼び出します。
- FTP受付Aが作業フォルダAを作成します。
- FTPクライアントAから転送されたファイルのデータが,作業フォルダA内に中間ファイルとして出力されます。
- FTP受付AがビジネスプロセスAを呼び出します。このとき,FTPクライアントAから受け取った転送コマンドや中間ファイルのファイル名などの情報は,要求電文に格納されてビジネスプロセスAに渡されます。
- ビジネスプロセスAからファイル操作アダプタAが呼び出され,作業フォルダAの中間ファイルにアクセスします。
- ファイル操作アダプタAは,作業フォルダA内の中間ファイルを共通フォルダ(ユーザが作成する任意のフォルダ)内に複製します。
- ビジネスプロセスAで応答アクティビティが実行されたあと,FTP受付Aに応答電文が渡されます。
- FTP受付Aが作業フォルダAおよび作業フォルダA内の中間ファイルを削除します。
- FTP受付AからFTPインバウンドアダプタに応答を返します。
- 応答を受け取ったFTPインバウンドアダプタは,転送コマンドの実行結果をFTPクライアントAに返します。
- FTPクライアントBが転送コマンド(RETRコマンド)を実行します。
- 転送コマンドを受け取ったFTPインバウンドアダプタがFTP受付Bを呼び出します。
- FTP受付Bが作業フォルダBを作成します。
- FTP受付BがビジネスプロセスBを呼び出します。このとき,FTPクライアントBから受け取った転送コマンドなどの情報は,要求電文に格納されてビジネスプロセスBに渡されます。
- ビジネスプロセスBからファイル操作アダプタBが呼び出され,共通フォルダ内のファイルにアクセスします。
- ファイル操作アダプタBは,共通フォルダ内のファイルを作業フォルダBに複製します。
- ビジネスプロセスBからファイル操作アダプタCが呼び出されたあと,ファイル操作アダプタCは,作業フォルダB内の中間ファイルを読み込んで,レイアウト変換やコード変換などの処理をします。
- ビジネスプロセスBで応答アクティビティが実行されたあと,FTP受付Bに中間ファイルの情報を含んだ応答電文が渡されます。
- 応答電文で示された中間ファイルのデータがFTPインバウンドアダプタからFTPクライアントBに転送されます。
- FTP受付Bは,作業フォルダBおよび作業フォルダB内の中間ファイルを削除します。
- FTP受付BからFTPインバウンドアダプタに応答を返します。
- 応答を受け取ったFTPインバウンドアダプタは,FTPクライアントBに転送コマンドの実行結果を返します。
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