Cosminexus V9 BPM/ESB基盤 サービスプラットフォーム 解説

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5.1.1 HCSCサーバ内の多重度

多重度の設定が良くない場合,性能上のボトルネックになるおそれがあります。

多重度の設定によってボトルネックになる例を次の図に示します。

図5-1 多重度の設定によってボトルネックになる例

[図データ]

図5-1 多重度の設定によってボトルネックになる例」に示すように,リクエスト受付(標準受付またはユーザ定義受付)の多重度が小さいと,一度にたくさん要求が来ても同時に処理ができないため,一度に実行できる処理が少なくなります。また,リクエスト受付の多重度を大きくしても,サービスアダプタで定義している多重度が小さいと,サービスアダプタで一度に実行できる処理が少ないため,サービスアダプタがボトルネックになり,意図した性能を得られなくなります。

<この項の構成>
(1) HCSCサーバでの多重度
(2) Webサービス(SOAP通信)での多重度

(1) HCSCサーバでの多重度

多重度は,同期(Webサービス)の標準受付の場合は,スレッド数および最大同時実行数で設定します。同期(SessionBean)の標準受付の場合は,インスタンス数で設定します。HCSCサーバ内の多重度の設定について,「表5-1 標準受付の多重度を設定するプロパティ」,「表5-2 ユーザ定義受付の多重度を設定するプロパティ」,および「表5-3 サービスアダプタの多重度を設定する項目」に示します。

表5-1 標準受付の多重度を設定するプロパティ

定義ファイル プロパティ 内容
HCSCサーバランタイム定義ファイル request-ejb.instance.minimum 同期(SessionBean)の標準受付のインスタンス最小数
request-ejb.instance.maximum 同期(SessionBean)の標準受付のインスタンス最大数
request-ejb.parallel.count CTMがアプリケーションを呼び出すために用意するスレッド数
request-soap.instance.minimum 同期(Webサービス・SOAP1.1)の標準受付の最小同時実行数
request-soap.instance.maximum 同期(Webサービス・SOAP1.1)の標準受付の最大同時実行数
request-soap1_2.instance.minimum 同期(Webサービス・SOAP1.2)の標準受付の最小同時実行数
request-soap1_2.instance.maximum 同期(Webサービス・SOAP1.2)の標準受付の最大同時実行数
request-jms.instance.maximum 非同期(MDB(WS-R))の標準受付のインスタンス最大数

表5-2 ユーザ定義受付の多重度を設定するプロパティ

定義ファイル プロパティ 内容
ユーザ定義受付ランタイム定義ファイル user-defined-reception-soap.threads.maximum 最大同時実行数

表5-3 サービスアダプタの多重度を設定する項目

画面 内容
開発環境でのサービスアダプタ定義画面 最大インスタンス数

最大インスタンス数に0を指定した場合は,上限が設定されないで無制限になります。

(2) Webサービス(SOAP通信)での多重度

Webサービス(SOAP通信)の場合,同時実行数のほかにWebコンテナレベルでの最大キュー滞留数を設定できます。最大同時実行数と最大キュー滞留数を設定しておくと,サービスリクエスタからの要求を受けたときに,実際の処理をしないで処理を待たせておけるため,流量制御ができます。サービスリクエスタからの要求と最大キュー滞留数の関係を次の図に示します。

図5-2 サービスリクエスタからの要求と最大キュー滞留数の関係

[図データ]

例えば,「図5-2 サービスリクエスタからの要求と最大キュー滞留数の関係」に示すように,最大同時実行数を3とした場合,最大キュー滞留数を10にしておくと,同時にきたサービス部品呼び出し要求のうち,3件までは同時に処理されます。同時実行数より多くのサービス部品呼び出し要求(4件以上)がきた場合は,最大キュー滞留数(10件)までは,処理待ちの状態となり,先に実行されている処理が終わり次第,順次処理が実行されます。

最大キュー滞留数の数が上限(10件)まで達している場合に,さらにサービスリクエスタからサービス部品呼び出し要求がきた場合は,要求は受け付けられないため,エラーとしてサービスリクエスタに応答されます。

HCSCサーバ内の最大キュー滞留数は,「表5-4 標準受付の最大キュー滞留数を設定するプロパティ」および「表5-5 ユーザ定義受付の最大キュー滞留数を設定するプロパティ」に示す定義ファイルのプロパティで設定します。

表5-4 標準受付の最大キュー滞留数を設定するプロパティ

定義ファイル プロパティ 内容
HCSCサーバランタイム定義ファイル request-soap.queue-size 同期(Webサービス・SOAP1.1)の標準受付の実行待ちキューのサイズ
request-soap1_2.queue-size 同期(Webサービス・SOAP1.2)の標準受付の実行待ちキューのサイズ

表5-5 ユーザ定義受付の最大キュー滞留数を設定するプロパティ

定義ファイル プロパティ 内容
ユーザ定義受付ランタイム定義ファイル user-defined-reception-soap.queue-size 実行待ちキューサイズ