Cosminexus V9 BPM/ESB基盤 サービスプラットフォーム 解説

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2.12.2 メールアダプタを使用したシステム

メールアダプタは,SMTPプロトコルをサポートしたメールサーバをサービスプラットフォーム上でサービスとして呼び出すことができます。

メールアダプタを利用することで,ビジネスプロセスが正常に完了した場合や,システムに障害が発生した場合に,ユーザやシステム管理者にメールで通知できるようになります。また,FTP受付やFTPアダプタと連携して利用することで,任意のファイルをメールに添付して送信することもできます。

メールアダプタを利用したシステムの例を次に示します。

それぞれのシステムの例について説明します。なお,FTP受付やFTPアダプタの機能については,「8. FTPと連携してファイルを転送する機能(FTP連携)」を参照してください。

また,TLSを利用した暗号化をサポートしているメールサーバとの連携に関する設定方法については,マニュアル「サービスプラットフォーム 開発ガイド 受付・アダプタ定義編」の「付録J メールアダプタで必要なセキュリティの設定」を参照してください。

<この項の構成>
(1) FTPクライアントから転送されたファイルをメールに添付して送信する
(2) FTPサーバから取得したファイルをメールに添付して送信する
(3) ワークフロー案件の承認依頼をメールで送信する
(4) 非同期のビジネスプロセスの完了通知をメールで送信する
(5) ビジネスプロセスの実行中に障害が発生したことをメールで通知する

(1) FTPクライアントから転送されたファイルをメールに添付して送信する

この例では,ユーザがFTPクライアントから転送したファイルをメールに添付して別のユーザに送信しています。

図2-90 メールアダプタを利用したシステムの例(1)

[図データ]

メール送信および添付ファイルの流れを次に示します。なお,次の番号は図中の番号と対応しています。

  1. ユーザAのFTPクライアントからPUTオペレーションで任意のファイルをサービスプラットフォームに転送します。転送されたファイルは,FTP受付が作成したHCSCサーバ内の作業フォルダに保存されます。
  2. ビジネスプロセスから呼び出されたファイル操作アダプタによって,作業フォルダのファイルが共通フォルダにコピーされます。また,必要に応じてファイル操作アダプタでフォーマット変換/ファイル変換が実施されます。
  3. ビジネスプロセスからメールアダプタが呼び出されます。
  4. 共通フォルダのファイルがメールの添付ファイルとして設定されます。
  5. メールアダプタから同一LAN内のメールサーバにメールが送信されます。
  6. 添付ファイルが設定されたメールがネットワークを介してメールサーバからユーザBに送信されます。

(2) FTPサーバから取得したファイルをメールに添付して送信する

この例では,SOAPクライアントからビジネスプロセスを開始したあと,FTPアダプタ経由でFTPサーバから取得されたファイルをメールに添付して,別のユーザに送信しています。

図2-91 メールアダプタを利用したシステムの例(2)

[図データ]

メール送信および添付ファイルの流れを次に示します。なお,次の番号は図中の番号と対応しています。

  1. ユーザAのサービスリクエスタ(SOAPクライアント)からサービスプラットフォームのWebサービスを呼び出します。
  2. ビジネスプロセスからFTPアダプタが呼び出されます。
  3. FTPアダプタのGETオペレーションによって,FTPサーバから共通フォルダにファイルが転送されます。
  4. ビジネスプロセスからメールアダプタが呼び出されます。
  5. 共通フォルダに保存されたファイルがメールの添付ファイルとして設定されます。
  6. メールアダプタから同一LAN内のメールサーバにメールが送信されます。
  7. 添付ファイルが設定されたメールがネットワークを介してメールサーバからユーザBに送信されます。

(3) ワークフロー案件の承認依頼をメールで送信する

この例では,ビジネスプロセスからサービスアダプタ経由でワークフローアプリケーションが呼び出されたあと,承認者に承認依頼メールを通知してワークフローを処理しています。

図2-92 メールアダプタを利用したシステムの例(3)

[図データ]

メール送信の流れを次に示します。なお,次の番号は図中の番号と対応しています。

  1. ユーザAのサービスリクエスタ(SOAPクライアント)からサービスプラットフォームのWebサービスを呼び出します。
  2. ビジネスプロセスからサービスアダプタを経由してワークフローアプリケーションが呼び出されます。
  3. ワークフローの処理が開始され,承認プロセス待ちの状態になります。
  4. ビジネスプロセスからメールアダプタが呼び出されます。
  5. 承認サイトのURLがメール本文に設定されます。
  6. メールがユーザB(承認者)に送信されたあと,ユーザB(承認者)は,メール本文に記載されたURLをクリックして承認プロセスを実施します。

(4) 非同期のビジネスプロセスの完了通知をメールで送信する

非同期のビジネスプロセスの場合,サービスリクエスタへの応答後にビジネスプロセスの処理が続行しても,ユーザには以降の処理の完了が通知されません。この例では,メールアダプタを使用して,非同期のビジネスプロセスが完了したことをユーザにメールで通知しています。

図2-93 メールアダプタを利用したシステムの例(4)

[図データ]

メール送信の流れを次に示します。なお,次の番号は図中の番号と対応しています。

  1. ユーザAのサービスリクエスタ(SOAPクライアント)からサービスプラットフォームのWebサービスを呼び出します。
  2. ユーザAのサービスリクエスタに応答電文が返されます。
  3. 非同期のビジネスプロセスからサービスアダプタが呼び出され,サービスを実行します。
  4. 非同期のビジネスプロセスからメールアダプタが呼び出されます。
  5. サービス呼び出しの処理が正常に完了したことがメール本文に記載されます。
  6. ユーザBにメールが送信されたあと,ユーザBは処理が完了したことを確認します。

(5) ビジネスプロセスの実行中に障害が発生したことをメールで通知する

この例では,ビジネスプロセスのサービス呼び出し中にエラーが起きた場合に,メール経由でシステム管理者にエラーを通知しています。

図2-94 メールアダプタを利用したシステムの例(5)

[図データ]

メール送信の流れを次に示します。なお,次の番号は図中の番号と対応しています。

  1. ユーザAのサービスリクエスタ(SOAPクライアント)からサービスプラットフォームのWebサービスを呼び出します。
  2. ビジネスプロセスのスコープ内でサービス呼び出し中に障害が発生し,サービスリクエスタにフォルト電文が返されます。
  3. ビジネスプロセスの処理がエラー時のフロー(フォルト処理)に遷移します。
  4. フォルト処理内でメールアダプタが呼び出されます。
  5. エラーメッセージがメール本文に記載されます。
  6. ユーザB(システム管理者)にメールが送信されたあと,ユーザB(システム管理者)はエラーの発生を確認し,トラブルシュートを実施します。