Cosminexus V9 アプリケーションサーバ 機能解説 互換編
メモリセッションフェイルオーバ機能を使用すると,リクエストによるセッションの生成処理が発生したときに,引き継ぎ対象に指定したセッション情報をSFOサーバに冗長化できます。そのため,J2EEサーバまたはWebサーバで障害が発生した場合も,ほかのJ2EEサーバでSFOサーバに格納されているセッション情報を基にセッションを再生成し,正常に業務を続行できます。
なお,SFOサーバで障害が発生した場合は,すべてのセッション情報は削除されます。また,SFOサーバでの障害発生後にリクエストを受け付けた場合は,SFOサーバへのセッション情報の冗長化は実施されません。
セッション情報の格納の流れ,および障害が発生した場合の処理について説明します。
メモリセッションフェイルオーバ機能を使用すると,リクエストによるセッションの作成処理が発生したときに,処理の延長上でセッション情報がSFOサーバに格納されます。
セッション情報の格納の流れを次の図に示します。
図6-1 セッション情報の格納の流れ
Webサーバがクライアントからセッションの作成が必要なリクエストを受け取ると,J2EEサーバでセッションが作成されます(1.)。セッションの作成処理の延長上で,セッション情報が作成され(2.),セッション情報がSFOサーバに格納されます(3.)。
WebサーバまたはJ2EEサーバで障害が発生した場合,SFOサーバに格納されているセッション情報を基に,ほかのJ2EEサーバでセッションを再作成し,正常に業務を続行できます。
WebサーバまたはJ2EEサーバで障害が発生した場合の処理について,次の図に示します。
図6-2 WebサーバまたはJ2EEサーバで障害が発生した場合の処理
Webサーバ1/J2EEサーバ1で障害が発生すると,負荷分散機によってWebサーバ2へリクエストが転送されます(1.)。転送先のJ2EEサーバ2でリクエストを処理するとき,リクエストに関連づけられたセッションが存在しないため,SFOサーバからセッション情報を取得して(2.),セッションを再作成します(3.)。
セッションが正常に引き継がれ,障害発生前の状態で業務を続行できます。
データベースセッションフェイルオーバ機能とメモリセッションフェイルオーバ機能ではHTTPセッションの情報の格納先が異なります。そのため,二つの機能には次の表に示す機能差異があります。
表6-2 データベースセッションフェイルオーバ機能とメモリセッションフェイルオーバ機能の機能差異
| 比較項目 | 機能差異 | |
|---|---|---|
| データベースセッションフェイルオーバ機能 | メモリセッションフェイルオーバ機能 | |
| HTTPセッションの情報の格納先 | データベース | SFOサーバ(メモリ) |
| J2EEサーバに障害が発生した際の動作 | 障害発生直前の状態から業務が再開できます。 | 障害発生直前の状態から業務が再開できます。 |
| HTTPセッションの情報の格納先に障害が発生した際の動作 | J2EEサーバ上のセッション情報を操作して業務を続行できます。 | システム内のすべてのHTTPセッションが削除され,業務は再開できません。 |
| システムの可用性 | データベースセッションフェイルオーバ機能が優れています。 | |
| リクエスト処理性能 | メモリセッションフェイルオーバ機能が優れています。 | |
メモリセッションフェイルオーバ機能とデータベースセッションフェイルオーバ機能は同時に使用できません。機能差異を踏まえて,システムに適した機能を選択してください。なお,メモリセッションフェイルオーバ機能とデータベースセッションフェイルオーバ機能を同時に有効にする設定をした場合,アプリケーションの開始に失敗します。
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