Cosminexus V9 アプリケーションサーバ 機能解説 拡張編

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7.3.4 グローバルセッション情報操作中の障害発生時の動作

グローバルセッション情報の操作中の障害発生時の動作について説明します。ここでは,グローバルセッション情報の操作ごとに,障害が発生したポイント,セッションの状態,他のリクエストへの影響,および出力されるメッセージについて説明します。

<この項の構成>
(1) グローバルセッション情報の作成時に障害が発生した場合の動作
(2) グローバルセッション情報更新時に障害が発生した場合の動作
(3) グローバルセッション情報の削除時に障害が発生した場合の動作
(4) 有効期限切れによるグローバルセッション情報削除時に障害が発生した場合の動作
(5) グローバルセッション情報を使用したグローバルセッション引き継ぎ時に障害が発生した場合の動作

(1) グローバルセッション情報の作成時に障害が発生した場合の動作

グローバルセッション情報の作成時に,J2EEサーバ障害またはEADsクライアント・EADsサーバ障害が発生した場合の動作について説明します。

グローバルセッション情報の作成処理の流れと障害発生のポイントを次の図に示します。

図7-9 グローバルセッション情報の作成処理の流れと障害発生のポイント(EADsセッションフェイルオーバ機能)

[図データ]

以降の説明では,図中の数字(J2EEサーバの障害発生ポイント)またはアルファベット(EADsクライアントまたはEADsサーバの障害発生ポイント)と,表中の障害発生ポイントの数字またはアルファベットが対応しています。

(a) J2EEサーバ障害発生時の動作

グローバルセッション情報の作成時にJ2EEサーバ障害が発生し,プロセスダウンした場合の動作を次の表に示します。

表7-15 J2EEサーバ障害発生時の動作(グローバルセッション情報の作成)

障害発生ポイント セッションの状態 冗長化された他のJ2EEサーバでのグローバルセッション情報の引き継ぎ
J2EEサーバのHTTPセッション グローバルセッション情報
1:グローバルセッション情報の格納前 作成されない 作成されない グローバルセッション情報が作成されないため,引き継ぎ対象なし
2:グローバルセッション情報の格納中:EADsサーバへのデータ送信が完了する前 なし
3:グローバルセッション情報の格納中 作成される グローバルセッション情報は作成されているが,使用状況が“NEW”(HTTPセッションの属性情報が格納されていない)のため,引き継ぎの対象とされない。
ただし,Webアプリケーション開始時のグローバルセッション情報の引き継ぎでは,使用状況が“NEW”でも引き継ぎの対象となる。
4:グローバルセッション情報の格納後 プロセスダウンによって消滅
(b) EADsクライアント・EADsサーバ障害

グローバルセッション情報の作成時にEADsクライアント・EADsサーバ障害が発生し,CacheExceptionが発生した場合の動作を次の表に示します。

表7-16 EADsクライアント・EADsサーバ障害が発生した場合の動作(グローバルセッション情報の作成)

障害発生ポイント 障害の内容 セッションの状態 Webアプリケーションの動作 メッセージ
J2EEサーバのHTTPセッション グローバルセッション情報
A:グローバルセッション情報の格納 コピー先サーバ上のデータ作成に失敗 縮退して作成される※1 作成される※2 正常終了 KDJE34420-W
上記以外 縮退して作成される※1 作成されない 正常終了 KDJE34427-W

注※1 縮退したHTTPセッションは,次回リクエスト受信時のグローバルセッション情報の更新処理でEADsサーバ上のセッション情報キャッシュに反映されます。

注※2 グローバルセッション情報の格納先サーバ上にはグローバルセッション情報が作成されますが,すべてまたは一部のコピー先サーバ上にはグローバルセッション情報が作成されません。


(2) グローバルセッション情報更新時に障害が発生した場合の動作

グローバルセッション情報の更新時に,J2EEサーバ障害またはEADsクライアント・EADsサーバ障害が発生した場合の動作について説明します。

グローバルセッション情報の更新処理の流れと障害発生のポイントを次の図に示します。

図7-10 グローバルセッション情報の更新処理の流れと障害発生のポイント(EADsセッションフェイルオーバ機能)

[図データ]

(a) J2EEサーバ障害発生時の動作

グローバルセッション情報の更新時にJ2EEサーバ障害が発生し,プロセスダウンした場合の動作を次の表に示します。

表7-17 J2EEサーバ障害発生時の動作(グローバルセッション情報の更新)

障害発生ポイント セッションの状態 冗長化された他のJ2EEサーバでのグローバルセッション情報の引き継ぎ
J2EEサーバのHTTPセッション グローバルセッション情報
1:グローバルセッション情報の更新前 プロセスダウンによって消滅 更新されない 更新前のグローバルセッション情報が引き継がれる
2:グローバルセッション情報の更新中(EADsサーバへのデータ送信が完了する前)
3:グローバルセッション情報の更新中(EADsサーバへのデータ送信が完了したあと) 更新される 更新後のグローバルセッション情報が引き継がれる
4:グローバルセッション情報の更新後
(b) EADsクライアント・EADsサーバ障害発生時の動作

グローバルセッション情報の更新時にEADsクライアント・EADsサーバ障害が発生し,CacheExceptionが発生した場合の動作を次の表に示します。

表7-18 EADsクライアント・EADsサーバ障害が発生した場合の動作(グローバルセッション情報の更新)

障害発生ポイント 障害の内容 セッションの状態 Webアプリケーションの動作 メッセージ
J2EEサーバのHTTPセッション グローバルセッション情報
A:グローバルセッション情報の更新 セッション情報のコピー先サーバ上のデータ更新に失敗 縮退して作成される※1 作成される※2 正常終了 KDJE34420-W
上記以外 縮退して作成される※1 作成されない 正常終了 KDJE34427-W

注※1 縮退したHTTPセッションは,次回リクエスト受信時のグローバルセッション情報の作成または更新処理でEADsサーバ上のセッション情報キャッシュに反映されます。

注※2 セッション情報の格納先サーバ上のグローバルセッション情報は更新されますが,すべてまたは一部のコピー先サーバ上のグローバルセッション情報は更新されません。


(3) グローバルセッション情報の削除時に障害が発生した場合の動作

グローバルセッション情報の削除時に,J2EEサーバ障害またはEADsクライアント・EADsサーバ障害が発生した場合の動作について説明します。

グローバルセッション情報の削除処理の流れと障害発生のポイントを次の図に示します。

図7-11 グローバルセッション情報の削除処理の流れと障害発生のポイント(EADsセッションフェイルオーバ機能)

[図データ]

(a) J2EEサーバ障害発生時の動作

グローバルセッション情報の削除時にJ2EEサーバ障害が発生し,プロセスダウンした場合の動作を次の表に示します。

表7-19 J2EEサーバ障害発生時の動作(グローバルセッション情報の削除)

障害発生ポイント セッションの状態 冗長化された他のJ2EEサーバでのグローバルセッション情報の引き継ぎ
J2EEサーバのHTTPセッション グローバルセッション情報
1:グローバルセッション情報の削除前 プロセスダウンによって消滅 削除されない グローバルセッション情報が削除されていないため引き継がれる
2:グローバルセッション情報の削除中(EADsサーバへのデータ送信が完了する前)
3:グローバルセッション情報の削除中(EADsサーバへのデータ送信が完了したあと) 削除される グローバルセッション情報が削除されているため引き継がれない
4:グローバルセッション情報の削除後
(b) EADsクライアント・EADsサーバ障害発生時の動作

グローバルセッション情報の削除時にEADsクライアント・EADsサーバ障害が発生し,CacheExceptionが発生した場合の動作を次の表に示します。

表7-20 EADsクライアント・EADsサーバ障害が発生した場合の動作(グローバルセッション情報の削除)

障害発生ポイント 障害の内容 セッションの状態 Webアプリケーションの動作 メッセージ
J2EEサーバのHTTPセッション グローバルセッション情報
A:グローバルセッション情報の削除 セッション情報のコピー先サーバ上のデータ削除に失敗 削除される 削除される※1 正常終了 KDJE34422-E
上記以外 削除されない※2 正常終了 KDJE34423-E※3

注※1 セッション情報の格納先サーバ上のグローバルセッション情報は削除されますが,すべてまたは一部のコピー先サーバ上のグローバルセッション情報は削除されないで残ります。この場合の影響と対応については,マニュアル「アプリケーションサーバ 機能解説 保守/移行編」の「2.5.4 EADsセッションフェイルオーバ機能でトラブルが発生した場合」を参照してください。

注※2 セッション情報の格納先サーバ,およびすべてのコピー先サーバ上のグローバルセッション情報が削除されないで残ります。この場合の影響と対応については,マニュアル「Elastic Application Data store ユーザーズガイド」を参照してください。

注※3 初めての障害発生時にだけメッセージが出力されます。それ以降はWebアプリケーションを再開始するまで同じ障害ではメッセージは出力されません。


(4) 有効期限切れによるグローバルセッション情報削除時に障害が発生した場合の動作

有効期限切れによるグローバルセッション情報削除時に,J2EEサーバ障害またはEADsクライアント・EADsサーバ障害が発生した場合の動作について説明します。

有効期限切れによるグローバルセッション情報削除処理の流れと障害発生のポイントを次の図に示します。

図7-12 有効期限切れによるグローバルセッション情報削除処理の流れと障害発生のポイント(EADsセッションフェイルオーバ機能)

[図データ]

(a) J2EEサーバ障害発生時の動作

有効期限切れによるグローバルセッション情報の削除時にJ2EEサーバ障害が発生し,プロセスダウンした場合の動作を次の表に示します。

表7-21 J2EEサーバ障害発生時の動作(有効期限切れによるグローバルセッション情報の削除)

障害発生ポイント セッションの状態 冗長化された他のJ2EEサーバでのグローバルセッション情報の引き継ぎ
J2EEサーバのHTTPセッション グローバルセッション情報
1:有効期限確認処理の待機 プロセスダウンによって消滅 削除されない グローバルセッション情報が削除されていないため引き継がれる
2:グローバルセッション情報の削除中(EADsサーバへのデータ送信が完了する前)
3:グローバルセッション情報の削除中(EADsサーバへのデータ送信が完了したあと) 削除される グローバルセッション情報が削除されているため引き継がれない
(b) EADsクライアント・EADsサーバ障害発生時の動作

有効期限切れによるグローバルセッション情報の削除時にEADsクライアント・EADsサーバ障害が発生し,CacheExceptionが発生した場合の動作を次の表に示します。

表7-22 EADsクライアント・EADsサーバ障害が発生した場合の動作(有効期限切れによるグローバルセッション情報の削除)

障害発生ポイント 障害の内容 セッションの状態 Webアプリケーションの動作 メッセージ
J2EEサーバのHTTPセッション グローバルセッション情報
A:グローバルセッション情報の削除 セッション情報のコピー先サーバ上のデータ削除に失敗 削除される 削除される※1 KDJE34422-E
上記以外 削除されない※2 KDJE34423-E※3

(凡例)−:該当なし

注※1 セッション情報の格納先サーバ上のグローバルセッション情報は削除されますが,すべてまたは一部のコピー先サーバ上のグローバルセッション情報は削除されないで残ります。この場合の影響と対応については,マニュアル「アプリケーションサーバ 機能解説 保守/移行編」の「2.5.4 EADsセッションフェイルオーバ機能でトラブルが発生した場合」を参照してください。

注※2 セッション情報の格納先サーバ,およびすべてのコピー先サーバ上のグローバルセッション情報が削除されないで残ります。この場合の影響と対応については,マニュアル「アプリケーションサーバ 機能解説 保守/移行編」の「2.5.4 EADsセッションフェイルオーバ機能でトラブルが発生した場合」を参照してください。

注※3 初めての障害発生時にだけメッセージが出力されます。それ以降はWebアプリケーションを再開始するまで同じ障害ではメッセージは出力されません。


(5) グローバルセッション情報を使用したグローバルセッション引き継ぎ時に障害が発生した場合の動作

グローバルセッション情報を使用したグローバルセッション引き継ぎ時に,J2EEサーバ障害またはEADsクライアント・EADsサーバ障害障害が発生した場合の動作について説明します。

グローバルセッション情報を使用したグローバルセッション引き継ぎ処理の流れと障害発生のポイントを次の図に示します。

図7-13 グローバルセッション情報を使用したグローバルセッション引き継ぎ処理の流れと障害発生のポイント(EADsセッションフェイルオーバ機能)

[図データ]

(a) J2EEサーバ障害発生時の動作

グローバルセッション情報を使用したグローバルセッション引き継ぎ時にJ2EEサーバ障害が発生し,プロセスダウンした場合の動作を次の表に示します。

表7-23 J2EEサーバ障害発生時の動作(グローバルセッション情報を使用したグローバルセッション引き継ぎ)

障害発生ポイント セッションの状態 冗長化された他のJ2EEサーバでのグローバルセッション情報の引き継ぎ
J2EEサーバのHTTPセッション グローバルセッション情報
1:ユーザファンクション実行前 プロセスダウンによって消滅 更新されない 更新前のグローバルセッション情報が引き継がれる
2:ユーザファンクション実行中 HTTPセッションの所有J2EEサーバ識別子だけ更新される 更新前のグローバルセッション情報が引き継がれる
3:グローバルセッション情報の更新前
4:グローバルセッション情報の更新中(EADsサーバへのデータ送信が完了する前)
5:グローバルセッション情報の更新中(EADsサーバへのデータ送信が完了したあと) 更新される 更新後のグローバルセッション情報が引き継がれる
6:グローバルセッション情報の更新後

注※ 使用状況が“NEW”(HTTPセッションの属性情報が格納されていない)または“SERIALIZE_FAIL”(前のリクエストでHTTPセッションのシリアライズに失敗している)の場合は,引き継ぎの対象とされません。ただし,Webアプリケーション開始時のグローバルセッション情報の引き継ぎでは,使用状況が“NEW”でも引き継ぎの対象となります。


(b) EADsクライアント・EADsサーバ障害

グローバルセッション情報の引き継ぎ時にEADsクライアント・EADsサーバ障害が発生し,CacheExceptionが発生した場合の動作を次の表に示します。

表7-24 EADsクライアント・EADsサーバ障害が発生した場合の動作(グローバルセッション情報を使用したグローバルセッション引き継ぎ)

障害発生ポイント セッションの状態 Webアプリケーションの動作 メッセージ
A:ユーザファンクション実行用のAPIを実行 引き継がれない 正常終了 KDJE34425-W
B:グローバルセッション情報の更新