この項では,バイナリデータを暗号化するアプリケーションの開発の流れを,コーディング例を示して説明します。
JAXPのDocumentBuilderを使用して空のDocumentオブジェクトを生成します。ここで生成するDocumentオブジェクトは,EncryptedData要素を文書要素とする暗号文書を作成するために必要となります。Documentオブジェクトを生成するときには,名前空間が有効になるように設定してください。コーディングの例を次に示します。
DocumentBuilderFactory dbf =
DocumentBuilderFactory.newInstance();
dbf.setNamespaceAware(true);
Document doc = dbf.newDocumentBuilder().newDocument();
XMLEncryptionFactoryクラスを使用してXMLEncryptionオブジェクトを生成し,暗号化に必要な暗号アルゴリズムを指定します。ここでは,暗号アルゴリズムにTripleDESを指定する場合のコーディングの例を示します。
XMLEncryptionFactory xef =
XMLEncryptionFactory.newInstance();
EncryptionMethod em = xef.newEncryptionMethod(
EncryptionMethod.URI_TRIPLEDES, null);
XMLEncryption xenc = xef.newXMLEncryption(em, null);
暗号データを生成するときは,コンテキストおよび暗号化対象のバイナリデータを指定してから,暗号データを生成します。ここでは,次の三つの処理について,コーディング例を示して説明します。
データの暗号化に必要なコンテキストを設定します。暗号化に使用するデータ暗号化鍵で鍵リゾルバを生成し,コンテキストに鍵リゾルバを設定します。コンテキストの処理モードは,「暗号化」を指定してください。コーディングの例を次に示します。
XMLSecurityContext context = new XMLSecurityContext(
XMLSecurityContext.Mode.ENCRYPT, doc);
context.setKeyResolver(
new AdhocKeyResolver(Utilities.getSecretKey()));
暗号化の対象とするバイナリデータを指定します。コーディングの例を次に示します。
DataContainer toBeEncrypted = new DataContainer(
new BufferedInputStream(new FileInputStream(input)));
「(b) 暗号化対象の指定」で指定したデータの暗号値を計算します。コーディングの例を次に示します。
DataContainer encrypted =
xenc.encrypt(context, toBeEncrypted);
XMLEncryptionFactoryクラスを使用して,EncryptedData要素以下の構文に対応するオブジェクトを生成します。この場合,CipherValue要素を使用して「(3)(c) 暗号データの生成」で計算した暗号値を設定します。次に,EncryptedDataクラスのgenerateメソッドを使用して,EncryptedData要素を生成します。生成したEncryptedData要素は,Documentオブジェクトに挿入します。コーディングの例を示します。
CipherData cd = xef.newCipherData(xef.newCipherValue(
encrypted.getAsByteArray()));
EncryptedData ed = xef.newEncryptedData(em, null, cd, null);
Element encelem = ed.generate(context);
doc.appendChild(encelem);
XMLSerializerクラスを使用して,暗号化したいバイナリデータをEncryptedData要素として挿入したDocumentオブジェクトをXML形式で出力します。冗長な名前空間を省略し,Shift_JISで出力する場合のコーディングの例を次に示します。
XMLOutputFormat format = new XMLOutputFormat();
format.setOmitRedundantNamespaceDecls(true);
format.setEncoding("Shift_JIS");
OutputStream os =
new BufferedOutputStream(
new FileOutputStream(output));
XMLSerializer xsr = new XMLSerializer(os, format);
xsr.serialize(doc);
os.close();