39.4.2 性能解析トレースのトレース出力情報

Application ServerのJAX-WS機能またはJAX-RS機能で出力する性能解析トレースのトレース出力情報を次の表に示します。

表39-17 性能解析トレースのトレース出力情報

項番ファイル項目内容
1イベントIDトレース取得ポイントのイベントIDです。
2クライアントアプリケーション情報ルートアプリケーション情報の有効範囲内のWebサービスクライアント,Webサービス間で一意の情報です。ただし,WS-RM 1.2機能の場合,一意ではありません。オプション情報を参照してください。
3ルートアプリケーション情報一連のリクエストに対する処理で,一意の情報です。ただし,WS-RM 1.2機能の場合,一意ではありません。オプション情報を参照してください。
4リターンコードトレース取得ポイントの種別(正常終了または異常終了)です。
5インタフェース名トレース取得ポイントのクラス名です。
6オペレーション名トレース取得ポイントのメソッド名です。
7オプション情報オプション情報です。

ここでは,クライアントアプリケーション情報とルートアプリケーション情報の有効範囲,およびトレース取得ポイントについて説明します。

<この項の構成>
(1) クライアントアプリケーション情報とルートアプリケーション情報の有効範囲
(2) 性能解析トレースのトレース取得ポイント

(1) クライアントアプリケーション情報とルートアプリケーション情報の有効範囲

クライアントアプリケーション情報とルートアプリケーション情報の有効範囲を,Webサービスの場合およびWebリソースの場合に分けて説明します。

(a) Webサービスの場合

次の図を基に,Webサービスの場合のクライアントアプリケーション情報とルートアプリケーション情報の有効範囲について説明します。

図39-5 クライアントアプリケーション情報とルートアプリケーション情報の有効範囲(Webサービスの場合)

[図データ]

ルートアプリケーション情報(通信番号,プロセスID,およびIPアドレスから構成されます)は,一連のリクエストに対する処理で一意となります。

Javaアプリケーションの開始コマンド(cjclstartap)で開始したWebサービスクライアント(A)からWebサービス(B)にリクエストが送信されると,Webサービス(B)がWebサービスクライアントになります。さらに,Webサービス(B)がWebサービスクライアントになって,ほかのWebサービス(C)および(D)にリクエストが送信されると,AからDまでが一意の値となります。

クライアントアプリケーション情報(通信番号,プロセスID,およびIPアドレスから構成されます)は,ルートアプリケーション情報の有効範囲内のWebサービスクライアント,およびWebサービスの一連のリクエストに対する処理で一意となります。

クライアントアプリケーション情報(1)~(4)は,異なるクライアントアプリケーション情報になります。

(b) Webリソースの場合

次の図を基に,Webリソースの場合のクライアントアプリケーション情報とルートアプリケーション情報の有効範囲について説明します。

図39-6 クライアントアプリケーション情報とルートアプリケーション情報の有効範囲(Webリソースの場合)

[図データ]

この図では,Webリソースクライアント(A)とWebリソース/Webリソースクライアント(B)はRESTful Webサービス用クライアントAPIを使用しています。Webリソース/Webリソースクライアント(B),Webリソース(C)およびWebリソース(D)はJAX-RSエンジンで動作しているWebリソースです。

ルートアプリケーション情報は,クライアントがRESTful Webサービス用クライアントAPIを呼び出してから,呼び出し結果のHTTPレスポンスを受けるまでの一連のリクエストに対する処理で一意となります。

一方,クライアントアプリケーション情報はそれぞれの呼び出しにおいて一意となります。図中のクライアントアプリケーション情報(1)~(5)は,それぞれ異なる一意の値を持っています。

クライアントが,次のどちらかの操作によって返されるClientResponseオブジェクトから,それぞれ操作とは連続しないでHTTPレスポンスのエンティティを取り出した場合でも,ルートアプリケーション情報およびクライアントアプリケーション情報は,一連の呼び出しにおいて一意となります。

イメージを次の図で説明します。なお,図中ではクライアントアプリケーション情報の範囲がルートアプリケーション情報の範囲と同じなので,クライアントアプリケーション情報は省略しています。

図39-7 連続しない呼び出しとアプリケーション情報

[図データ]

この場合,WebResourceクラスのget(Class)メソッドとClientResponseクラスのgetEntity(Class)メソッドの連続しない呼び出しでのルートアプリケーション情報(図中の「ルートアプリケーション情報(2)」)は,HTTP通信の接続から要求・応答まで一度に実行されるWebResourceクラスのpost(Class, Object)メソッドのルートアプリケーション情報(図中の「ルートアプリケーション情報(1)」)と同様に一意です。

また,Clientクラスのhandle(Class)メソッドとClientResponseクラスのgetEntity(Class)メソッドの連続しない呼び出しでのルートアプリケーション情報(図中の「ルートアプリケーション情報(3)」)も一意です。

(2) 性能解析トレースのトレース取得ポイント

Application ServerのJAX-WS機能で出力する性能解析トレースのトレース取得ポイントを次の図に示します。なお,WS-RM 1.2機能を使用する場合は,ここに記載する以外の性能解析トレースも出力されます。詳細については,「39.4.2(2)(c) WS-RM 1.2機能使用時のトレース取得ポイント」を参照してください。

(a) POJOのWebサービス呼び出し時のトレース取得ポイント

POJOのWebサービス呼び出し時のトレース取得ポイントについて,request-responseオペレーションの場合を図39-8に,one-wayオペレーションの場合を図39-9に示します。ただし,one-wayオペレーションでプロバイダ実装クラスがnullを返すときの,トレース取得ポイントについては,図39-8を参照してください。

図39-8 POJOのWebサービス呼び出し時のトレース取得ポイント(request-responseオペレーション)

[図データ]

図39-9 POJOのWebサービス呼び出し時のトレース取得ポイント(one-wayオペレーション)

[図データ]

各トレース取得ポイントとイベントIDの対応を次の表に示します。

表39-18 標準レベルでのトレース取得ポイントと出力される情報(JAX-WS機能・POJOのWebサービス)

図中の番号取得ポイント出力される情報
イベントIDオプション情報
1Webサービスクライアントライブラリの開始時スタブベースの場合0xA400
ディスパッチベースの場合0xA420
2WebサービスクライアントライブラリのHTTPメッセージ送信前0xA404エンドポイントURL
3JAX-WSエンジンのサーブレット開始時0xA408コンテキストルート
4Webサービス呼び出し前Webサービス実装クラスの場合0xA40Cサービスメソッド名
プロバイダ実装クラスの場合0xA424
5Webサービス呼び出し後Webサービス実装クラスの場合0xA410異常終了の場合は例外名
プロバイダ実装クラスの場合0xA428
6JAX-WSエンジンのHTTPメッセージ送信前0xA414
7WebサービスクライアントライブラリのHTTPメッセージ受信後0xA418異常終了の場合は例外名
8Webサービスクライアントライブラリ終了時スタブベースの場合0xA41C異常終了の場合は例外名
ディスパッチベースの場合0xA42C
(凡例)
-:オプション情報はありません。
注※
Webサービス呼び出し後にプロバイダ実装クラスがnullを返した場合,トレースを取得しません。

表39-19 詳細レベルでのトレース取得ポイントと出力される情報(JAX-WS機能・POJOのWebサービス)

図中の番号取得ポイント出力される情報
イベントIDオプション情報
9ハンドラ呼び出し前0xA430ハンドラの位置とハンドラクラス名
10ハンドラ呼び出し後0xA434異常終了の場合は例外名
11WebサービスクライアントライブラリのHTTPメッセージ送信後0xA438異常終了の場合は例外名
12アンマーシャル前スタブべース,およびWebサービス実装クラスの場合0xA43C
ディスパッチベース,およびプロバイダ実装クラスの場合0xA450
13アンマーシャル後スタブべース,およびWebサービス実装クラスの場合0xA440
ディスパッチベース,およびプロバイダ実装クラスの場合0xA454
14JAX-WSエンジンのHTTPメッセージ送信後0xA444異常終了の場合は例外名
15JAX-WSエンジンのサーブレット終了時0xA448異常終了の場合は例外名
(凡例)
-:オプション情報はありません。
注※
Webサービス呼び出し後にプロバイダ実装クラスがnullを返した場合,トレースを取得しません。

(b) EJBのWebサービス呼び出し時のトレース取得ポイント

request-responseオペレーションの場合の,EJBのWebサービス呼び出し時のトレース取得ポイントを次の図に示します。なお,Webサービスクライアントのトレース取得ポイントは,POJOのWebサービス呼び出し時と同じです。また,one-wayオペレーションの場合の,Webサービスにおけるトレース取得ポイントについては,「図39-9 POJOのWebサービス呼び出し時のトレース取得ポイント(one-wayオペレーション)」の「サービスの呼び出し」を「EJBコンテナの呼び出し」に読み替えてください。

図39-10 EJBのWebサービス呼び出し時のトレース取得ポイント(request-responseオペレーション)

[図データ]

各トレース取得ポイントとイベントIDの対応を次の表に示します。

表39-20 標準レベルでのトレース取得ポイントと出力される情報(JAX-WS機能・EJBのWebサービス)

図中の番号取得ポイント出力される情報
イベントIDオプション情報
1JAX-WSエンジンのサーブレット開始時0xA408コンテキストルート
2EJBコンテナ呼び出し前Webサービス実装クラス0xA40Eサービスメソッド名
3EJBのメソッド呼び出し前0x8482
4EJBのメソッド呼び出し後0x8483
5EJBコンテナ呼び出し後Webサービス実装クラス0xA412異常終了の場合は例外名
6JAX-WSエンジンのHTTPメッセージ送信前0xA414異常終了の場合は例外名
(凡例)
-:オプション情報はありません。

表39-21 詳細レベルでのトレース取得ポイントと出力される情報(JAX-WS機能・EJBのWebサービス)

図中の番号取得ポイント出力される情報
イベントIDオプション情報
7ハンドラ呼び出し前0xA430ハンドラの位置とハンドラクラス名
8ハンドラ呼び出し後0xA434異常終了の場合は例外名
9アンマーシャル前Webサービス実装クラス0xA43C
10アンマーシャル後Webサービス実装クラス0xA440
11JAX-WSエンジンのHTTPメッセージ送信後0xA444異常終了の場合は例外名
12JAX-WSエンジンのサーブレット終了時0xA448異常終了の場合は例外名
(凡例)
-:オプション情報はありません。

(c) WS-RM 1.2機能使用時のトレース取得ポイント

WS-RM 1.2機能でシーケンスライフサイクルメッセージを送受信するときに出力される性能解析トレースのトレース取得ポイントを次の図に示します。

図39-11 シーケンスライフサイクルメッセージ送受信時のトレース取得ポイント

[図データ]

各トレース取得ポイントとイベントIDの対応を次の表に示します。

表39-22 標準レベルでのトレース取得ポイントと出力される情報(WS-RM 1.2機能のライフサイクルメッセージ)

図中の番号取得ポイント出力される情報
イベントIDオプション情報
1Webサービスクライアント側WS-RM 1.2機能開始時0xA4B0次のどれかが出力されます。
  • CreateSequence
  • CloseSequence,[SequenceID]
  • TerminateSequence,[SequenceID]
2Webサービスクライアント側シーケンスライフサイクルメッセージ送信前0xA4B1次のどれかが出力されます。
  • CreateSequence
  • CloseSequence,[SequenceID]
  • TerminateSequence,[SequenceID]
3Webサービス側WS-RM 1.2機能開始時0xA4B2次のどれかが出力されます。
  • CreateSequence
  • CloseSequence,[SequenceID]
  • TerminateSequence,[SequenceID]
4Webサービス側WS-RM 1.2機能終了時0xA4B3次のどれかが出力されます。
  • CreateSequence,[SequenceID]
  • CloseSequence,[SequenceID]
  • TerminateSequence,[SequenceID]
  • 異常終了の場合は例外名
5Webサービスクライアント側シーケンスライフサイクルメッセージ受信後0xA4B4次のどれかが出力されます。
  • CreateSequence
  • CloseSequence,[SequenceID]
  • TerminateSequence,[SequenceID]
  • 異常終了の場合は例外名
6Webサービスクライアント側WS-RM 1.2機能終了時0xA4B5次のどれかが出力されます。
  • CreateSequence,[SequenceID]
  • CloseSequence,[SequenceID]
  • TerminateSequence,[SequenceID]
  • 異常終了の場合は例外名

WS-RM 1.2機能のシーケンストラフィックメッセージの性能解析トレースのトレース取得ポイントを次の図に示します。

図39-12 シーケンストラフィックメッセージのトレース取得ポイント

[図データ]

各トレース取得ポイントとイベントIDの対応を次の表に示します。

表39-23 標準レベルでのトレース取得ポイントと出力される情報(WS-RM 1.2機能のシーケンストラフィックメッセージ)

図中の番号取得ポイント出力される情報
イベントIDオプション情報
7リクエストでのWebサービスクライアント側WS-RM 1.2機能開始時0xA4B6[SequenceID],[MessageNumber]
8リクエストでのWebサービスクライアント側WS-RM 1.2機能終了時0xA4B7次のどちらかが出力されます。
  • [SequenceID],[MessageNumber]
  • 異常終了の場合は例外名
9リクエストでのWebサービス側WS-RM 1.2機能開始時0xA4B8[SequenceID],[MessageNumber]
10リクエストでのWebサービス側WS-RM 1.2機能終了時0xA4B9次のどちらかが出力されます。
  • [SequenceID],[MessageNumber]
  • 異常終了の場合は例外名
11レスポンスでのWebサービス側WS-RM 1.2機能開始時※10xA4BA[SequenceID],[MessageNumber]
12レスポンスでのWebサービス側WS-RM 1.2機能終了時※20xA4BB次のどちらかが出力されます。
  • [SequenceID],[MessageNumber]
  • 異常終了の場合は例外名
13レスポンスでのWebサービスクライアント側WS-RM 1.2機能開始時0xA4BC[SequenceID],[MessageNumber]
14レスポンスでのWebサービスクライアント側WS-RM 1.2機能終了時0xA4BD次のどちらかが出力されます。
  • [SequenceID]
  • 異常終了の場合は例外名
注※1
重複したメッセージを受信した場合は出力されません。
注※2
重複したメッセージを受信した場合に,HTTPステータスコード202を返すときは出力されません。

WS-RM 1.2機能のAckメッセージの性能解析トレースのトレース取得ポイントを次の図に示します。

図39-13 Ackメッセージのトレース取得ポイント

[図データ]

各トレース取得ポイントとイベントIDの対応を次の表に示します。

表39-24 詳細レベルでのトレース取得ポイントと出力される情報(WS-RM 1.2機能のAckメッセージ)

図中の番号取得ポイント出力される情報
イベントIDオプション情報
15Webサービスクライアント側WS-RM 1.2機能開始時0xA4BE[SequenceID]
16Webサービス側WS-RM 1.2機能開始時0xA4C0[SequenceID]
17Webサービス側WS-RM 1.2機能終了時0xA4C1次のどちらかが出力されます。
  • [SequenceID]
  • 異常終了の場合は例外名
18Webサービスクライアント側WS-RM 1.2機能終了時0xA4BF次のどちらかが出力されます。
  • [SequenceID]
  • 異常終了の場合は例外名
(d) RESTful Webサービス呼び出し時のトレース取得ポイント

RESTful Webサービス(Webサービス)呼び出し時のトレース取得ポイントを,リソース側,クライアント側に分けてそれぞれ次の図に示します。

リソース側

図39-14 RESTful Webサービス呼び出し時のトレース取得ポイント(リソース側)

[図データ]

各トレース取得ポイントとイベントIDの対応を次の表に示します。

表39-25 標準レベルでのトレース取得ポイントと出力される情報(JAX-RS機能・RESTful Webサービス)

図中の番号取得ポイント出力される情報
イベントIDオプション情報
1JAX-RSエンジンのサーブレット開始時0xA4A0
2Webリソース呼び出し前0xA4A2次のどれかが出力されます。
  • JResponseOutInvoker
  • ObjectOutInvoker
  • ResponseOutInvoker
  • TypeOutInvoker
  • VoidOutInvoker
  • VoidVoidMethodInvoker
  • HttpReqResDispatcher
3アンマーシャル前0xA4A6
4アンマーシャル後0xA4A7例外発生の場合は例外名
5Webリソース呼び出し後0xA4A3次のどれかが出力されます。
  • JResponseOutInvoker
  • ObjectOutInvoker
  • ResponseOutInvoker
  • TypeOutInvoker
  • VoidOutInvoker
  • VoidVoidMethodInvoker
  • HttpReqResDispatcher
6マーシャル前0xA4A8
7マーシャル後0xA4A9例外発生の場合は例外名
8JAX-RSエンジンのHTTPメッセージ送信前0xA4A1例外発生の場合は例外名
(凡例)
-:オプション情報はありません。

表39-26 詳細レベルでのトレース取得ポイントと出力される情報(JAX-RS機能・RESTful Webサービス)

図中の番号取得ポイント出力される情報
イベントIDオプション情報
9HTTPリクエストとリソースのマッチング処理実行時0xA4AC次のどれかが出力されます。
  • accept root resource classes
  • forwarding view to JSP page
  • accept implicit view
  • match path
  • accept sub-resource methods
  • accept resource methods
  • matched sub-resource method
  • matched resource method
  • accept resource message in ResourceClassRule
  • accept resource message in ResourceOjectRule
  • accept right hand path redirect
  • accept right hand path
  • accept sub-resource locator
  • accept termination
  • matched message body reader
  • matched exception mapper
  • mapped exception to response
  • matched message body writer

 

クライアント側

11.4.1 Webリソースクライアントのユースケース」で説明したユースケースごとに説明します。

図39-15 RESTful Webサービス呼び出し時のトレース取得ポイント(クライアント側)

[図データ]

[図データ]

[図データ]

各トレース取得ポイントとイベントIDの対応を次の表に示します。

表39-27 標準レベルでのトレース取得ポイントと出力される情報(JAX-RS機能・RESTful Webサービス用クライアントAPI)

図中の番号取得ポイント出力される情報
イベントIDオプション情報
1HTTPメソッド呼び出しの開始時0xA4A4エンドポイントURL
2マーシャル前0xA4A8
3マーシャル後0xA4A9
4HTTPメソッド呼び出しの終了時0xA4A5例外発生の場合は例外名
5アンマーシャル前0xA4A6
6アンマーシャル後0xA4A7例外発生の場合は例外名
(凡例)
-:オプション情報はありません。