XML Processorを効率的に使うためのノウハウを次に示します。

• 次のメソッドは内部でスレッドの排他制御を実行します。そのため，複数のスレッドでこれらのメソッドを同時に呼び出した場合，排他待ちが発生してスループットに影響が出るおそれがあります。
  
  1. 次のJAXP APIの各ファクトリクラスのnewInstanceメソッド
     javax.xml.datatype.DatatypeFactory
     javax.xml.parsers.DocumentBuilderFactory
     javax.xml.parsers.SAXParserFactory
     javax.xml.transform.TransformerFactory
     javax.xml.validation.SchemaFactory
     javax.xml.xpath.XPathFactory
     
  2. javax.xml.parsers.DocumentBuilderクラスのnewDocumentBuilderメソッド
  3. javax.xml.transform.Transformerクラスのtransformメソッド
  4. javax.xml.XPathクラスのevaluateメソッド
  このうち1.〜2.はオブジェクトを生成するため，処理が比較的重いメソッドです。そのため，メソッドはなるべく頻繁に呼び出さないで，生成したオブジェクトを再利用してください。
  
• XSLT機能で同じスタイルシートから複数のTransformerを作成する必要がある場合，TransformerFactoryから直接Transformerを作成するよりも，Templatesオブジェクトを1つ作成し，そこから複数のTransformerを作成する方が実行性能面で有利です。
• XPath機能で同じXPath式を再利用する場合，XPathクラスのcompileメソッドを使ってXPathExpressionオブジェクトを作成し，再利用する方が実行性能の面で有利です。
• DOM APIを使ってXPath機能と同等の処理を実現できます。実行速度の面ではDOM APIを使った方が有利ですが，入力XML文書の構造に依存した複雑な処理を記述する必要があり，さらにXML文書の構造が変更された場合は処理を書き直す必要があるため，保守性の面ではXPathよりも劣ります。
• Validation機能の代わりにDOMパーサやSAXパーサでもXMLスキーマを使った検証処理を実現できますが，同じスキーマ文書を使った検証処理を繰り返す場合，スキーマ文書の解析結果をオブジェクトとして再利用できるValidation機能の方が実行性能の面で有利です。
• JAXBContextオブジェクトの生成処理は負荷が高くなるため，なるべくオブジェクトを再利用した方が実行性能の面で有利です。