3.5 組み込みデータベースの動作制御の設定

環境変数を設定することで組み込みデータベースの動作を制御できます。環境変数は,システムの環境変数で設定します。システムの環境変数は,Windowsの[コントロールパネル]の中の[システム]-[システムの詳細設定]を選択し,[詳細設定]タブの中の[環境変数]ボタンから表示される画面で設定します。

設定する環境変数は次の表を参照してください。また,環境設定の指定値および動作については,マニュアル「HiRDB UAP開発ガイド」を参照してください。

表3-1 組み込みデータベースの動作を制御する環境変数

環境変数機能指定値
(デフォルト値)
機能説明
PDTMIDOLTP識別子4文字複数のOLTPから一つの組み込みデータベースにアクセスする場合,それぞれのOLTPにユニークな識別子を指定します。
PDXAMODE※1トランザクションの移行機能{0|1}OLTPシステムと連携する場合に,トランザクションの移行機能を使用するかどうかを指定します。
必ず1を指定してください。
PDTXACANUM※1トランザクション最大同時実行数1~2147483647​
(20)
XAインタフェースを使用したUAPから同時実行する,最大トランザクション数を指定します。符号なし整数を指定します。
次の値を指定します。
(組み込みデータベースにアクセスするJ2EEコンポーネントの同時実行数)×(J2EEコンポーネントでアクセスする可能性があるコネクション数)
PDXARCVWTIMEトランザクションの待ち合わせ時間0~270
(2)
トランザクションが回復できない場合の待ち合わせ時間を指定します。符号なし整数を指定します。単位は秒です。
PDUSER※1ユーザ名・パスワードパスワードなしのカレントユーザ名ユーザ名,およびパスワードを指定します。
PDCLTAPNAME実行するUAPの識別名称30文字以内
(unknown)
組み込みデータベースに対してアクセスする,UAPの識別情報(UAP識別子)を指定します。ここで指定した名称は,SQLトレースファイルなどのUAP名称として表示されます。文字列を指定します。
PDDBLOGログの取得{ALL|NO}UAPを実行するときに,データベースの更新ログを取得するかどうかを指定します。
ALL
ログ取得モードでUAPを実行します。
NO
ログレスモードでUAPを実行します。
NOを選択すると,トランザクションの回復ができなくなります。必ずALLを指定してください。
PDAUTORECONNECT※1自動再接続機能{YES|NO}自動再接続機能を使用するかどうかを指定します。J2EEサーバでコネクションの障害検知機能を使用する場合は,NOを指定してください。
PDRCCOUNTCONNECTのリトライ回数1~200
(5)
自動再接続機能でのCONNECTのリトライ回数を指定します。符号なし整数を指定します。
PDRCINTERVALCONNECTのリトライ間隔1~600
(5)
自動再接続機能でのCONNECTのリトライ間隔を指定します。単位は秒です。
PDCWAITTIME※1J2EEサーバの最大待ち時間0~65535
(0)
J2EEサーバから組み込みデータベースへ要求をしてから,応答が戻ってくるまでのJ2EEサーバの最大待ち時間を指定します。符号なし整数を指定します。単位は秒です。
トランザクションタイムアウトの値よりも大きな値を指定します。
PDSWAITTIME※1データベースの最大待ち時間(トランザクション処理中)0~65535
(600)
組み込みデータベースがJ2EEサーバからの要求に対する応答を返してから,次にJ2EEサーバから要求が来るまでの組み込みデータベースの最大待ち時間を指定します。この時間監視は,トランザクション処理中の時間です。
符号なし整数を指定します。単位は秒です。
トランザクションタイムアウトの値よりも大きな値を指定します。
PDSWATCHTIME※1データベースの最大待ち時間(トランザクション処理以外)0~65535組み込みデータベースがJ2EEサーバからの要求に対する応答を返してから,次にJ2EEサーバから要求が来るまでの組み込みデータベースの最大待ち時間を指定します。この時間監視は,トランザクション処理以外の時間です。
符号なし整数を指定します。単位は秒です。
0を指定した場合,組み込みデータベースはJ2EEサーバからの要求があるまで待ち続けます。コネクションプーリング機能を使用する場合は,0を指定してください。
PDTIMEDOUTRETRYシステムコールのリトライ回数0~32767
(2)
J2EEサーバがHiRDBサーバと接続する場合に実行する,connect()システムコールでエラーが発生したときに,connect()システムコールをリトライする回数を指定します。符号なし整数を指定します。
PDCLTPATHSQLトレースファイル・エラーログファイルの格納先ディレクトリカレントディレクトリのパス名J2EEサーバが作成するSQLトレースファイルおよびエラーログファイルの格納先ディレクトリを指定します。
パス名を指定します。
PDSQLTRACESQLトレースファイルのサイズ0または4096~2000000000​UAPのSQLトレースを出力するSQLトレースファイルのサイズを指定します。単位はバイトです。
0を指定した場合は,ファイルの最大のサイズとなります。省略した場合は,SQLトレースを出力しません。
PDUAPERLOGエラーログファイルのサイズ0または4096~65536
(4096)
UAPのエラーログを出力するエラーログファイルのサイズを指定します。符号なし整数を指定します。単位は,バイトです。
PDERRSKIPCODEエラーログへのメッセージ出力の抑止SQLCODE[,SQLCODE…]特定のエラーログを出力しない場合に指定します。
PDPRMTRCパラメタ情報・検索データの出力{YES|NO|IN|OUT|INOUT}SQLトレースにパラメタ情報および検索データを出力するかどうかを指定します。
YES
SQLトレースに入力用パラメタ情報を出力します。検索データ情報と入力パラメタを出力します。
NO
SQLトレースにパラメタ情報を出力しません。
IN
SQLトレースに入力用パラメタ情報を出力します。CALL文のINパラメタとINOUTパラメタも該当します。
OUT
SQLトレースに出力用パラメタ情報,および検索データ情報を出力します。CALL文のOUTパラメタとINOUTパラメタも該当します。
INOUT
SQLトレースに入力用パラメタ情報,出力用パラメタ情報,および検索データ情報を出力します。CALL文のINOUTパラメタは2回出力します。
PDPRMTRCSIZEパラメタ情報・検索データの最大データ長4~32008
(256)
SQLトレースに出力するパラメタ情報および検索データの最大データ長を指定します。符号なし整数を指定します。単位はバイトです。
PDTRCMODEトラブルシュート情報の出力{ERR|NONE}SQLトレース以外のトラブルシュート情報(pderr*.trcの情報)を出力するかどうかを指定します。
ERR
pderr*.trcの情報を出力します。
NONE
pderr*.trcの情報を出力しません。
PDUAPREPLVLUAP統計レポートの出力情報{[s][u][p][r]|a}UAP統計レポートの出力情報を指定します。
s
SQL単位の情報が出力されます。また,SQLトレース情報も出力します。
u
UAP単位の情報が出力されます。
p
アクセスパス情報が出力されます。
r
SQL実行時の中間結果情報を出力します。
a
すべての情報が出力されます。
次のどちらかの方法で指定してください。
  • s,u,p,rのどれかを組み合わせて指定する。
  • aだけを指定する。
PDREPPATHUAP統計レポートの出力先パス名PDCLTPATHで指定したディレクトリとは別のディレクトリに,UAP統計レポートを出力する場合に指定します。
パス名を指定します。
PDSQLTEXTSIZESQL文のサイズ4096~2000000​
(4096)
SQLトレースに出力するSQL文のサイズを指定します。符号なし整数を指定します。単位はバイトです。
PDSQLEXECTIMESQL実行時間の出力{YES|NO}SQLトレースにSQL実行時間を出力するかどうかを指定します。
YES
SQL実行時間を出力します。出力されるSQL実行時間の単位はマイクロ秒となります。SQLトレースに出力される値は,実行時間が24時間以上のものは正常に出力されません。
NO
SQL実行時間を出力しません。
PDRCTRACEUAPの再接続トレースを出力するファイルのサイズ0または4096~2000000000​UAPの再接続トレースを出力するファイルのサイズを指定します。符号なし整数を指定します。単位はバイトです。
0を指定した場合はファイルの最大サイズとなります。省略した場合,UAPの再接続トレースは出力されません。
PDVWOPTMODEアクセスパス情報ファイルの取得{0|1|2}アクセスパス情報ファイルを取得するかどうかを指定します。
0
アクセスパス情報を取得しません。
1
アクセスパス情報を取得し,アクセスパス情報ファイルに出力します。このとき,SQLオブジェクトがバッファ中にあるSQLについては,情報を出力しません。
2
アクセスパス情報を取得し,アクセスパス情報ファイルに出力します。このとき,SQLオブジェクトがバッファ中にあるSQLについてもSQLオブジェクトを再作成し,情報を出力します。
PDSTJTRNOUT※2統計ログファイルの出力{YES|NO}UAPに関する統計情報を,トランザクションごとに統計ログファイルに出力するかどうかを指定します。
YES
UAPに関する統計情報を,トランザクションごとに統計ログファイルに出力します。
NO
UAPに関する統計情報を,コネクションごとに統計ログファイルに出力します。
PDLOCKSKIP無排他条件判定{YES|NO}無排他条件判定をするかどうかを指定します。
YES
無排他条件判定をします。
NO
無排他条件判定をしません。
PDFORUPDATEEXLOCKWITH EXCLUSIVE LOCKの適用{YES|NO}FOR UPDATE句を指定した(または仮定された)SQLの排他オプションに,WITH EXCLUSIVE LOCKを適用するかどうかを指定します。
YES
FOR UPDATE句を指定したSQLの排他オプションに,WITH EXCLUSIVE LOCKを適用します。
NO
FOR UPDATE句を指定したSQLの排他オプションに,PDISLLVLの指定値を適用します。
PDISLLVLSQL文のデータ保証レベル0~2
(2)
SQL文のデータ保証レベルを指定します。符号なし整数を指定します。
PDSQLOPTLVL※3SQL最適化オプションSQL最適化オプションの指定値データベースの状態を考慮して,最も効率的なアクセスパスを決定するための最適化の方法(SQL最適化オプション)を指定します。識別子,または符号なし整数を指定します。
PDADDITIONALOPTLVL※3SQL拡張最適化オプションSQL拡張最適化オプションの指定値データベースの状態を考慮して,最も効率的なアクセスパスを決定するための最適化の方法(SQL拡張最適化オプション)を指定します。識別子,または符号なし整数を指定します。
PDHASHTBLSIZEハッシュ表サイズ128~524288SQLの最適化で,ハッシュジョイン,副問合せのハッシュ実行を適用する場合,ハッシュ表サイズを指定します。符号なし整数を指定します。単位はバイトです。
PDDFLNVAL埋め込み変数の既定値{USE|NOUSE}表中のデータを埋め込み変数に取り出す場合,取り出した値がNULL値のときに,埋め込み変数に既定値を設定するかどうかを指定します。
USE
NULL値に既定値を設定します。
NOUSE
NULL値に既定値を設定しません。
PDAGGR※4グループ数の最大値0~30000000​
(1024)
GROUP BY処理に使用するメモリ量を決定するため,データベースごとに発生するグループ数の最大値を指定します。
符号なし整数を指定します。
PDDSQLOBJCACHESQLオブジェクト用バッファの再利用{YES|NO}動的SQLのSQLオブジェクトを,SQLオブジェクト用バッファで再利用するかどうかを指定します。
YES
再利用します。
NO
再利用しません。
PDCMMTBFDDL定義系SQLの実行{YES|NO}操作系SQLを実行していたトランザクションで定義系SQLを実行する場合,自動的にコミットしてから定義系SQLを実行するかどうかを指定します。
YES
操作系SQLのトランザクションを自動的にコミットしてから,定義系SQLを実行します。
NO
操作系SQLのトランザクションを自動的にコミットしないで,定義系SQLを実行します。
PDBLKF1回の転送処理で送られる行数1~4096
(1)
HiRDBサーバからHiRDBクライアントに検索結果を転送するときの,1回の転送処理で送られる行数を指定します。
符号なし整数を指定します。
PDBINARYBLKFブロック転送機能の適用{YES|NO}定義長が32,001バイト以上のBINARY型の選択式がある表を検索する場合,ブロック転送機能を適用するかどうかを指定します。
YES
ブロック転送機能を適用します。
NO
ブロック転送機能を適用しません。
PDBLKBUFFSIZE通信バッファのサイズ0~2000000​
(0)
ブロック転送機能で使用する,データベースおよびクライアント間の通信バッファのサイズを指定します。
符号なし整数を指定します。単位はバイトです。
PDSPACELVL空白変換レベル{0|1|3}データの格納,比較,および検索時の,空白変換レベルを指定します。
0
空白は変換しません。
1
操作系SQLでの定数,埋め込み変数,またはパラメタのデータの空白を変換します。
3
空白変換レベル1に加えて,各国文字列型の値式のデータを検索するときに,全角空白1文字を半角空白2バイトに変換します。
PDCNSTRNTNAME制約名定義の位置{LEADING|TRAILING}参照制約,および検査制約を定義する場合,制約名定義の位置を指定します。
LEADING
制約名定義を,制約定義の前に指定します。
TRAILING
制約名定義を,制約定義のあとに指定します。
指定値で使用している記号の意味を次に示します。
{A|B}:AまたはBを指定することを示します。
[C]:Cの指定は任意であることを示します。
注※1
環境変数については,マニュアル「アプリケーションサーバ 機能解説 互換編」の「4.3.3 データベースの設定」を参照してください。
注※2
環境変数については,マニュアル「HiRDB コマンドリファレンス」を参照してください。
注※3
環境変数については,マニュアル「HiRDB SQLリファレンス」を参照してください。
注※4
環境変数については,マニュアル「HiRDB システム導入・設計ガイド」を参照してください。