Cosminexus V9 アプリケーションサーバ 機能解説 保守/移行編

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10.1 アプリケーションサーバの移行の概要

旧バージョンからアプリケーションサーバ 09-70への移行方法について説明します。移行の対象となる旧バージョンを次に示します。

なお,このマニュアルでは,次に示す構成ソフトウェアの移行を中心に説明します。

旧バージョンからの移行を行う場合,使用しているアプリケーションサーバの全構成ソフトウェアを同時に移行する必要があります。上記で示していないほかの構成ソフトウェア(以降,他構成ソフトウェアと呼びます)の移行については,次に示すマニュアルを参照してください。

表10-1 構成ソフトウェアごとの参照先マニュアル

構成ソフトウェア 参照先マニュアル
HTTP Server HTTP Server
Reliable Messaging Reliable Messaging
Web Services - Security アプリケーションサーバ Webサービスセキュリティ構築ガイド
XML Processor XML Processor ユーザーズガイド
注意
構成ソフトウェアは,バージョンごとに体系が異なる場合があります。
バージョンごとの構成ソフトウェアの体系について次に示します。

表10-2 バージョンごとの構成ソフトウェアの体系

構成ソフトウェア アプリケーションサーバのバージョン 備考
V6 V7 V8 V9
Common Library V7からアプリケーションサーバに統合。
cFramework なし
Component Container なし
Web Services - Base V7からComponent Containerに統合。
Manager V7からComponent Containerに統合。
Component Library V7からComponent Containerに統合。
Component Transaction Monitor V8まではApplication Server Enterpriseだけに同梱。
DABroker Library 互換用としてサポート。
Developer's Kit for Java V6.5から同梱。
Performance Tracer なし
Reliable Messaging なし
Server Plug-in UNIXで動作する製品には含まれない。
TPBroker なし
Web Services - Security V7はApplication Server Enterpriseだけに同梱。
XML Security - Core V7からWeb Services - Securityに統合。
XML Processor なし
HTTP Server V9から名称をHitachi Web ServerからHTTP Serverへ変更。

(凡例)○:対応するバージョンで構成ソフトウェアあり

    −:対応するバージョンで構成ソフトウェアなし


 
参考
TPBrokerについては,明示的な移行作業はありません。このほか,アプリケーションサーバ上で動作するSOAPアプリケーションや,Webサービスなどの移行については,次のマニュアルを参照してください。
 

アプリケーションサーバの移行の概要について説明します。

<この節の構成>
(1) 移行のための新規インストール,または更新インストール
(2) 移行時のJ2EEサーバの動作モード
(3) 移行時に引き継がれる情報
(4) 移行時のJ2EEアプリケーションの動作

(1) 移行のための新規インストール,または更新インストール

旧バージョンからアプリケーションサーバ 09-70へ移行するためには,新規インストール,または更新インストールを行います。新規インストールとは,アプリケーションサーバがインストールされていない新規のマシンに,アプリケーションサーバをインストールすることです。更新インストールとは,インストール先のマシンに旧バージョンのアプリケーションサーバがインストール済みの場合のインストールです。

なお,更新インストールの場合は,アプリケーションサーバのインストールディレクトリを旧バージョンのインストールディレクトリから変更できません。旧バージョンがインストールされているディレクトリに上書きインストールされます。

新規インストールの場合の移行手順は,「10.2 アプリケーションサーバの移行の手順(新規インストールの場合)」を参照してください。

更新インストールの場合の移行手順は,「10.3 アプリケーションサーバの移行の手順(更新インストールの場合)」を参照してください。

(2) 移行時のJ2EEサーバの動作モード

J2EEサーバの動作モードの対応を次の表に示します。

表10-3 移行時のJ2EEサーバの動作モードの対応

移行前の旧バージョンでのJ2EEサーバの動作モード 移行後のJ2EEサーバの動作モード
アドバンスドモード
スタンダードモード
1.4モード
ベーシックモード ベーシックモード

アプリケーションサーバでは,1.4モードの動作モードを使用することを推奨しています。ベーシックモードは,互換用のサーバの動作モードであり,1.4モードに比べて,使用できる機能に制限があります。

動作モードの変更については,「10.4.5(57) 動作モードの変更」を参照してください。

(3) 移行時に引き継がれる情報

旧バージョンで使用されていた,<製品のインストールディレクトリ>以下に配置される定義情報,DD(Deployment Descriptor)情報,構成情報などのユーザ資産は,移行コマンドなどで必要に応じて自動変換され,09-70で引き続き使用されます(一部,手動での定義修正が必要な場合もあります)。また,移行コマンドを実行すると,移行元バージョンから移行先バージョン間のすべてのバージョンごとに移行処理が実施されます。例えば,08-00から09-70へ移行する場合,08-00から08-50への移行,08-50から08-53への移行,08-53から08-70への移行,08-70から09-00への移行,09-00から09-50,09-50から09-70への移行というように処理が実施されます。

Component Containerで引き継がれる定義情報,DD情報,構成情報などを次の表に示します。他構成ソフトウェアについては,それぞれのドキュメントを参照してください。

表10-4 Component Containerで移行時に引き継がれる情報

機能 引き継がれる情報 ファイル名称,または格納場所
J2EEサーバ オプション定義ファイル usrconf.cfg
ユーザプロパティファイル usrconf.properties
セキュリティポリシーファイル server.policy
Webアプリケーションプロパティファイル hitachi_web.properties
作業ディレクトリ
  • 定義情報
  • アプリケーション
  • DD情報
  • ユーザ・パスワード情報
オプション定義ファイルで指定されているejb.public.directoryの値。デフォルトは,次のとおり。
  • Windowsの場合
    <製品のインストールディレクトリ>\CC\server\public以下
  • UNIXの場合
    /opt/Cosminexus/CC/server/public以下
バッチサーバ オプション定義ファイル usrconf.cfg
ユーザプロパティファイル usrconf.properties
セキュリティポリシーファイル server.policy
作業ディレクトリ
  • 定義情報
  • DD情報
  • ユーザ・パスワード情報
オプション定義ファイルで指定されているejb.public.directoryの値。デフォルトは,次のとおり。
  • Windowsの場合
    <製品のインストールディレクトリ>\CC\server\public以下
  • UNIXの場合
    /opt/Cosminexus/CC/server/public以下
サーバ管理コマンド オプション定義ファイル
  • Windowsの場合
    usrconf.bat
  • UNIXの場合
    usrconf
ユーザプロパティファイル usrconf.properties
Webサーバ連携 Web Server用リダイレクタ動作定義ファイル mod_jk.conf
Microsoft IIS用リダイレクタ動作定義ファイル(Windowsだけのファイル) isapi_redirect.conf
Microsoft IIS用マッピング定義ファイル(Windowsだけのファイル) uriworkermap.properties
ワーカ定義ファイル workers.properties
Management Server 運用管理エージェントプロパティファイル adminagent.properties
運用管理エージェント設定ファイル adminagent.xml
別のファイル名称でバックアップされたあと,新規のファイルで上書きされます。
Management Serverの「論理サーバの起動/停止」で使用する環境変数を指定する機能を利用している場合,手動による定義修正が必要となります。
運用監視エージェント設定ファイル mngagent.<実サーバ名>.properties
Management Server環境設定ファイル mserver.properties
mngsvrutilコマンドのサーバ側定義ファイル mngsvrutil.properties
構成情報定義
  • Windowsの場合
    <製品のインストールディレクトリ>\manager\config以下
  • UNIXの場合
    /opt/Cosminexus/manager/config以下
Managementアクション実行用プロパティファイル maction.properties
Management Server用メッセージマッピングファイル mserver.jp1event.system.mapping.properties
J2EEサーバ共通用メッセージマッピングファイル manager.jp1event.system.mapping.properties
J2EEサーバ個別用メッセージマッピングファイル manager.<論理サーバ名>.jp1event.system.mapping.properties
J2EEアプリケーションの登録ディレクトリのデフォルトパス
  • Windowsの場合
    <製品のインストールディレクトリ>\manager\apps以下
  • UNIXの場合
    /opt/Cosminexus/manager/apps以下
統合ユーザ管理 JAASのコンフィグレーションファイル jaas.conf
統合ユーザ管理のコンフィグレーションファイル ua.conf
カスタムログインモジュール格納用ディレクトリ
  • Windowsの場合
    <製品のインストールディレクトリ>\manager\modules
  • UNIXの場合
    /opt/Cosminexus/manager/modules
Smart Composer機能 サーバ設定プロパティファイル cmxserver.properties
負荷分散機定義プロパティファイル lb.properties

(4) 移行時のJ2EEアプリケーションの動作

アプリケーションサーバを更新インストールする場合,または旧バージョンのJ2EEアプリケーションをインポートする場合には,次に示す処理で,自動的にJ2EEアプリケーションに含まれるEJBの再デプロイが実行されるため,一時的に性能が悪くなります。