ここでは,旧バージョンのアプリケーションサーバを移行する場合に,新しいアプリケーションサーバを,旧バージョンのアプリケーションサーバを構築している環境とは別の環境へ構築(新規インストール)する際の手順について示します。
新規インストールについては,マニュアル「アプリケーションサーバ システム構築・運用ガイド」の「2.2.1 Application Serverのインストールについて」を参照してください。
次の手順に従って,旧バージョンからアプリケーションサーバ 09-70へ移行してください。
図10-1 旧バージョンからアプリケーションサーバ 09-70への移行作業(新規インストールの場合)
なお,Management Serverを使用していないシステムでは,J2EEサーバの移行前に,SFOサーバの移行が必要です。SFOサーバの移行手順については,「10.15 メモリセッションフェイルオーバ機能を使用している場合のバージョンアップ」を参照してください。
移行後の環境で使用する機能や,使用するWebサーバ(HTTP Server,Microsoft IIS,またはインプロセスHTTPサーバ)の種類などを決めます。
また,旧バージョンのアプリケーションサーバの環境での設定を引き継ぐのか(互換性を重視したシステムへ移行),または移行後のアプリケーションサーバが推奨する機能を使用する設定にするのか(推奨機能を使用したシステムへ移行)についても検討します。互換重視のシステム,および推奨機能を使用したシステムの特徴を次に示します。
表10-5 互換重視のシステムおよび推奨機能を使用したシステムの特徴
移行方針 | 特徴 |
---|---|
互換性を重視したシステムへ移行 |
|
推奨機能を使用したシステムへ移行 | 最新のバージョンのアプリケーションサーバで使用できる機能でも,推奨される機能がほかにある場合は,推奨機能が選択されます。 |
これらの移行方針を決定する上で,旧バージョンと移行するバージョンとの仕様差を確認する必要があります。機能の変更や追加に伴い,旧バージョンで使用している機能,使用条件,使用方法によっては,次の作業が必要となります。
詳細は,「10.4 旧バージョンからの仕様変更の確認」を参照してください。
旧バージョンのアプリケーションサーバで使用していたアプリケーションを退避します。退避の手順を次に示します。
なお,Reliable Messagingを使用している場合は,上記のJ2EEリソースアダプタと同様に,Reliable MessagingのリソースアダプタおよびConnector属性ファイルを退避してください。
旧バージョンのアプリケーションサーバで使用していた定義ファイルを退避します。新規インストールの場合,ここで退避したバックアップ情報を基に,新規インストールする環境で使用する定義ファイルなどを作成します。詳細は,「10.7 定義などのバックアップ」を参照してください。なお,adminagent.xml,snapshotlog.confおよびsnapshotlog.2.confについては、カスタマイズした情報を控えてください。
使用しているアプリケーションサーバの全構成ソフトウェアを新規インストールします。
なお,インストール方法,および注意事項については,マニュアル「アプリケーションサーバ システム構築・運用ガイド」の「2.2.1 Application Serverのインストールについて」を参照してください。
新規インストールを実施した環境のシステムを構築します。「(3) 定義などのバックアップ」で退避した,運用管理ポータルの[運用管理ドメインの構成定義]画面の情報,または簡易構築定義ファイルの情報を基に,システムを構築します。システムの構築とは,セットアップウィザードの実行,運用管理ポータルの[運用管理ドメインの構成定義]画面での操作,またはSmart Composer機能のcmx_build_systemコマンド実行を指します。
システムの構築については,マニュアル「アプリケーションサーバ システム構築・運用ガイド」を参照してください。
adminagent.xml,snapshotlog.confおよびsnapshotlog.2.conf以外の定義ファイルは,旧バージョンのアプリケーションサーバから退避した定義ファイルを,新規インストールする環境に配置します。詳細は,「10.7 定義などのバックアップ」のバックアップを取った情報の設定先に関する説明を参照してください。
これらの定義ファイルの場合は旧バージョンのアプリケーションサーバから退避した定義ファイルに,最新のバージョンの情報を追加します。情報の追加は,「(8) 手動による定義などの修正」で記載している作業になります。
adminagent.xml,snapshotlog.confおよびsnapshotlog.2.confの場合は,「(3) 定義などのバックアップ」で控えた情報を基に新規インストールされた定義ファイルに,旧バージョンのアプリケーションサーバでカスタマイズした情報を追加します。
「(3) 定義などのバックアップ」で退避した情報を基に,手動で定義などを修正します。機能の変更,追加に伴い,互換性を保つためのオプションが提供されています。旧バージョンで使用している機能,使用方法,使用条件によっては,次の作業が必要となります。
旧バージョンで使用している機能,使用方法,使用条件については,「10.4 旧バージョンからの仕様変更の確認」を参照してください。
なお,このマニュアルで説明していない構成ソフトウェアの旧バージョンに関する説明については,次に示すマニュアルを参照してください。
設定した定義情報をシステムへ反映させます。詳細は,「10.11 論理サーバの設定情報の再読み込みおよび配布」を参照してください。
アプリケーションを設定します。詳細は,「10.12 アプリケーションの設定(新規インストールの場合)」を参照してください。
なお,Reliable Messagingを使用している場合は,J2EEリソースアダプタの手順と同様に,退避していたReliable Messagingのリソースアダプタを更新してください。この際,Reliable Messagingを使用するために必要なシステム構築を実施してください。
Reliable Messagingのシステム構築の詳細については,マニュアル「Reliable Messaging」を参照してください。
移行後にアプリケーションサーバの動作確認を実施します。