データベースセッションフェイルオーバ機能とEADsセッションフェイルオーバ機能の機能差異を説明します。なお,データベースセッションフェイルオーバ機能の完全性保障モード有効時と無効時で機能差異がある場合は,それぞれを分けて示します。
データベースセッションフェイルオーバ機能(完全性保障モード有効時と無効時)とEADsセッションフェイルオーバ機能の優位性の比較を次の表に示します。ここでは,データベースセッションフェイルオーバ機能の完全性保障モード無効時を基準にした場合の優位性の比較を示します。
表5-8 セッションフェイルオーバの優位性の比較
項番 | 比較項目 | データベースセッションフェイルオーバ機能(完全性保障モードの設定別) | EADsセッションフェイルオーバ機能 | 理由 | |
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有効 | 無効 | ||||
1 | リクエスト処理性能 | △ | - | ◎ | EADsセッションフェイルオーバ機能の場合,グローバルセッション情報の格納先がメモリであり,ディスクよりもアクセスが高速のため。 |
2 | システムの可用性 | ◎ | - | △ | EADsセッションフェイルオーバ機能の可用性はEADsサーバの数(多重度)に依存するため,同じサーバ数で比較すると,EADサーバ上のメモリでグローバルセッション情報を管理するEADsセッションフェイルオーバ機能よりも,データベースでグローバルセッション情報を管理するデータベースセッションフェイルオーバ機能の方が,グローバルセッション情報を消失する可能性が低い。 |
3 | グローバルセッション情報の完全性 | ◎ | - | - | データベースセッションフェイルオーバ機能の完全性保障モードが有効な場合だけ,グローバルセッション情報の完全性が保障される。 |
使用できるセッションフェイルオーバの機能を次の表に示します。
表5-9 使用できるセッションフェイルオーバの機能
項番 | 機能名 | 概要 | データベースセッションフェイルオーバ機能(完全性保障モードの設定別)での使用可否 | EADsセッションフェイルオーバ機能での使用可否 | 参照先 | |
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有効 | 無効 | |||||
1 | セッションフェイルオーバ抑止機能 | HTTPセッションを使用しないリクエストの場合に,セッションフェイルオーバ機能を抑止することで,リクエスト処理性能の低下を防止する機能 | ○ | ○ | ○ | 5.6.1 |
2 | HTTPセッションの参照専用リクエスト定義 | HTTPセッションを更新しない参照専用のリクエストの場合に,グローバルセッション情報を更新しないようにすることで,データベースまたはEADsサーバへのアクセスによるリクエスト処理性能の低下を防止する機能 | × | ○ | ○ | 5.6.2 |
3 | 同一セッションIDの同時実行 | 同じセッションIDを持つリクエストの同時実行を実現して,リクエスト処理性能への影響を軽減する機能 | × | ○ | ○ | 5.7.1 |
4 | Webアプリケーション開始時のグローバルセッション情報の引き継ぎ | Webアプリケーションの開始時にグローバルセッション情報を自動的に引き継ぐ機能 | × | ○ | ○ | 5.7.2 |
5 | HTTPセッションの縮退 | グローバルセッション情報を保存するデータベースまたはEADsサーバで障害が発生した場合に,J2EEサーバ上のHTTPセッションだけでリクエスト処理を継続する機能 | × | ○ | ○ | 5.7.3 |
6 | HTTPセッションの属性情報のサイズ見積もり | HTTPセッションに登録した属性をデータベースまたはEADsサーバに格納する場合のサイズを見積もる機能 | ○ | ○ | ○ | 5.8.2 |
7 | グローバルセッション情報の削除 | SQLファイルまたはコマンドを使用して,データベース上またはEADsサーバ上のグローバルセッション情報を削除する機能 | × | ○ | ○ | 6.10.3,7.8.1 |
データベースセッションフェイルオーバ機能の完全性保障モードを無効にした場合の動作の詳細,使用できる機能および注意事項については,「6.3 性能を重視したモードの選択(完全性保障モードの無効化)」を参照してください。
完全性保障モードの設定については,「6.6 J2EEサーバの設定」を参照してください。
データベースセッションフェイルオーバ機能とEADsセッションフェイルオーバ機能では,セッション情報の格納先が異なるため,障害発生時の動作が異なります。各機能の障害発生時の動作を次の表に示します。
表5-10 障害発生時の動作
項番 | 障害の発生個所 | データベースセッションフェイルオーバ機能(完全性保障モードの設定別)の動作 | EADsセッションフェイルオーバ機能の動作 | ||
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有効 | 無効 | ||||
1 | J2EEサーバ | 障害が発生していないJ2EEサーバで,障害発生直前の状態から業務を再開できる。 | |||
2 | セッション情報の格納先(データベース,またはEADsサーバ) | 業務の継続 | 業務を継続できない。 | 縮退して業務を継続できる。 | 業務を継続できる※。 セッション情報が格納されているEADsサーバ(セッション情報のコピー先のEADsサーバを含む)がすべてダウンした場合でも,縮退して業務を継続できる。 |
障害回復後の業務再開 | 業務を中断して障害回復をした場合,障害発生直前の状態から業務を再開できる。 | 業務を中断して障害回復をした場合,障害発生直前の状態から業務を再開できる。 | システム内のすべてのEADsサーバで障害が発生した場合,業務を中断して障害回復をしても,セッション情報がなくなるため障害発生前の状態に回復できない。 |