7.2.2 タイムアウトの設定

EADsセッションフェイルオーバ機能を使用する場合,EADsクライアントおよびEADsサーバに設定するタイムアウトを含めた,システム全体でのチューニングが必要です。ここでは,EADsセッションフェイルオーバ機能を使用するシステムでタイムアウトが設定できるポイントと,タイムアウトを設定する場合の指針について説明します。

システムのパフォーマンスチューニングについては,マニュアル「アプリケーションサーバ システム設計ガイド」の「7. JavaVMのメモリチューニング」または「8. パフォーマンスチューニング(J2EEアプリケーション実行基盤)」を参照してください。

<この項の構成>
(1) タイムアウトが設定できるポイント
(2) EADsセッションフェイルオーバ機能で推奨するタイムアウトの設定値

(1) タイムアウトが設定できるポイント

EADsセッションフェイルオーバ機能を使用するシステムでタイムアウトが設定できるポイントを次の図に示します。

図7-2 タイムアウトが設定できるポイント(セッションの引き継ぎ)

[図データ]

表7-5 設定ポイントに設定するタイムアウトの内容

設定ポイントタイムアウトの設定個所タイムアウトの内容タイムアウト発生時の動作
1リダイレクタリダイレクタがJ2EEサーバにリクエストを送信してから受信するまでの時間に対するタイムアウト。Webサーバの実行スレッドおよびコネクションが解放されて,Webブラウザにエラーが通知されます。ただし,J2EEサーバ側の処理は継続されます。
2WebアプリケーションサーブレットまたはJSP内のメソッドが呼び出されてから終了するまでの時間に対するタイムアウト。J2EEサーバ上で実行中のメソッドが強制的にキャンセルされます。キャンセルに成功すると,サーブレットまたはJSPに例外がスローされます。ただし,EADsクライアントの処理はメソッドキャンセルの対象にはなりません。
3EADsクライアントwebserver.eadssfo.eads.connection.timeoutプロパティで指定(簡易構築定義ファイル)EADsサーバへの接続確認の時間に対するタイムアウト。EADsクライアントからEADsセッションフェイルオーバ機能に例外がスローされます。
4webserver.eadssfo.eads.connection.timeoutプロパティで指定(簡易構築定義ファイル)EADsサーバにリクエストを送信してから受信するまでの時間に対するタイムアウト。EADsクライアントからEADsセッションフェイルオーバ機能に例外がスローされます。ただし,EADsサーバ側の処理は継続されます。
5EADsサーバeads.connection.timeoutパラメタで指定(EADsのサーバ定義ファイル)EADsのクラスタ内に存在する他のEADsサーバへの接続確認の時間に対するタイムアウト。EADsクライアントを経由してEADsセッションフェイルオーバ機能に例外がスローされます。
6eads.connection.timeoutパラメタで指定(EADsのサーバ定義ファイル)EADsのクラスタ内に存在する他のEADsサーバにリクエストを送信してから受信するまでの時間に対するタイムアウト。EADsクライアントを経由してEADsセッションフェイルオーバ機能に例外がスローされます。ただし,他のEADsサーバの処理は継続されます。

注※ 接続確認の時間に対するタイムアウトとリクエストを送信してから受信するまでの時間に対するタイムアウトは,同じプロパティまたはパラメタで設定します。ただし,接続確認の時間と,リクエスト送信から受信までの時間に対して,それぞれにタイムアウトが設定されます。接続確認とリクエスト送信から受信の合計時間に対してタイムアウトが設定されるわけではありません。


(2) EADsセッションフェイルオーバ機能で推奨するタイムアウトの設定値

タイムアウトに設定する値は,EADsセッションフェイルオーバ機能を使用しない場合と同様に,呼び出し元(Webブラウザ側)に近いほど大きい値を設定することを推奨します。図7-2の場合に推奨するタイムアウトの設定値を次の表に示します。

表7-6 推奨するタイムアウトの設定値

設定ポイント推奨するタイムアウトの設定値推奨するタイムアウトの設定値にしなかった場合の影響
1ポイント2+(ポイント3+ポイント4)×2よりも大きな値推奨値よりも小さい値を指定した場合,J2EEサーバのキューに格納したリクエストの処理が終了する前に,リダイレクタでタイムアウトしてしまうことがあります。
2ポイント1よりも小さな値,かつポイント3+ポイント4よりも大きな値推奨値よりも小さい値を指定した場合,サーブレットまたはJSPの処理が終了する前に,メソッドがキャンセルされてしまうことがあります。
3~6

(凡例)-:該当しない。

注※ 設定ポイント3~6に設定するタイムアウトの推奨する設定値については,マニュアル「Elastic Application Data store ユーザーズガイド」を参照してください。