セッションフェイルオーバ機能を使用する場合,負荷分散機を使用した,複数のJ2EEサーバにリクエストを振り分けるシステム構成が前提となります。また,各J2EEサーバで作成されたHTTPセッションの情報を格納するためのデータベースまたはEADsサーバの配置が必要です。
データベースセッションフェイルオーバ機能,またはEADsセッションフェイルオーバ機能を使用する場合の前提となる構成を次の図に示します。
図5-3 セッションフェイルオーバ機能の前提となる構成
![[図データ]](figure/zu051000.gif)
- 負荷分散機
セッションフェイルオーバ機能を使用するには,負荷分散機の使用が前提となります。
なお,リダイレクタの負荷分散機能を使用している場合,セッションフェイルオーバ機能は使用できません。セッションフェイルオーバ機能とリダイレクタの負荷分散機能を同時に使用すると,次のような問題が発生します。
- 負荷分散機による,J2EEサーバ自体の負荷分散ができなくなります。
- 負荷分散機のヘルスチェックを任意のJ2EEサーバに送信できません。また,J2EEサーバに障害が発生した場合も,リダイレクタで正常なJ2EEサーバにリクエストが転送されます。そのため,負荷分散機でJ2EEサーバの障害を検知できなくなります。
- 参考
- 負荷分散機によるリクエストの振り分けとは
- 負荷分散機では,リクエストの振り分けが実行されます。これによって,負荷が分散されるので,システムの安定稼働と処理性能の向上が図れます。
- 負荷分散機を使用した負荷分散には,WebサーバやJ2EEサーバに負荷分散処理に関する負荷が掛からないという利点があります。なお,負荷分散機によるリクエストの振り分け方式は,それぞれの負荷分散機に依存します。
- 負荷分散機によるリクエスト振り分けの例を次の図に示します。
図5-4 負荷分散機によるリクエストの振り分けの例
![[図データ]](figure/zu050300.gif)
-
- J2EEサーバ/Webサーバ
セッションフェイルオーバ機能を使用する場合,一つのシステムで一つ以上のJ2EEサーバおよびWebサーバを配置します。J2EEサーバ障害に備え,二つ以上配置することを推奨します。
- EADsクライアント
EADsセッションフェイルオーバ機能を使用する場合,J2EEサーバからEADsサーバ上のデータを操作するため,J2EEサーバ上にEADsクライアントが必要です。EADsクライアントに必要なソフトウェアを次の表に示します。
表5-4 EADsクライアントに必要なソフトウェア
分類 | 製品名 |
---|
EADsクライアント | Elastic Application Data store Client for Application Server |
- データベース
データベースセッションフェイルオーバ機能を使用する場合に,セッション情報の格納先としてデータベースが必要です。セッション情報の格納先として使用できるデータベース,JDBCドライバ,およびリソースアダプタの対応について次の表に示します。
表5-5 使用できるデータベース,JDBCドライバおよびリソースアダプタの対応
データベース | JDBCドライバ | リソースアダプタ※ |
---|
HiRDB | HiRDB Type4 JDBC Driver | DBConnector_HiRDB_Type4_CP.rar |
Oracle | Oracle JDBC Thin Driver | DBConnector_Oracle_CP.rar |
DBConnector_CP_ClusterPool_Root.rar |
DBConnector_Oracle_CP_ClusterPool_Member.rar |
注※ データベースセッションフェイルオーバ機能で使用するリソースアダプタはDB Connectorです。データベースセッションフェイルオーバ機能で使用するDB Connectorに必要な設定については,「6.9 DB Connectorの設定」を参照してください。
なお,データベースセッションフェイルオーバ機能を使用するための詳細なシステム構成については,マニュアル「アプリケーションサーバ システム設計ガイド」の「3.10.1 データベースを使用する構成(データベースセッションフェイルオーバ機能)」を参照してください。
データベースセッションフェイルオーバ機能を使用する構成は,ここで示した条件を満たしている場合,構成から設計し直す必要がありません。機能の設定とパラメタチューニングを実施すればデータベースセッションフェイルオーバ機能を使用できます。
- EADsサーバ
EADsセッションフェイルオーバ機能を使用する場合,セッション情報の格納先として使用できるEADsサーバが必要です。EADsセッションフェイルオーバ機能で使用するEADsサーバは,EADsセッションフェイルオーバ機能だけで使用してください。また,EADsサーバの数を多くすることで,可用性を向上できます。複数のEADsサーバの集合をEADsのクラスタといいます。
EADsサーバに必要なソフトウェアを次の表に示します。
表5-6 EADsサーバに必要なソフトウェア
分類 | 製品名 |
---|
EADsサーバ | Elastic Application Data store for Application Server |
EADsセッションフェイルオーバ機能を使用するための詳細なシステム構成については,マニュアル「アプリケーションサーバ システム設計ガイド」の「3.10.2 EADsサーバをJ2EEサーバと異なるマシンに配置する構成(EADsセッションフェイルオーバ機能)」,または「3.10.3 EADsサーバをJ2EEサーバと同じマシンに配置する構成(EADsセッションフェイルオーバ機能)」を参照してください。
なお,EADsのアプリケーションをEADsセッションフェイルオーバの環境で使用することはできません。