性能解析トレースでは,システム内部のイベント単位で,複数のノードおよびプロセス間にわたるトレース情報を取得できます。これによって,一連の処理の中で,どの処理がボトルネックになっているかをトレースできます。
イベント単位でトレースを取得するために,性能解析トレースでは,イベント単位の一連の処理に一貫したキーを設定して管理します。イベント内のトレース取得ポイントで出力するトレースには,キーの情報が付加されます。これによって,一連の処理がトレースできます。
図6-2 性能解析トレースによるトレース出力の概要
![[図データ]](FIGURE/ZU060200.GIF)
なお,トレースを出力するリダイレクタ,Webコンテナなどを,機能レイヤといいます。性能解析トレースでは,次の機能レイヤの入り口と出口でトレース情報を出力します。必要に応じて,各機能レイヤ内の処理のうち,性能に影響を与える処理ごとにも,トレース情報を出力します。アプリケーションの実行環境と該当する機能レイヤを次の表に示します。
表6-2 アプリケーションの実行環境と該当する機能レイヤ
| 機能レイヤ |
アプリケーションの実行環境 |
| J2EEアプリケーションの実行環境 |
バッチアプリケーションの実行環境 |
| CTM |
○ |
− |
| リダイレクタ |
○ |
− |
| Webコンテナ |
○ |
− |
| EJBコンテナ |
○ |
− |
| Timer Service |
○ |
− |
| JNDI |
○ |
○ |
| JTA |
○ |
○ |
| JCAコンテナ |
○ |
○ |
| DB Connector |
○ |
○ |
| RMI(通信処理)※1 |
○ |
○ |
| OTS |
○ |
○ |
| 標準出力/標準エラー出力/ユーザログ |
○ |
○ |
| DI |
○ |
− |
| バッチアプリケーション実行機能 |
− |
○※2 |
| JPA |
○ |
− |
| Cosminexus JPAプロバイダ |
○ |
− |
| TP1インバウンド連携機能 |
○ |
− |
| Cosminexus JMSプロバイダ |
○ |
− |
| JavaMail |
○ |
− |
(凡例)○:該当する −:該当しない
- 注※1
- RMI(通信処理)の機能レイヤについては,トレース情報の取得を抑止することができます。その場合,トレース取得レベルに「抑止」を設定します。設定方法については,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ リファレンス コマンド編」の「cprfstart(PRFデーモンの開始)」,またはマニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ リファレンス コマンド編」の「cprflevel(PRFトレース取得レベルの表示と変更)」を参照してください。
- 注※2
- トレース情報は,バッチアプリケーションの実行直前(mainメソッドを呼ぶ直前),およびバッチアプリケーション終了直後に出力されます。cjexecjobコマンドおよびcjkilljobコマンドの実行では出力されません。
また,性能解析トレースでは,これらの機能レイヤのほかに,J2EEサーバの開始処理,終了処理,トランザクションタイムアウト発生時,およびセッションの生成/破棄でもトレースを出力します。
なお,トレース情報の内容には,トレース情報を取得したプロセスID,取得ポイントを示すイベントID,トレース取得年月日やトレース情報を取得したクライアントアプリケーションのIPアドレスなどの情報が含まれます。
- 参考
- これらの機能レイヤのほか,Application Serverの構成ソフトウェアおよび関連プログラムでも,次の機能レイヤでPRFトレースが取得できます。
- Cosminexus Web Services - Base
- uCosminexus TP1 Connector
- TP1/Client/J
- TP1/MQ Access
- Cosminexus RM
- HCSCサーバ
- uCosminexus Service Adapter for Object Access
- uCosminexus Service Coordinator Interactive Workflow
- uCosminexus Service Adapter for Flat Files
- uCosminexus Service Adapter for Message Queue
- uCosminexus Service Adapter
トレース情報のキー情報は,次の要素で構成されています。
- キー情報の構成
- キー情報を取得したプロセスID
- キー情報を取得したプロセスが起動しているホストのIPアドレス
- PRFトレースのI/Oプロセス(PRFデーモン)単位で割り当てられる通信番号
なお,PRFデーモンが起動していない場合は,通信番号として時刻が返却されます。ただし,この場合,通信番号の一意性を保てないおそれがあるので,PRFデーモンは必ず起動してください。
PRFトレースには,次の2種類のキー情報が付与されます。
- ルートアプリケーション情報
各イベントで一連の処理の先頭になるプロセスで取得した情報です。
- J2EEアプリケーションの場合
リダイレクタまたはEJBクライアントで取得した情報になります。
- バッチアプリケーションの場合
バッチアプリケーションの実行直前に取得した情報になります。
- クライアントアプリケーション情報
J2EEアプリケーションの場合,次に示すEnterprise Beanを呼び出す処理単位で設定される情報です。
- WebコンテナからEJBコンテナの呼び出し
- EJBクライアントからEJBコンテナの呼び出し
- EJBコンテナからEJBコンテナの呼び出し
なお,バッチアプリケーションの場合は,バッチアプリケーションの実行直前に設定される情報になります。
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