Cosminexus アプリケーションサーバ V8 概説

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4.6 導入から運用までの流れ

J2EEアプリケーションを実行する環境の導入から構築・運用までの流れについて説明します。

3章で説明した流れに従って,次の工程を実施します。

また,必要に応じて運用の見直しを実施します。

それぞれの作業の概要を説明します。なお,構築・運用する環境によって固有の作業がある場合は,そのつど説明します。

<この節の構成>
(1) システムの仕様(機能)検討
(2) システム設計/運用設計
(3) システムの構築
(4) システムの日常運用
(5) システムの保守

(1) システムの仕様(機能)検討

システムの仕様(機能)検討では,実現したいシステムの要件に応じてJ2EEアプリケーションの実行環境で実現できる機能を確認して,どの機能を使用するかを選択・検討します。

ここでは,主に,アプリケーションの実行基盤としての機能を選択してください。これらの機能は,システム構成やアプリケーションの実装に影響があります。ただし,アプリケーションの実行基盤を運用・保守するための機能にも,アプリケーションの実装が必要な機能があります。

選択する機能の例を示します。これらの機能については,「マニュアル」列に示したマニュアルで詳しく説明しています。

表4-4 システムの仕様(機能)検討で選択する機能の例

分類 機能 参照先マニュアル 参照個所
基本・開発機能 Webコンテナ Cosminexus アプリケーションサーバ 機能解説 基本・開発編(Webコンテナ) 全体
Webサーバ連携 Cosminexus アプリケーションサーバ 機能解説 基本・開発編(Webコンテナ) 3.
インプロセスHTTPサーバ 4.
サーブレットおよびJSPの実装 5.
EJBコンテナ Cosminexus アプリケーションサーバ 機能解説 基本・開発編(EJBコンテナ) 全体
EJBクライアント Cosminexus アプリケーションサーバ 機能解説 基本・開発編(EJBコンテナ) 3.
Enterprise Bean実装時の注意事項 4.
ネーミング管理 Cosminexus アプリケーションサーバ 機能解説 基本・開発編(コンテナ共通機能) 2.
リソース接続とトランザクション管理 3.
OpenTP1からのアプリケーションサーバの呼び出し(TP1インバウンド連携機能) 4.
アプリケーションサーバでのJPAの利用 5.
Cosminexus JPAプロバイダ 6.
Cosminexus JMSプロバイダ 7.
JavaMailの利用 8.
セキュリティ管理 9.
アプリケーションの属性管理 10.
アノテーションの使用 11.
J2EEアプリケーションの形式とデプロイ 12.
コンテナ拡張ライブラリ 13.
拡張機能 バッチサーバによるアプリケーションの実行 Cosminexus アプリケーションサーバ 機能解説 拡張編 2.
CTMによるリクエストのスケジューリングと負荷分散 3.
バッチアプリケーションのスケジューリング 4.
J2EEサーバ間のセッション情報の引き継ぎ(セッションフェイルオーバ機能) 5.
明示管理ヒープ機能を使用したフルガーベージコレクションの抑止 8.
クライアント性能の測定と分析 9.
統合ユーザ管理 10.
アプリケーションのユーザログ出力 12.
スレッドの非同期並行処理 13.
監視機能 稼働情報の監視(稼働情報収集機能) Cosminexus アプリケーションサーバ 機能解説 運用/監視/連携編 3.
リソースの枯渇監視 4.
監査ログ出力機能 6.
データベース監査証跡連携機能 7.
Managementイベントの通知とManagementアクションによる処理の自動実行 9.
保守機能 日立固有のJavaVMの機能 Cosminexus アプリケーションサーバ 機能解説 保守/移行/互換編 8.

「マニュアル」列に示したマニュアルでは,システムの目的ごとに,どの機能を使用するとよいかを示しています。アプリケーションサーバで構築するシステムの目的として想定しているのは,次の項目です。

これらの項目と各機能の対応を確認して,必要な機能を選択してください。

また,JP1やクラスタソフトウェアなどのほかの製品と連携する場合は,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ 機能解説 運用/監視/連携編」を参照してください。

さらに,構築する実行環境に応じて,次のマニュアルも参照してください。

Webサービスの機能を使用する場合
マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ Webサービス開発の手引」を参照して,アプリケーションサーバで動作するWebサービス開発の概要と開発手順について確認し,実現する機能やシステム構成を検討してください。なお,従来のSOAPアプリケーション開発支援機能を使用したシステムを構築・運用する場合は,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ SOAPアプリケーション開発の手引」を参照してください。

メッセージを利用した非同期通信アプリケーションを使用する場合
使用する機能に応じて,次のどちらかのマニュアルを参照して,メッセージを利用した非同期通信アプリケーションの実行環境で実現する機能やシステム構成を検討してください。
  • Cosminexus JMSプロバイダを使用するとき
    マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ 機能解説 基本・開発編(コンテナ共通機能)」の「7. Cosminexus JMSプロバイダ」を参照してください。
  • Cosminexus RMを使用するとき
    マニュアル「Cosminexus Reliable Messaging」を参照してください。

(2) システム設計/運用設計

システム設計は,次の考え方で進めます。

  1. 使用する機能に応じてシステム構成を検討する。
  2. システムの目的に応じたセキュリティの確保の方法を検討する。
  3. システムの目的に応じたチューニング項目を検討する。

システム設計の考え方の詳細については,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ システム設計ガイド」を参照してください。

また,構築する実行環境に応じて,次のマニュアルも参照してください。

Webサービスの機能を使用する場合
マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ Webサービス開発の手引」を参照して,Webサービスをどのような形態で開発するかを検討し,それに応じて,システム設計/運用設計を実施してください。クライアントとサーバのそれぞれについて,運用方法と構築方法を検討してください。なお,従来のSOAPアプリケーション開発支援機能を使用したシステムを構築・運用する場合は,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ SOAPアプリケーション開発の手引」を参照してください。

メッセージを利用した非同期通信アプリケーションを使用する場合
マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ 機能解説 基本・開発編(コンテナ共通機能)」の「3.16.3 メッセージインフロー」またはマニュアル「Cosminexus Reliable Messaging」を参照して,実行したい業務処理に応じた送信側,受信側のアプリケーションの形態を検討します。それに応じて,システム設計/運用設計を実施してください。クライアントとサーバのそれぞれについて,運用方法と構築方法を検討します。なお,システム構成の検討については,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ システム設計ガイド」の「3.8 サーバ間で非同期通信をする場合の構成を検討する」を参照してください。

(3) システムの構築

システムの構築は,Smart Composer機能またはセットアップウィザードを使用して実施します。

システムを構築するときに参照するマニュアルを,次の表に示します。

表4-5 システムを構築するときに参照するマニュアル

マニュアル 目的 分類
Cosminexus アプリケーションサーバ システム構築・運用ガイド Smart Composer機能またはセットアップウィザードによってシステムを構築する手順について知りたい場合に参照してください。インストール,システム構成に応じたシステム構築方法,J2EEアプリケーションの設定および動作確認といった,一とおりの作業手順について説明しています。
また,テスト環境でチューニングした定義を基に本番環境を構築する場合も,このマニュアルを参照してください。
Hitachi Web Server Hitachi Web Serverのコマンドや定義ファイルを使用してWebサーバを構築したい場合に参照してください。
TPBroker ユーザーズガイド Cosminexus TPBrokerが使用するポート番号について知りたい場合に参照してください。

(凡例)◎:必ず参照するマニュアル ○:必要に応じて参照するマニュアル


なお,これらのマニュアルの中でほかのマニュアルを参照している場合は,必要に応じて参照先のマニュアルも確認してください。

また,構築する実行環境に応じて,次のマニュアルも参照してください。

メッセージを利用した非同期通信アプリケーションを使用する場合
マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ 機能解説 基本・開発編(コンテナ共通機能)」の「3.16.3 メッセージインフロー」またはマニュアル「Cosminexus Reliable Messaging」を参照して,メッセージを利用した非同期通信を実現するために固有な環境構築を実施してください。

(4) システムの日常運用

システムの日常運用のうち,システムの起動や停止,および起動状態の確認といった,基本的な運用業務については,Smart Composer機能を使用して実施します。また,稼働情報・トレースファイルを使用したシステム監視などのシステムの日常的な運用業務は,Smart Composer機能以外の運用管理コマンドや,出力されたファイルなどを使用して実施します。

システムを日常運用するときに参照するマニュアルを次の表に示します。

表4-6 システムを日常運用するときに参照するマニュアル

マニュアル 目的 分類
Cosminexus アプリケーションサーバ システム構築・運用ガイド Smart Composer機能によってシステムを起動および停止する手順について知りたい場合に参照してください。また,システム内のサービスユニットの稼働状態について確認する場合も,このマニュアルを参照してください。
Cosminexus アプリケーションサーバ 機能解説 運用/監視/連携編 稼働情報の調査方法,J2EEアプリケーションの保守的な運用方法などについて知りたい場合に参照してください。また,ほかの製品と連携した運用について知りたい場合も,このマニュアルを参照してください。
Cosminexus アプリケーションサーバ 機能解説 保守/移行/互換編 性能解析トレースの調査方法について知りたい場合に参照してください。
Hitachi Web Server Hitachi Web Serverのコマンドを使用してWebサーバを運用する場合に参照してください。

(凡例)◎:必ず参照するマニュアル ○:必要に応じて参照するマニュアル


なお,これらのマニュアルの中でほかのマニュアルを参照している場合は,必要に応じて参照先のマニュアルも確認してください。

(5) システムの保守

J2EEアプリケーションの入れ替えやトラブルシュートなどの保守的な業務は,Smart Composer機能以外の運用管理コマンドや,出力されたファイルなどを使用して実施します。また,システムの目的に応じたチューニングを実施する場合は,Smart Composer機能または運用管理ポータルを使用します。

システムを保守するときに参照するマニュアルを次の表に示します。

表4-7 システムを保守するときに参照するマニュアル

マニュアル 目的 分類
Cosminexus アプリケーションサーバ システム構築・運用ガイド Smart Composer機能によってシステムを起動および停止する手順について知りたい場合に参照してください。また,システム内のサービスユニットの稼働状態について確認する場合も,このマニュアルを参照してください。
Cosminexus アプリケーションサーバ 機能解説 保守/移行/互換編 トラブルが発生した場合に出力されるログの詳細などについて知りたい場合は,このマニュアルを参照して対処してください。
また,日立固有のJavaVMの機能について知りたい場合もこのマニュアルを参照してください。
Cosminexus アプリケーションサーバ 運用管理ポータル操作ガイド J2EEサーバやWebサーバなどの設定をWebブラウザの画面から変更してチューニングしたい場合に参照してください。
Hitachi Web Server Hitachi Web Serverのログの詳細を確認する場合に参照してください。
TPBroker ユーザーズガイド Cosminexus TPBrokerが使用するログについて知りたい場合に参照してください。

(凡例)◎:必ず参照するマニュアル ○:必要に応じて参照するマニュアル


なお,これらのマニュアルの中でほかのマニュアルを参照している場合は,必要に応じて参照先のマニュアルも確認してください。

また,運用する実行環境に応じて,次のマニュアルも参照してください。

メッセージを利用した非同期通信アプリケーションを使用する場合
マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ 機能解説 基本・開発編(コンテナ共通機能)」の「3.16.3 メッセージインフロー」またはマニュアル「Cosminexus Reliable Messaging」を参照して,メッセージを利用した非同期通信を実現するために固有な運用を実施してください。