ローリングアップデートとは,システムを全面停止しないで,上書きインストールで移行する方法です。
ローリングアップデートで移行できるのは,バージョンが07-50以降のときだけです。07-50より前のバージョンを移行する場合は,08-70を新規にインストールして移行してください。
また,ローリングアップデートで移行する場合,2台以上のHCSCサーバでロードバランスクラスタを構成している必要があります。
次の図に示す(1)~(9)の手順に従って,Cosminexus サービスプラットフォームを07-50以降のバージョンから08-70へ移行してください。
図G-3 ローリングアップデートの場合の移行手順
図G-3の(1)~(9)の手順の詳細を次に示します。
なお,手順内で使用するコマンドの詳細については,マニュアル「Cosminexus サービスプラットフォーム リファレンス」の「4. コマンド(運用環境・実行環境)」を参照してください。また,開発環境で実施する作業の詳細については,マニュアル「Cosminexus サービスプラットフォーム 開発ガイド」を参照してください。
バージョンアップ前の運用環境のリポジトリをエクスポートして,いったん退避します。複数のリポジトリを使用している場合は,すべてのリポジトリをエクスポートして退避します。
cscrepctlコマンド(-exportオプション)を運用環境で実行して,バージョンアップ前のリポジトリをエクスポートしてください。
リポジトリのエクスポート方法の詳細については,「4.2 リポジトリのエクスポート」を参照してください。
開発環境および運用環境で,08-70のCosminexus サービスプラットフォームをインストールしてバージョンアップします。
開発環境は,新規インストールまたは上書きインストールのどちらかの方法でインストールします。運用環境は,上書きインストールでインストールします。
開発環境および運用環境をインストールするときの前提条件を次に示します。
(1)でエクスポートしたリポジトリ情報を開発環境にインポートします。インポートによって,古いバージョンで作成したリポジトリ情報が今バージョンに引き継がれます。そのあと,開発環境のリポジトリ情報を運用環境にインポートし,運用環境にもリポジトリ情報を引き継ぎます。
リポジトリのインポート・エクスポートで実施する作業は,(2)で開発環境をインストールした方法によって次のように異なります。
バージョンアップするHCSCサーバに対してリクエストを送信しないように,ロードバランサを設定します。その際,仕掛かり中のリクエストがないことを確認してください。なお,設定方法は各ロードバランサの仕様によって異なります。
実行環境で,08-70のCosminexus サービスプラットフォームをインストールしてバージョンアップします。
実行環境は,新規インストールまたは上書きインストールのどちらかの方法でインストールします。
運用環境から実行環境のバージョンアップを実施します。
実行環境をバージョンアップするには,次の条件を満たしている必要があります。
前提条件を満たしていない場合,上記の順番で起動,停止,およびバージョンアップを実施してください。
cscenvupdateコマンドを運用環境で実行します。次に示す手順で実行してください。
cscenvupdate -csc <バージョンアップするHCSCサーバ名> |
バージョンアップしたHCSCサーバを起動します。
(7)で起動したHCSCサーバに配備されているHCSCコンポーネントを開始します。
バージョンアップしたHCSCサーバに対してリクエストを送信するように,ロードバランサを設定します。なお,設定方法は各ロードバランサの仕様によって異なります。
ロードバランスクラスタを構成しているすべてのHCSCサーバに対して,(4)~(9)の作業を実施します。
なお,旧バージョンで使用していたリポジトリ情報を開発環境でバージョンアップ前後に変更し,そのリポジトリ情報を使用して運用する場合のバージョンアップ方法については,マニュアル「Cosminexus サービスプラットフォーム 開発ガイド」の「付録A 旧バージョンからの移行」を参照してください。
ローリングアップデートを実行する場合,次の条件がすべて該当すると,cscenvupdateコマンドの実行時に異常終了することがあります。
この場合に,正常に運用する方法および運用例を次に示します。
稼働しているすべてのHCSCサーバに対して,次に示す1.~4.の操作を実行してください。
この操作を実行した状態で,バージョンアップしたHCSCサーバに対してcscenvupdateコマンドを実行してください。2台目以降のアップデートは,1.~4.の手順を実行する必要はありません。また,1回目のcscenvupdateコマンドの正常終了を確認したあとに,1.~3.の手順で停止した各機能は,2台目以降の操作タイミングとは無関係に再開可能となります。
次に示す構成およびバージョンアップを想定します。
この場合に,正常に運用する方法を次に示します。