2.6.1 HAクラスタ構成時の環境構築

HCSCサーバをHAクラスタ構成にする場合,実行環境(実行系・待機系),運用環境,DBサーバがそれぞれ別のマシン上にある構成となります。

HCSCサーバをHAクラスタ構成にした場合のシステムの構成を次の図に示します。

図2-7 HCSCサーバをHAクラスタ構成にした場合のシステムの構成

[図データ]

バージョン08-70以降で新規にセットアップした場合は,HCSC-Managerの環境をそれぞれの実行環境に格納できます。これによって,運用環境のサーバ台数を省略できます。

実行環境(実行系・待機系),運用環境,DBサーバの構築方法を次に示します。

<この項の構成>
(1) 実行環境(実行系・待機系)の構築
(2) 運用環境の構築
(3) DBサーバの構築

(1) 実行環境(実行系・待機系)の構築

実行環境を構築するには,実行系および待機系で次の作業を実施します。

(a) uCosminexus Service Platformのインストール

uCosminexus Service Platformのインストール方法については,「2.1.2 uCosminexus Service Platformのインストール」を参照してください。

(b) Management Serverの設定

運用環境でHCSC-Managerを使用するためのManagement Serverの設定を,HCSC-Managerの接続先となる実行環境で実施します。

Management Serverの設定については,「2.1.6 HCSC-Managerを使用するためのManagement Serverの設定」を参照してください。

(c) SOAPモードの設定

HCSCサーバをHAクラスタ構成にする場合,構成する実行環境および運用環境で利用するSOAPモードを合わせる必要があります。異なるSOAPモードの環境は共存できません。

SOAPモードを設定するには,J2EEサーバのコンテナ拡張ライブラリの設定が必要になります。J2EEサーバのコンテナ拡張ライブラリの設定については,「3.1.2(4)(e) コンテナ拡張ライブラリの設定」を参照してください。

(d) HCSCサーバの構成などの設定

HCSCサーバの構成などの実行環境に関する設定を行います。設定する内容と設定方法については,「2.3 実行環境に関する設定」を参照してください。

なお,実行環境に関する設定でHCSCサーバ構成定義ファイル,HCSCサーバセットアップ定義ファイル,およびHCSCサーバランタイム定義ファイルを設定する場合には,次に示す内容に留意してください。

 

HCSCサーバ構成定義ファイルの設定時の注意事項
HCSCサーバ構成定義ファイルで設定するクラスタ種別には,「HA」を設定してください。
データベースを使用する場合は,HCSCサーバ名をユニークな名称にしてください。
また,非同期サービス(MDB(WS-R))呼び出しをする場合のWebサーバのIPアドレスは,jms-receptionに設定してください。
なお,HCSCサーバ構成定義ファイルに設定する値のうち,次に示す値は実行系と待機系で異なる値を設定する必要があります。
  • Cosminexus manager名
  • Cosminexus managerのIPアドレス
    Cosminexus managerのIPアドレスには,実行系・待機系それぞれの物理IPアドレスを指定します。
上記以外の要素には,実行系と待機系で同じ値を設定します。
HCSCサーバ構成定義ファイルの設定方法については,「2.3.1 HCSCサーバ構成定義ファイルを設定する」を参照してください。
HCSCサーバ構成定義ファイルに設定する内容の詳細については,マニュアル「Cosminexus サービスプラットフォーム リファレンス」の「HCSCサーバ構成定義ファイル」を参照してください。
 
HCSCサーバセットアップ定義ファイルの設定時の注意事項
HCSCサーバセットアップ定義ファイルを設定する場合には,次に示す内容に留意してください。
HCSCサーバセットアップ定義ファイルの設定方法については,「2.3.2 HCSCサーバセットアップ定義ファイルを設定する」を参照してください。
HCSCサーバセットアップ定義ファイルに設定する内容の詳細については,マニュアル「Cosminexus サービスプラットフォーム リファレンス」の「HCSCサーバセットアップ定義ファイル」を参照してください。
同じ値を設定するプロパティ
HCSCサーバセットアップ定義ファイルに設定するプロパティのうち,次の表に示すプロパティは実行系と待機系で同じ値を設定する必要があります。

表2-27 実行系と待機系で同じ値を設定するプロパティ

同じ値を指定するプロパティプロパティに設定する値
db-useデータベースの使用有無
rm-useCosminexus RMの使用有無
request-ejb標準の同期受付(SessionBean)の使用有無
request-soap標準の同期受付(Webサービス)の使用有無
request-jms標準の非同期受付(MDB(WS-R))の使用有無
request-jms.maxmessage標準の非同期受付(MDB(WS-R))のキューの最大メッセージ数
request-dbq標準の非同期受付(MDB(DBキュー))の使用有無
request-dbq.maxmessage標準の非同期受付(MDB(DBキュー))のキューの最大メッセージ数
request-jms-rdarea標準の非同期受付(MDB(WS-R))のRDエリア名
request-dbq-rdarea標準の非同期受付(MDB(DBキュー))のRDエリア名
request-dbq-maxlen標準の非同期受付(MDB(DBキュー))の最大メッセージ長
rm-systemname※1Cosminexus RMのシステム名
rm-displaynameCosminexus RMの表示名
dbcon-xadisplayname※2XATransactionまたはLocalTransaction用DB Connectorの表示名
dbcon-nodisplayname※2NoTransaction用DB Connectorの表示名
dbtype使用するデータベース種別
jdbc-typeJDBCドライバ種別
jdbc-url※3JDBC用データベースURL
jdbc-dbhostnameデータベースのホスト名
jdbc-dbconnectinfoデータベースの接続情報
db-character-setsデータベース文字コード種別
request-userdef-soapユーザ定義受付の使用有無

注※1 実行系と待機系で同じCosminexus RMシステム名を指定します。

注※2 DBコネクタの設定も実行系と待機系で同じにします。

注※3 指定するホスト名には,データベースを格納しているマシンを指定します。


HCSCサーバランタイム定義ファイルの設定時の注意事項
HCSCサーバランタイム定義ファイルを設定する場合,すべてのプロパティで実行系と待機系で同じ値を設定する必要があります。
HCSCサーバランタイム定義ファイルの設定方法については,「2.3.3 HCSCサーバランタイム定義ファイルを設定する」を参照してください。
HCSCサーバランタイム定義ファイルに設定する内容の詳細については,マニュアル「Cosminexus サービスプラットフォーム リファレンス」の「HCSCサーバランタイム定義ファイル」を参照してください。
(e) クラスタソフトウェアのインストール

クラスタソフトウェアをインストールします。インストール方法は,利用するクラスタソフトウェアのドキュメントを参照してください。

(2) 運用環境の構築

運用環境は,クラスタを構成するHCSCサーバから独立して構築します。そのため,運用環境として利用するマシンには,uCosminexus OperatorおよびuCosminexus Operator for Service Platformをインストールして環境を構築します。

なお,バージョン08-70以降で新規にセットアップすれば,一つのマシンに運用環境と実行環境を配置できます。その結果,運用環境用のマシンが不要になります。

運用環境を構築するには,次の作業を実施します。

uCosminexus OperatorおよびuCosminexus Operator for Service Platformのインストール
uCosminexus OperatorおよびuCosminexus Operator for Service Platformのインストール方法については,「2.1.3 uCosminexus OperatorおよびuCosminexus Operator for Service Platformのインストール」を参照してください。
環境設定
運用環境の環境設定としてリポジトリの設定と環境変数の設定を実施します。
環境設定については,「2.1.4 環境設定」を参照してください。
EclipseへのHCSC-Manager Plug-inの組み込み
uCosminexus OperatorおよびuCosminexus Operator for Service Platformをインストールしたマシン上で,EclipseにHCSC-Manager Plug-inを組み込みます。
EclipseへのHCSC-Manager Plug-inの組み込みについては,「2.1.5 EclipseへのHCSC-Manager Plug-inの組み込み」を参照してください。
ユーザ権限などの設定
ユーザ権限などの運用環境に関する設定を行います。設定する内容と設定方法については,「2.4 運用環境に関する設定」を参照してください。

(3) DBサーバの構築

DBサーバは,HAクラスタを構成するHCSCサーバから独立して構築し,実行系および待機系のHCSCサーバで共有します。

DBサーバとして利用するマシンに利用するデータベースをインストールしてください。インストール方法は,利用するデータベースのドキュメントを参照してください。