7.4.3 性能解析トレース

性能解析トレース(PRFトレース)は,Cosminexusシステムの性能解析をするためのトレース情報で,それをCSV形式で編集出力したテキストファイルが性能解析トレースファイルです。性能解析トレースは,J2EEアプリケーションを含めた,システム全体の性能ボトルネックを解析するための情報が出力されます。システムの性能ネックや性能トラブルシュートに使用します。性能解析トレース機能については,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ 機能解説 保守/移行/互換編」の「6. 性能解析トレースを使用したシステムの性能解析」を参照してください。

<この項の構成>
(1) 性能解析トレースファイルの出力形式と出力される内容
(2) 性能解析トレースの取得ポイント
(3) 性能解析トレースの取得方法と出力先

(1) 性能解析トレースファイルの出力形式と出力される内容

(a) 出力形式

性能解析トレースファイルに出力される形式は,Cosminexusの性能解析トレースと同様です。性能解析トレースファイルの詳細については,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ 機能解説 保守/移行/互換編」の「6.3 性能解析トレースファイル」を参照してください。

(b) 出力される内容
HCSCサーバ(メッセージング基盤)の場合
性能解析トレースファイルに出力される内容を次の表に示します。

表7-23 性能解析トレースファイルに出力される内容(メッセージング基盤)

項目内容
イベントID取得ポイントのイベントIDが出力されます。
詳細については,次の個所を参照してください。
リターンコード取得ポイント種別が出力されます。
  • 0:正常終了
  • 1:異常終了
インターフェース名クラス名が出力されます。
オペレーション名メソッド名が出力されます。
オプション情報メッセージ共通IDリクエスト識別情報(親ID)が出力されます。
サービスリクエストIDリクエスト識別情報(子ID)が出力されます。
付加情報出力元固有の付加情報が出力されます。
HCSCサーバ(ビジネスプロセス基盤)の場合
性能解析トレースファイルに出力される内容を次の表に示します。

表7-24 性能解析トレースファイルに出力される内容(ビジネスプロセス基盤)

項目内容
イベントID取得ポイントのイベントIDが出力されます。
詳細は,「表7-31 性能解析トレース取得ポイント(ビジネスプロセス基盤)」を参照してください。
リターンコード取得ポイント種別が出力されます。
  • 0:正常終了
  • 1:異常終了
インターフェース名次の名称のどれかが出力されます。
  • ビジネスプロセス定義名
  • Javaクラス名
  • Data Transform
  • サービス名
詳細は,「表7-31 性能解析トレース取得ポイント(ビジネスプロセス基盤)」を参照してください。
オペレーション名出力されません。
オプション情報オプション情報が出力されます。
詳細は,「表7-31 性能解析トレース取得ポイント(ビジネスプロセス基盤)」を参照してください。
HCSCサーバ(DBアダプタ)の場合
性能解析トレースファイルに出力される内容を次の表に示します。

表7-25 性能解析トレースファイルに出力される内容(DBアダプタ)

項目内容
イベントID取得ポイントのイベントIDが出力されます。
詳細については,次の個所を参照してください。
リターンコード取得ポイント種別が出力されます。
  • 0:正常終了
  • 1:異常終了
インターフェース名クラス名が出力されます。
パッケージ名は表示されません。
オペレーション名メソッド名が出力されます。
オプション情報メッセージ共通IDリクエスト識別情報(親ID)が出力されます。
情報を設定していない場合はnullになります。
サービスリクエストIDリクエスト識別情報(子ID)が出力されます。
情報を設定していない場合はnullになります。
付加情報個別情報が出力されます。
HCSCサーバ(データ変換基盤)の場合
性能解析トレースファイルに出力される内容を次の表に示します。

表7-26 性能解析トレースファイルに出力される内容(データ変換基盤)

項目内容
イベントID取得ポイントのイベントIDが出力されます。
詳細については,次の個所を参照してください。
リターンコード取得ポイント種別が出力されます。
  • 0:正常終了
  • 1:異常終了
インターフェース名クラス名が出力されます。
オペレーション名メソッド名が出力されます。
オプション情報メッセージ共通IDリクエスト識別情報(親ID)が出力されます。
サービスリクエストIDリクエスト識別情報(子ID)が出力されます。
付加情報出力元固有の付加情報が出力されます。

(2) 性能解析トレースの取得ポイント

(a) HCSCサーバ(メッセージング基盤)の場合

性能解析トレースファイルのトレース取得ポイントは,次に示す場合があり,それぞれで取得ポイントが異なります。

単体サービス実行時
単体サービス実行時性能解析トレースのトレース取得ポイントを次の図に示します。

図7-11 性能解析トレースの取得ポイント(単体サービス実行時)

[図データ]
イベントID,トレース取得ポイント,および性能解析トレース取得レベルを次の表に示します。表の「図中の番号」は,図7-11中の番号と対応しています。

表7-27 性能解析トレース取得ポイント(単体サービス実行時)

イベントID図中の番号トレース取得ポイントレベル
0x98001標準受付(Webサービス)の入口A
0x98012標準受付(Webサービス)の出口A
0x98021標準受付(SessionBean)の入口A
0x98032標準受付(SessionBean)の出口A
0x98041標準受付(MDB(WS-R))の入口A
0x98052標準受付(MDB(WS-R))の出口A
0x98061標準受付(MDB(DBキュー))の入口A
0x98072標準受付(MDB(DBキュー))の出口A
0x98103サービスアダプタ(Webサービス)のサービス部品呼び出し口A
0x98114サービスアダプタ(Webサービス)のサービス部品応答受信口A
0x98123サービスアダプタ(SessionBean)のサービス部品呼び出し口A
0x98134サービスアダプタ(SessionBean)のサービス部品応答受信口A
0x98143サービスアダプタ(MDB(WS-R))のサービス部品呼び出し口A
0x98154サービスアダプタ(MDB(WS-R))のサービス部品応答受信口A
0x98163サービスアダプタ(MDB(DBキュー))のサービス部品呼び出し口A
0x98174サービスアダプタ(MDB(DBキュー))のサービス部品応答受信口A
0x98183サービスアダプタ(CUSTOM)のサービス部品呼び出し口A
0x98194サービスアダプタ(CUSTOM)のサービス部品応答受信口A
(凡例)
A:標準

ビジネスプロセスサービス実行時
ビジネスプロセスサービス実行時の性能解析トレースのトレース取得ポイントを次の図に示します。

図7-12 性能解析トレースの取得ポイント(ビジネスプロセスサービス実行時)

[図データ]
イベントID,トレース取得ポイント,および性能解析トレース取得レベルを次の表に示します。表の「図中の番号」は,図7-12中の番号と対応しています。

表7-28 性能解析トレース取得ポイント(ビジネスプロセスサービス実行時)

イベントID図中の番号トレース取得ポイントレベル
0x98001標準受付(Webサービス)の入口A
0x98012標準受付(Webサービス)の出口A
0x98021標準受付(SessionBean)の入口A
0x98032標準受付(SessionBean)の出口A
0x98041標準受付(MDB(WS-R))の入口A
0x98052標準受付(MDB(WS-R))の出口A
0x98061標準受付(MDB(DBキュー))の入口A
0x98072標準受付(MDB(DBキュー))の出口A
0x98081ユーザ定義受付(Webサービス)の入口A
0x98092ユーザ定義受付(Webサービス)の出口A
0x98107サービスアダプタ(Webサービス)のサービス部品呼び出し口A
0x98118サービスアダプタ(Webサービス)のサービス部品応答受信口A
0x98127サービスアダプタ(SessionBean)のサービス部品呼び出し口A
0x98138サービスアダプタ(SessionBean)のサービス部品応答受信口A
0x98147サービスアダプタ(MDB(WS-R))のサービス部品呼び出し口A
0x98158サービスアダプタ(MDB(WS-R))のサービス部品応答受信口A
0x98167サービスアダプタ(MDB(DBキュー))のサービス部品呼び出し口A
0x98178サービスアダプタ(MDB(DBキュー))のサービス部品応答受信口A
0x98187サービスアダプタ(CUSTOM)のサービス部品呼び出し口A
0x98198サービスアダプタ(CUSTOM)のサービス部品応答受信口A
0x98403ビジネスプロセスサービスの呼び出し口A
0x98414ビジネスプロセスサービスの応答受信口A
0x98425ビジネスプロセス受付の入口A
0x98436ビジネスプロセス受付の出口A
(凡例)
A:標準

データベースアクセス実行時
HCSCサーバが,コマンドや電文の実行履歴を採取時にデータベースにアクセスするときの性能解析トレースの取得ポイントを次の図に示します。

図7-13 性能解析トレースの取得ポイント(データベースアクセス実行時)

[図データ]
イベントID,トレース取得ポイント,および性能解析トレース取得レベルを次の表に示します。表の「図中の番号」は,図7-13中の番号と対応しています。

表7-29 性能解析トレース取得ポイント(データベースアクセス実行時)

イベントID図中の番号トレース取得ポイントレベル
0x98501DBコネクタ呼び出し口A
0x98512DBコネクタ応答受信口A
0x98523DBコネクタ実行履歴呼び出し口B
0x98534DBコネクタ実行履歴応答受信口B
(凡例)
A:標準
B:詳細

ファイルアクセス実行時
データベースを使用しない構成でHCSCサーバをセットアップした場合,コマンド処理時に,データベースの代わりにファイルにアクセスします。このファイルアクセスするときの性能解析トレースを取得します。ファイルアクセスでの取得ポイントを次の図に示します。

図7-14 性能解析トレースの取得ポイント(ファイルアクセス実行時)

[図データ]

イベントID,トレース取得ポイント,および性能解析トレース取得レベルを次の表に示します。表の「図中の番号」は,図7-14中の番号と対応しています。

表7-30 性能解析トレース取得ポイント(ファイルアクセス実行時)

イベントID図中の番号トレース取得ポイントレベル
0x98541ファイルアクセス呼び出し口(ファイルオープン前)B
0x98552ファイルアクセス応答受信口(ファイルクローズ後)B
(凡例)
B:詳細

(b) HCSCサーバ(ビジネスプロセス基盤)の場合

性能解析のトレース取得ポイントを次の図に示します。

図7-15 性能解析トレースのトレース取得ポイント(ビジネスプロセス基盤)

[図データ]

[図データ]

イベントID,トレース取得ポイント,および性能解析トレース取得レベルを次の表に示します。表の「図中の番号」は,図7-15中の番号と対応しています。

表7-31 性能解析トレース取得ポイント(ビジネスプロセス基盤)

イベントID図中の番号トレース取得ポイントレベルインターフェース名オプション情報
0x99001メッセージング基盤からのビジネスプロセス実行要求呼び出しAビジネスプロセス定義名
  • メッセージ共通ID
0x99012メッセージング基盤へのビジネスプロセス実行要求応答Aビジネスプロセス定義名
  • メッセージ共通ID
  • フォルト名(異常時)
0x99023メッセージング基盤からの応答アクティビティ後呼び出しAビジネスプロセス定義名
  • メッセージ共通ID
0x99034メッセージング基盤からの応答アクティビティ後呼び出しへの応答Aビジネスプロセス定義名
  • メッセージ共通ID
  • フォルト名(異常時)
0x99045メッセージング基盤からの再実行要求呼び出しAビジネスプロセス定義名
  • メッセージ共通ID
0x99056メッセージング基盤からの再実行要求呼び出しへの応答Aビジネスプロセス定義名
  • メッセージ共通ID
  • フォルト名(異常時)
0x99067ユーザ作成のJavaクラス呼び出しAJavaクラス名なし
0x99078ユーザ作成のJavaクラスからの応答AJavaクラス名
  • フォルト名(異常時)
0x99089データ変換要求呼び出しA"Data Transform"なし
0x990910データ変換要求からの応答A"Data Transform"
  • フォルト名(異常時)
0x990A11TimerServiceからの待機アクティビティ後呼び出しAビジネスプロセス定義名
  • メッセージ共通ID
0x990B12TimerServiceからの待機アクティビティ後呼び出しへの応答Aビジネスプロセス定義名
  • メッセージ共通ID
  • フォルト名(異常時)
0x990C13TimerService登録時Aビジネスプロセス定義名
  • メッセージ共通ID
  • 待機解除時間
0x990D14TimerServiceタイムアウト時Aビジネスプロセス定義名
  • メッセージ共通ID
0x991015メッセージング基盤へのサービス部品要求呼び出しAサービス名
  • メッセージ共通ID
  • 親スレッドのハッシュコード(並列実行時)
0x991116メッセージング基盤からのサービス部品要求応答Aサービス名
  • メッセージ共通ID
  • 親スレッドのハッシュコード(並列実行時)
  • フォルト名(異常時)
(凡例)
A:標準
注 表に含まれないイベントID(0x9A00~0x9AFF)は,データ変換基盤から発行されたものです。

(c) HCSCサーバ(DBアダプタ)の場合

起動時とサービス部品実行時で,性能解析トレースのトレース取得ポイントが異なります。

起動時
起動時の性能解析トレースのトレース取得ポイントを次の図に示します。

図7-16 性能解析トレースのトレース取得ポイント(DBアダプタ起動時)

[図データ]
イベントID,トレース取得ポイント,および性能解析トレース取得レベルを次の表に示します。表の「図中の番号」は,図7-16中の番号と対応しています。

表7-32 性能解析トレース取得ポイント(DBアダプタ起動時)

イベントID図中の番号トレース取得ポイントレベル
0x9B601データソース検索直前B
0x9B612データソース検索直後B
0x9B62B
(凡例)
B:詳細

サービス部品実行時
サービス部品実行時の性能解析トレースのトレース取得ポイントを次の図に示します。

図7-17 性能解析トレースのトレース取得ポイント(DBアダプタサービス実行時)

[図データ]
イベントID,トレース取得ポイント,および性能解析トレース取得レベルを次の表に示します。表の「図中の番号」は,図7-17中の番号と対応しています。

表7-33 性能解析トレース取得ポイント(DBアダプタサービス実行時)

イベントID図中の番号トレース取得ポイントレベル
0x9B001メッセージング基盤からのサービス部品要求呼び出し直後A
0x9B0114メッセージング基盤からのサービス部品要求応答直前A
0x9B02A
0x9B202※1※2,12※1※2データ変換要求呼び出し直前A
0x9B213※1※2,13※1※2データ変換要求応答直後A
0x9B22A
0x9B2315※2※3データ複製要求呼び出し直前A
0x9B2416※2※3データ複製要求応答直後A
0x9B25A
0x9B634データベース接続要求呼び出し直前B
0x9B645データベース接続要求応答直後B
0x9B65B
0x9B666SQL要求呼び出し直前A
0x9B677SQL要求応答直後A
0x9B68A
0x9B696SQL要求呼び出し直前A
0x9B6A7SQL要求応答直後A
0x9B6BA
0x9B6C6SQL要求呼び出し直前A
0x9B6D7SQL要求応答直後A
0x9B6EA
0x9B408SQL(SELECT)実行結果格納処理直前A
0x9B4111SQL(SELECT)実行結果格納処理直後A
0x9B42A
0x9B439SQL(SELECT)実行結果取得処理直前B
0x9B4410SQL(SELECT)実行結果取得処理直後B
0x9B45B
(凡例)
A:標準
B:詳細
注 表に含まれないイベントID(0x9A00~0x9AFF)は,データ変換基盤から発行されたものです。
注※1 標準電文の種別がXML電文のデータ変換定義がある場合のトレース取得ポイントを示します。
注※2 標準電文の種別がバイナリ電文のデータ変換定義がある場合のトレース取得ポイントを示します。
注※3 データ変換定義がない場合のトレース取得ポイントを示します。

(d) HCSCサーバ(データ変換基盤)の場合

イベントID,トレース取得ポイント,および性能解析トレース取得レベルを次の表に示します。

表7-34 性能解析トレース取得ポイント(データ変換基盤)

イベントIDトレース取得ポイントレベル
0x9A07XMLから値を取得する直前A
0x9A08XMLから値を取得した直後A
0x9A0CXMLに値を設定する直前A
0x9A0DXMLに値を設定した直後A
0x9A11XMLからノードを取得する直前A
0x9A12XMLからノードを取得した直後A
0x9A16XMLにノードを設定する直前A
0x9A17XMLにノードを設定した直後A
0x9A43データ変換直前A
0x9A44データ変換直後A
0x9A52データ変換テンプレート生成直前A
0x9A53データ変換テンプレート生成直後A
0x9A6AXMLスキーマインスタンス生成直前A
0x9A6BXMLスキーマインスタンス生成直後A
0x9A8DXMLスキーマインスタンス生成直前A
0x9A8EXMLスキーマインスタンス生成直後A
0x9A77XMLデータ解析直前A
0x9A78XMLデータ解析直後A
0x9A7AXMLスキーマ検証直前A
0x9A7BXMLスキーマ検証直後A
0x9A7CXMLスキーマ検証直前A
0x9A7DXMLスキーマ検証直後A
0x9A80XMLデータ解析直前A
0x9A81XMLデータ解析直後A
0x9A84XMLデータ解析直前A
0x9A85XMLデータ解析直後A
0x9A82データ変換直前A
0x9A83データ変換直後A
(凡例)
A:標準
注※
ファイル操作アダプタからの呼び出しの場合,性能解析トレース取得レベルは「詳細」とします。

(3) 性能解析トレースの取得方法と出力先

性能解析トレースを取得するには設定が必要です。詳細については,「7.3.1 Cosminexus サービスプラットフォームが出力するログやトレースの取得方法」およびマニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ 機能解説 保守/移行/互換編」の「6.3 性能解析トレースファイル」を参照してください。