2.5.1 ロードバランスクラスタ構成時の環境構築
HCSCサーバをロードバランスクラスタ構成にする場合,実行環境,運用環境,DBサーバがそれぞれ別のマシン上にある構成となります。
汎用ロードバランサを使用したシステム構成を図2-4に,CTMを使用したシステム構成を図2-5に示します。
図2-4 汎用ロードバランサを使用したシステム構成
![[図データ]](figure/zc020300.gif)
図2-5 CTMを使用したシステム構成
![[図データ]](figure/zc020400.gif)
なお,バージョン08-70以降で新規にセットアップした場合は,HCSC-Managerの環境をそれぞれの実行環境に格納できます。これによって,運用環境のサーバ台数を省略できます。
実行環境,運用環境,DBサーバの構築方法を次に示します。
- <この項の構成>
- (1) 実行環境の構築
- (2) 運用環境の構築
- (3) DBサーバの構築
(1) 実行環境の構築
実行環境を構築するには,次の作業を実施します。
(a) uCosminexus Service Platformのインストール
uCosminexus Service Platformのインストール方法については,「2.1.2 uCosminexus Service Platformのインストール」を参照してください。
(b) Management Serverの設定
運用環境でHCSC-Managerを使用するためのManagement Serverの設定を,HCSC-Managerの接続先となる実行環境で実施します。
Management Serverの設定については,「2.1.6 HCSC-Managerを使用するためのManagement Serverの設定」を参照してください。
(c) SOAPモードの設定
HCSCサーバをロードバランスクラスタ構成にする場合,構成する実行環境および運用環境で利用するSOAPモードを合わせる必要があります。異なるSOAPモードの環境は共存できません。
SOAPモードを設定するには,J2EEサーバのコンテナ拡張ライブラリの設定が必要になります。J2EEサーバのコンテナ拡張ライブラリの設定については,「3.1.2(4)(e) コンテナ拡張ライブラリの設定」を参照してください。
(d) HCSCサーバの構成などの設定
HCSCサーバの構成などの実行環境に関する設定を行います。設定する内容と設定方法については,「2.3 実行環境に関する設定」を参照してください。
なお,実行環境に関する設定でHCSCサーバ構成定義ファイル,HCSCサーバセットアップ定義ファイル,およびHCSCサーバランタイム定義ファイルを設定する場合には,次に示す内容に留意してください。
- HCSCサーバ構成定義ファイルの設定時の注意事項
- HCSCサーバ構成定義ファイルを設定する場合には,次に示す内容に留意してください。
- HCSCサーバ構成定義ファイルの設定方法については,「2.3.1 HCSCサーバ構成定義ファイルを設定する」を参照してください。
- HCSCサーバ構成定義ファイルに設定する内容の詳細については,マニュアル「Cosminexus サービスプラットフォーム リファレンス」の「HCSCサーバ構成定義ファイル」を参照してください。
- クラスタ表示名
ロードバランスクラスタ内のすべてのHCSCサーバで同じ値を設定します。
- クラスタ種別
「LB」を設定します。
- Cosminexus manager名
HCSC-ManagerでCosminexus Manager単位に一意になる識別名を設定します。
- Cosminexus managerのIPアドレス
物理IPアドレスを設定します。
- HCSCサーバが使用するJ2EEサーバ名
ロードバランスクラスタ内のすべてのHCSCサーバで同じ値を設定します。
- WebサーバのIPアドレス(同期サービス(Webサービス)呼び出しをする場合)
ロードバランスクラスタ内のすべてのHCSCサーバに,ロードバランサのIPアドレス値を設定します。
- WebサーバのIPアドレス(非同期サービス(MDB(WS-R))呼び出しをする場合)
それぞれのHCSCサーバのIPアドレスを設定します。ロードバランスクラスタ構成の場合,jms-physical-receptionに設定してください。
- NameServerのIPアドレス
ロードバランスクラスタ内のすべてのHCSCサーバで,グローバルCORBAネーミングServiceのIPアドレスを設定します。ただし,CTMを利用していない場合は,localhostを指定してください。
- HCSCサーバ名
DB/RMを使用する環境を構築する場合,ロードバランスクラスタ内で一意になる識別名を設定します。DB/RMを使用しない環境を構築する場合は,HCSC-Manager内で一意になる識別名を設定してください。
-
- HCSCサーバセットアップ定義ファイルの設定時の注意事項
- HCSCサーバセットアップ定義ファイルを設定する場合には,次に示す内容に留意してください。
- HCSCサーバセットアップ定義ファイルの設定方法については,「2.3.2 HCSCサーバセットアップ定義ファイルを設定する」を参照してください。
- HCSCサーバセットアップ定義ファイルに設定する内容の詳細については,マニュアル「Cosminexus サービスプラットフォーム リファレンス」の「HCSCサーバセットアップ定義ファイル」を参照してください。
- 同じ値を設定するプロパティ
- HCSCサーバセットアップ定義ファイルに設定するプロパティのうち,次の表に示すプロパティはロードバランスクラスタ内のすべてのHCSCサーバで同じ値を設定する必要があります。
表2-26 ロードバランスクラスタ内のHCSCサーバで同じ値を設定するプロパティ
同じ値を指定するプロパティ | プロパティに設定する値 |
---|
db-use | データベースの使用有無 |
rm-use | Cosminexus RMの使用有無 |
request-ejb | 標準の同期受付(SessionBean)の使用有無 |
request-soap | 標準の同期受付(Webサービス)の使用有無 |
request-jms | 標準の非同期受付(MDB(WS-R))の使用有無 |
request-jms.maxmessage | 標準の非同期受付(MDB(WS-R))のキューの最大メッセージ数 |
request-dbq | 標準の非同期受付(MDB(DBキュー))の使用有無 |
request-dbq.maxmessage | 標準の非同期受付(MDB(DBキュー))のキューの最大メッセージ数 |
request-jms-rdarea | 標準の非同期受付(MDB(WS-R))のRDエリア名 |
request-dbq-rdarea | 標準の非同期受付(MDB(DBキュー))のRDエリア名 |
request-dbq-maxlen | 標準の非同期受付(MDB(DBキュー))の最大メッセージ長 |
rm-displayname | Cosminexus RMの表示名 |
dbcon-xadisplayname※1 | XATransactionまたはLocalTransaction用DB Connectorの表示名 |
dbcon-nodisplayname※1 | NoTransaction用DB Connectorの表示名 |
dbtype | 使用するデータベース種別 |
jdbc-type | JDBCドライバ種別 |
jdbc-url※2 | JDBC用データベースURL |
jdbc-dbhostname | データベースのホスト名 |
jdbc-dbconnectinfo | データベースの接続情報 |
db-character-sets | データベース文字コード種別 |
request-userdef-soap | ユーザ定義受付の使用有無 |
注※1 DBコネクタの設定もロードバランスクラスタ内のすべてのHCSCサーバで同じにします。
注※2 指定するホスト名には,データベースを格納しているマシンを指定します。
- HCSCサーバランタイム定義ファイルの設定時の注意事項
- HCSCサーバランタイム定義ファイルを設定する場合,ロードバランスクラスタ内のすべてのHCSCサーバですべてのプロパティを同じ値に設定する必要があります。
- また,CTMを使用する場合,次のプロパティを追加してください。
- HCSCサーバランタイム定義ファイルの設定方法については,「2.3.3 HCSCサーバランタイム定義ファイルを設定する」を参照してください。
- HCSCサーバランタイム定義ファイルに設定する内容の詳細については,マニュアル「Cosminexus サービスプラットフォーム リファレンス」の「HCSCサーバランタイム定義ファイル」を参照してください。
(2) 運用環境の構築
運用環境は,クラスタを構成するHCSCサーバから独立して構築します。そのため,運用環境として利用するマシンには,uCosminexus OperatorおよびuCosminexus Operator for Service Platformをインストールして環境を構築します。
なお,バージョン08-70以降で新規にセットアップすれば,一つのマシンに運用環境と実行環境を配置できます。その結果,運用環境用のマシンが不要になります。
運用環境を構築するには,次の作業を実施します。
- uCosminexus OperatorおよびuCosminexus Operator for Service Platformのインストール
- uCosminexus OperatorおよびuCosminexus Operator for Service Platformのインストール方法については,「2.1.3 uCosminexus OperatorおよびuCosminexus Operator for Service Platformのインストール」を参照してください。
- 環境設定
- 運用環境の環境設定としてリポジトリの設定と環境変数の設定を実施します。
- 環境設定については,「2.1.4 環境設定」を参照してください。
- EclipseへのHCSC-Manager Plug-inの組み込み
- uCosminexus OperatorおよびuCosminexus Operator for Service Platformをインストールしたマシン上で,EclipseにHCSC-Manager Plug-inを組み込みます。
- EclipseへのHCSC-Manager Plug-inの組み込みについては,「2.1.5 EclipseへのHCSC-Manager Plug-inの組み込み」を参照してください。
- ユーザ権限などの設定
- ユーザ権限などの運用環境に関する設定を行います。設定する内容と設定方法については,「2.4 運用環境に関する設定」を参照してください。
(3) DBサーバの構築
DBサーバは,ロードバランスクラスタを構成するHCSCサーバから独立して構築し,ロードバランスクラスタ内のHCSCサーバで共有します。
DBサーバとして利用するマシンに利用するデータベースをインストールしてください。インストール方法は,利用するデータベースのドキュメントを参照してください。