付録H.4 ローリングアップデートで運用環境のレポジトリを移行する手順

ローリングアップデートとは,システムを全面停止しないで,上書きインストールで移行する方法です。

ローリングアップデートで移行する場合,2台以上のHCSCサーバでロードバランスクラスタを構成している必要があります。

次の図に示す(1)~(8)の手順に従って,Cosminexus サービスプラットフォームを旧バージョンから08-70へ移行してください。

図H-3 ローリングアップデートの場合の移行手順(運用環境だけを移行する場合)

[図データ]

図H-3の(1)~(8)の手順の詳細と,2台目以降のHCSCサーバ(実行環境)に対して実施する作業を次に示します。

なお,手順内で使用するコマンドの詳細については,マニュアル「Cosminexus サービスプラットフォーム リファレンス」の「4. コマンド(運用環境・実行環境)」を参照してください。

注意
ローリングアップデートでの移行が完了するまで,旧バージョンのシステムに対して,次の操作はできません。
  • cscsvsetupコマンドで,新規にHCSCサーバをセットアップする
  • csccompodeployコマンドで,新規にHCSCコンポーネントを配備する
<この項の構成>
(1) リポジトリのエクスポート(運用環境)
(2) 運用環境のインストール
(3) リクエストの送信制御(ロードバランサ)
(4) 実行環境のインストール
(5) 実行環境のバージョンアップ(運用環境)
(6) HCSCサーバの起動(運用環境)
(7) HCSCコンポーネントの開始(運用環境)
(8) リクエストの送信制御の解除(ロードバランサ)
(9) 2台目以降のHCSCサーバ(実行環境)に対しての作業
(10) ローリングアップデートで移行する場合の注意事項

(1) リポジトリのエクスポート(運用環境)

バージョンアップ前の運用環境のリポジトリをエクスポートして,いったん退避します。複数のリポジトリを使用している場合は,すべてのリポジトリをエクスポートして退避します。

cscrepctlコマンド(-exportオプション)を運用環境で実行して,バージョンアップ前のリポジトリをエクスポートしてください。

リポジトリのエクスポート方法の詳細については,「4.2 リポジトリのエクスポート」を参照してください。

(2) 運用環境のインストール

運用環境で08-70のCosminexus サービスプラットフォームをインストールしてバージョンアップします。運用環境は,新規インストールまたは上書きインストールでインストールします。

新規にインストールする場合
付録H.2 新規にインストールして運用環境のリポジトリを移行する手順」の(2)~(5)の作業を実施します。
上書きインストールする場合
付録H.3 上書きインストールして運用環境のリポジトリを移行する手順」の(1)の作業を実施します。
注意
上書きインストールする場合,インストールする環境で,J2EEサーバ,Management Server,PRFなどのCosminexus実行環境が稼働中の場合は,すべていったん停止してから上書きインストールしてください。

インストールするときの前提条件を次に示します。

前提条件
  • HCSCサーバがセットアップ済みであること
  • Cosminexus アプリケーションサーバおよびCosminexus RMが停止していること
  • 組み込みデータベースを使用している場合,組み込みデータベースを停止していること
  • HCSCサーバ,J2EEサーバ,およびHCSCコンポーネントが停止していること

(3) リクエストの送信制御(ロードバランサ)

バージョンアップするHCSCサーバに対してリクエストを送信しないように,ロードバランサを設定します。その際,仕掛かり中のリクエストがないことを確認してください。なお,設定方法は各ロードバランサの仕様によって異なります。

(4) 実行環境のインストール

実行環境で,08-70のCosminexus サービスプラットフォームをインストールしてバージョンアップします。

実行環境は,新規インストールまたは上書きインストールのどちらかの方法でインストールします。

新規にインストールする場合
付録H.2 新規にインストールして運用環境のリポジトリを移行する手順」の(2)~(6)の作業を実施します。
上書きインストールする場合
付録H.3 上書きインストールして運用環境のリポジトリを移行する手順」の(1)の作業を実施します。

(5) 実行環境のバージョンアップ(運用環境)

運用環境から実行環境のバージョンアップを実施します。

(a) 前提条件

実行環境をバージョンアップするには,次の条件を満たしている必要があります。

前提条件を満たしていない場合,上記の順番で起動,停止,およびバージョンアップを実施してください。

(b) バージョンアップ方法

cscenvupdateコマンドを運用環境で実行します。次に示す手順で実行してください。

  1. 次に示すアダプタがリポジトリに定義されている場合は,各アダプタに対応するプロトコルコンバータのJARファイルを格納します。
    • FTPアダプタ
    • Message Queueアダプタ
    • Object Accessアダプタ
    • ファイルアダプタ
    • TP1アダプタ
    JARファイルの格納先フォルダは次のとおりです。
    <Cosminexusのインストールディレクトリ>¥CSC¥custom-adapter
  2. cscenvupdateコマンドを実行して,リポジトリとHCSCサーバをバージョンアップします。

    cscenvupdate -csc <バージョンアップするHCSCサーバ名>

(6) HCSCサーバの起動(運用環境)

バージョンアップしたHCSCサーバを起動します。

(7) HCSCコンポーネントの開始(運用環境)

(6)で起動したHCSCサーバに配備されているHCSCコンポーネントを開始します。

(8) リクエストの送信制御の解除(ロードバランサ)

バージョンアップしたHCSCサーバに対してリクエストを送信するように,ロードバランサを設定します。なお,設定方法は各ロードバランサの仕様によって異なります。

(9) 2台目以降のHCSCサーバ(実行環境)に対しての作業

ロードバランスクラスタを構成しているすべてのHCSCサーバに対して,(3)~(8)の作業を実施します。

 

なお,旧バージョンで使用していたリポジトリ情報を開発環境でバージョンアップ前後に変更し,そのリポジトリ情報を使用して運用する場合のバージョンアップ方法については,マニュアル「Cosminexus サービスプラットフォーム 開発ガイド」の「付録A 旧バージョンからの移行」を参照してください。

(10) ローリングアップデートで移行する場合の注意事項

ローリングアップデートで移行する場合の注意事項は,開発環境,運用環境および実行環境のバージョンアップ時と同じです。ローリングアップデートで移行する場合の注意事項については,「付録G.4(11) ローリングアップデートで移行する場合の注意事項」を参照してください。