付録D 用語解説

(英字)
DOM
Document Object Modelの略です。DOMパーサによって解析されたXML文書の内容を記述したもので,メモリに常駐するツリー形式のデータ構造となっています。このツリー構造をDOMツリーと呼びます。
DOM API
DOMパーサによって生成されたDOMにアクセスするためのAPIをDOM APIと呼びます。XML文書内のデータ構造に基づいたデータの処理ができます。
DOMツリー
XML文書の構造をツリー形式で表したものです。DOMツリーはDOMパーサを使って解析すると生成されます。
DTD
Document Type Definitionの略です。XMLのスキーマの一つで,XML文書で使用するタグの属性や階層構造や出現順序などを定義したものです。XML文書はこのDTDで定義した文法に従って記述します。
grammarオブジェクト
スキーマ文書を解析したときに取得できる,スキーマ文法定義を表す内部のオブジェクトです。
IANA
Internet Assigned Numbers Authorityの略です。インターネットの名前または番号の登録業務を行う組織です。
JAXBマッピングアノテーション
スキーマジェネレータを使用してスキーマ文書を生成するとき,入力となるJavaソースコード中に記述するアノテーションです。デフォルトのマッピングを変更する場合に使用します。
JAXP
Java API for XML Processingの略です。米国Sun Microsystems, Inc.が提供するJava言語用の標準XML APIです。DOM,SAX,およびXSLTのリファレンス実装そのものをJAXPと呼ぶ場合もあります。
JAXPには,DOMパーサ,SAXパーサを生成するAPIが含まれています。パーサの実装やコードに依存しないので,プラットフォーム間で共通のプログラムを作成できます。また,JAXPには,XSLTトランスフォーマのAPIが含まれているので,JavaプログラムからXSLTトランスフォーマを使用できます。
Namespaces in XML
XMLで定義された複数の言語を一つの文書で扱う場合に,要素や属性の名前が衝突することを避けるために用いる修飾子です。
SAX
Simple API for XMLの略です。XML文書内の構文要素を逐次,通知することでXML文書の内容にアクセスするためのコールバックAPIです。SAXの場合,解析中の個所に関する情報だけをユーザプログラムに渡し,DOMのようにツリーを作成しません。このため,DOMに比べてメモリ所要量が少なくなります。
StAX
Streaming API for XMLの略です。JAXPの仕様に含まれるイベントベースのAPIで,Java Community ProcessのJSR 173で定義されているJavaの標準APIです。StAXの場合,XML文書をパースするときにハンドラを使う必要がないため,XML文書を手続き的に処理できます。
TrAX
Transformation API for XMLの略です。JAXPの仕様に含まれるAPIで,XSLTトランスフォーマの標準APIです。
TrAXを使用することでJavaプログラムからXML変換処理を実現できます。単純なXML文書の変換であればTrAXだけで実現できます。
URI
Uniform Resource Identifierの略です。URLのようにWeb上のデータの位置を指定する方法と,Web上の特定のデータを固有の名前で指定する方法を持ち合わせた規格です。
URL
Uniform Resource Locatorの略です。Web上にある特定のデータの位置を指定する規格です。
W3C
World Wide Web Consortiumの略です。XMLやDOMを含むWeb関連技術の標準化を推進する非営利団体です。
XML
Extensible Markup Languageの略です。W3Cが制定したマークアップ言語で,インターネット上でデータのやり取りを実現します。このマニュアルでは,XML形式で記述された文書をXML文書と呼びます。
XML Schema
W3C勧告で定められた仕様で,XML文書内の論理的なデータ構造を規定するための仕組みです。
XML仕様
W3C勧告の「XML 1.0」および「XML 1.1」で定められた仕様です。Cosminexus XML ProcessorのXMLパーサは,XML仕様に従ったXML文書を処理できます。
XMLパーサ
XML文書を解析するプログラムです。
パーサには,DOM APIを使用するDOMパーサと,SAXを使用するSAXパーサの2種類があります。DOMパーサは,XML文書の解析結果をDOMツリーとして出力します。SAXパーサは,DOMツリーを出力しない代わりに,解析結果をイベントとしてSAXに通知します。
このマニュアルではこれらのパーサを総称してXMLパーサと呼びます。
XML文書
XML形式で記述された文書です。
XPath
XML文書の特定の部分を指し示す構文を規定します。XPathを使用すればXML文書中にアンカーを指定しなくても,文書中の任意の位置を指定できます。
XSL
Extensible Stylesheet Languageの略です。XML用のスタイルシートのことで,表示方法を記述するだけでなく,データのコピー,分岐,抽出などのデータ処理を記述できます。
XSLT
XSL Transformationsの略です。XML文書をスタイルシートに従ったXML文書やHTML,テキストに変換するなどの,XML文書の構造変換を行うための仕様です。
XSLTCトランスフォーマ
XSLTCトランスフォーマは,Cosminexus XML Processorが提供しているXSLTトランスフォーマと同じ機能を持ちながら,XML文書の変換処理時の性能を向上させたものです。XSLTスタイルシートを解析するコンパイラと変換処理を行う実行時プロセッサで構成されます。
XSLTトランスフォーマ
XSLTを実装したプログラムです。XML文書をスタイルシートに従ったXML文書やHTML,テキストに変換できます。
(ア行)
アンマーシャル
JAXB APIを使用してXML文書を読み込み,Javaのオブジェクトに変換することをアンマーシャルといいます。XML文書をデシリアライズすることです。
インスタンス文書
スキーマ検証の対象となるXML文書です。
エンティティ
XML文書中で使用される画像データやPDFファイルなどのファイルや,置換する文字列などのデータを保持する実体です。
(カ行)
カスタムバインディング宣言
スキーマコンパイラを使用してJavaソースファイルを生成するとき,入力のスキーマ文書中に記述するカスタマイズ指示です。デフォルトのJAXBバインディングを変更したい場合に使用します。
キャッシュテーブル
メモリキャッシュを格納する内部のテーブルです。J2EEサーバを起動したときに作成されます。
キャッシュファイル
ディスクキャッシュを格納するディスク上のファイルです。
(サ行)
スキーマキャッシュ
スキーマ文書を再利用するために保存されたgrammarオブジェクトです。
スキーマ定義ファイルの指定などによって,メモリ上またはディスク上に保存されます。
スキーマコンパイラ
スキーマ文書を入力し,JAXBマッピングアノテーションを追加したJavaBean様式のJavaソースコードを生成するプログラムです。スキーマ文書中にカスタムバインディング宣言によるユーザの指示がある場合は,指示に基づいてスキーマ要素をJavaソースコードに結び付けます。
スキーマジェネレータ
Javaソースファイルを入力し,クラスやフィールドなどの宣言部からスキーマ文書を生成するプログラムです。Javaクラス中にJAXBマッピングアノテーションによるユーザの指示がある場合は,指示に基づいてスキーマコンポーネントへマッピングします。
スキーマ定義ファイル
キャッシュの対象とするスキーマ文書や,キャッシュの格納場所を指定するファイルです。
スキーマ文書
XML Schemaの仕様に従って記述された,XML文書内の論理的なデータ構造を規定したXML文書です。
(タ行)
ディスクキャッシュ
ディスク上に保存されたスキーマキャッシュです。
データ要素
XML文書の構成要素となるデータです。タグに挟まれた文字列やタグ属性の値を指します。
トランスレット
XSLTCトランスフォーマを構成するコンパイラがXSLTスタイルシートを解析してメモリ上に生成する,Javaのバイトコードです。XML文書の変換処理を高速に実行できます。
(ハ行)
バインディング
JAXBによって行われるスキーマ文書で定義されたXML文書と,Javaオブジェクトの間のデータ対応付けを指します。
(マ行)
マーシャル
JAXB APIを使用してJavaのオブジェクトをXML文書に保存することをマーシャルといいます。JavaのオブジェクトをXML文書にシリアライズすることです。
マッピング
JAXBによって行われるバインディングと同じ意味です。Javaクラスからスキーマ文書への対応付けの場合,「バインディング」ではなく「マッピング」と呼ぶ場合があります。
メモリキャッシュ
メモリ上に保存されたスキーマキャッシュです。