EARファイルにEJB JARファイルが含まれていて，さらにEJB JARファイルにEJBのWebサービス実装クラスが含まれるとき，JAX-WSエンジンは設定用WARファイルを含むと仮定して動作します。仮定される設定用WARファイルの構成を次の表に示します。

表3-3　仮定される設定用WARファイルの構成

（凡例）

−：説明や補足事項が特にないことを示します。

EJBのWebサービス実装クラスを呼び出す際に同時にサーブレットフィルタ機能を適用するなど，web.xmlに設定を加えたい場合，作成したweb.xmlを設定用WARファイルに格納し，EARファイルに含めます。設定用WARファイルの構成を次の表に示します。なお，設定用WARファイルには命名規則があります。設定用WARファイルのファイル名については，「3.5.4(3)　設定用WARファイル名」を参照してください。

表3-4　設定用WARファイルの構成

（凡例）

−：説明や補足事項が特にないことを示します。

注※

設定用WARファイルのclassesにPOJOのWebサービスを含めないでください。POJOのWebサービスを含めた場合の動作は保証されません。

EARファイルに設定用WARファイルを含める場合，EJBのWebサービスの設定用WARファイル名は，J2EEサーバ用ユーザプロパティファイル（usrconf.properties）のwebserver.container.jaxws.webservice.wsee.warnameプロパティで指定したファイル名にする必要があります。

EARファイルに設定用WARファイルを含めない場合，webserver.container.jaxws.webservice.wsee.warnameプロパティで指定したファイル名の設定用WARファイルを含むと仮定して動作します。EARファイルに設定用WARファイルを含めない場合，メッセージがJ2EEサーバのログに出力されるので，JAX-WSエンジンが設定用WARファイルを含むと仮定したことを確認できます（KDJE42391-I）。このメッセージが出力されなかった場合は，プロパティで指定した設定用WARファイルがEARファイルに含まれることを確認できます。

なお，プロパティのデフォルト値は「CosminexusWSEE.war」です。

EJBのWebサービス呼び出しに対して，次に示す設定を使用できます。これらの設定を使用する場合は，設定用WARファイルをEARファイルに含めて，設定用WARファイル名を指定してください。

• コンテキストルートの設定
  「application.xmlの<web-uri>要素」に設定用WARファイル名を指定します。
  EJBのWebサービスの設定用WARファイルに対してコンテキストルートを設定しなかった場合，コンテキストルートは「/」と仮定されます。
  
• cosminexus.xmlの<war>要素で指定する設定
  「cosminexus.xmlの<module-name>要素」に設定用WARファイル名を指定します。
  

  注意

  webserver.container.jaxws.webservice.wsee.warnameプロパティの値を変更するには，EJBのWebサービスを含むWebアプリケーションを停止してください。Webアプリケーションを開始した状態で，プロパティの値を変更した場合は動作を保証されません。ほかのアプリケーションが不正となって，予期しない例外が発生する場合があります。

ここではEJBのWebサービスの設定用WARファイルに含まれるweb.xmlについて説明します。

web.xmlを作成する場合，ファイル名称は"web.xml"とし，WARファイルを構成するWEB-INFディレクトリの直下に格納します。web.xmlの格納が必須かどうかは，J2EEサーバ用ユーザプロパティファイル（usrconf.properties）のwebserver.container.jaxws.webservice.wsee.no_webxml.enabledプロパティの設定値によって異なります。

• "strict"を設定した場合
  WEB-INFディレクトリの直下に"web.xml"という名称でweb.xmlを格納するかどうかは任意です。格納する場合，Webサービスの実行に必要な定義が記述されていなければなりません。
  
• "lax"を設定した場合
  WEB-INFディレクトリの直下に"web.xml"という名称でweb.xmlを格納するかどうかは任意です。格納する場合，Webサービスの実行に必要な定義が記述されていなくてもかまいません。
  
• "none"を設定した場合
  必ずWEB-INFディレクトリの直下に"web.xml"という名称でweb.xmlを格納してください。
  

次に，設定用WARファイルにweb.xmlを含めない場合の動作および設定用WARファイルにweb.xmlを含める場合の動作について説明します。

(a)　設定用WARファイルにweb.xmlを含めない場合

webserver.container.jaxws.webservice.wsee.no_webxml.enabledプロパティの設定値に"strict"，または"lax"を設定して，EJBのWebサービスの設定用WARファイルにweb.xmlを含めない場合，Webサービス呼び出し時に次に示す内容のweb.xmlがあるものとして処理されます。

<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<web-app version="2.5" xmlns="http://java.sun.com/xml/ns/javaee"
  xmlns:xsi="http://www.w3.org/2001/XMLSchema-instance"
  xsi:schemaLocation="http://java.sun.com/xml/ns/javaee http://java.sun.com/xml/ns/javaee/web-app_2_5.xsd">
  <description>Cosminexus JAX-WS Default web.xml</description>
  <display-name>Cosminexus_JAX_WS_Default_web_xml</display-name>
  <listener>
    <listener-class>
      com.cosminexus.xml.ws.transport.http.servlet.EJBWSServletContextListener
    </listener-class>
  </listener>
  <servlet>
    <description>EJB Endpoint servlet for Cosminexus JAX-WS</description>
    <display-name>EJB_Endpoint_servlet_for_Cosminexus_JAX_WS</display-name>
    <servlet-name>CosminexusJaxwsEjbServlet</servlet-name>
    <servlet-class>
      com.cosminexus.xml.ws.transport.http.servlet.EJBWSServlet
    </servlet-class>
    <load-on-startup>1</load-on-startup>
  </servlet>
  <servlet-mapping>
    <servlet-name>CosminexusJaxwsEjbServlet</servlet-name>
    <url-pattern>"/" + Webサービス1のサービス名+ "/" + Webサービス1のクラス名</url-pattern>
    <url-pattern>"/" + Webサービス2のサービス名+ "/" + Webサービス2のクラス名</url-pattern>
      :
    <url-pattern>"/" + Webサービスnのサービス名+ "/" + Webサービスnのクラス名</url-pattern>
  </servlet-mapping>
  <session-config>
    <session-timeout>60</session-timeout>
  </session-config>
</web-app>

url-pattern要素の「"/" + Webサービス1のサービス名+ "/" + Webサービス1のクラス名」は，Webサービス実装クラスのjavax.jws.WebServiceアノテーションのserviceName属性とname属性の値に，プレフィクスとして「/」（スラッシュ）を付けた文字列が定義されます。

設定用WARファイル内に格納したすべてのWebサービス実装クラスについて，url-pattern要素があるかのように動作します。

注意

• JAX-WSエンジンが仮定したweb.xmlは，実際に設定用WARファイル内に生成されるわけではありません。Webサービスが呼び出される場合を除いて，すべてこの仮定はないものとして扱われます。

（例）

cjgetapppropコマンドで取得できる属性ファイルには，web.xmlに関する情報は含まれません。また，webserver.container.jaxws.webservice.wsee.no_webxml.enabledプロパティに"lax"を設定して不正な内容のweb.xmlを設定用WARファイルに含めた場合は，実際に含まれているweb.xmlに関する情報だけが取得できます。

• webserver.container.jaxws.webservice.wsee.no_webxml.enabledプロパティに"lax"を設定して不正な内容のweb.xmlを設定用WARファイルに含めた場合，JAX-WSエンジンがWebサービス呼び出し時に仮定するweb.xmlの内容が，実際のweb.xmlに記載されるわけではありません。

(b)　設定用WARファイルにweb.xmlを含める場合

webserver.container.jaxws.webservice.wsee.no_webxml.enabledプロパティに"strict"を設定してweb.xmlをWARファイルに含める場合，または"none"を設定した場合，web.xmlは，次に示す条件を満たすように作成してください。

• バージョン
  web.xmlのバージョンは，2.5にしてください。
  
• リスナ
  web-app要素に，次に示すlistener要素を含めてください。
  

  <listener> <listener-class> com.cosminexus.xml.ws.transport.http.servlet.EJBWSServletContextListener </listener-class> </listener>

• サーブレット
  web-app要素に，次に示すservlet要素を含めてください。
  

  <servlet> <description>EJB Endpoint servlet for Cosminexus JAX-WS</description> <display-name>EJB_Endpoint_servlet_for_Cosminexus_JAX_WS</display-name> <servlet-name>CosminexusJaxwsEjbServlet</servlet-name> <servlet-class> com.cosminexus.xml.ws.transport.http.servlet.EJBWSServlet </servlet-class> </servlet>

• サーブレットマッピング
  web-app要素以下にservlet-mapping要素を記述し，Webサービス実装クラスと同じ数のurl-pattern要素を含めてください。
  servlet-mapping要素の記述例を次に示します。
  

  <servlet-mapping> <servlet-name>CosminexusJaxwsEjbServlet</servlet-name> <url-pattern>"/" + Webサービス1のサービス名+ "/" + Webサービス1のクラス名</url-pattern> <url-pattern>"/" + Webサービス2のサービス名+ "/" + Webサービス2のクラス名</url-pattern> : <url-pattern>"/" + Webサービスnのサービス名+ "/" + Webサービスnのクラス名</url-pattern> </servlet-mapping>

  url-pattern要素の「Webサービスnのサービス名」および「Webサービスnのクラス名」には，次の文字列を記述します。
  
  • 「Webサービスnのサービス名」
    Webサービス実装クラスのjavax.jws.WebServiceアノテーションのserviceName属性の値を記述します。serviceName属性が省略されている場合，Webサービス実装クラスのクラス名（単純名）にサフィックスとして"Service"を付けた文字列を記述します。
    
  • 「Webサービスnのクラス名」
    Webサービス実装クラスのjavax.jws.WebServiceアノテーションのname属性の値を記述します。name属性が省略されている場合，Webサービス実装クラスのクラス名（単純名）を記述します。
    
• そのほかの要素
  任意に記述できます。WARファイルに作成したサーブレットなどを含める場合，適宜，web.xmlに定義してください。
  

EJBのWebサービスの設定用WARファイルに含めるweb.xmlの例を次に示します。

<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<web-app version="2.5" xmlns="http://java.sun.com/xml/ns/javaee"
  xmlns:xsi="http://www.w3.org/2001/XMLSchema-instance"
  xsi:schemaLocation="http://java.sun.com/xml/ns/javaee http://java.sun.com/xml/ns/javaee/web-app_2_5.xsd">
  <description>Cosminexus JAX-WS Default web.xml</description>
  <display-name>Cosminexus_JAX_WS_Default_web_xml</display-name>
  <listener>
    <listener-class>
      com.cosminexus.xml.ws.transport.http.servlet.EJBWSServletContextListener
    </listener-class>
  </listener>
  <servlet>
    <description>EJB Endpoint servlet for Cosminexus JAX-WS</description>
    <display-name>EJB_Endpoint_servlet_for_Cosminexus_JAX_WS</display-name>
    <servlet-name>CosminexusJaxwsServlet</servlet-name>
    <servlet-class>
      com.cosminexus.xml.ws.transport.http.servlet.EJBWSServlet
    </servlet-class>
    <load-on-startup>1</load-on-startup>
  </servlet>
  <servlet-mapping>
    <servlet-name>CosminexusJaxwsServlet</servlet-name>
    <url-pattern>/AddNumbersImplService/AddNumbersImpl</url-pattern>
  </servlet-mapping>
  <session-config>
    <session-timeout>60</session-timeout>
  </session-config>
</web-app>

この例では，Webサービス実装クラスのjavax.jws.WebServiceアノテーションのserviceName属性の値が「AddNumbersImplService」で，さらにname属性が「AddNumbersImpl」であることを想定しています。

webserver.container.jaxws.webservice.wsee.no_webxml.enabledプロパティの設定値に"lax"を設定し，設定用WARファイルにweb.xmlを含める場合，リスナ，サーブレット，サーブレットマッピング，およびそのほかの要素が不完全に含まれるとき，動作は保証されません。