仮想化システムを構築して運用する場合は,まず,基盤となるアプリケーション実行環境を構築して運用するための運用環境を構築します。運用環境には,仮想サーバマネージャを構築します。次に,運用環境の仮想サーバマネージャを使用して,アプリケーション実行環境(アプリケーションサーバ)を構築し,業務の運用を開始します。
ここでは,仮想化システムの構築および運用で使用する仮想サーバマネージャの役割について説明します。また,仮想化システムを構成するプロセスについても説明します。
仮想サーバマネージャは,運用環境の仮想化システム管理用サーバマシンに配置します。仮想サーバマネージャを使用すると,管理ユニット単位に,同じ業務を実行するアプリケーションサーバ(アプリケーション実行環境)を複数の仮想サーバに,一括して構築したり運用したりできます。
仮想サーバマネージャを使用して構築する場合,あらかじめ,構築するアプリケーションサーバの情報を設定した定義ファイルと,アプリケーションサーバで動作するアプリケーションを用意して,これらを一つのディレクトリにまとめます。まとめたものを使用してアプリケーションサーバを構築するため,構築後,すぐに運用を開始できます。
仮想サーバマネージャによる一括構築の流れを次の図に示します。
図1-4 仮想サーバマネージャによる一括構築の流れ
仮想サーバマネージャ内にあらかじめ作成した管理ユニットに,アプリケーションサーバの定義ファイルや実行するアプリケーションなどを配置した定義ディレクトリを取り込んで,仮想サーバマネージャ上に情報モデルを生成します。生成した情報モデルを基に,複数の仮想サーバに対してアプリケーションサーバを一括して構築したり,変更した環境を一括して反映したりします。定義ディレクトリは,アプリケーションサーバを構築するために必要なファイルを,一つのディレクトリにまとめたものです。定義ディレクトリの構造については,「5.2.4 管理ユニットへの定義ディレクトリの取り込み」を参照してください。なお,仮想化システムで動作できるアプリケーションは,オンライン業務を実行するJ2EEアプリケーションです。
管理ユニットは,仮想化環境にある仮想サーバから,同じ業務を実行するものをグループ化します。管理ユニットと仮想サーバの関係を次の図に示します。
図1-5 管理ユニットと仮想サーバの関係
仮想化環境にある仮想サーバは,管理ユニット単位にグループ化され,システム構築者から指示された操作はその単位で実行されます。
なお,同じ管理ユニットに属する仮想サーバは,同じ種類のハイパーバイザ上に作成されている必要があります。同一の管理ユニット内では,ハイパーバイザの種類を混在させた運用はできません。
仮想化システムを構成するプロセスとプロセス間の操作の流れを次の図に示します。ここでは,負荷分散機を利用する場合の例を示します。
図1-6 仮想化システムを構成するプロセスとプロセス間の操作の流れ
各プロセスの主な機能について説明します。