仮想化システムの運用環境を構築します。ここでは,構築手順について説明します。
仮想化システム管理用サーバマシンに接続して,OSをインストールします。インストールできるOSについては,「2.2.1 仮想化システムで使用するマシンの前提条件」を参照してください。
OSの時刻を正確な時刻に調整する場合は,仮想化システム管理用サーバマシンに接続し,NTPクライアントを導入して,NTPサーバの設定をします。時刻の調整はslewモードで実行する設定にします。システム全体で同じNTPサーバを指定してください。
負荷分散機の接続方式としてsshプロトコルまたはAPIを使用した直接接続を使用する場合は,負荷分散機の接続環境を設定します。
BIG-IPの場合,負荷分散機の接続方式としてsshプロトコルを使用した直接接続が使用できます。この場合は,仮想化システム管理用サーバマシンにsshのクライアント環境を設定する必要があります。sshのクライアント環境の設定方法をOSごとに次に示します。
仮想化システム管理用サーバマシンにsshクライアントプログラムが必要です。使用できるsshクライアントプログラムは,PuTTYのCLIコマンドです。事前にPuTTYを入手し,インストールします。また,PuTTYのインストールフォルダ以下にあるplinkコマンドが格納されたフォルダを,システム環境変数Pathに追加します。
sshコマンドは,初めて使用する際に接続確認の問い合わせ要求を実行します。
root権限のあるユーザでsshコマンドを実行して負荷分散機と接続し,接続確認の問い合わせ要求(Are you sure you want to continue connecting (yes/no)?)に対して「yes」を応答してください。「yes」を応答したあと,sshコマンドは接続確認の問い合わせ要求を実行しなくなります。
AX2500の場合,負荷分散機の接続方式としてAPIを使用した直接接続が使用できます。この場合,仮想化システム管理用サーバマシンでアクセスリスト(ACL)を作成する必要があります。また,cookieを利用してセッションを維持する場合には,仮想化システム管理用サーバマシンでcookieパーシステンステンプレートを作成する必要があります。それぞれの設定内容を次に示します。なお,作成方法の詳細は,ACOSのドキュメントを参照してください。
仮想化システム管理用サーバマシンに管理者権限でログインし,Application Server Enterpriseをインストールします。インストール方法については,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ システム構築・運用ガイド」の次の個所を参照してください。
なお,Management Serverが自動設定する内容については,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ システム構築・運用ガイド」の「4.8 Management Serverが自動で設定する内容」を参照してください。
仮想サーバマネージャとして動作するために,仮想化システム管理用サーバマシンでmserver.properties(Management Server環境設定ファイル)のcom.cosminexus.mngsvr.vmi.enabledキーに「true」を指定します。
JP1/Base(認証サーバ)によるアカウント管理を利用する場合は,仮想化システム管理用サーバマシンでvmi.properties(仮想サーバマネージャプロパティファイル)のvmi.jp1.base.auth.enabledキーに「true」を指定します。
仮想サーバマネージャをセットアップする手順を次に示します。
mngsvrctl setup |
仮想サーバマネージャによるアカウント管理を利用する場合は,仮想サーバマネージャ管理者アカウントを設定します。設定手順を次に示します。
mngsvrctl setup -u admin -p admin |
仮想サーバマネージャの動作環境をデフォルト値以外に指定する場合は,仮想化システム管理用サーバマシンで定義ファイルの設定値を変更します。
仮想サーバマネージャ用の処理データ格納ディレクトリ(spoolディレクトリ)のパスや,サーバ通信エージェントへの接続時のタイムアウトなどは,vmi.properties(仮想サーバマネージャプロパティファイル)で設定できます。
また,仮想サーバマネージャが出力するログの出力先,Javaヒープのサイズなどは,次に示すManagerで使用するファイルで設定できます。
Managerで使用するファイルで設定を変更できるキーを次の表に示します。
表3-2 Managerで使用するファイルで設定を変更できるキー
ファイルの種類 | キー | 設定内容 |
---|---|---|
manager.cfg | com.cosminexus.manager.log.dir | Managerのログ出力ディレクトリを指定します。 |
com.cosminexus.manager.messagelog.size | 統合メッセージログファイル一つ当たりの上限サイズを指定します。 | |
com.cosminexus.manager.messagelog.fnum | 統合メッセージログファイルの面数を指定します。 | |
com.cosminexus.manager.tracelog.size | 統合トレースログファイル一つ当たりの上限サイズを指定します。 | |
com.cosminexus.manager.tracelog.fnum | 統合トレースログファイルの面数を指定します。 | |
com.cosminexus.manager.cmdtracelog.size | コマンド保守ログファイル一つ当たりの上限サイズを指定します。 | |
com.cosminexus.manager.cmdtracelog.fnum | コマンド保守ログファイルの面数を指定します。 | |
com.cosminexus.manager.log.compatible | Managerのログの上位互換性を指定します。 | |
mserver.cfg | add.jvm.arg=-Xms<size> | Management ServerのJavaヒープの初期サイズを設定します。 |
add.jvm.arg=-Xmx<size> | Management ServerのJavaヒープの最大サイズを設定します。 | |
mserver.properties | webserver.connector.http.bind_host | 複数の物理ネットワークインタフェースを持つホスト,または一つの物理ネットワークインタフェースに対して複数の論理IPアドレスを割り当てているホストでManagement Serverを利用するとき,任意のIPアドレスを選択できます。 |
webserver.connector.http.port | Management Server接続HTTPポート番号を指定します。 | |
webserver.connector.http.permitted.hosts | Management Serverへのアクセスを許可するホストを指定します。 | |
com.cosminexus.mngsvr.maintenance.log.filenum | Management Serverの保守ログファイルの面数を指定します。 | |
com.cosminexus.mngsvr.maintenance.log.filesize | Management Serverの保守ログファイルの最大サイズを指定します。 | |
com.cosminexus.mngsvr.log.level | Management Serverのログの出力レベルを指定します。 | |
com.cosminexus.mngsvr.log.rotate | Management Serverのログのファイル面数を指定します。 | |
com.cosminexus.mngsvr.log.size | Management Serverのログのファイルサイズを指定します。 |
管理ユニットの操作時に負荷分散機を利用する場合,使用する負荷分散機の種類,接続方式など,負荷分散機へのアクセスに必要な接続情報を仮想サーバマネージャまたは管理ユニットで定義できます。管理ユニット操作時に負荷分散機へ依頼する操作(リクエスト振り分けや閉塞など)については,「7.6 仮想サーバマネージャから負荷分散機を制御するための機能(負荷分散機連携機能)」を参照してください。
仮想サーバマネージャで負荷分散機の接続情報を定義する場合,仮想化システム管理用サーバマシンで,<LB接続情報の識別名>.properties(負荷分散機接続設定プロパティファイル)に接続情報を設定します。ファイル名の<LB接続情報の識別名>は,先頭が半角英字から始まる半角英数字,アンダースコア(_)またはハイフン(-)で指定した31文字以内の文字列で指定します。
ここでは,BIG-IP v9(lb_BIG-IPv9.properties),AX2000(lb_AX2000.properties)とAX2500(lb_AX2500.properties)を設定する場合の設定例を示します。
lb.type=BIG-IPv9 |
lb.type=ACOS |
lb.type=ACOS |
ここで設定した負荷分散機の接続情報を使用する場合は,unit.properties(管理ユニットプロパティファイル)のlb.useキーに「<LB接続情報の識別名>」を指定します。設定例の場合,BIG-IP v9利用時は「lb_BIG-IPv9」,AX2000利用時は「lb_AX2000」,AX2500利用時は「lb_AX2500」と指定します。
必要に応じて,仮想サーバマネージャをOSと同時に起動するように設定します。自動起動するためにはあらかじめ設定が必要です。設定方法をOSごとに次に示します。
mngautorun server |
# ln -s /etc/rc.d/init.d/MngSvr /etc/rc.d/rc2.d/S90MngSvr |
仮想化システムで使用するコマンド(vmiaccountコマンド,vmiunitコマンドおよびvmiunitadminコマンド)には,共通引数があります。コマンド実行時に共通引数を省略する場合は,仮想化システム管理用サーバマシンの次に示すどちらかのファイルで,省略時に設定されるデフォルト値を設定します。
.vmirc(クライアント設定プロパティファイル)およびvmiclient.properties(クライアント共通設定ファイル)は,テンプレートファイルが提供されていますので,テンプレートファイルをコピーして利用してください。
JP1/IM,JP1/AJS3の機能を利用する場合,仮想サーバマネージャとJP1を連携するための設定をします。
JP1/Baseのログファイルトラップで,仮想サーバマネージャの障害を監視するための設定をします。
設定手順を次に示します。各手順の詳細は,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。
FILETYPE=HTRACE |
JP1/AJS3のジョブスケジュールで,仮想サーバマネージャのコマンドを実行するための設定をします。
設定手順を次に示します。各手順の詳細は,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド1」を参照してください。
認証サーバのJP1/Baseで,仮想サーバマネージャを実行できるアカウントを管理するための設定をします。
設定手順を次に示します。各手順の詳細は,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。
なお,仮想化システム管理用サーバマシンを認証サーバとして使用する場合は,JP1アカウント管理者に,JP1/Baseへ仮想サーバマネージャ管理者アカウントを追加する作業を依頼します。仮想サーバマネージャ管理者アカウントの場合,JP1ユーザーのJP1資源グループには「*(アスタリスク)」,JP1権限レベルには「Cosminexus_vMNG_Admin」を設定します。詳細は,「7.8(1) 設定方法」を参照してください。