4.5.1 物理ティアとは

同一のデプロイメント(プロセスの配置,リソースアダプタのデプロイ,定義設定)を適用するサーバマシンの集合を物理ティアといいます。バッチアプリケーションを実行するシステムで使用する物理ティアはj2ee-tier,ctm-tierおよびfree-tierです。物理ティアの種類によって,サービスユニットに配置する論理サーバの構成が異なり,システムの構成定義が決まります。

Smart Composer機能で構築する場合,決定したシステム構成に合わせて,物理ティア(構成定義パターン)を選択する必要があります。システム構成と指定できる物理ティアの関係については,「5. システム構成に合わせた構成定義パターンの選定」を参照してください。

j2ee-tier

j2ee-tierは,バッチサーバを配置するパターンのことです。アプリケーションサーバマシンの中に,バッチサーバ,およびパフォーマンストレーサ(PRFデーモン)の二つの論理サーバを配置します。

j2ee-tierの概要を次の図に示します。

図4-11 j2ee-tierの概要

[図データ]

図に示すように,j2ee-tierでは,バッチサーバをアプリケーションサーバマシンに配置します。シンプルな構成のため,日常のメンテナンスやシステムの拡張が容易です。

なお,一つのバッチサーバ上で実行できるバッチアプリケーションは一つです。複数のバッチアプリケーションを並行して実行したい場合は,次のように配置する必要があります。

ctm-tier

ctm-tierは,CTMを使用するパターンのことです。アプリケーションサーバマシンの中に,CTMドメインマネジャ,CTM,スマートエージェント,バッチサーバ,およびパフォーマンストレーサ(PRFデーモン)の五つの論理サーバを配置します。ctm-tierは,CTMを使用したバッチアプリケーションのスケジューリング機能を利用する場合に使用します。CTMを使用したバッチアプリケーションのスケジューリング機能については,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ 機能解説 拡張編」の「4. バッチアプリケーションのスケジューリング」を参照してください。

ctm-tierの概要を次の図に示します。

図4-12 ctm-tierの概要

[図データ]

この図に示すように,ctm-tierでは,CTM関連のプロセスおよびバッチサーバをアプリケーションサーバマシンに配置します。アプリケーションサーバマシンには,一つのCTMに対して,環境設定などの構成が同じバッチサーバを複数配置できます。

なお,一つのバッチサーバ上で実行できるバッチアプリケーションは一つです。CTMを使用すると,CTMでバッチアプリケーションの実行をスケジューリングするため,複数のバッチアプリケーションを並行して実行できます。

free-tier

ほかのどの物理ティアの構成にも当てはまらない構成です。ほかの物理ティアとは異なり,システムを構築する場合には使用しないで,運用管理ポータルなどで構築したシステムをほかの環境に移行する場合に使用します。運用管理ポータルなどを使用して構築したシステムの内容を簡易構築定義ファイルに出力する場合,ほかのどの物理ティアの構成にも当てはまらない構成が含まれていると,その構成がfree-tier構成として出力されます。

free-tier構成には,Webシステム名,およびサービスユニット名がありません。そのため,free-tier構成を含むシステムに対して,Smart Composer機能のコマンドでできる操作は,システムの構築,起動および停止です。そのほかの操作は,Smart Composer機能のコマンドでは実施できません。

参考
サーバの構成を限定しないfree-tier構成は,Smart Composer機能以外の方法で構築したシステムをエクスポートした時に出力されます。