1.2.1 システムの構築方法の種類(J2EEアプリケーションを実行するシステム)

J2EEアプリケーションを実行するシステムの構築には,Management Serverが提供する次の3種類の機能を使用する方法があります。

それぞれの機能を使用して構築できるシステムの概要について説明します。

<この項の構成>
(1) セットアップウィザードを使用したシステム構築の概要
(2) Smart Composer機能を使用したシステム構築の概要
(3) 運用管理ポータルを使用したシステム構築の概要

(1) セットアップウィザードを使用したシステム構築の概要

セットアップウィザードで構築できるのは,1台のマシンで構成されるJ2EEアプリケーションの実行環境です。Webブラウザからリクエストを受け付けて,そのリクエストを処理するWebフロントシステムを構築できます。

セットアップウィザードで構築できるシステム構成の例を次の図に示します。

図1-1 セットアップウィザードで構築できるシステム構成の例

[図データ]

この図のように,セットアップウィザードで構築したシステムでは,必要なプロセスがすべて1台のサーバに含まれます。

構築作業は,対話形式のプログラムで必要な情報を入力しながら進めます。事前に定義ファイルを用意したり,幾つものコマンドを実行したりする必要がなく,スムーズな環境構築を実現できます。

セットアップウィザードを使用して構築したシステムでは,Management Serverを利用した一括運用を実現できます。例えば,システムの起動や,システムの設定変更などを一括で実施できます。実行できる運用作業については,「9.1.2 アプリケーションサーバで実行できる運用作業」を参照してください。なお,セットアップウィザードで実行できるのは,実行環境の構築と,リソースの設定,開始までです。J2EEアプリケーションの設定,開始,停止などの操作にはサーバ管理コマンドを使用します。セットアップウィザードの利点やシステム構築の作業については,「1.4 セットアップウィザードの概要」を参照してください。

(2) Smart Composer機能を使用したシステム構築の概要

Smart Composer機能では,1台または複数台のマシンで構成されるJ2EEアプリケーションの実行環境を構築できます。Smart Composer機能を使用すると,事前に作成した定義ファイルの内容に従って,複数台のマシンで構成されるシステムをコマンドで一括構築できます。

Smart Composer機能で構築できるシステムを次に示します。

Smart Composer機能で構築できるシステム構成の例を次の図に示します。

図1-2 Smart Composer機能で構築できるシステム構成の例(J2EEアプリケーションの実行環境)

[図データ]

Smart Composer機能は,次のようなシステムを一括構築する場合に適しています。

Smart Composer機能を使用して構築したシステムでは,Management Serverを利用した一括運用を実現できます。例えば,システムの起動や,システムの設定変更などを一括で実施できます。また,日常運用では,J2EEアプリケーションを停止させることなく,J2EEアプリケーションを入れ替えたりすることもできます。実行できる運用作業については,「9.1.2 アプリケーションサーバで実行できる運用作業」を参照してください。なお,J2EEアプリケーションおよびリソースの設定,開始,停止などの操作には,サーバ管理コマンドを使用します。Smart Composer機能の利点やシステム構築の作業については,「1.5 Smart Composer機能の概要」を参照してください。

(3) 運用管理ポータルを使用したシステム構築の概要

運用管理ポータルでは,1台または複数台のマシンで構成されるJ2EEアプリケーションの実行環境を構築できます。運用管理ポータルを使用すると,Webブラウザ上のGUI画面で,J2EEサーバ,Webサーバなどのサーバの構成や,個別のサーバの環境を設定して構築できます。

運用管理ポータルで構築できるシステムを次に示します。

運用管理ポータルで構築できるシステム構成の例を次の図に示します。

図1-3 運用管理ポータルで構築できるシステム構成の例(J2EEアプリケーションの実行環境)

[図データ]

運用管理ポータルは,マシンやサーバを個別に設定できます。このため,マシンごとに異なる構成でサーバを配置するシステムを構築する場合に適しています。また,サーバの環境設定などをGUI画面の項目で設定できるので,構築済みシステムのチューニングにも適しています。

注意
CTMは,構成ソフトウェアにCosminexus Component Transaction Monitorを含む製品だけで利用できます。利用できる製品については,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ 概説」の「2.3.1 製品と構成ソフトウェアの対応」を参照してください。

運用管理ポータルを使用して構築したシステムでは,Management Serverを利用した一括運用を実現できます。運用管理ポータルを使用すると,論理サーバ単位,ホスト単位,または運用管理ドメイン単位で操作できます。例えば,論理サーバの起動,停止,運用監視などを論理サーバ単位,ホスト単位,または運用管理ドメイン単位で実施できます。また,GUI画面でJ2EEアプリケーションおよびリソースのインポート,開始,停止などの操作や,統合ユーザ管理のリソース使用状況の監視などを実施できます。

運用管理ポータルの操作方法については,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ 運用管理ポータル操作ガイド」を参照してください。

運用管理ポータルの利点やシステム構築の作業については,「1.6 運用管理ポータルの概要」を参照してください。