システムの運用設計として,システムの起動や停止などの日常運用操作,運用スケジュール,運用スケジュールの自動化,監視,稼働性能統計などを設計します。
ここでは,次に示すSmart Composer機能を使用した運用作業について説明します。
これらの運用方法については,「11. バッチアプリケーションを実行するシステムの運用」を参照してください。
なお,ここでは,バッチサーバを配置するパターン(j2ee-tier)で構築したシステムを例に説明しています。ここで説明している運用のうち,システムのスケールアウトおよびシステムのスケールイン以外は,CTMを使用するパターン(ctm-tier)で構築したシステムでも操作できます。
ここで説明している以外の運用については,「11.1.2 アプリケーションサーバで実行できる運用作業」を参照してください。なお,運用作業には,運用を開始する前に設定が必要なものもあります。システムで実施する運用作業を検討し,必要に応じて構築時に設定をしてください。
Smart Composer機能で構築したシステムでは,日常運用の操作としてサービスユニットの一括起動と一括停止ができます。一括起動および一括停止は,システム内のすべてのサービスユニットに対して実施したり,特定のサービスユニットに対して実施したりできます。
一括起動および一括停止の範囲を次の図に示します。
図6-10 一括起動および一括停止の範囲
特定のサービスユニットに対して起動または停止できるので,例えば,サービスユニット1だけを停止させるという操作もできます。
次に,一括起動と一括停止の処理について説明します。
サービスユニットを一括起動すると,サービスユニットを構成する論理サーバは,論理サーバごとに設定した起動順序の昇順に従って起動されます。
一括起動時に-strictオプションを指定すると,論理サーバの起動に失敗した場合に,サービスユニットの一括起動処理を中断できます。
サービスユニットを一括停止すると,サービスユニットを構成する論理サーバは,論理サーバごとに設定した起動順序の降順に従って停止されます。
Smart Composer機能で構築したシステムでは,システム全体の設定を一括で変更できます。システム全体の設定の一括変更について次の図に示します。
図6-11 システム全体の設定の一括変更
システム全体の設定の一括変更の流れは次のとおりです。
これらの操作はすべてSmart Composer機能のコマンドを使用して実施します。なお,それぞれの操作は,システム内のすべてのサービスユニットに対して一括で実施できます。
Smart Composer機能で構築したシステムで実施できる,システムの構成変更について説明します。
システムのスケールアウトおよびスケールインができます。スケールアウトとは,システム全体の処理性能を向上させることを目的として,サーバの台数を増やすことをいいます。また,スケールインとは,システムの規模を縮小する場合などに,サーバの台数を減らすことをいいます。
スケールアウトおよびスケールインは,サービスユニット単位またはWebシステム単位で実施できます。なお,スケールアウトおよびスケールインは,業務全体を停止することなく実施できます。
スケールアウトおよびスケールインについて次の図に示します。
図6-12 スケールアウトおよびスケールイン
この図では,サービスユニット3をシステムに追加(スケールアウト),またはシステムから削除(スケールイン)しています。サービスユニット3のスケールアウトおよびスケールインに際しては,稼働中のサービスユニット1およびサービスユニット2には影響はないため,業務全体を停止することなく,スケールアウトおよびスケールインができます。
Smart Composer機能でシステムをスケールアウトする際に,JP1/SC/DPMと連携できます。
JP1/SC/DPMでは,システムのディスクイメージを複製し,複製したデータを基にして,OSやアプリケーションを一括でサーバにインストールできます(ディスク複製OSインストール機能)。Smart Composer機能でシステムをスケールアウトするときにJP1/SC/DPMと連携すると,構築済みのシステムの複製した情報を使用して,追加するアプリケーションサーバにOSやアプリケーションを一括インストールできます。
JP1/SC/DPMと連携してスケールアウトをするときの流れを次の図に示します。ここでは,サービスユニット1が構築済みの場合に,JP1/SC/DPMを使用して,サービスユニット2をシステムに追加(スケールアウト)することを例にしています。
図6-13 JP1/SC/DPMと連携したスケールアウト
JP1/SC/DPMと連携したスケールアウトの流れは次のとおりです。
テスト環境で構築したシステムを本番環境に移行する場合などに,構築済みのシステムを移行できます。
構築済みのシステムの移行について次の図に示します。
図6-14 構築済みのシステムの移行
構築済みのシステムの移行の流れは次のとおりです。
これらの操作はSmart Composer機能のコマンドを使用して実施します。なお,構築済みのシステムを移行するためには,移行先のシステムで,Management Serverが動作している必要があります。構築済みのシステムを移行する前に,移行先のシステムでインストールと初期設定を済ませておいてください。
不要になったシステムは,Smart Composer機能で提供するコマンドで削除できます。システムを削除する手順については,「11.8 システムの削除」を参照してください。