5.1.1 構成定義パターン選定の考え方

Smart Composer機能で構築するシステムでは,システムの構成定義を簡易構築定義ファイルで定義します。簡易構築定義ファイルでは,各マシンに配置するサーバの構成を物理ティア(構成定義パターン)で定義します。簡易構築定義ファイルでの定義については,「8.4 システムの構成定義」を参照してください。

ここでは,構成定義パターンの種類と,構成定義パターンを選定するための考え方について説明します。なお,システム構成は,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ システム設計ガイド」の「3. システム構成の検討(J2EEアプリケーション実行基盤)」を参照して,あらかじめ決定しておいてください。

<この項の構成>
(1) 構成定義パターンの種類
(2) 構成定義パターンの選定方法

(1) 構成定義パターンの種類

Smart Composer機能では,システム内のサーバやサービスユニットの構成をWebシステムという概念で管理します。また,Webシステム内のサーバマシンの集合や,サーバの集合を,それぞれ物理ティア,サービスユニットという論理的なまとまりで扱っています。Smart Composer機能で使用する概念の詳細については,「4.2 J2EEアプリケーションを実行するシステムを構成する要素」を参照してください。

構成定義パターンは,サーバマシンに配置するプロセスや,使用する機能によって異なります。サーバマシンに配置するプロセスは,Management Serverで論理サーバとして管理されます。プロセスと論理サーバの対応については,「4.2.3 プロセスの種類と論理サーバとの対応」を参照してください。

J2EEアプリケーションを実行するシステムでは,表5-1に示す構成定義パターンを定義できます。構成定義パターンとSmart Composer機能の物理ティアとの対応を次の表に示します。

表5-1 構成定義パターンとSmart Composer機能の物理ティアとの対応(J2EEアプリケーションを実行するシステム)

構成定義パターンの種類配置できる論理サーバ対応する物理ティア
WebサーバとJ2EEサーバを同じサーバマシンに配置するパターン
  • Webサーバ
  • J2EEサーバ
  • パフォーマンストレーサ
combined-tier
WebサーバとJ2EEサーバを別のサーバマシンに配置するパターン
  • Webサーバ
  • J2EEサーバ
  • パフォーマンストレーサ
http-tierとj2ee-tierとの組み合わせ
インプロセスHTTPサーバを使用するパターン
  • J2EEサーバ
  • パフォーマンストレーサ
j2ee-tier
SFOサーバを使用するパターン
  • SFOサーバ
  • パフォーマンストレーサ
sfo-tier
CTMを使用するパターン
  • CTMドメインマネジャ
  • CTM
  • スマートエージェント
  • J2EEサーバ
  • パフォーマンストレーサ
ctm-tier

各物理ティアの詳細については,「4.2.1 物理ティアとは」を参照してください。

(2) 構成定義パターンの選定方法

J2EEアプリケーションを実行するシステムの場合,構成定義パターンは,使用する機能,およびプロセスの配置から選択します。

●使用する機能から構成定義パターンを選択する

アプリケーションサーバの機能のうち,次の機能を使用する場合は,使用できる構成定義パターンが限定されます。

これらの機能を使用する場合は,それぞれ次の構成定義パターンを選択してください。

インプロセスHTTPサーバを使用する場合
インプロセスHTTPサーバを使用するパターン(j2ee-tier)を選択してください。
Smart Composer機能を使用して構築する場合,インプロセスHTTPサーバを使用するパターンでは負荷分散機が使用できません。負荷分散機を使用する場合は,運用管理ポータルを使用して構築してください。
メモリセッションフェイルオーバ機能を使用する場合
SFOサーバを使用するパターン(sfo-tier)を選択してください。
SFOサーバを使用するパターンを構築する場合には,同じWebシステム内に,次のどれかの構成定義パターンで,J2EEサーバを配置するサービスユニットおよびマシンを定義してください。
  • WebサーバとJ2EEサーバを同じサーバマシンに配置するパターン
  • WebサーバとJ2EEサーバを別のサーバマシンに配置するパターン
  • インプロセスHTTPサーバを使用するパターン
CTMを使用したスケジューリング機能を使用する場合
CTMを使用するパターン(ctm-tier)を選択してください。
この場合,統合ネーミングスケジューラサーバを使用した統合ネーミングスケジューラサーバモデルで構築することを前提としています。統合ネーミングスケジューラサーバモデルについては,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ 機能解説 拡張編」の「3.3.2 プロセス配置の指針」を参照してください。
CTMを使用するパターンで構築する場合には,CTMにリクエストを送信するクライアントの定義が必要です。クライアントとして,Smart Composer機能や運用管理ポータルを使用して構築したWebフロントシステム以外にも,EJBクライアントやユーザが独自に定義するWebフロントシステムが利用できます。
●プロセスの配置から構成定義パターンを選択する

プロセスをどのサーバマシンに配置するかによって,構成定義パターンが限定されます。例えば,Webフロントシステムに必要なプロセスであるWebサーバは,J2EEサーバと同じサーバマシンにも,別のサーバマシンにも配置できます。

J2EEサーバと同じサーバマシンに配置する場合
WebサーバとJ2EEサーバを同じサーバマシンに配置するパターン(combined-tier)を選択してください。
J2EEサーバと別のサーバマシンに配置する場合
WebサーバとJ2EEサーバを別のサーバマシンに配置するパターン(http-tierとj2ee-tierとの組み合わせ)を選択してください。

また,配置するプロセスは,使用する機能によっても限定されます。この場合は,使用する機能に合わせて構成定義パターンを選択してください。