2.3.3 パラメタチューニングしたシステムの複製

setupwizardコマンドを使用すると,Smart Composer機能または運用管理ポータルでチューニングが完了したシステムを複製できます。システムの複製を利用すると,構築済みのシステムと同じ構成で,パラメタのチューニング情報が反映されたシステムを簡単に複数作成できます。複製できるチューニングの範囲については,「2.3.2 チューニング」を参照してください。ここでは,setupwizardコマンドを使用したシステムの複製について説明します。setupwizardコマンドの詳細については,「3.2 setupwizardコマンドの詳細」を参照してください。

システムの複製では,次のファイルを使用します。

システムの複製の流れを次の図に示します。

図2-57 システムの複製の流れ

[図データ]

図中の1.~4.について説明します。

  1. 1台目のマシンで,セットアップウィザードを使用して,新規にセットアップを実施します。
    システムのセットアップ完了後に,セットアップ情報ファイルが出力されます。
  2. 1台目のマシンで,パラメタチューニングを実施します。
    チューニングについては,「2.3.2 チューニング」を参照してください。
  3. 1台目のマシンで,setupwizardコマンドを使用して,簡易構築定義ファイルをエクスポートします。
    簡易構築定義ファイルがエクスポートされます。エクスポートした簡易構築定義ファイルには,手順2.で実施したパラメタのチューニング情報が出力されます。簡易構築定義ファイルのエクスポートについては,「(1) 簡易構築定義ファイルのエクスポート」を参照してください。
  4. 2台目のマシンで,setupwizardコマンドを使用して,システムの複製を開始します。
    手順1.で出力されたセットアップ情報ファイルと,手順3.でエクスポートした簡易構築定義ファイルを入力元にして,システムが複製されます。セットアップ情報ファイルおよび簡易構築定義ファイルは,あらかじめ2台目のマシンにコピーしておいてください。システムの複製については,「(2) システムの複製」を参照してください。
    注意
    複製先のシステムの前提条件を次に示します。
    • システムの複製を実行するプラットフォームは,複製元と同じにしてください。複製先が,複製元と異なるプラットフォームの場合,システムの複製に失敗するときがあります。
    • セットアップ済みのシステムが存在する場合,セットアップウィザードは使用できません。セットアップした方法ごとに次の対処を実施してください。
      セットアップウィザードでセットアップしたシステムが存在する場合は,セットアップウィザードを使用してアンセットアップしてください。
      セットアップウィザード以外の方法でセットアップしたシステムが存在する場合は,アプリケーションサーバをアンインストールして,再度インストールしてください。
    • 複製先のシステムでは,複製元のシステムで使用しているポート番号と同じポート番号は使用できません。
<この項の構成>
(1) 簡易構築定義ファイルのエクスポート
(2) システムの複製
(3) 複製できないチューニングが実施されている場合の動作

(1) 簡易構築定義ファイルのエクスポート

簡易構築定義ファイルのエクスポートは,setupwizardコマンドで実行します。setupwizardコマンドの詳細については,「3.2 setupwizardコマンドの詳細」を参照してください。

注意
  • セットアップウィザード以外の方法でセットアップしていた場合,簡易構築定義ファイルをエクスポートできません。
  • 簡易構築定義ファイルをエクスポートするシステムでは,Management Serverを起動しておいてください。
  • 複製できないチューニングが実施されているシステムの場合,エクスポートできないときがあります。
(a) 簡易構築定義ファイルのエクスポートの実行

簡易構築定義ファイルのエクスポートの実行方法はOSによって異なります。OSごとに,簡易構築定義ファイルのエクスポートの実行方法について説明します。

Windowsの場合
次のコマンドをコマンドプロンプトで実行します。

<Cosminexusのインストールディレクトリ>¥manager¥setup¥bin¥setupwizard -export -omd <簡易構築定義ファイル>

UNIXの場合
次のコマンドをコマンドプロンプトで実行します。

# /opt/Cosminexus/manager/setup/bin/setupwizard -export -omd <簡易構築定義ファイル>

簡易構築定義ファイルをエクスポートすると,[簡易構築定義ファイルのエクスポート]画面が表示されます。

(b) [簡易構築定義ファイルのエクスポート]画面

簡易構築定義ファイルのエクスポート実行後に表示される画面は,エクスポートの実行結果によって異なります。エクスポートの実行結果と表示される画面を次に示します。

(2) システムの複製

システムの複製の操作の流れについて説明します。

操作の流れ
[一括セットアップ]画面(システムの複製)での操作を次に示します。
  1. setupwizardコマンドに-fオプションおよび-mdオプションを指定して実行します。
  2. システムを複製するかどうかを数字で入力します。
  3. Enterキーを押します。
    1を選択すると[セットアップの実行]画面が表示され,システムの複製が開始されます。
    9を選択すると[終了確認]画面が表示されます。
    注意
    • システムの複製時に使用する簡易構築定義ファイルは,setupwizardコマンドでエクスポートした簡易構築定義ファイルを使用してください。setupwizardコマンド以外の方法でエクスポートした簡易構築定義ファイルを使用した場合,システムの複製に失敗するときがあります。
    • 複製元のシステムで複製できないチューニングが実施されている場合,システムを複製できないときがあります。
(a) システムの複製の開始

システムの複製の開始方法はOSによって異なります。OSごとに,システムの複製方法について説明します。

Windowsの場合
次のコマンドをコマンドプロンプトで実行します。

<Cosminexusのインストールディレクトリ>¥manager¥setup¥bin¥setupwizard -f <セットアップ情報ファイル> -md <簡易構築定義ファイル>

UNIXの場合
次のコマンドをコマンドプロンプトで実行します。

# /opt/Cosminexus/manager/setup/bin/setupwizard -f <セットアップ情報ファイル> -md <簡易構築定義ファイル>

システムの複製を開始すると,[一括セットアップ]画面(システムの複製)が表示されます。

(b) [一括セットアップ]画面(システムの複製)

[一括セットアップ]画面(システムの複製)を次に示します。

図2-61 [一括セットアップ]画面(システムの複製)

[図データ]

設定項目
[一括セットアップ]画面(システムの複製)で設定する項目を次の表に示します。

表2-54 [一括セットアップ]画面(システムの複製)で設定する項目

設定項目設定内容入力値設定後に表示される画面
セットアップの実行システムをセットアップします。1[セットアップの実行]画面
セットアップウィザードを終了します。9[終了確認]画面
参考
セットアップ済みのシステムがある場合は,[アンセットアップ要求]画面([一括セットアップ]画面)が表示されます。なお,-forceオプションを指定して,システムの複製を強制開始している場合は,[一括セットアップ]画面(アンセットアップ実行中)が表示されます。

(3) 複製できないチューニングが実施されている場合の動作

複製元のシステムで,複製できないチューニングが実施されている場合,複製元または複製先のシステムで次の動作が発生して,複製できないときがあります。

複製できないチューニング項目とシステムの動作を次の表に示します。

表2-55 複製できないチューニング項目とシステムの動作

項番チューニング項目システムの動作
1Management Serverの設定Management Serverの設定情報のうち,次の項目に変更があると,エクスポートでエラーが発生します。この場合,システムの複製は実施できません。
  • 管理ユーザアカウントの設定の「管理ユーザID」および「パスワード」
  • ネットワークの設定の「Management Server接続HTTPポート番号」
  • ホストの定義の「運用管理エージェントのポート番号」
なお,上記以外のManagement Serverの設定情報を変更しても,エクスポートではエラーになりません。ただし,複製先のシステムには,複製元のシステムのセットアップ時の設定が適用されます。
2Component Container管理者の設定Component Container管理者の設定を変更しても,エクスポートではエラーになりません。ただし,複製先のシステムには,複製元のシステムのセットアップ時の設定が適用されます。
3Webシステムの設定Webシステムの設定情報のうち,次の項目以外に変更があると,エクスポートでエラーが発生します。この場合,システムの複製は実施できません。
  • Smart Composer機能の簡易構築定義ファイルを使用した,論理サーバのパラメタの設定
  • 運用管理ポータルを使用した,「論理サーバの環境設定」および「論理サーバの起動/停止」の設定
4データベースの接続設定データベースの接続設定のうち,JDBCドライバの設定については,複製できます。JDBCドライバ以外の設定項目を変更しても,エクスポートではエラーになりません。ただし,複製先のシステムには,複製元のシステムのセットアップ時の設定が適用されます。