8.4.3 簡易構築定義ファイルの設定内容

ここでは,簡易構築定義ファイルの構成と,構築するシステムの構成情報と簡易構築定義ファイルの定義項目の対応について説明します。また,簡易構築定義ファイルで定義できるアプリケーションサーバの機能についても説明します。

<この項の構成>
(1) 簡易構築定義ファイルの構成
(2) コンフィグレーション定義で使用するタグと適用範囲
(3) アプリケーションサーバの機能を有効にするための設定
(4) 簡易構築定義ファイル作成時の注意事項

(1) 簡易構築定義ファイルの構成

簡易構築定義ファイルでは,Webシステムの次の構成について設定します。

注※1 Smart Composer機能で負荷分散機の設定,および実サーバポートの開始・閉塞をしない場合は,負荷分散機の定義(<load-balancer>タグの定義)を記述する必要はありません。
注※2 負荷分散機のCookieスイッチング機能を使用する場合に必要です。この設定によって,一連のHTTPリクエストが一つのWebサーバまたはJ2EEサーバで処理されます。また,負荷分散機のCookieスイッチング機能を使用する場合は,物理ティアの定義(<tier>タグ)で,J2EEサーバのWebコンテナの設定に「webserver.container.server_id.enabled=true」を指定してください。
注※3 データベースを使用するための設定の定義については,「7.5 データベースを使用するための設定」を参照してください。

物理ティアおよびサービスユニットのコンフィグレーション定義で,同じパラメタを指定した場合は,サービスユニットの定義,物理ティアの定義の順に優先して適用されます。

J2EEアプリケーションを実行するシステムの構成情報と簡易構築定義ファイルの定義との対応を次の図に示します。

図8-5 J2EEアプリケーションを実行するシステムの構成情報と簡易構築定義ファイルの定義との対応

[図データ]

この図に示すように,簡易構築定義ファイルでは,論理サーバの構成や環境設定だけでなく,負荷分散機やホストも定義できます。なお,構築済みのWebシステムなどで使用しているホストを使用する場合には,ホストの定義を省略することもできます。

簡易構築定義ファイルのタグおよびパラメタについては,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ リファレンス 定義編(サーバ定義)」の「4.6 簡易構築定義ファイル」を参照してください。

(2) コンフィグレーション定義で使用するタグと適用範囲

論理サーバの動作設定や,機能を使用するための設定などは,論理サーバのコンフィグレーションで定義します。論理サーバのコンフィグレーションは,論理サーバ全体,および論理サーバごとに定義できます。論理サーバ全体で共通の定義を設定する場合は物理ティアで,論理サーバごとの定義を設定する場合はサービスユニットで定義します。物理ティアで定義すると,その物理ティアに属するホストに配置する論理サーバ全体で共通のコンフィグレーションが設定されます。なお,Management Serverが自動設定する内容については,「4.8 Management Serverが自動で設定する内容」を参照してください。

論理サーバのコンフィグレーション定義の適用範囲を次の図に示します。

図8-6 論理サーバのコンフィグレーション定義の適用範囲

[図データ]

コンフィグレーション定義時に使用する簡易構築定義ファイルの主なタグを次の表に示します。

表8-1 論理サーバのコンフィグレーション定義時に使用する簡易構築定義ファイルの主なタグ

タグ名称説明
<configuration>論理サーバの動作環境を設定します。動作環境を設定する論理サーバの種類は,<logical-server-type>タグで指定します。
<configuration>タグは,物理ティアの定義(<tier>タグ内),およびサービスユニットの定義(<unit>タグ内)に設定できます。<tier>タグ内または<unit>タグ内のどちらの<configuration>タグに設定するかによって,設定内容を適用する論理サーバの範囲が異なります。論理サーバ全体で共通の設定を変更したい場合は,<tier>タグ内の<configuration>タグを編集し,特定の論理サーバの設定を変更したい場合は,<unit>タグ内の<configuration>タグを編集します。
<logical-server-type><configuration>タグで動作環境を設定する論理サーバの種類を定義します。論理サーバの種類を次に示します。
  • 論理Webサーバ:web-server
  • 論理J2EEサーバ:j2ee-server
  • 論理SFOサーバ:sfo-server
  • 論理パフォーマンストレーサ:performance-tracer
  • 論理CTMドメインマネジャ:ctm-domain-manager
  • 論理CTM:component-transaction-monitor
  • 論理スマートエージェント:smart-agent
  • 論理ユーザサーバ:user-server(<tier>タグ内には定義できません)
<param>論理サーバの動作環境を設定するパラメタ(パラメタ名と値の組み合わせ)を定義します。1種類のパラメタごとに<param>タグで囲んで定義します。
<param-name>論理サーバの動作環境を設定するパラメタの名称を定義します。
<param-value><param-name>タグで指定したパラメタの設定値を定義します。

注 各論理サーバの<configuration>タグ内で,パラメタ名(<param-name>タグ)と値(<param-value>タグ)の設定を省略すると,論理サーバの動作環境にはデフォルトの値が設定されます。デフォルトの設定のままで利用する場合は,定義不要です。デフォルトで設定されている動作を変更したい場合や,アプリケーションサーバの機能を有効にしたい場合は,パラメタと値の設定を追加または変更してください。アプリケーションサーバの機能を有効にするための設定については,「(3) アプリケーションサーバの機能を有効にするための設定」を参照してください。


簡易構築定義ファイルのタグおよびパラメタについては,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ リファレンス 定義編(サーバ定義)」の「4.6 簡易構築定義ファイル」を参照してください。

(3) アプリケーションサーバの機能を有効にするための設定

簡易構築定義ファイルのコンフィグレーション定義では,デフォルトが設定されています。使用するアプリケーションサーバの機能によっては,デフォルトの設定では無効なものもあります。この場合は,簡易構築定義ファイルのパラメタと値を追加または変更して,機能を有効にする設定をします。なお,機能を使用するために設定する項目のうち,一部の設定項目は,簡易構築定義ファイルで定義できません。簡易構築定義ファイルで設定できない項目は,ほかのユーザ定義ファイルを使用して定義します。

例えば,J2EEサーバが使用するネーミングサービス,トランザクション,コネクション,コンテナ,ログ,セキュリティの設定を変更したい場合,J2EEサーバのJavaVMの起動オプションなどを変更したい場合などには,簡易構築定義ファイルで設定を変更します。簡易構築定義ファイルに,テキストエディタなどを使用して,変更対象のパラメタ名と変更後の値を設定します。ただし,J2EEサーバのセキュリティポリシーとWebアプリケーションのプロパティを変更したい場合には,Management Serverでは設定できません。簡易構築定義ファイル以外のユーザ定義ファイル(server.policy,hitachi_web.properties)をテキストエディタなどで編集して,動作設定を変更してください。

注意
server.policyまたはhitachi_web.propertiesを編集する場合は,編集対象のJ2EEサーバのセットアップが完了していることが前提になります。また,UNIXの場合,動作設定を変更するときには,root権限(Component Container管理者を設定していない場合),またはComponent Container管理者の権限(Component Container管理者を設定している場合)が必要です。

Smart Composer機能で使用できるアプリケーションサーバの機能については,「8.12 Smart Composer機能で使用できるアプリケーションサーバの機能の一覧と参照先」を参照してください。

(4) 簡易構築定義ファイル作成時の注意事項

簡易構築定義ファイル作成時に,論理Webサーバ(web-server)の<configuration>タグ内のSetByパラメタで「text」を指定した場合に,AllTextパラメタでhttpsd.confを直接設定するときの注意事項について説明します。