4.3.1 負荷分散機

負荷分散機は,ロードバランシング機能を持つ製品を配置するマシンです。負荷分散機を使用すると,一つの仮想IPアドレスで複数のサーバを管理するロードバランシング機能によって,トラフィックを効率的に分散し,処理性能を向上できます。負荷分散機は,Smart Composer機能から制御できます。Smart Composer機能では,負荷分散機としてBIG-IP(BIG-IP v9,BIG-IP v10.1,BIG-IP v10.2)またはACOS(AX2000,AX2500,BS320)が使用できます。

Smart Composer機能で構築したシステムは,負荷分散機のCookieスイッチング機能を使用して運用することもできます。Cookieスイッチング機能とは,Cookieを利用してセッションを維持する機能です。プロキシ経由などで要求元IPアドレスからクライアントが特定できない場合でも,同じクライアントからの一連のHTTPリクエストを同じサービスユニットに振り分けることができます。

参考
スイッチングモードについて
  • 08-53以降では,BIG-IPのCookieスイッチング機能のうち,Smart Composer機能で対応しているスイッチングモードはインサートモードだけです。
  • ACOSの場合,サーバからのレスポンスに対してACOSがcookieを設定します。設定するcookieの形式は次のとおりです。
    Set-Cookie:<cookie名>-<仮想ポート>=<実サーバIPアドレス>_<実ポート>

また,Smart Composer機能で構築したシステムでは,異なるWebシステム間や,異なる運用管理ドメインの同じWebシステム間で同じ負荷分散機を共有したり,一つのWebシステム内で負荷分散機を冗長化構成で配置したりできます。

注意
インプロセスHTTPサーバ機能を使用するパターン(j2ee-tier),およびfree-tierの場合,負荷分散機を配置できません。
<この項の構成>
(1) 負荷分散機の制御方法
(2) Webシステム間での負荷分散機の共有
(3) 負荷分散機の冗長化

(1) 負荷分散機の制御方法

アプリケーションサーバから負荷分散機を制御するには,sshコマンドを使用します。この場合,lb.properties(負荷分散機プロパティファイル)で,負荷分散機への接続情報を設定します。設定方法については,「8.3 アプリケーションサーバから負荷分散機を制御するための設定」を参照してください。また,lb.properties(負荷分散機定義プロパティファイル)については,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ リファレンス 定義編(サーバ定義)」の「4.5 lb.properties(負荷分散機定義プロパティファイル)」を参照してください。

(2) Webシステム間での負荷分散機の共有

Smart Composer機能で構築するWebシステムでは,異なるWebシステム間で,同じ(1台の)負荷分散機を共有できます。なお,1台のサーバマシン内の異なるWebシステムで,1台の負荷分散機を共有する場合は,それぞれのWebシステムで使用する負荷分散機の仮想サーバを分ける必要があります。負荷分散機を共有する場合の設定については,「8.11.6(3) 異なるWebシステム間で負荷分散機を共有する場合の簡易構築定義ファイルの作成」を参照してください。

また,JP1/SC/DPMを利用して構築するホスト単位管理モデルの場合,異なる運用管理ドメイン(サーバマシン)の同じWebシステム間でも,同じ(1台の)負荷分散機を共有できます。JP1/SC/DPMを利用したシステムについては,「4.7 JP1/SC/DPMの利用」を参照してください。

(3) 負荷分散機の冗長化

Smart Composer機能で構築するWebシステムでは,一つのWebシステム内に,負荷分散機を冗長化構成(アクティブ・スタンバイ構成)で配置できます。配置できる負荷分散機の台数は,2台です。負荷分散機を冗長化構成で配置すると,実行系(アクティブ)の負荷分散機で障害が発生した場合に,リクエストの振り分け処理が自動的に待機系(スタンバイ)の負荷分散機に切り替わって,業務を続行できます。負荷分散機を冗長化する場合の設定については,「8.11.6(1) 負荷分散機を冗長化する場合の簡易構築定義ファイルの作成」を参照してください。

参考
既存のWebシステムの負荷分散機を冗長化構成に変更したい場合は,既存のWebシステムを削除してから,負荷分散機を冗長化したWebシステムを再構築してください。