Smart Composer機能および運用管理ポータルを使用して構築するシステムは,日立の統合システム運用管理製品であるJP1と連携して運用できます。JP1と連携すると,アプリケーションサーバ以外のホストやサーバプロセスを含めた業務システム全体の状況を集中監視したり,システム上のサーバの起動や停止を自動化したりできるようになります。また,JP1のUNIXジョブまたはPCジョブとしてバッチアプリケーションの実行コマンドを定義しておくと,バッチアプリケーションの自動実行ができます。
JP1と連携する場合,次に示す製品を使用した機能を利用できます。
- JP1/IMとの連携(システムの集中監視)
アプリケーションサーバで構築したシステムを含めたシステム全体の監視ができるようになります。集中監視では,障害が発生した場合や,あらかじめ指定しておいたしきい値を超える事象が発生した場合などに,運用管理者に自動アクションで通知するように設定できます。この機能は,Smart Composer機能および運用管理ポータルで構築するシステムで利用できます。
- JP1/IM - CMとの連携(システムの構成定義および管理)
業務システムをユーザの視点で,システム構成を定義したり,定義した構成情報を管理したりできます。システム全体に散在する各種リソースの情報を集中して管理することで,システム構成に関する情報を統合管理できます。この機能は,Smart Composer機能で構築するシステムで利用できます。
- JP1/AJSとの連携(カスタムジョブによるシステムの自動運転)
アプリケーションサーバで構築したシステムの論理サーバやJ2EEアプリケーションの起動や停止のスケジュールをカスタムジョブに定義することで,システムの運用を自動化できます。
また,アプリケーションサーバで構築したシステムの論理サーバやバッチアプリケーションの起動や停止のスケジュールをカスタムジョブに定義することで,バッチアプリケーションの自動実行ができます。この機能は,Smart Composer機能および運用管理ポータルで構築するシステムで利用できます。
- JP1/AJS2 - SOとの連携(シナリオによるシステムの自動運転)
アプリケーションサーバで構築したシステムの論理サーバやJ2EEアプリケーションの起動や停止のスケジュールをシナリオに定義することで,システムの運用を自動化できます。この機能は,Smart Composer機能で構築するシステムで利用できます。
アプリケーションサーバが提供するシナリオテンプレートを使用することで,Smart Composer機能を使用して構築したシステムの自動運転の定義が容易にできるようになります。
- JP1/NETM/Auditとの連携(監査ログの収集と一元管理)
アプリケーションサーバが出力する監査ログを自動で収集,および一元管理できます。この機能は,Smart Composer機能および運用管理ポータルで構築するシステムで利用できます。
JP1と連携する場合には,Smart Composer機能または運用管理ポータルを使用した環境構築に加えて,JP1と連携するための設定をする必要があります。JP1と連携するためには,Management ServerでのJP1連携の設定,定義ファイルの作成,JP1との連携で使用するファイルのJP1への登録などが必要です。なお,アプリケーションサーバでは,JP1と連携するための環境構築や運用支援機能として,JP1で使用するツリーやジョブの作成支援機能,およびJP1が扱う形式のデータ出力機能を提供しています。各JP1製品と連携する場合の設定については,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ 機能解説 運用/監視/連携編」の「12. JP1と連携したシステムの運用」を参照してください。
Smart Composer機能および運用管理ポータルを使用して構築するシステムは,クラスタソフトウェアと連携して運用できます。連携できるクラスタソフトウェアを次に示します。
- Microsoft Cluster ServiceまたはWindows Server Failover Cluster(Windowsの場合)
Microsoft Cluster ServiceまたはWindows Server Failover Clusterは,高い可用性を実現するために提供されているクラスタサービスのサーバクラスタ機能です。Microsoft Cluster ServiceはWindows Server 2003に,Windows Server Failover ClusterはWindows Server 2008に含まれています。
- HAモニタ(AIX,HP-UXまたはLinuxの場合)
HAモニタは,システムの信頼性および稼働率の向上を目的とした,サーバプログラムを含めたシステムの切り替えを実現する日立のクラスタソフトウェアです。
クラスタソフトウェアと連携してシステムを運用することで,アプリケーションサーバに障害が発生した場合に,直ちに自動でアプリケーションサーバを切り替えたり,待機しているリカバリサーバで,障害が発生したアプリケーションサーバのリカバリ処理をしたりできます。これによって,システムの不稼働時間を短縮でき,信頼性や稼働率を高めることができます。
クラスタソフトウェアと連携する場合には,Smart Composer機能または運用管理ポータルを使用した環境構築に加えて,クラスタソフトウェアと連携するための設定をする必要があります。Microsoft Cluster Serviceと連携する場合には,クラスタアドミニストレータの設定,汎用スクリプトファイルの設定などが必要です。HAモニタと連携する場合には,HAモニタの設定,各論理サーバの設定などが必要です。
クラスタソフトウェアと連携する場合,次に示す系切り替え機能を利用できます。
- 1:1系切り替えシステム
- アプリケーションサーバの1:1系切り替え
実行系のアプリケーションサーバと待機系のアプリケーションサーバを1:1にした構成とすることで,実行系のアプリケーションサーバに障害が発生したときに系を切り替えて,業務を続行できます。この機能は,運用管理ポータルで構築するシステムで利用できます。
- 運用管理サーバの1:1系切り替え
実行系の運用管理サーバと待機系の運用管理サーバを1:1にした構成とすることで,実行系の運用管理サーバに障害が発生したときに系を切り替えて,業務を続行できます。この機能は,Smart Composer機能および運用管理ポータルで構築するシステムで利用できます。ただし,バッチアプリケーションを実行するシステムでは利用できません。
- 相互系切り替え
実行系のアプリケーションサーバと待機系のアプリケーションサーバを1:1にして,それぞれのアプリケーションサーバが実行系として動作しながらお互いの待機系として機能するシステムです。少ない台数のアプリケーションサーバマシンで,むだの少ない運用ができるようになります。この機能は,Smart Composer機能および運用管理ポータルで構築するシステムで利用できます。
- N:1リカバリシステム
N台の実行系のアプリケーションサーバに対して,1台のリカバリ専用の待機系のアプリケーションサーバを配置するシステムです。J2EEサーバを冗長化した構成でグローバルトランザクションを使用する場合に,特定のJ2EEサーバにトラブルが発生したとき,リカバリ専用サーバでトランザクションを決着できるようになります。この機能は,運用管理ポータルで構築するシステムで利用できます。ただし,バッチアプリケーションを実行するシステムでは利用できません。
- ホスト単位管理モデルを対象とした系切り替えシステム
ホスト単位管理モデル構成の実行系N台と予備系1台を配置するシステムです。実行系のManagement Serverや運用管理エージェントに障害が発生したときに系を切り替えて,業務を続行できます。
クラスタソフトウェアと連携する場合のシステムの構築については,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ 機能解説 運用/監視/連携編」の「18. クラスタソフトウェアとの連携」を参照してください。