10.2.3 簡易構築定義ファイルの設定内容

ここでは,簡易構築定義ファイルの構成と,構築するシステムの構成情報と簡易構築定義ファイルの定義項目の対応について説明します。また,簡易構築定義ファイルで定義できるアプリケーションサーバの機能についても説明します。

<この項の構成>
(1) 簡易構築定義ファイルの構成
(2) コンフィグレーション定義で使用するタグと適用範囲
(3) バッチサーバとして動作するための設定
(4) アプリケーションサーバの機能を有効にするための設定

(1) 簡易構築定義ファイルの構成

簡易構築定義ファイルでは,Webシステムの次の構成について設定します。

注意
バッチサーバは,論理J2EEサーバとして定義します。バッチサーバの動作設定を定義する場合,<logical-server-type>タグには「j2ee-server」を指定してください。
注※ データベースを使用するための設定の定義については,「7.5 データベースを使用するための設定」を参照してください。

物理ティアおよびサービスユニットのコンフィグレーション定義で,同じパラメタを指定した場合は,サービスユニットの定義,物理ティアの定義の順に優先して適用されます。

バッチアプリケーションを実行するシステムの構成情報と簡易構築定義ファイルの定義との対応を次の図に示します。

図10-4 バッチアプリケーションを実行するシステムの構成情報と簡易構築定義ファイルの定義との対応

[図データ]

この図に示すように,簡易構築定義ファイルでは,論理サーバの構成や環境設定だけでなく,ホストも定義できます。なお,構築済みのWebシステムなどで使用しているホストを使用する場合には,ホストの定義を省略することもできます。

簡易構築定義ファイルのタグおよびパラメタについては,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ リファレンス 定義編(サーバ定義)」の「4.6 簡易構築定義ファイル」を参照してください。

(2) コンフィグレーション定義で使用するタグと適用範囲

論理サーバの動作設定や,機能を使用するための設定などは,論理サーバのコンフィグレーションで定義します。論理サーバのコンフィグレーションは,論理サーバ全体,および論理サーバごとに定義できます。論理サーバ全体で共通の定義を設定する場合は物理ティアで,論理サーバごとの定義を設定する場合はサービスユニットで定義します。物理ティアで定義すると,その物理ティアに属するホストに配置する論理サーバ全体で共通のコンフィグレーションが設定されます。なお,Management Serverが自動設定する内容については,「4.8 Management Serverが自動で設定する内容」を参照してください。

論理サーバのコンフィグレーション定義の適用範囲を次の図に示します。

図10-5 論理サーバのコンフィグレーション定義の適用範囲

[図データ]

コンフィグレーション定義時に使用する簡易構築定義ファイルの主なタグを次の表に示します。

表10-1 論理サーバのコンフィグレーション定義時に使用する簡易構築定義ファイルの主なタグ

タグ名称説明
<configuration>論理サーバの動作環境を設定します。動作環境を設定する論理サーバの種類は,<logical-server-type>タグで指定します。
<configuration>タグは,物理ティアの定義(<tier>タグ内),およびサービスユニットの定義(<unit>タグ内)に設定できます。<tier>タグ内または<unit>タグ内のどちらの<configuration>タグに設定するかによって,設定内容を適用する論理サーバの範囲が異なります。論理サーバ全体で共通の設定を変更したい場合は,<tier>タグ内の<configuration>タグを編集し,特定の論理サーバの設定を変更したい場合は,<unit>タグ内の<configuration>タグを編集します。
<logical-server-type><configuration>タグで動作環境を設定する論理サーバの種類を定義します。定義できる論理サーバの種類を次に示します。
  • 論理J2EEサーバ:j2ee-server
  • 論理パフォーマンストレーサ:performance-tracer
  • 論理CTMドメインマネジャ:ctm-domain-manager
  • 論理CTM:component-transaction-monitor
  • 論理スマートエージェント:smart-agent
<param>論理サーバの動作環境を設定するパラメタ(パラメタ名と値の組み合わせ)を定義します。1種類のパラメタごとに<param>タグで囲んで定義します。
<param-name>論理サーバの動作環境を設定するパラメタの名称を定義します。
<param-value><param-name>タグで指定したパラメタの設定値を定義します。

注 各論理サーバの<configuration>タグ内で,パラメタ名(<param-name>タグ)と値(<param-value>タグ)の設定を省略すると,論理サーバの動作環境にはデフォルトの値が設定されます。デフォルトの設定のままで利用する場合は,定義不要です。デフォルトで設定されている動作を変更したい場合や,アプリケーションサーバの機能を有効にしたい場合は,パラメタと値の設定を追加または変更してください。アプリケーションサーバの機能を有効にするための設定については,「(4) アプリケーションサーバの機能を有効にするための設定」を参照してください。

注※ バッチサーバは論理J2EEサーバとして定義します。このため,バッチサーバの動作設定を定義する場合,<logical-server-type>タグには「j2ee-server」を指定します。


簡易構築定義ファイルのタグおよびパラメタについては,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ リファレンス 定義編(サーバ定義)」の「4.6 簡易構築定義ファイル」を参照してください。

参考
バッチアプリケーションを実行するシステムでもユーザサーバを配置できます。ユーザサーバを配置する場合の簡易構築定義ファイルの作成方法は,J2EEアプリケーションを実行するシステムと同じです。詳細は,「8.11.6(4) 論理ユーザサーバを配置する場合の簡易構築定義ファイルの作成」を参照してください。

(3) バッチサーバとして動作するための設定

バッチサーバとして動作するためには,バッチサーバの設定が必要です。バッチサーバの設定は,論理J2EEサーバ(j2ee-server)の<configuration>タグ内に指定します。バッチサーバに関する定義を次の表に示します。

表10-2 バッチサーバに関する定義

項目パラメタ設定内容必須または任意
バッチサーバとしてサーバを構築するための設定batch.service.enabledバッチサーバとして構築するかどうかを指定します。パラメタの値は必ずtrueを指定してください。必須
SecurityManagerを使用しない設定use.securityバッチサーバの起動時にSecurityManagerを使用するかどうかを指定します。パラメタの値は必ずfalseを指定してください。必須
ライトトランザクション機能を有効にするための設定ejbserver.distributedtx.XATransaction.enabledグローバルトランザクションを使用するかどうかを指定します。バッチサーバの場合,グローバルトランザクションは使用できません。ローカルトランザクションを使用します。このため,ローカルトランザクションに最適化された環境を提供する,ライトトランザクション機能を使用します。パラメタの値は必ずfalseを指定してください。なお,このパラメタはデフォルトの設定がfalseのため,変更しないでください。任意
明示管理ヒープ機能を無効にする設定add.jvm.arg明示管理ヒープ機能を使用するかどうかを指定します。
バッチサーバの場合,明示管理ヒープ機能を使用しないときは,明示管理ヒープ機能を無効にすることをお勧めします。明示管理ヒープ機能を無効にするには,パラメタの値に-XX:-HitachiUseExplicitMemoryを指定してください。デフォルトの設定の場合,明示管理ヒープ機能は有効(-XX:+HitachiUseExplicitMemory)です。
任意
実サーバ名の設定realservernameバッチサーバの実サーバ名を指定します。省略した場合は,論理サーバ名が設定されます。任意
JavaVM終了メソッド呼び出し時のJavaVMの動作設定ejbserver.batch.application.exit.enabled次のJavaVM終了メソッドをバッチアプリケーションで呼び出した時に,JavaVMを終了するかどうかを指定します。
  • java.lang.System.exit(int)
  • java.lang.Runtime.exit(int)
  • java.lang.Runtime.halt(int)
デフォルトは「true」(JavaVMを終了しないでバッチアプリケーションのスレッドを終了する)です。「false」を指定すると,JavaVM終了メソッドの呼び出し時に,バッチサーバごとJavaVMが終了されます。詳細については,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ 機能解説 拡張編」の「2.3.7 バッチアプリケーションの実装(バッチアプリケーションの作成規則)」を参照してください。
任意

(凡例)必須:必ず指定してください。 任意:必要に応じて設定してください。


(4) アプリケーションサーバの機能を有効にするための設定

簡易構築定義ファイルのコンフィグレーション定義では,デフォルトが設定されています。使用するアプリケーションサーバの機能によっては,デフォルトの設定では無効なものもあります。この場合は,簡易構築定義ファイルのパラメタと値を追加または変更して,機能を有効にする設定をします。なお,機能を使用するために設定する項目のうち,一部の設定項目は,簡易構築定義ファイルで定義できません。簡易構築定義ファイルで設定できない項目は,ほかのユーザ定義ファイルを使用して定義します。

例えば,バッチサーバが使用するネーミングサービス,トランザクション,コネクション,コンテナ,ログ,セキュリティの設定を変更したい場合,バッチサーバのJavaVMの起動オプションなどを変更したい場合などには,簡易構築定義ファイルで設定を変更します。簡易構築定義ファイルに,テキストエディタなどを使用して,変更対象のパラメタ名と変更後の値を設定します。ただし,バッチサーバのセキュリティポリシーとWebアプリケーションのプロパティを変更したい場合には,Management Serverでは設定できません。簡易構築定義ファイル以外のユーザ定義ファイル(server.policy,hitachi_web.properties)をテキストエディタなどで編集して,動作設定を変更してください。

注意
server.policyまたはhitachi_web.propertiesを編集する場合は,編集対象のバッチサーバのセットアップが完了していることが前提になります。また,UNIXの場合,動作設定を変更するときには,root権限(Component Container管理者を設定していない場合),またはComponent Container管理者の権限(Component Container管理者を設定している場合)が必要です。

Smart Composer機能で使用できるアプリケーションサーバの機能については,「10.9 Smart Composer機能で使用できるアプリケーションサーバの機能の一覧と参照先」を参照してください。