ここでは,1台のマシンに実行環境Aを構築し,実行環境Bにバージョンアップして動作検証したあと,実行環境Aに戻す手順を例に説明します。
各実行環境の設定内容の例を次の表に示します。
表11-5 各実行環境の設定内容の例
設定内容 | 実行環境A | 実行環境B |
---|
退避環境の格納先 | /home/CosmiBackup |
退避対象外のファイルの格納先 | /home/CosmiBackup/apsvAfiles | /home/CosmiBackup/apsvBfiles |
退避環境の識別子 | apsvA | apsvB |
実行環境の切り替え手順を次に示します。
- 実行環境Aを構築します。
Application Serverをインストールして,環境設定を実施し,システムを構築します。
実行環境Aが稼働可能状態となります。
![[図データ]](figure/zu110300.gif)
- 実行環境Aの退避対象外のファイルを任意の場所に格納します。
ここでは,「/home/CosmiBackup/apsvAfiles」に格納します。退避対象外のファイルについては,「11.4.1 退避対象外のファイルの退避」を参照してください。
- 実行環境Aを退避するために必要なディスク容量を確認します。
製品ごとに必要なディスク容量については,「11.4.2 ディスク容量の確認」を参照してください。
- cosmienvコマンドに引数-sを指定して,実行環境Aの退避環境を作成します。
コマンドの入力例を次に示します。
cosmienv -s -I apsvA -P /home/CosmiBackup
退避環境作成時に退避されるファイルについては,「11.5.2 退避環境作成時に退避対象となるファイル」を参照してください。
cosmienvコマンドを実行しても,実行環境Aは稼働可能状態のまま残ります。
![[図データ]](figure/zu110400.gif)
- 実行環境Bを構築します。
実行環境Aにアップグレードインストールと環境設定を実施します。
実行環境Bが稼働可能状態となり,実行環境Aは退避環境だけとなります。
![[図データ]](figure/zu110500.gif)
- 実行環境Bの退避対象外のファイルを任意の場所に格納します。
ここでは,「/home/CosmiBackup/apsvBfiles」に格納します。退避対象外のファイルについては,「11.4.1 退避対象外のファイルの退避」を参照してください。
- 実行環境Bを退避するために必要なディスク容量を確認します。
製品ごとに必要なディスク容量については,「11.4.2 ディスク容量の確認」を参照してください。
- cosmienvコマンドに引数-sを指定して,実行環境Bの退避環境を作成します。
コマンドの入力例を次に示します。
cosmienv -s -I apsvB -P /home/CosmiBackup
退避環境作成時に退避されるファイルについては,「11.5.2 退避環境作成時に退避対象となるファイル」を参照してください。
cosmienvコマンドを実行しても,実行環境Bは稼働可能状態のまま残ります。
![[図データ]](figure/zu110600.gif)
- 実行環境Bで動作検証をします。
- 実行環境B(Application Server)をアンインストールします。
- cosmienvコマンドに引数-rを指定して,実行環境Aに戻します。
コマンドの入力例を次に示します。
cosmienv -r -I apsvA
実行環境Aが稼働可能状態となり,実行環境Bは退避環境だけとなります。回復元の退避環境Aはそのまま残ります。
![[図データ]](figure/zu110700.gif)
- 手順2.で退避したファイルを該当個所(退避元ディレクトリ)に格納します。
退避対象外のファイルを実行環境Aの退避元ディレクトリにそれぞれ格納します。
cosmienvコマンドの詳細については,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ リファレンス コマンド編」の「cosmienv(構築済み実行環境の退避,回復,削除,一覧出力)」を参照してください。