9.5.1 クライアント性能モニタ機能運用時の注意事項

クライアント性能モニタ機能運用時の注意事項を次に示します。

<この項の構成>
(1) 適用時の注意事項
(2) 複数のWebアプリケーションに対する同時適用についての注意事項
(3) user Dataビヘイビアのデータサイズについての注意事項
(4) 問い合わせIDに含まれるIPアドレス情報についての注意事項
(5) コンテンツ出力時の文字セットについての注意事項
(6) Webアプリケーション中の変数についての注意事項
(7) クライアント性能モニタ機能で予約されているファイル名に関する注意事項
(8) Webブラウザの中止ボタンについての注意事項
(9) Webブラウザの並行操作に関する注意事項
(10) フレーム構成のWebブラウザの性能データに関する注意事項
(11) 測定対象のHTMLコンテンツについての注意事項

(1) 適用時の注意事項

(2) 複数のWebアプリケーションに対する同時適用についての注意事項

クライアント性能モニタ機能の性能データは,アプリケーション単位で取得されます。そのため,モニタページで確認できるのはモニタページ表示のためにアクセスしている同一アプリケーション内の情報だけです。複数のWebアプリケーションの性能データを横断的に表示および確認することはできません。

(3) user Dataビヘイビアのデータサイズについての注意事項

クライアント性能モニタ機能では,Internet Explorerのuser Dataビヘイビアを使用して性能データを記録します。ただし,user Dataビヘイビアを使用して保存できるデータサイズには上限があります。クライアント性能モニタ機能が使用できるデータサイズは,一つのWebアプリケーション当たり最大384キロバイトです。

Webアプリケーションでuser Dataビヘイビアを使用している場合,同じドメイン内で保存するデータサイズの合計が,user Dataビヘイビアの仕様で定められている上限値を超えないようしてください。user Dataビヘイビアについては,Internet Explorerのドキュメントを参照してください。

(4) 問い合わせIDに含まれるIPアドレス情報についての注意事項

デフォルト設定の場合,クライアント性能モニタ機能が生成する問い合わせIDには,サーバが動作しているホストのIPアドレスが含まれます。負荷分散機やリバースプロキシを使用している場合など,サーバのIPアドレスをクライアント側に公開しないシステム構成のときには,問い合わせIDにIPアドレスを含まないように設定することを推奨します。詳細は,「9.2.3 問い合わせIDの定義方法」を参照してください。

(5) コンテンツ出力時の文字セットについての注意事項

サーブレットやJSPなどからコンテンツを出力する場合にjavax.servlet.ServletResponseクラスのgetOutputStreamメソッドを使用して取得した出力ストリームに出力するときは,setContentTypeメソッドなどによってコンテンツの文字セットを適切に設定しておいてください。設定されている文字セットとサーブレットが出力するコンテンツが異なる場合,クライアント性能測定スクリプトが挿入されないことがあります。

また,クライアント性能測定スクリプトが挿入されたコンテンツでは,Webブラウザでの文字セットの自動識別の結果が挿入前と変化することがあります。この場合,文字セットが指定されていないコンテンツで表示すると,結果に文字化けが発生することがあります。クライアント性能モニタ機能を適用していない場合は正常に表示されていたコンテンツでも,文字化けが表示される場合があります。

(6) Webアプリケーション中の変数についての注意事項

クライアント性能測定スクリプトでは,変数としてClientPerformanceを使用します。WebアプリケーションのHTMLコンテンツで同じ変数名を使用している場合,クライアント性能モニタ機能は適用できません。

(7) クライアント性能モニタ機能で予約されているファイル名に関する注意事項

次に示すファイル名はクライアント性能モニタ機能で予約されています。Webアプリケーションでは使用しないでください。

これらのファイル名に重複するものがWebアプリケーションにある場合,クライアント性能モニタ機能は適用できません。重複するファイル名がある場合は,Webアプリケーションのファイル名を変更してください。ファイル名にはサーブレットマッピングなども含みます。

(8) Webブラウザの中止ボタンについての注意事項

クライアント性能測定スクリプトが挿入されたコンテンツを表示している最中,モニタページを操作している最中などに,Webブラウザの中止ボタンは使用しないでください。保存している性能データが壊れるおそれがあります。

(9) Webブラウザの並行操作に関する注意事項

クライアント性能モニタ機能を適用したWebアプリケーションでは,性能取得フェーズで複数のWebブラウザを同時に並行して操作しないでください。保存している性能データが壊れるおそれがあります。この理由から,クライアント性能モニタ機能はユーザの操作なしで自動的に画面を遷移させる機能(HTMLのMETAタグによる自動更新など)を持つようなWebアプリケーションには適用できません。

(10) フレーム構成のWebブラウザの性能データに関する注意事項

フレーム構成のWebブラウザ(<iframe>によるインラインフレームページを含む)に対してクライアント性能モニタ機能を適用する場合,親フレームを表示した時に最初に表示される子フレームのコンテンツの通信時間,描画時間および応答時間の情報は取得されないことがあります。ただし,そのあとの子フレーム内で遷移した時に表示される各コンテンツの情報は取得されます。

次の図に例を示します。

図9-25 フレーム構成のWebブラウザの性能データを取得する場合の例

[図データ]

子フレームBの通信時間,描画時間および応答時間は取得されない場合があります。親フレームAおよび子フレームCの情報については取得されます。

(11) 測定対象のHTMLコンテンツについての注意事項

クライアント性能フィルタは,クライアント性能測定スクリプトの挿入位置を文字列の比較で検索します。HTMLコンテンツのコメント部分など,HTMLタグが無効となる位置に,<head>,</head>,<body>,<frameset>などのHTMLタグを表す文字列がある場合,これらの位置にクライアント性能測定スクリプトを挿入するおそれがあります。このようなHTMLコンテンツを含むWebアプリケーションには,クライアント性能モニタ機能は適用できません。