9.1.3 クライアント性能モニタ機能で実行される処理

クライアント性能モニタ機能の処理は,性能データの取得と,取得した性能データの表示という二つのフェーズに分かれます。

フェーズごとに実行される処理について説明します。

<この項の構成>
(1) 性能データの取得
(2) 性能データの表示

(1) 性能データの取得

性能データの取得フェーズでは,クライアント性能モニタ機能が有効になったWebアプリケーションにWebブラウザからアクセスして,性能データを取得します。このフェーズでは,クライアント性能モニタ機能が有効であることを意識しないで,Webアプリケーション上で一連の操作ができ,Webブラウザに性能データが記録されます。

性能データの取得フェーズで実行される処理の一覧を次の表に示します。

表9-3 性能データの取得フェーズで実行される処理

項番処理説明
1クライアント性能測定スクリプトの自動挿入Webアプリケーションに対して,クライアント性能測定スクリプトを自動的に挿入します。
2クライアント性能の記録WebアプリケーションをWebブラウザで操作しているときに,クライアント性能データを自動的に取得します。
3ログシーケンスの管理性能データをログシーケンスの単位でまとめて管理します。
ログシーケンスは,Webアプリケーションの一連の操作での画面遷移の単位です。
ログシーケンスについては,「9.1.4(2) ログシーケンス」を参照してください。

なお,サーブレットフィルタの初期化パラメタを設定することで,クライアント性能フィルタやクライアント性能測定スクリプトの挙動を調節できます。設定項目については,「9.2.1(2) 任意項目」を参照してください。

(2) 性能データの表示

性能データの表示フェーズでは,性能データの取得フェーズで記録されたデータを確認,および分析できます。性能データの確認は,次の方法で実施できます。

性能データを確認する流れを次に示します。

性能データをモニタページに表示させて確認する場合
  1. モニタページの表示
    モニタページを表示します。モニタページを表示することで,Webブラウザに保存されている性能データにアクセスできます。
  2. 統計情報の確認
    性能データの統計値を確認します。統計情報を分析し,異常値を示しているURLがないかを確認します。
  3. 性能情報の表示と問題個所の特定
    性能情報の一覧を表示し,異常値を示しているリクエストが発生した時刻,およびそのときの問い合わせIDを確認します。
  4. 前後の操作の流れを確認
    クライアント性能モニタ機能では,ログシーケンスとして画面遷移の流れを保持しています。問題があったリクエストに至るまでのWebアプリケーションの画面遷移の流れを確認します。Webブラウザを閉じる前の操作情報など,過去のログシーケンスについても情報を確認できます。
  5. 性能データの削除
    確認および分析作業が終了したら,不要な性能データを削除します。
性能データをサーバ側で収集して確認する場合
  1. アプリケーションの作成
    API(ClientPerformance.getAllLogメソッド)を使用して,サーバ側に性能データを収集するためのアプリケーションを作成します。アプリケーションの作成方法については,「9.2.6 Webブラウザから性能データを読み出すアプリケーションの作成」を参照してください。
  2. 性能データの読み出しとサーバ側での収集
    作成したアプリケーションにアクセスして,Webブラウザに保存されている性能データをサーバ側に収集します。
  3. 性能データの確認
    サーバ側に収集したデータを解析します。異常値を示しているリクエストが発生した時刻,およびそのときの問い合わせIDを確認します。この場合,クライアント側にモニタページを表示することなく,サーバ側だけで性能データを確認できます。

性能データの表示フェーズで提供する機能の一覧を次の表に示します。

表9-4 性能データの表示フェーズで提供する機能

項番機能説明
1ログシーケンスの一覧表示Webブラウザに保存されたログシーケンスの一覧を表示します。
ログシーケンスについては,「9.1.4(2) ログシーケンス」を参照してください。
2性能情報の表示リクエストごとに,次に示す性能情報の値を表示します。
  • 通信時間
  • 描画時間
  • 応答時間
  • 操作時間
性能情報には問い合わせIDが付与されるため,性能解析トレースの情報と突き合わせることができます。
性能情報の表示については,「9.4.3 性能情報を表示する」を参照してください。
3統計情報の表示統計情報を表示します。統計情報を確認することで,Webアプリケーションでの各画面の性能や品質を分析できます。
統計情報の表示については,「9.4.4 統計情報を表示する」を参照してください。
4性能データの削除保存されている性能データを削除できます。削除は次の方法で実施できます。
  • 一括削除
  • 部分削除
性能データの削除については,「9.4.5 性能データを削除する」を参照してください。
5性能データの読み出しAPI(ClientPerformance.getAllLogメソッド)を使用して,性能データを読み出すことができます。ユーザは,クライアント性能モニタで提供しているサンプルを使用して性能データをサーバ側で収集する仕組みを作成できます。
性能データの読み出しについては,「9.2.6 Webブラウザから性能データを読み出すアプリケーションの作成」を参照してください。