11.2 構築済み実行環境の切り替えの概要

ここでは,構築済み実行環境の切り替えの概要について説明します。

構築済み実行環境を切り替える場合,構築済みの実行環境ごとに退避環境を作成します。退避環境は,実行環境を圧縮して,稼働可能状態から退避状態(稼働できない状態)に遷移した環境です。複数の退避環境のうち,使用したい退避環境を稼働可能状態に回復して,実行環境を切り替えます。

複数の構築済み実行環境の切り替えの概要を次の図に示します。

図11-1 複数の構築済み実行環境の切り替えの概要

[図データ]

この図では,実行環境Aに対する退避環境Aと,実行環境Bに対する退避環境Bをそれぞれ作成して,実行環境を切り替えています。作成済みの退避環境は,一覧で出力したり,不要となった場合に削除したりできます。

次に,構築済み実行環境を切り替える場合の前提条件,切り替え時に使用する機能,および取得するログファイルについて説明します。

<この節の構成>
(1) 前提条件
(2) 構築済み実行環境の切り替えで使用する機能
(3) 構築済み実行環境の切り替え実行時に障害が発生した場合の対処

(1) 前提条件

切り替え対象となる実行環境を構築する製品は,Application Server Standard,およびApplication Server Enterpriseです。構築済み実行環境の切り替えは,UNIX環境の場合に使用できます。退避対象となる実行環境は,システムの構築が完了済みで,各サーバやサービスを起動していない状態(稼働可能状態)であることが前提です。

また,構築済み実行環境から退避環境を作成する場合に,実行環境はTAR形式またはCPIO形式に圧縮されます。このため,実行環境の切り替えは,TAR形式またはCPIO形式に対応している環境で実行する必要があります。

(2) 構築済み実行環境の切り替えで使用する機能

構築済み実行環境を切り替える場合,次の四つの機能を使用します。

これらの機能は,cosmienvコマンドに,機能に対応する引数を指定して実行します。cosmienvコマンドの詳細,および退避環境一覧の出力形式については,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ リファレンス コマンド編」の「cosmienv(構築済み実行環境の退避,回復,削除,一覧出力)」を参照してください。

(3) 構築済み実行環境の切り替え実行時に障害が発生した場合の対処

構築済み実行環境を切り替える場合は,cosmienvコマンドを実行します。cosmienvコマンド実行時に障害が発生した場合は,メッセージと,ログファイルの内容を基に障害を解析してください。ログファイルは機能ごとに取得され,次の場所に格納されます。

構築済み実行環境の切り替えで取得するログファイルの格納場所
/opt/Cosminexus/env/log

機能ごとに出力されるログファイルを次の表に示します。

表11-2 機能ごとに出力されるログファイル

機能の種類ログファイル名
退避機能cosmienv_s[n].log
回復機能cosmienv_r[n].log
削除機能cosmienv_d[n].log

なお,退避環境一覧出力機能の場合,ログファイルは出力されません。

ログファイルの内容については,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ 機能解説 保守/移行/互換編」の「5.2.6 構築済み実行環境の切り替えで出力するログの出力形式と出力項目(UNIXの場合)」を参照してください。また,メッセージについては,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ メッセージ 3」を参照してください。