8.2.1 明示管理ヒープ機能を利用する目的

明示管理ヒープ機能は,フルガーベージコレクションの発生を抑止する機能です。この機能を使用することで,システムが停止する回数を低減し,安定したスループットを実現します。

システムで扱う論理アドレス空間の増加やシステム規模の拡大などによって,アプリケーションサーバで扱うJavaヒープのサイズは増加しています。Javaヒープのサイズの増加に伴って問題になるのは,ガーベージコレクションの実行に掛かる時間の増加です。ガーベージコレクションが実行されている間,システムは停止します。特に,フルガーベージコレクションの実行時間は,使用済みのJavaヒープのサイズに応じて増加します。使用できるJavaヒープのサイズの増加に従って,フルガーベージコレクションに掛かる時間も増えるおそれがあります。

参考
ガーベージコレクションのアルゴリズムとシステム停止時間の関係
日立のJavaVMでは,コピーガーベージコレクションのアルゴリズムとしてCopyアルゴリズム,フルガーベージコレクションのアルゴリズムとしてMark Sweep Compactアルゴリズムを採用しています。これらのアルゴリズムは,Stop The World型のアルゴリズムです。Stop The World型では,ガーベージコレクションの実行に掛かる時間は,そのJavaVMを利用したシステムが停止する時間と等しくなります。