11.5.1 構築済み実行環境の切り替え手順の例

ここでは,1台のマシンに実行環境Aを構築し,実行環境Bにバージョンアップして動作検証したあと,実行環境Aに戻す手順を例に説明します。

各実行環境の設定内容の例を次の表に示します。

表11-5 各実行環境の設定内容の例

設定内容実行環境A実行環境B
退避環境の格納先/home/CosmiBackup
退避対象外のファイルの格納先/home/CosmiBackup/apsvAfiles/home/CosmiBackup/apsvBfiles
退避環境の識別子apsvAapsvB

実行環境の切り替え手順を次に示します。

  1. 実行環境Aを構築します。
    Application Serverをインストールして,環境設定を実施し,システムを構築します。
    実行環境Aが稼働可能状態となります。

    [図データ]

  2. 実行環境Aの退避対象外のファイルを任意の場所に格納します。
    ここでは,「/home/CosmiBackup/apsvAfiles」に格納します。退避対象外のファイルについては,「11.4.1 退避対象外のファイルの退避」を参照してください。
  3. 実行環境Aを退避するために必要なディスク容量を確認します。
    製品ごとに必要なディスク容量については,「11.4.2 ディスク容量の確認」を参照してください。
  4. cosmienvコマンドに引数-sを指定して,実行環境Aの退避環境を作成します。
    コマンドの入力例を次に示します。
    cosmienv -s -I apsvA -P /home/CosmiBackup
    退避環境作成時に退避されるファイルについては,「11.5.2 退避環境作成時に退避対象となるファイル」を参照してください。
    cosmienvコマンドを実行しても,実行環境Aは稼働可能状態のまま残ります。

    [図データ]

  5. 実行環境Bを構築します。
    実行環境Aにアップグレードインストールと環境設定を実施します。
    実行環境Bが稼働可能状態となり,実行環境Aは退避環境だけとなります。

    [図データ]

  6. 実行環境Bの退避対象外のファイルを任意の場所に格納します。
    ここでは,「/home/CosmiBackup/apsvBfiles」に格納します。退避対象外のファイルについては,「11.4.1 退避対象外のファイルの退避」を参照してください。
  7. 実行環境Bを退避するために必要なディスク容量を確認します。
    製品ごとに必要なディスク容量については,「11.4.2 ディスク容量の確認」を参照してください。
  8. cosmienvコマンドに引数-sを指定して,実行環境Bの退避環境を作成します。
    コマンドの入力例を次に示します。
    cosmienv -s -I apsvB -P /home/CosmiBackup
    退避環境作成時に退避されるファイルについては,「11.5.2 退避環境作成時に退避対象となるファイル」を参照してください。
    cosmienvコマンドを実行しても,実行環境Bは稼働可能状態のまま残ります。

    [図データ]

  9. 実行環境Bで動作検証をします。
  10. 実行環境B(Application Server)をアンインストールします。
  11. cosmienvコマンドに引数-rを指定して,実行環境Aに戻します。
    コマンドの入力例を次に示します。
    cosmienv -r -I apsvA
    実行環境Aが稼働可能状態となり,実行環境Bは退避環境だけとなります。回復元の退避環境Aはそのまま残ります。

    [図データ]

  12. 手順2.で退避したファイルを該当個所(退避元ディレクトリ)に格納します。
    退避対象外のファイルを実行環境Aの退避元ディレクトリにそれぞれ格納します。

cosmienvコマンドの詳細については,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ リファレンス コマンド編」の「cosmienv(構築済み実行環境の退避,回復,削除,一覧出力)」を参照してください。